感想欄が予想通りの反応すぎて草
今回はお待ちかねの親子バレに対する結束バンド、大人組、ぽやみさんのリアクション回です
今回の話は、結構長くなって、途中でダレる可能性が高かったんで、二分割にしました。
この話の翌日に14話投稿します。
それではどうぞ
スターリーの店内は、もはや収拾がつかない大混乱に陥っていた。
【NEW GLORY】NaokIの登場と、ひとりの「あっお父さん……」の一言で、全員の脳が一斉にショート。
そのあと一人残らず、大絶叫。
虹夏は突然の衝撃事実に、情緒がおかしくなっていた。
「うわっうわっうわ…うわああああああああああああ!!!NaokI!?いや NaokIさん!!? 本物!? 本当に【NEW GLORY】のNaokIさん!!!?え!?えっえっえっ!!?えええええ!!!?【NEW GLORY】のNaokIさんが!? ここに!?スターリーに!!?そしてギターヒーローの……お父さん!? ぼっちちゃんの……お父さん!?つまり親子!!!!??うわああああああ!!!どっちも好き!どっちも大好き!NaokIさんのギター!ギターヒーローのギター!同じ血!?遺伝子!?うわああああああ!!!脳が!脳がバグる!!!おかしくなる!!NaokIさん! ギターヒーロー!ぼっちちゃん!お父さん!【結束バンド】!!!【NEW GLORY】!!!!うわああああああああ!!!わああああああああああああああああああ!!!!!!!」
虹夏は、両手をバタバタさせながら、ぴょんぴょんと可愛く飛び跳ね、アホ毛が扇風機くらいグルグル回り、叫び続け、言葉がぐちゃぐちゃになっていく。
興奮と混乱で、完全に文法崩壊。
「好き!好き!すごい!すごいすごいすごいすごいすごい!!!!!! お父さん!ギター!遺伝!うわあああ!!!」と、叫びながら飛び跳ね、カウンターに頭をぶつけそうになる。
喜多は、目を丸くして、直樹とひとりを交互に見つめていた。
興奮で顔が真っ赤になり、両手を頰に当てて、
「え……えええええ!?ひとりちゃんのお父さんが……【NEW GLORY】のNaokIさん!!?だから……ひとりちゃんの家…あんなに大金持ちで…!!【NEW GLORY】のCDやBlu-rayがいっぱいあったんだ……!そりゃあバンドメンバーでタダでもらえるから…【結束バンド】全員に配布してもノーダメージよね……!……うわああああ!!!ひとりちゃんすごい!私、こんなすごい人のバンド仲間だったんだ!」
「あっえっ!喜多ちゃん!?」
喜多も興奮で涙目になりながら、ひとりに抱きついた。
リョウは、さっきまでの毅然とした態度はどこへやら。
取り乱して、狼狽えが表に出てしまっている。
いつもはクールに一言二言しか言わないリョウが、珍しく声を震わせて、
「【NEW GLORY】…NaokI…本物?…そしてぼっちが…NaokIの娘?…規格外すぎる…」
リョウは、興奮で言葉が途切れ途切れになり、ひとりに近づこうとして、テーブルにつまずいて転びそうになる。
普段のクールさが完全に崩壊して、珍しく狼狽えまくってる姿に、ひとりは一瞬ポカンとした。
ファン1号とファン2号は、スマホを握りしめたまま、呆然と立ち尽くしていた。
1号は、目を丸くしてNaokIを見つめ、震える声で呟いた。
2号も、スマホを落としそうになりながら、興奮で声を上ずらせた。
「…NaokIさん……?【NEW GLORY】の…NaokIさん…?本物…!?」
「うそ…うそでしょ…さすがにバンド名と顔は知ってたけど…まさか…ひとりちゃんのお父さんが…NaokIさん!?うわああああ!!!ひとりちゃんすごすぎる…!【NEW GLORY】のNaokIさんがここに…!」
二人は互いに顔を見合わせて、興奮で飛び跳ね始めた。
