アストレアファミリアのハーレムクソ野郎   作:神崎せもぽぬめ

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第三話

 

 

 

 

 49階層。

 

 特大の広間(ルーム)のみで構成されるその層域の名を、『大荒野(モイトラ)』と言った。

 

 大荒野に相応しき荒寥(こうりょう)とした景色が広がる眼前で、舞い上がるのは大量の灰と煙、(そび)え立つ怪物の姿。そして風にあおられる『道化師』の旗章。

 

 それは【ロキファミリア】の先鋭部隊────遠征隊のダンジョン攻略が目の前で繰り広げられていることの証左である。

 

「盾、構えぇッ──!!」

 

 地響きを伴う足音、理性なき怪物の叫び、そして冒険者たちの勇敢な咆哮。その中で一際通る、凛とした勇者の声音。

 戦場を油断なく見据える(あお)き瞳には、海よりも深い叡智を秘めていた。

 

 彼の名はフィン・ディムナ。

 

 迷宮都市(オラリオ)においても数少ないLv6の第一級冒険者にして【勇者(ブレイバー)】の二つ名を戴く、【ロキファミリア】の団長だ。

 

「ティオナ、ティオネは左翼支援!───中央前衛、密集陣形(たいけい)雁行陣形(ななめ)に移行!怪物(てき)の突進を受け流せ!!」

 

 矢継ぎ早に飛ぶ指示は恐ろしく鋭い。

 的確に下す命令が、傾きかける戦況を何度でも立て直す。小人族(パルゥム)の首領は、戦いの趨勢を見極め続ける。

 

 そして彼の手足となり怪物の駆逐を繰り返す冒険者たちも、都市最大派閥に相応しき人材であることは疑いようもない。

 

「あ〜んっ、フィン働かせ過ぎぃ!」

「うるさいティオナ!団長の指示よ、黙って従いなさいッ!!」

「うるせぇぞバカゾネスッ!!口より脚動かせッ!!!」

「「誰がバカゾネスだッ!!」」

 

 ………今ひとつ緊張感に欠けるという点を除けば、だが。

 

「貴方の所のアマゾネスちゃんズは相も変わらず愉快ね、【勇者(ブレイバー)】」

「色々頼りにさせて貰っているよ、彼女たちにはね」

「それはそうと【勇者(ブレイバー)】」

「なんだい?【紅の正花(スカーレット・ハーネル)】」

 

 

「どうしてロキファミリア(あなたたち)がここに居るの?」

「それはこちらの台詞かな、アストレアファミリア」

 

 

 前衛後衛(ぜんご)に二分される部隊の中央。

 油断なく戦場を見据えるフィンの下に現れたのは、アリーゼたちアストレアファミリアだった。

 

「ったく……遠征が丸被りじゃねーかよ。何やってんだ?ギルドの豚(ロイマン)はよ〜」

「ギルド職員の統制の乱れでしょうか?」

「確かに最近、あいつの二重アゴが三重アゴになりかけてたような……ストレスかな?」

「ただの肥満でしょう。さぞお高いお食事を日々堪能されているようで、なによりです」

 

 余程酷使されていたのだろうか。

 ロイマンへの愚痴は止まらなかった。

 

 女三人寄れば(かしま)しい、と言うが、構成員の11人が女性のアストレアファミリアは(かしま)しいというより、『騒音』そのものに近い。

 

「フィン、調子はどうだ?」

「やあユース。順調……とは言い難いかな」

 

 フィンは、銀の腕(アガートラム)を装備しているユースと挨拶を交わした。

 にこやかに、といきたいところだったが、状況はそれを許してくれない。

 

「………強化種が随分と多いな。異常事態(イレギュラー)か?」

「僕たちが来た時は既にこの状態だった。『バロール』のいないこのタイミングで、恐らく『闘技場(コロシアム)』のようなことが起こったんだろう」

「遠征被りといい異常事態(イレギュラー)といい………なんか俺たちの遠征、毎回こんなんばっかなんだけど。呪われてる?」

「今度いい霊媒師を紹介するよ」

「呪われている前提なのやめてくれ」

 

