突然だが、【アストレアファミリア】の派閥評価をここで語ろうと思う。
ちなみに、Aより上のSで評価されている
そんな俺たちが
一つは先の三派閥に比べて、小規模であるということ。
少数精鋭とは聞こえはいいが、例えば頭数そのものが必要な場面において、俺たちはどうしても力になりきれないことがある。じゃあ新規団員募集すれば?となるが………
そして二つ目。
そもそもの話、
これが
じゃあ何故49階層で止まっているのか?
それはあの
階層主。
それは特定の階層にのみ存在する『
その階層域の推奨レベルを上回る圧倒的な
ただそんなモンスターが一般モンスターみたいにヒョコヒョコ産まれてくるわけじゃない。もしそんなんだったら下界は1000年前に終わっていただろう。
階層主には
ちなみにバロールは大体九ヶ月と言われている。
なのでやろうと思えば、『遠征』に行くタイミングとバロールの
けれどもうちの脳内お花畑バーニング
『自派閥だけでバロールを倒せないまま
はい、今貴方の心の中のライラはこう言ったはずです。『んなリスク高いことするかよ』……と。
しかしその提案をしたのが初見でバロールに挑んでボコボコにされてしかも遠征大大大赤字で帰ってきた後にブチ上げた『傷心パーティー(爆)』だったから、プライドの高い輝夜やリオン、その場の雰囲気に流されて俺や他のメンバーも賛同してしまいました本当に後悔しています。ハイ。
それ以降、俺たちはバロール討伐の為に色々と準備をした。なんせ九ヶ月も間隔は空くし、何より他の派閥───49階層だと三派閥と被ることも考えて、入念な準備を沢山行った。
二回目は、同時に現れるフォモールというモンスターを処理するのにどうしても頭数が足りなくて撤退を決意。
三回目はなんと
もちろん断られたが……やはり我らが
最終的に
ソロでバロールを打倒したかったオッタルの背中が、ちょっと悲しんでるように見えた。ドンマイ、オッタル。
そして直近の四回目。
今回は通常個体で一安心。そして満を持して──!!というところで、またしても乱入者。
しかも今度は野生の
もうその戦場は散々だった。
俺たちはその光景を遠くでぼーっと見ながら、とりあえず湧いて出た
うん、まあ、わかる通り、都合四回挑戦し、達成できていないのが現状だ。
『遠征』の『
それにロイマンも怒っている。
『何度挑戦すれば気が済む!?さっさと先の階層に行き成果を上げろ!そうすれば
………ともかく!!最高到達階層の更新を最優先にしろ!以上ッ!!』
正直、怒りで揺れるロイマンの二重アゴしか見てなかったが、多分そんなことを言っていたはずだ。
なので俺たちは仕方なく………本当に仕方なく、到達階層の更新を優先するために遠征へ出かけることになった。
弟分がそろそろオラリオに到着するのでそれを迎えてやりたかったのが正直な感想だが………ファミリアのみんなに迷惑をかける訳にもいくまい。
こうして俺たちは唐突ではあるが、渋々、遠征を挙行することにしたのだ。
♦♦────────♦♦
目的地は深層である51階層。
51階層で採取した素材を献上することで、『遠征』における『成果』を挙げたこととなる。
それを持って『遠征』は成功。晴れて到達階層の更新が叶う。
これは、その道中だ。
『グギャッ───!?』
一本の
断末魔を満足にあげられないまま灰となったモンスターに目もくれず、
種族柄、
「アリーゼ、次は
「待って、次の壁からもう三体ずつ出現した!」
「
「ほいっとな!」
「分かったっ!」
ライラに加え、
ライラとネーゼの報告通り、
『……!?』
唖然とするモンスター。
しかし無防備に背中を見せた獲物に対して凶刃を振るおうとし───防がれた!?
「今!です!」
「サンキュっ、アスタ!」
間に割って入るのは小柄な影。
ドワーフのアスタ・ノックスだ。
その身に余る程の大盾で味方の背中を守る、まさに献身的な
それに報いたのは
「もお〜『
「アリーゼちゃんよね〜困ったわね〜」
「マリューはこんな時も
悲鳴をあげるのはヒューマンのノイン・ユニック。
器用さを活かし、様々なリーチの武器を代わる代わる使い分けることで、モンスターを寄せ付けないことに成功している。
他方、同じくヒューマンで
ダンジョンの中だというのに肝が座り過ぎている…………というよりは生来の気質だろう。後衛職の己にできることはこの
「さてさて……私たちの出番はあるのかしら?」
「『
「あら残念。新調した魔法石の威力を試したかったわ………」
ヒューマンと
少し興奮した様子で己の杖を撫でたリャーナに、いつも通りと無視を決め込んだセルティは理性的である
「それに……例えウダイオスが現れていても、出番はやはり無いかと」
「あらま……確かにそうみたいね」
セルティが指さす先。
風が
斬撃が乱舞する。
鞘から抜き放たれた刀と『魔力』を秘める木刀が織り成す剣閃の結界は、パーティーを追従する
どれだけの数を積み重ねたとしても無駄。
そう確信する程、彼女たち二人は旋風の如く、瞬きの間にモンスターを屠り続けていた。
「95、96!………あらあら。そちらのエルフ様はもうバテてしまったので?お休みしたほうが良いのでは?」
「こちらのセリフだ輝夜!それに数では───98!私の方が勝っているッ!」
「ふふふ────言ってくれるではないか、青二才ッ!」
「その侮辱、そっくりそのまま返しますッ!!」
モンスターよりも先に殺し合いそうな二人は、額がくっつきそうな位近付いて睨み合うと………弾かれるように殺戮を重ね続けた。先程より、速いペースで!