その時、2号がふと何かを思い出したように、手を叩いた。
「あっ!あの時の路上ライブ!!ひとりちゃんの横で演奏してた鬼のお面の人!!!あの人NaokIさんだったの!?」
ファン1号も、ぱちんと手を叩いて思い出した。
「そういえばそうだ!鬼のお面かぶってたお兄さん…ギターめっちゃ上手くて、ひとりちゃんの音に合わせて、完璧にハモってた!あれNaokIさんだったんだ!!」
その言葉に、【結束バンド】全員が一斉に振り返った。
虹夏は、ひとりに詰め寄って、興奮で声を上ずらせた。
「えっ!!?ぼっちちゃん…NaokIさんと路上で演奏したの!?さっき2号さんが鬼のお面のあの人って…!?えっ…えええええ!? いつ!? どうして!?」
「あっその…お姉さん…きくりさんが、路上ライブしてチケット売ろうと提案した時……お父さんが、たまたまやってきて…そのままお父さんもリズムギターとして、参加してくれて………」
「だからあの時、ロインで『チケット売れた』ってメッセ来てたのね!それよりNaokIさんが…ひとりちゃんの路上ライブに!!?うわあああ!!!すごいすごい!」
喜多も、目を輝かせて納得した。
そしてリョウは、珍しく声を震わせてひとりに質問した。
「え? 待ってぼっち…じゃあNaokIが…【結束バンド】の曲弾いたってこと……?」
「「!!!!??」」
「あっはい…そうです」
リョウの質問にあっさり肯定するひとり。
虹夏と喜多は、またも驚愕して絶叫。
「えっ…えええええええ!!!私たちの曲をNaokIさんが!!?うわああああ!!!見たかった!!!私もあの時ぼっちちゃんのチケット売り手伝えばよかった!!!」
「私も!!!NaokIさんが私のバッキング・パートを…【結束バンド】の曲を!ひとりちゃんすごすぎる!」
(NaokIが…私の作ったフレーズを弾いてくれたんだ…!ヤバい…これ本当にヤバい……)
リョウも自分の作った曲を、自分の大好きな【NEW GLORY】のギタリストに弾いてもらえて感極まる。
すると、喜多は少し落ち着きを取り戻して、ファン1号2号にある質問をする。
「ねぇ…1号さん2号さん。そういえば、その路上ライブの演奏って動画とかないのかしら?祭りの時に弾いたなら、一人くらいSNSにあげてても、おかしくなさそうだけど…」
喜多の質問に、ファン1号と2号は即座に否定する。
「それはないと思う…!あの時近くにいた人たちは、完全に魅入ってたし。周りの祭りの客も全員、生の演奏に釘付けだったし」
「正直、スマホ開く時間も惜しかったよ。最初は私たちも、動画撮ろうとしたけど…途中から演奏に夢中で手が止まっちゃって。結局何も撮らなかったし、…それにあのあとSNSで路上ライブの動画エゴサしたけど、どこにも動画なかったよ」
そこまで話して、ファン1号と2号は、互いに顔を見合わせて、改めて実感した。
「…考えてみたら私たち…あの時、本当にすごい現場に遭遇してたんだね…」
「うん…あの余韻、今でも覚えてる…!ひとりちゃんのギターに、NaokIさんのギター、二人の音が重なって…ベースのお姉さんの音もすごくて…祭りの客全員、息を飲んで、あれ夢みたいだった…!今思うと…NaokIさんと…ひとりちゃんの夢のコラボだったんだ…!」
虹夏と喜多は、ファン2号の言葉に胸を押さえた。
「夢のコラボすぎるよ…!!NaokIさんとぼっちちゃん…ギターヒーローと…廣井さんが、私たちの曲を…生で弾いてくれた…!…うわあああ!!! 悔しい!!!私も見たかった!!!」
「【NEW GLORY】と【SICK HACK】が…私たちの曲を…私も、生で聴きたかった…!」
リョウは、地面に両手両膝をついて、珍しく悔しそうな顔をした。