 『大荒野(モイトラ)』の特徴は言わずもがな、深層の迷宮の孤王(モンスターレックス)『バロール』が鎮座する階層でもあるが。その孤王が討伐された後、次産間隔(インターバル)中はある()()が働く。

 それは王という”質”の高いモンスターを失ったダンジョンが、まるでそれの穴埋めをするように、雑兵────フォモールの”数”を倍増させる。

 補完とも言うべき作用。生きる迷宮(ダンジョン)の苦肉の策、あるいは必死の抵抗のようなものだ。

 

 今回の異常事態(イレギュラー)はそのフォモールの海で共食いが発生し、『魔石』の味を覚えた強化種(フォモール)が大量発生した結果なのだろう。”数”にそれなりの”質”が加わったことになる。

 

 フィンはそう結論した。

 

「まぁいい。フィン、手伝うよ」

「助かる………けど、アリーゼ・ローヴェルの判断を待たなくていいのかい?」

「試すような真似は辞めろフィン。そんなの考えなくたって解る」

 

 ユースは背負う円盾(ラウンドシールド)銀の腕(アガートラム)の拳部分に装着した後、

 

「【認証接続(セット)】」

 

 短く唱える。

 変形は速やかに始まる。

 円盾の裏側と銀の腕(アガートラム)はお互いを引き寄せるようにガチッ、と固い音を立てて強く固定される。

 二、三度銀腕を振って確認した後、ユースはフィンを見て、思わず破顔してしまう。

 

「『頼まれなくても、助太刀するわ!』…………うちの団長は、太陽みたいな笑顔できっとそう言うに決まってる。それにな───」

 ユースか徐ろに抜くのは、美しい剣だった。

 透き通る緋色の刃に、樋は煌めく金。刀身の片面それぞれに神聖文字(ヒエログリフ)が刻まれ、塚と鍔は白き翼の如く交差している。

 

 銘は《 星屑の栄光剣(マルミアドワーズ)》。

 浄化された聖域の炎と正義神たる女神の血を、下界最高峰の鍛冶神が鍛え上げて造られた傑作。

 星々の(しるべ)に寄り添う、ユースだけの聖剣だ。

 

正義の派閥(おれたち)が助けなきゃ、一体誰がお前たちを助けられる?」 

「!!」

前衛壁役(ウォール)が足りないだろ、俺とアスタに任せろっ!久しぶりの前衛だ、気合い入れるぜ───!!」

 

 何処か眩しいものを見るフィンを置いて、地を割る勢いでユースは突貫した。

 魔物の海と化した最前線で、果敢に猛攻を防ぐ彼の姿は…………こんな後ろでも良く見える。

 

「眩しいものでしょう?」

「【大和竜胆】………」

「団長もリオンも、そしてあいつも………私達が十の欠点を並べる前に、たった一つの───しかも取るに足らない想いの為だけに動いてしまう。本当に浅慮で軽率で稚拙で………まだまだ青臭くて未熟ですこと」

 

 いつの間にか現れていた輝夜は、吐き捨てるように欠点ばかりを言い並べる。

 だというのに、彼女の表情は………どうしようもなく誇りに満ちていた。

 しかし次の瞬間にはその表情を消す。副団長としてやるべきが、彼女にはあったから。

 

「我々アストレアファミリアは、貴方の指揮下に入ります。どうぞ如何様にも私達を使ってみてください。小人族(パルゥム)の勇者様?」

 

 考えるべきことは沢山ある。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そしてロイマンの失態とも言うべき、遠征派閥の重複(ダブルブッキング)

 前者がロキファミリアに害をなそうとするのに対し、後者はまるでそれを助けるかのような極めて遥遠(ようえん)な意図を感じる。

 …………点と点が結べないこの感覚。『死の七日間』で味わった、神の壮大な思惑を予感させる。

 

 思考を止めるべきではない。

 けれども、今、フィンはどうしようもなく─────カッコつけたい気分だった

 

