ちなみに正史通り、アルフィアとザルドは『悪』となってオラリオに立ちはだかりました。
以下、その時の二人のスペックです。
魔石超貯蓄一時的超毒無効状態覇者ザルド(Lv8)
病なし
やったねヴァレッタ!これでオラリオを破滅させられるね!(出来なかった)
この世にはどうしようもないことがある。
それは理不尽な災害とか、原因不明の病とか。
運命が強いてくる過酷に対して、人はあまりにも無力で、ちっぽけな存在だということを痛感させられる。
アルフィア
つまるところ、人の形をした理不尽がやってくるということと同義!逆らえば死よりも恐ろしい過酷が待ち受けている……!!
しかも、しかも、だッ!
どうやらベルは、俺を見て、『ハーレム最高!冒険者なるぜ!(意訳)』と言って村を出たらしいのだ。どこをどう見たらそうなるッ!?!?
その事についての長文のお気持ち
…………次会ったら、俺は殺されんじゃね?と。
「悪りぃ、俺、死んだわ」
達観とはこういう境地を言うのだろう。
俺は儚い笑みを零し、呟いた。
しかし、周りはもっと酷い。
「竜の谷……一騎討ち……しかも連戦……ウッ、頭が………!!」
「終わった………嗚呼神よ、愚かな私を赦して欲しい…………」
「限界を越えろ!限界の限界も越えろ!越えて越えて超え続けろ!あは、アハハハハハハハ!!」
「嫁の作法とか教えてくれなくて大丈夫ですいやほんと結構なんで帰ってくださいお願いしますッ!!!」
…………なんか一周回って冷静になってきたわ。
「すみませんアストレア様。騒がせてしまって」
「いいのよ。あの
「やべぇアストレア様も壊れた!!」
「みんな、一回落ち着け!冷静になろう!!ぜ!!」
大声を出す。
言ってる自分がまるで冷静ではないテンションだが、もうこうなったらヤケクソだろ!?
そうして集まった視線を一つずつ確認していく。
アストレア様……は、うん。可愛いからヨシッ!
アリーゼは必死に頭痛を堪えていて、リオンはなんかもう悟っていた。正義?みんな死なないことだよね、みたいな感じ。
輝夜は「限界の いみ とは!?」と叫ぶし、あのライラでさえ低頭平身で懇願していた。あとごめん、嫁の作法ってなに??
それ以外のメンバーも同じ様子。心をまるでお菓子か何かのようにポキポキ折られていて、みんな震えていた。
俺だって蹲って布団被って現実逃避したい。けどそんな思いをがんばって我慢して、みんなに伝えた。かなり希望的観測ってやつを。
「いいかみんな!この手紙に書いてある通りなら、まだ……まだ!!
『!!』
その言葉に、みんなの瞳に理性が灯る。
よしいいぞ!まずは第一段階クリア!!
俺はその勢いのまま、言葉を続ける。
「だからいまこの瞬間、
俺のセリフを妨げて、入ってきたのは、漆黒のドレスを纏う灰髪の魔女だった。
他人の家?不法侵入?知らんが?
私が
足音も、揺れる髪も、擦れる布の音さえも発生しないのは何故だろう。
『彼女こそ、静寂だから』
そんな理由でもきっと納得してしまうだろう説得力があった。
静寂のアルフィア。
かつてその名で恐れられていた元冒険者にして、俺の
「え、いや、だって、手紙には、暫くしたら来るって……書いてあったじゃんかぁ…………」
もう何が何だか分からない。
ドッキリかなんか?俺を陥れようとしてる策略??だとしたら完璧である。
俺は完全に放心していた。もう泣きそうだった。
だからその一撃を避けることが出来なかった。
「ぶべっ!?」
「座れ、久々に私が料理を振舞ってやる」
「っぁあ、ありがと…………でもなんで
「一年間顔を見せなかった愚か者への罰だ」
「ぐふぅっ!?ナンデもう一発!?」
「お前の間抜けな声がただ癪に障った。それだけだが?」
「やっぱ理不尽だなァ!?」
視界内にしか放てないこと、魔力の『起こり』によるタイムラグが発生すること、威力はやはり少し下がってしまうこと。そんな制約があるものの、それ以外に制限はないに等しい。
そんな世の中の魔導師がこぞって欲しくなりそうな超絶技巧を、躾の一環として二発も食らったのが俺ってワケ。代わりたい人いるぅ??
ちなみにこれはスキルの効果でもなんでもなく、ただただ魔力操作技術を極めた過程で習得できるらしい。
もうアンタが黒竜倒しに行けよ…………
俺がしみじみと思っていると、
ていうか、
「あ、あのぅ……俺、もうご飯食べちゃったんですけど…………」
「食うか、
「あッ、あーー!!急に腹減ったなァー!!え?