「なんで私はその場にいなかったんだ…!!【NEW GLORY】のNaokIと【SICK HACK】の廣井さんが…!【結束バンド】の曲を生で演奏してたのに…!!こんな夢のコラボ、対バンでも絶対実現しないってのに…!!」
一方。
PAさんは、機材の後ろで固まっていた。
PAさんは、比較的落ち着いていた。
別段【NEW GLORY】の大ファンというわけではなく、音楽業界の人間として「【NEW GLORY】のNaokI=世界トップレベルの、ロックバンドのギタリスト」というネームバリューは知っている程度。
だから驚きはするが、虹夏たちのような「絶叫レベル」まではいかない。
それでも、目の前に本人が立っている事実に、目を見開いて震えていた。
(本当に【NEW GLORY】のNaokIさん…?世界トップのギタリストが…スターリーに?…世の中、何が起こるか分からないものですね…)
PAさんは、機材の後ろからそっと顔を出して、直樹を凝視。
そしてスマホを取り出し、【NEW GLORY】の公式ウェブサイトを開き、最新のアー写と見比べる。
内心で(この人、やっぱり本人だ…後藤さんのお父さん、規格外すぎる)と思いながら、星歌に近づき小声で話しかけた。
「店長。確か昔、【NEW GLORY】の大ファンでしたよね?NaokIさん、本物ですよ?………?店長?」
星歌の様子がいつもと違う。
星歌は目がぐるぐる回り始め、アホ毛が業務用のサーキュレーター以上にグルグル回り、顔が真っ赤になり、口が半開きになって、息が荒くなる。
「…NaokI…さん…?本物?ここに…?私のライブハウスに…NaokIさんが?」
星歌の脳が、バグった。
星歌にとって【NEW GLORY】は、ただの好きなバンドじゃなかった。
自分がバンドを始めたいと思ったきっかけ。
中学〜大学の頃の、青春を鮮やかに彩ってくれた、かけがえのない存在。
そして当然、メンバーで一番好きなのはNaokI。
NaokIのギターに憧れて、ギターを握った。
NaokIのプレイスタイルを真似して、夜通し練習した。
NaokIの演奏を何度もリピートして、心を震わせた。
そんなNaokIが、今、目の前に立っている。
しかも──
世界一可愛らしくて愛でたい対象のぼっちちゃんが……NaokIの娘。
星歌の頭の中で、妄想が爆発した。
(もしNaokIさんと結婚したらぼっちちゃんが娘になってもしぼっちちゃんと結婚したらNaokIさんがお義父さんになるどっちも最高NaokIさんは私の夫でありお義父様であり私はぼっちちゃんのママであり伴侶だったのか!!!!!!!!!)
星歌は、脳内で息継ぎなしで、キチガイみてェなことを抜かしてやがった。
そして星歌は、突然立ち上がって両手を広げて叫んだ。
「NaokIさんは私の夫であり、お義父様であり…!私はぼっちちゃんのママであり、伴侶だったのか…!」
「何言ってるんですか店長!?」
「僕の妻は美智代だけだよ」
PAさんは、隣で固まっていたが、星歌の言葉を聞いて、ガチで驚愕した。
そして直樹もボソッとツッコミを入れる。
星歌は、夢見心地でぼんやりした様子。
周りの絶叫も聞こえていない様子で、独り言のように、しかしどんどん声が大きくなっていく。
そして、ごち○さのシャ○ちゃん*1みたいなかわいい声を出して、妄想を垂れ流した。
「NaokIさん…私の夫。毎朝起きたら隣で寝てるNaokIさんが『おはよう、星歌。今日も可愛いな』って優しい声で一緒に朝ごはん食べて…『今日もスターリー頑張れよ』って頭ポンポンしてくれて…それから毎日ギターのセッション…!NaokIさんのSchecterと私のギターでジャムって…NaokIさんが『星歌のコード進行、好きだよ』って褒めてくれて…私は照れながら『NaokIさんのリフに合わせてるだけですよー』って…えへへwwww」