 幼かったあの頃のユースが、今ではあんなにも自分の意志を持って行動できるように成長したのだと。それは、まるで兄のような心持ちだった。

 

 だからこれは、意地だ。

 

 まだまだ尊敬される先達でいたいとする意地。

 弟分にいい所を魅せたい兄貴分の意地。

 それが、フィンを昂らせていた感情の正体だった。

 

「────君達の助力に、派閥(ファミリア)を代表して感謝を。

 遠慮なく!正義の剣を使わせてもらおうっ!」

 

 高らかに宣言する。

 

 元より敗北はない。

 行うは討滅。

 捧げるのは勝利。

 

 もはや敗北の憂き目など一つも無くなった。

 

 それを証明するかのように、今より2分30秒後。

 王族妖精(ハイエルフ)とその後釜の千の妖精(サウザンドエルフ)による第二階位広範囲殲滅魔法【レア・ラーヴァテイン】が、全ての『フォモール』を尽滅し、『大荒野(モイトラ)』の大広間(ルーム)を紅に染め上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦─────────♦♦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなった…………?

 

 

「ほら、お姉ちゃんの隣、座って……?」

 

 今は年下なのに姉貴面してくる金髪少女────アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

「ユースは我々の家族(ファミリア)だ。この場合私達と食を共にするのが普通で…………ぐ、偶然私の隣が空いている。だ、だから私の隣に座るべきだっ!!!」

 

 エルフ耳の先っぽまで赤く染めたリオンが、そう主張し。

 

「あらあらこれだから卑しいエルフ様は。肩が触れ合うだけで暴力を振るうあのエルフの隣ではなく、私の隣で休まれてはいかかがでしょうか?」

 

 息をするようにリオンを煽る輝夜は、案の定ポンコツエルフと衝突し。

 

「じゃあ私が貰っちゃおうかしら!!」

 

 ロキファミリアの二軍構成員とすぐに打ち解けてしまった距離感バグ女のアリーゼは、手をブンブン振っていて。

 

「あいよー、リオンに三万。おっと輝夜に七万!勝負師だなぁ〜。そして【剣姫】に…………ひゃ、百万!?誰が賭けた!?」

 

 ライラは俺が何処を選ぶかで賭けをしていた。『大荒野(モイトラ)』に首から下埋めて置いていってやる…………

 

「ははは…………ユース。良かったらこっち座るかい?」

 

 フィンさん全然良くないです。あなたの隣の怒蛇(ヨルムガンド)が鬼になって髪がうねうねしてめちゃくちゃ睨みつけてるんですけど!?手網を!!握って!!!

 

 

 改めて……どうしてこうなった??

 

 

「ったく、お主は人気者じゃのぉ」

 

 そ、その声は……!!

 

「ガレス!」

「また知らん間に背が伸びたか?そろそろ顔を見て話すのがキツくなってきたわ」

「なら座って話せばいいだろ?」

 

 俺はもちろん、ガレスの隣に座った。

 周りの非難轟々の声は無視無視無視!

 やはりガレス……!!最後に勝つのはガレスだ!!

 

 そうして俺はドワーフの圧倒的安心感に包まれながら、想起する。

 ちょっとした異常事態(イレギュラー)に遭いながらも、熾烈な一戦を共にした我々は、ここ深層の安全階層(セーフティポイント)、50階層でベースキャンプを作成し、大がかりな休息(レスト)を取ろうとしていた。

 

 元より関係性良好な派閥同士であるため、共に休息(レスト)を取らないという選択肢はないと言ってもいい。

 

 携行用の『魔石灯』が幾つもの光を揺らす中、天幕の設置や物資運搬用のカーゴの搬入、そして炊事の手伝いをこなした俺たちは、中央の大火を囲んでの食事を始めようとしていた。

 

 ちなみに俺は食事当番だ。

 肉果実(ミルーツ)香草(ハーブ)を炊いた煙で燻製し、ダンジョン内で採れる木の実と乾燥した果実を煮詰めたソースをその上にかけるというザルド直伝のレシピを披露した。中々会心の出来になったと思うが、果たしてちゃんと成功できているかどうか…………