「ハァァァアアア!!!」
『ギャァアアア!!』
木刀の一振りで倍以上のモンスターが吹き飛ぶ。
使い手の名は、リュー・リオン。
枝のようにか細い
まるで小さな嵐のように、怪物の群れを飲み込んでは粉砕する。モンスターにとって、悪夢に違いない。
しかし────
「ふっっ!!」
『グァァァ────ッ』
───断末魔も満足にあげられずに、灰の塵になって消えていくこちらの光景もきっと、悪夢に違いなかった。
その剣客の名は、ゴジョウノ・輝夜。
冴え冴えたる剣技の粋を見せつける彼女は
最小の始動、最速の抜刀、最高の戦果。
居合の一閃を何百にも重ね、雨の如く振り下ろす。的確に魔石を狙う技巧は、彼女の積み上げてきた努力と年月を浮き彫りにさせる。
「見えてきたわ!次層の階段!」
パーティーの中段。
指示を飛ばすことに注力していたアストレアファミリアの団長───アリーゼ・ローヴェルは高らかに声を発した。
それはもう高らかに。無駄に無い胸を張って。堂々と。
だから、
『『『『『グヴァァ!!!』』』』』
「「「「「「「おい」」」」」」」
「………テヘペロ☆」
「「「「「「「イラッ☆」」」」」」」
Q.(自称)最高美少女冒険者が更にモンスターを引き寄せるのは間違っているだろうか?
A.いいえ、間違ってないわ!!!!(A・Lさん)
「団長!貴女のやかましい声でモンスターが寄ってきた!!」
「うわーん!ごめんなさーい!」
思わず剣舞を止めた輝夜がアリーゼに文句を言う。
いいぞもっと言え!という
しかし実際問題どうするか………
「いける?ユース」
「問題ないよ、
「んー!!流石っ、ユース!ありがとう、愛してるわ!!」
「はいはい俺も俺も。早よ先行ってくれ」
うっひゃ〜!と喜ぶアリーゼと、何故かアリーゼを睨みつける一行が次の階層────
雪のような……というより色が抜け落ちた故の白。そんな印象がある白髪を靡かせ、翡翠色の双眸は迫り来るモンスターの大群を睥睨する。
彼は愛用する短い杖、『
「【
心臓の鼓動。
去来する魔の風。
そして、
『………』
圧縮され、
理知を携えぬ怪物にさえ、平等に死を理解させた。
「──────【ケラウノス】」
轟雷。
消音。
破壊。
衝撃。
その中で生存を許されたのはたった一人。ユースその人である。
魔石すら砕き、強化種という後顧の憂いを断ち、聖杖を下ろす。
その所作には、疲労の影すら見えない。
「うっし、お掃除完了。さっさと行くか〜」
足取り軽やかに、ユースもまた、次層へ続く階段へ消えていった。
♦♦────幕間────♦♦
「お願いお願いお願いーーーー!!!」
「………」
オッタルは死んだような目で”それ”を見つめていた。
”それ”とは今己の目の前で───というか地面の上でだが───子供のように暴れ回る人のこと。
人間が持ち合わせている尊厳を全て投げ出したその挙動にオッタルは尊敬───なんてするわけがなく。ただただ死んだような目で”それ”を見つめていた。
「いいのかよ、
そして”それ”と同じく派閥の出身である桃髪の
その顔には途方もなく疲れが滲み出ており、オッタルは
オッタルがそんな邪念に囚われていると知りもせず、その
「お願いお願いお願いお願いお願いーーー!!!………チラッ?」
「アタシたちの団長は物分りが悪りぃんだ」
「…………」
「お願いお願いお願いお願いーーー!!………チラチラッ?」
「多分、あんたが首を縦に振るまで、地獄の底だろうとついて行くと思うぜ??」
「……………」
事実そうだった。
オッタルが無視してバロールへ向かおうとしても、”それ”は器用にも炎の
「…………………ハァ………」
オッタルは溜息をついた自分を認識できなかった。
武人として未熟、と引き締めようにも、目の前の”ソレ”を見てはやるせない気持ちになった。
そしてついに。
「…………………共闘ではない。俺の戦場で俺の獲物を狙う分には構わん。精々巻き添え───「えホント!?やったありがとう!流石はLv7ね!!」…………」
「ア、アリーゼェ………」
「レベルは関係ねーだろ……」
「これが私たちの団長ですか……ふふ、このまま
「なんか、ほんと、ごめんな?オッタル」
「…………問題ない」
白髪に翡翠の瞳をした
「…………」
そして鬱憤溜まったこの感情のままに大剣を振るい、半殺し状態だったバロールを完全討伐してのけた。
アストレアファミリア 戦力図
『Lv6』
アリーゼ・ローヴェル
ユース 万能全役
『Lv5』
リュー・リオン 魔法剣士
ゴジョウノ・輝夜
ネーゼ・ランケット 中衛攻役
アスタ・ノックス
イスカ・ブラ
『Lv4』
ライラ 中衛撹役
マリュー・レアージュ 治療師
ノイン・ユニック 中衛支援師
リャーナ・リーツ 後衛魔導師
セルティ・スロア 後衛魔導師
アストレアファミリア。長ずればみんな第一級になれるって……っぱ、アストレア様しか勝たんよなぁ〜