「店長、何言ってるんですか!?」
PAさんは隣で固まっていたが、星歌の言葉を聞いてガチで青ざめた。
星歌は止まらない、さらに妄想が加速。
「出かける時は玄関で『行ってきます』のチュー!NaokIさんが私のほっぺにチュッて…『早く帰ってこいよ』って照れながら言ってくれて…私は『はーいNaokIさんも曲作りがんばってー!』って…帰ってきたらラブソング作って待っててくれて『星歌に捧げる曲だ』って弾いてくれて…!…私は感動して泣いちゃって…NaokIさんに抱きしめられて『泣くなよ……お前がいるから弾けるんだ』って…うわああああああ!!!」
「店長、現実に戻ってください!!!NaokIさんがそんなこと言うわけないでしょ!!!妄想が暴走しすぎです!!!」
PAさんは、両手で頭を抱えた。
星歌は完全に夢見心地で、さらに垂れ流し続けた。
「そしてぼっちちゃん!!!世界一可愛くて愛おしいぼっちちゃんを、毎日ギューって抱きしめて…ぼっちちゃんは私に『ママ大好きー!』って甘えてきて!私は『ぼっちちゃん可愛いー!』ってギューってして!一緒にぬいぐるみ集めて一緒に遊んで一緒に風呂に入って…夜はNaokIさんとぼっちちゃんと三人で一緒に寝て…NaokIさんがぼっちちゃんの頭撫でながら私に『お前も一緒に寝ろよ』って…私はNaokIさんの胸に…ぼっちちゃんを真ん中に挟んで…世界一憧れて大好きなNaokIさんと世界一可愛いぼっちちゃんに囲まれて…幸せすぎて…毎日泣いちゃう!NaokIさんは私の夫であり、お義父様で……私はぼっちちゃんのママであり、伴侶だったのか…!うわああああああ!!! 最高すぎる!!!」
「何言ってるんですか!!!?店長!!! 完全に頭おかしくなってますよ!!!NaokIさんが夫で、お義父様とか…後藤さんのママで伴侶って…!!!そんな関係成り立たないでしょ!!!妄想が気持ち悪すぎますって!!!現実に戻ってください!!!」
PAさんは、ついに本気で絶叫した。
星歌は、PAさんのツッコミにも気づかず、
「えへへ…NaokIさんとぼっちちゃん…私の家族……」
「誰か助けて。手に負えない…」
(……なんか、スターリーって賑やかな所だな)
店内は、星歌のとち狂った妄想垂れ流しで さらにカオスに。
PAさんはただただ頭を抱え、絶望の表情で呟いた。
そして直樹は、この状況についていけずに呆然と眺めていた。
そんな中──────
一番興奮して、一番歓喜していたのは…
ぽいずん♡やみだった。
やみは、いまだに尻餅をついたまま、両手で顔を覆い、肩を震わせて大号泣していた。
涙が止まらない。
嗚咽が漏れる。
だが、口元はにやにやと緩み、目がハートマークのように輝いている。
(NaokI…NaokIさん!本物…!!私の…世界一好きなバンド…!【NEW GLORY】で一番好きな人…!世界一好きなギタリストで…世界一の曲を作ってくれて…そして、あのギターヒーローさんをこの世に誕生させてくれた…!!!!神!!!!うわあああああああああ!!!神!!!神!!! NaokI神!!!!!!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡)
やみは、床に座ったまま、両手を天に掲げた。
(本当によくやったぞ、私!!!あのクソ記事のためにスターリーに来たこと…あの時、ダイブ失敗動画を見て「これネタになる!」って思ったこと…全部全部正解だった!!!!!私が国のトップなら国民栄誉賞を1000回はあげる!!!いや10000回!!!私天才すぎる!ぽいずん♡やみ最高!!!NaokIさんに会えた!ギターヒーローさんの正体も発見した!!うわあああああああああ!!!今日ほど生きててよかったと思う日はない!!!)