 

「これは旨い!!酒が欲しくなるわい!」

「肉の脂がこんなにも上品に薫る……エルフも好む繊細な味わいだ」

「ダンジョン内でこれほどの料理が味わえるなんて思いもしなかったよ……うん、美味い」

 

 ロキファミリアの三首領には好評を頂いた。

 あのですから、ハイ……後でレシピ渡すので落ち着いてください【怒蛇(ヨルムガンド)】さん首締まってあかんしぬぅ……

 双子の明るくて空気抵抗の大きい方が助けてくれたお陰で一命を取り留めた。マジ助かったぜ。

 

「美味しいわ!例えるなら南国のでっかい虫くらいジューシーね!」

「アリーゼ、あんたの食レポは死ぬほど下手くそだから二度としないくれ」

 

 おいどうすんだよ。

 口いっぱいに頬張ったエルフ達の顔色がちょっと悪くなっちゃっただろうが。

 

「流石はユース。腕を上げましたね」

「何処かのエルフさんの料理(モノ)より何十倍も美味しいですねえ…………いや、0に何を掛けても0でしたか」

「…………表に出なさい、輝夜。今日という今日こそ許しません!」

「あらあら喧嘩っ早い妖精さんのお相手はしとうございませんねえ───だが、貴様の相手なら喜んでしてやろうっ!」

「おい、アタシを間に挟んで争うな!折角の飯が不味くなる!」

「というか食事の場で喧嘩すんなよ………」

 

 喧嘩するほど仲がいい。極東に伝わる言葉らしいが、それを言いかけて直前で飲み込む。

 火に油を注ぐような結果になるのは、目に見えていたからだ。

 

 そのまま醜い争いをし始めたリオンと輝夜の対処をライラに任せることにして、俺はとある人物のもとへ向かった。

 

 その人物はダンジョンの中でも滅多に食べられない豪勢なご馳走を前にしても、ブロック状の携行食を美味しくなさそうにかじっていた。

 過剰な食事は戦闘状態(コンディション)に支障をきたすと信じているのは相変わらずらしく、食欲を刺激する馥郁(ふくいく)たる香りに釣られつつも鋼の意思で己を律していた。

 

 意地っ張りだな、と思いつつ、暖かなスープを差し出す。

 

「せめてスープくらいは飲んだらどうだ?アイズ」

「ううん、大丈夫……」

 

 蒼色の軽装に包まれた線の細い体、肌はきめ細かいと同時に瑞々しく、繊細な顔立ちはどこまでも整っている。

 透いた輝きを宿す瞳は、髪の色と同じく金色だ。

 何処か神秘的な雰囲気さえ感じさせる目の前の少女はアイズ・ヴァレンシュタイン。都市に数少ないヒューマンの第一級冒険者にして、【剣姫】と冠される実力者にしてダンジョン中毒者でもある。

 

「本当に?ダンジョンでは何が起こるか分からないんだ、食べておいて損はないだろ」

「ほんとに平気……大丈夫、だもん」

「そっか。なら仕方ないな………このジャガ丸くんは、俺が食べるとしよう」

「!!じゃ、ジャガ丸くん!?なんで……!」

「それを語るには1000年前から話さねばなるまい」

「いいから話して」

「アッハイ」

 

 とは言っても、真実はひじょーに単純な話だ。

 運搬用のカーゴに魔法で冷凍保存されていたじゃが芋があったから、アリーゼの魔法(ほのお)で解凍し、有り合わせの調味料と具材でジャガ丸くんを再現しただけ。

 

 やっぱ大規模の遠征隊を率いるメリットは、食料を多く運搬できることだよなー。と羨んでいると、アイズは話そっちのけで、俺が手に持っているジャガ丸くんに意識が奪われっぱなしだった。

 

 なんかちょっと面白いな。

 

「右」

「……」

「左」

「…………」

「上ーと見せかけて下」

「っ!………………」

 