「それはそれで喧しいな…………少し待ってろ」
「もちろん!!」
「
「ギャフン!?」
今度は普通に詠唱した福音を食らった。クソ痛え…………。
リビングテーブルで突っ伏している俺が料理の完成を待っている間、どうやらアリーゼたちは今見てる現実が夢では無いことに、漸く気付いたようだった。
おはよう、
ところでお腹減ってる?あ、減ってない?そう…………(絶望)
そんなアリーゼたちは、キッチンに立つアルフィア相手に話しかけるところだった。
「久しぶりね、アルフィア。いえ、この場合はお義母様と呼ぶべきかしら?」
「お前達にそう呼ばれる筋合いはない。ダンジョン探索に明け暮れて、とうとう頭までおかしくなったか?」
「ふ、ふふふっ、いい加減子離れしたらどうでしょう?ユースも貴女を煙たがっていますし……ねぇ?」
「戯言を抜かすな、小娘……いや、もう娘という歳ではなかったな。なるほど……お前も必死というわけか。その様子だと、ろくに進展もないと見える」
「こんックソ婆がァッ……!!」
「か、輝夜落ち着いてくださいッ……!!
「アルフィアの次はお前を殺してやるぞリオンッ……!!」
年齢を弄られた輝夜が暴走する。そしてそれを後ろから羽交い締めにして止めるリオン。ただただ恐ろしいアルフィア。
間違いない。
…………話してる最中に抜け出すか?いや気付かれないわけないな。うん。やめよう。
気付かれたらまず間違いなく
いかんいかん、なんとかアルフィアを宥めないと。だけど今は
そんな悩みを見透かしたように、アストレア様は微笑みながら提案する。その瞳は、いつもの彼女だった。
「みんな、少し外に用があるの。手伝ってくれる?」
「え、えぇ、で、ですがユースは」
「ユースはアルフィアとお留守番。いいかしら?」
いや良くないですけど???
でも頷くしか無かった。アストレア様が可愛いから…………ッ!!(血涙)
そうして
「…………」
「…………」
コトコト。
ザクザク。
静寂の帳を破り、残響するのはそんな音。
食材は刻まれて、鍋でクツクツ煮込む。ほんのりと香る匂いがキッチンを越えて漂う。
「…………」
「…………」
沈黙は珍しくない。
特に我が家のルールは彼女だ。
騒がしくしたのなら
気を散らす行動なら
どこの家庭にもあるような日常が、俺達の場合はそれだったということ。
だから、沈黙は珍しくない。
けれども、退屈とは思わなかった。
「できたぞ」
やがて目の前に運ばれたのは、鶏肉の
栄養バランスも考えられているのか、じゃがいもや人参もゴロゴロと入っていた。────そういえば人参、昔は苦手だったなぁ…………ふとそんなことを思い出して、スプーンを手に取った。
「じゃ、いただきまーす」
シチューは熱々なのが美味い。
息を吹きかけるのをそこそこに、俺はかぶりついた。
溢れてくるのは鶏の肉汁、そして山羊のミルクの甘み。二つが溶け合って調和する温かみだった。
「くぅ……美味い!」
「……当然だ」
対面の椅子に座った
夢中でシチューを掻き込んだ。
さっきまでの満腹感が嘘みたいになくなり、いくらでも食えそうに思えた。
俺はなんとおかわりを二回もして、食事を終えた。
「いやあ、食ったわ。ご馳走様」
「…………」
返事は無い。
まあ、それも当然。普段から口数少ないし、無駄な会話は極力省きたい徹底した静寂主義。それがアルフィアという女性だ。
でも珍しいこともある。
「…………あの
「ふぅーん。神ヘラか、あったことないな……どんな神なんだ?」
「残忍、冷酷、暴虐、無慈悲。目的のためには手段を選ばず、自己顕示欲と支配欲の権化だ」
「邪神の類いか?」
「というより、『邪悪』そのものだ」
「神ですらねーじゃん」
なるほどだからヘルメスとか、そこら辺の男神らは怖がって、『
納得納得〜。と一人頷く。
すると
「…………ヘラの高周波で、田舎は煩くてかなわん。だから…………暫くはオラリオにいる。それだけだ」
「……そっか」
「ふん……………まぁ元より、一年も顔を見せてこなかった愚息に、歓迎されていると思ってはない。私は私で勝手に暮らしている」
「いやアレは違くて!?」
「黙れ。私は何も間違ってない」
「せめて弁解の機会くらい設けてくれませんかねえ!?」
そういって頑なに瞼を閉じてしまった
そこから「お願い!」「駄目だ」「お願いぃ!」「駄目だ」というやり取りを繰り返し…………
再び、
「ならば探してみろ。私の機嫌を直せる、そんな魔法のような言葉を、な」
分かった。俺はそう頷く。
「直らなかったら、【ジェノス・アンジェラス】の罰だ」
「いやそっちの匙加減やんけ!!」
「五月蝿い黙れ」
「ブギャッ!?」
無言で
ここが俺の生き死にの分水嶺っっ、脳みそジェットコースター、フル回転ッッ!!!
そして俺が捻り出した言葉は…………───────
「ただいま、
「………………最初から言え、ユース。おかえり」
平均6000〜7000文字を心がけているけど、4500文字くらいがちょうどよく書ける…………