やみは、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、脳内で過去の自分を存分に讃え始めた。
そんなやみを、直樹は心配そうに見下ろしていた。
直樹は、尻餅をついたやみに手を差し伸べた。
「君、大丈夫?いきなりぶつかってごめんよ」
直樹は、やみの目をしっかりと見て、優しく言った。
まるで、娘のひとりやふたりを相手にするような、穏やかで安心感のある声色で。
「怪我はない?ほら…立てる?」
直樹は、そのまま手を繋ぎ、ゆっくりとやみを立ち上がらせた。
神対応すぎる。
やみの涙が、さらに溢れた。
(NaokIさん…神対応すぎる!!!うぇぇぇぇん!!世界一の推しに…!!神のような存在のNaokIさんに…!!手を差し伸べられて、手を繋いで、立ち上がらせてもらった!!!最高すぎる!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡)
やみの脳内は、もう完全に♡で埋め尽くされていた。
元々高かった好感度は更に上昇して、もはやで成層圏を軽く超えて宇宙の果てまで上がった。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、NaokIの手を握り返す。
(NaokIさん好き♡好き好き好き好き好き大好き♡♡♡♡大大大大大好き♡♡♡♡♡愛してる♡♡♡♡♡♡♡)
直樹は、やみの異様な反応に少し困惑しながらも、優しく言った。
「え?本当に大丈夫?どっか怪我してない?」
やみは、涙を拭きながら、震える声で答えた。
「…NaokIさん…ありがとうございます……私、ぽいずん♡やみって言います…ずっとずっと大好きで…【NEW GLORY】のNaokIさんは、人生の光です…うぇぇぇぇん…!!」
「あっ【
店内は、やみの大号泣と【結束バンド】のメンバーたち、星歌の興奮でさらにカオスに。
◆
スターリーの店内は、ようやく少し落ち着きを取り戻し始めていた。
NaokIの登場、NaokIとひとりの親子バレの衝撃から数分が経ち、みんなの絶叫も徐々に収まり、代わりに興奮の余韻と戸惑いが混じったざわめきが残っている。
虹夏はまだ息を荒げて「NaokIさん…やっぱり本物だ…」と呟き。
喜多は涙を拭きながら「ひとりちゃんのお父さん…すごすぎる」と繰り返し。
リョウは壁に寄りかかって「規格外…」とぼそぼそ。
ファン1号2号はスマホを握りしめて固まっている。
星歌は相変わらず「NaokIさんは私のお義父様…そして私はぼっちちゃんのママ…」と呟く。
PAさんが「店長、もういい加減に…」と諦め顔で頭を抱えている。
そんな中───
ぽいずん♡やみは、ドアの近くでまだ涙を拭きながら、興奮冷めやらぬ様子で顔を上げた。
やみは、深呼吸を何度も繰り返し、ようやく言葉を絞り出すようにして、店内に響く声で言った。
「ギターヒーローさんの腕前や機材関係、設備…ようやく全部わかった。あのSchecterのトーン、Bogner Ecstasy2台並列の分厚いハイゲイン、Free The Toneのエフェクト。全部一級品でプロ仕様…いやプロを超えてる…そして、NaokIさんを彷彿とさせるギターテクニック…!!そりゃ【NEW GLORY】のNaokIさんの子供なら神レベルで演奏も似るし、上手いでしょうよ…!!努力もめちゃくちゃしてたんだろうけど…遺伝子が…遺伝子が最強すぎる!!!…うわああああ!!!【NEW GLORY】のNaokIさんの娘がギターヒーローさんとか!!ガチでヤバい!!!ヤバすぎる!!!!こんな、世界のロック界の歴史に刻まれる出来事、絶対見逃せない!!!!!!」
やみは、興奮で震えながらスマホを取り出し、メモアプリを開いて、指を高速で動かし始めた。
「タイトル…『衝撃スクープ!登録者150万人の人気オーチューバーである天才ギタリスト【ギターヒーロー】【NEW GLORY】ギタリストのNaokIと親子だった!!』……内容……最強遺伝子…努力の賜物…神の血…うへへへへぇ♡♡…最高の記事になる!!これは世界トレンドすらも簡単に取れる!!!」
「ちょっといいかな?」
その時──直樹が、静かに前に出た。
やみは直樹の顔を見上げて、また涙が溢れた。
直樹は小さい子を諭すような、穏やかで優しい声で言った。
「あっ♡♡♡NaokIさん♡♡♡♡なんですか?♡♡」
「やみちゃんだっけ?記事にするのは、ちょっとやめてほしいな」