 もう携行食すら忘れて、瞳はジャガ丸くんに釘付けである。

 

「食べるだろ?」

「……………………………………うん」

 

 非常に長い葛藤の末、ちゃんとした食事を取ってくれた。

 ちなみにアイズ曰く、ジャガ丸くんは完全栄養食なのだという。いつどんな時に食べても美味しく感じるのは、いつどんな時でも不足してる栄養を補っているかららしい。

 

 ま、そんな話は置いておこう。

 

「これで満足か?リヴェリア」

「あぁ、感謝する」

「過保護な母親(ママ)で、アイズは幸せ者だろうな」

「………君に言われると少々複雑な気分になるな」

 

 アイズにせめて美味しい食事をとらせたい。

 心構えが母親すぎる王族妖精(ハイエルフ)のリヴェリアが、そう呟いた。

 

 俺だって王族妖精(ハイエルフ)のアンタと話すのは複雑な気分になる……なんてことは口には出さない。

 

 そういう言語化できないなにかが、俺とリヴェリアの間にはあった。

 

「……我々は今回の迷宮攻略(アタック)で、59階層を目指す。その後は60階層、そして───『千蒼(タリア)の氷園』だ。その時は誓約を履行してもらう」

「分かってる。俺は『鍵』を見つけるための『案内人』。使命は忘れてない」

「………食事の場ですまない。あともう少しと思うと、どうしても言い出さずには居られなかった」

 

 「失礼する」と最後に付け加え、アイズの隣に座り、口いっぱいにジャガ丸くんを頬張る彼女の口元を拭うリヴェリア。

 

 そして俺は強ばった気がする全身を伸ばし解した。いやぁ〜意味深な会話って疲れるよな!二度としたくねえ!

 

 

 やっぱ気楽なのが一番である。

 思い直した後、片付けをちゃっちゃと終わらせて自分の天幕(テント)ですぐに寝ることにした。

 

 明日からは本格的な未知の階層。51階層の攻略だ。万全の体調で臨みたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦────────♦♦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見張り当番を代わったりしながら十分な休息(レスト)を挟み、51階層攻略に取り掛かることになった。

 

「僕たちは冒険者依頼(クエスト)を先に済ませる。こことここの『カドモスの泉』に先鋭二組を送り込み、泉水回収後速やかにこの拠点(キャンプ)に帰還。59階層へ乗り込むのはその後だ」

 

 ロキファミリアは遠征前に受けた冒険者依頼(クエスト)を先に終わらせるらしい。【ディアンケヒトファミリア】からの依頼だそうだ。

 

「私たちは階層攻略よ!」

「ギルドへの献上品は『ブラックライノス』の大角が五本と厚皮が10枚、『デフォルミス・スパイダー』の大顎刃が20個に『カドモス』の龍鱗と皮膜…………いろいろと面倒ですねぇ」

「ま、その辺はのんびりやっていくしかねーな」

「食糧に余裕はあります。何度でも挑戦して、51階層の雰囲気になれる必要があるでしょう」

 

 最高到達階層の証明には、ギルドが指定したその階層のモンスターや採取物を一定個数集め、提示するというやり方が一般的だ。輝夜は皮肉を込めて献上品と言っている。

 未到達領域の図面作成(マッピング)でもいいらしいが、15年前までは頂点に君臨していた男神(ゼウス)及び女神(ヘラ)の二大派閥、そして今代の二大派閥であるロキファミリアが最早攻略を完了させてしまっている。『闘技場(コロッセオ)』の地下空間のような例外を除けば、多分未到達領域を探すのは時間の無駄だろう。

 

「それじゃあお互い頑張りましょう!」

「ああ、健闘を祈っている」

 

 攻略目的が違うロキファミリアとは一緒ではない。彼らには彼らの冒険があるからだ。

 「それじゃあ出発!」と宣言したアリーゼが先導し、それに着いていく。

 

 俺たちの51階層への挑戦が、始まった。

 

 

 







らいら「百万!?誰が賭けた!?」

一体どこの高貴なるお方なんだ……!?



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