やみは、一瞬固まった。
でも、すぐに目を潤ませて、ぶりっ子モードで首を振った。
「え〜NaokIさん♡♡♡♡♡でも、こんな音楽界どころか世界中を揺るがす大大大大大スクープ、見逃すわけにはいかないんですよぉ〜♡♡♡【NEW GLORY】とギターヒーローのファンとして、そして音楽ライターとして絶対に!♡♡♡」
(まいったな、これ本気の目だ。………仕方ない。この子【
直樹は、少し困った顔をした。
そして、ちょっと手荒だけど仕方ないと思い、静かに、しかしはっきりと言った。
「あの〜♡♡NaokIさん♡♡♡♡ついでに【NEW GLORY】の単独取材とかしたいんですけどいいですかぁ~♡♡♡♡♡あと、ギターヒーローさんとのスペシャルコラボで、親子対談インタビューも………
「もし記事にしたら訴訟起こす。それと【NEW GLORY】のライブも永久出禁にする」
店内が、一瞬で静まり返った。
やみの顔が、みるみるうちに青ざめていく。
瞳が震え、唇が震え、スマホを持った手がガクガク震えた。
「……え?」
次の瞬間──
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
やみの絶叫が、スターリー全体に響き渡った。
しかも、NaokIが現れた時や、ギターヒーローとの親子バレした時より叫んだ。
それは、今まで生きてきた人生で、最も絶望した、最も大きな絶叫だった。
【NEW GLORY】が生きる糧である ぽいずん♡やみにとって、ライブの永久出禁は死刑宣告そのものだった。
「……………うっ…うぅ…うぇぇぇぇぇん!!訴訟……?永久出禁……?私の人生……終わった…NaokIさんに嫌われた…神に嫌われた…うわああああああ!!!!!!訴訟も怖い…でもそれ以上に…【NEW GLORY】のライブ…永久出禁?私の…唯一の楽しみが…NaokIさんのギターが…生で聴けなくなる?あの脳に直撃するメロディが…あのステージ上のカリスマが…もう二度と…見られない……?NaokIさんに嫌われる…世界一の推しに嫌われて…私生きていけない…!NaokIさんは…私の光なのに…【NEW GLORY】が…私の人生のすべてなのに…永久出禁なんて…自殺モンの所業…!ごめんなさい!!!記事は絶対書きません!!!このことは墓場まで持って行きます!!!誓います!!NaokIさん許してください!!NaokIさん嫌わないで!!私…NaokIさんのファンで…一生ファンで……永久出禁なんて…耐えられない…!うぇぇぇぇん…!!!うぅ……うわああああああああああああん!!!!!」
やみは、床に膝をつき、両手で顔を覆って大号泣した。
◆
数分後──
しばらく号泣していたが、ようやく落ち着いたやみ。
やみは、震える手で名刺を一枚取り出し、直樹に差し出した。
「こ…これ…私の名刺です。もう二度と邪魔しません…!誰にも言いふらじたりしません…全部、ここだけの話にします…!【NEW GLORY】のこと…NaokIさんのこと…世界一大好きです…!NaokIさんの事、死ぬほど愛してます…一生NaokIさんのファンでいます…うぇぇぇぇん!!」
直樹は、名刺を受け取って財布にしまった後、優しくやみの頭を撫で、いつも家族に接するような穏やかな声で話した。
「ありがとう。それと…こっちも酷いこと言ってごめんね。でも約束は守ってね」
「うぅ…!…はい…絶対守りますぅぅ!」
「じゃあまたね。ライブ当たったら、いつでも遊びにおいで」
「ううぅ…はいぃ!ありがとうございます…!!チケット当たったら絶対行きます…♡♡♡」
やみは涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、立ち上がった。
そして、NaokIに何度も頭を下げた後、逃げるようにスターリーを出ていった。
ドアが閉まる音が、静かに響いた。
残されたメンバーたちは、呆然と立ち尽くした。
若干キャラ崩壊あり「ちっすwww」
はい、ついに注意書きのキャラ崩壊が本領発揮しました。
…若干?若干とは…?
ちょっと星歌に関しては、やりすぎた感が否めないけど、原作でぼっちちゃん盗撮してたしまぁいいか…
あとぽやみさんには退場してもらいましたけど、ちゃんと直樹がアフターケアしてくれました。
後日、冷静になったあと頭を撫でられた事を思い出して、キュンキュンしてます。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!