娘のバンドと対バンしたい   作:肉野郎

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 虹夏、喜多、リョウの3人は、ステージ脇の関係者エリアに立ち、息を潜めて【NEW GLORY】のリハーサルを見守っていた。

 

 サウンドチェックの準備が終わり、NaokIが軽く手を挙げて合図すると、リハが始まった。

 

 通しで2〜3曲。

 

 ライブ本番の2割程度のボリュームで、メンバーたちは「軽く」演奏しているつもりだった。

 

 

 

 でも───その「軽く」が、すでに別次元だった。

 

 

 

 Lavielのハイトーンが、最初の一音でドーム全体を貫いた。

 

 オートチューンの補正は最小限で、生の声の透明感と伸びがそのまま響き渡る。

 

 

 Kyoyaのドラムが、重厚に、しかし精密にリズムを刻む。

 

 バスドラムのキックは、0.01秒の誤差もなく先頭を切り、タムのフィルインは感情を乗せながらも機械のように正確。

 

 

 RoÉのベースが、低域をタイトに支え、スラップのポップ音が鋭く切り込む。

 

 

 そして──NaokIのギターが、イントロを奏で始めた瞬間。

 

 Schecterのハイゲインが炸裂し、ピッキングの精度、ビブラートの深み、弦の鳴らし方……すべてが完璧。

 

 感情を乗せたソロは、まるで心臓に直接響くように、メンバーたちの胸を震わせた。

 

 

 (…うわ……なっ何これ……!?ただのリハなのに、あたしたちの全力どころか…日本トップクラスのバンドのライブより…頭一つ抜けて上手い…!Kyoyaさんのキック……こんなにタイトで重い…うわああ…!すごい…!!)

 

 (ラヴィさんの声……生でこんなに……!ハイトーンが透き通って伸びてる…!NaokIさんのギターは、感情が直接心に入ってくる…!他にも色々………ああっもう…!働いてよ私の語彙力!!)

 

 (……これが、世界最高峰の演奏か…RoÉさんのベース……低域の厚みなのに全然ぼやけない…NaokIさんのピッキングは精度が異常すぎる…今まで色んなライブに行ったけど、こんな音聞いたことない…私も、もっとがんばらなきゃ……)

 

 

 虹夏は、目を丸くして、口を半開きにしたまま固まり。

 

 喜多は、両手を胸に当てて息を荒げ。

 

 リョウは、壁に寄りかかったまま、息を飲んだ。普段はクールに振る舞う彼女の瞳が、初めて揺れた。

 

 

 (……いつも一人でリハ眺めてたから、みんなと見れて嬉しいな………私も、普段からあんなに弾けるようになりたいな)

 

 

 ひとりはステージ袖で、みんなの反応を見ながら、少し離れたところで自分のギターを抱えていた。

 

 リハ自体いつも見ている光景なので、別段驚きはない。

 

 ただ──お父さんの音を、仲間たちと一緒に共有できることが、嬉しかった。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 リハが予定よりも早めに終わった。

 

 ステージ上の照明が少し落とされ、スタッフが機材の最終調整を始めた頃、Lavielがマイクをスタンドに戻しながら、ひとりに目を向けた。

 

 

 「……ひとりちゃん。久しぶりに俺らとセッションする?」

 

 

 Lavielの声が、静かに響いた。

 

 ひとりは、ギターを抱えたまま、ぴくっと肩を震わせて顔を上げた。

 

 目が、キラキラと輝き始めた。

 

 

 「……え……お父さんたちと……セッション……?」

 

 

 RoÉはベースを肩から下ろしながら、クールに呟いた。

 

 

 「そういや、ひとりちゃんと最後に合わせやったの…去年、NaokIさん家のスタジオでやって以来だな」

 

 

 Kyoyaはスティックを回しながら、穏やかに笑った。

 

 

 「そうだな。あの時ひとりちゃん、まだ中学生だったのに…もう立派なギタリストだもんな」

 

 

 NaokI(直樹)は、Schecterの弦を軽く弾きながら、娘の顔を見て、優しく頷いた。

 

 ひとりがバンドに入ってどれだけ成長したか……

 

 父親としても、NaokIとしても、気になっていた。

 

 反論はなかった。

 

 

 「いいよ。やってみようか、ひとり」

 

 

 ひとりは、恥ずかしがりながらも、何度も小さく頷いた。

 

 目が輝き、頰が赤くなり、唇が震える。

 

 

 「う、うん……!お父さんたちとの、久しぶりのセッション…!がんばる……!」

 

 

 ひとりは、自分のギターを取り出し、急いでチューニングを始めた。

 

 ワイヤレスのアンプに接続し、イヤモニを耳に装着。

 

 少し緊張した手でボリュームを調整し、ステージ中央に立った。

 

 虹夏、喜多、リョウは、ステージ脇でその光景を呆然と見つめていた。

 

 

 「……え……?え?え?え?え?……ぼっちちゃんが…【NEW GLORY】とセッション…?……てことは、ギターヒーローと…【NEW GLORY】の……コラボ!!?うわあああ!!! やばい!!! やばすぎる!!!こんな夢のコラボが見れるなんて、心臓止まりそう!!!」

 

 「ラヴィさんの声と、RoÉさんのベース、Kyoyaさんのドラム、そして…NaokIさんとひとりちゃんのギターが……全部一緒に!!?すごい!すごいすごいすごい!!私もワクワクしてきました!!!」

 

 (【NEW GLORY】とぼっちのセッション…!?ヤバい……こんなの普通のライブじゃ絶対見れない…!!……でもようやく、ぼっちの本当の実力がわかる…!ぼっちと【結束バンド】との差…しっかり見極めよう…!音ひとつ聴き逃さない…!)

 

 

 3人は、スタッフに促されてステージから降り、最前列を陣取る。

 

 ゆっくりと、息を潜めて、セッションを見届ける準備をした。

 

 ステージ上の照明が、少しずつ落ちていく。

 

 ひとりは、緊張しながらも、Schecterを構え、深呼吸した。

 

 【結束バンド】の3人は、目を輝かせて、最前列から息を殺して見つめた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 NaokIは、ギターを肩にかけながら、ひとりに目を向けた。

 

 穏やかな声で、しかし少し遊び心を込めて言った。

 

 

 「ひとり、今日はリードギター任せるよ。僕はリズムギターで支える…久しぶりのセッション楽しもう」

 

 

 ひとりは、ギターを構えたまま、目を丸くした。

 

 すぐに頰が赤くなり、恥ずかしそうに何度も頷く。

 

 

 「……お、お父さんのパートを、私が…!う、うん…!がんばる……!」

 

 「ひとりちゃんの演奏聴くの久しぶりだな。RoÉ、ラヴィ…準備いいか?」

 

 「ああ。いつでもいける」

 

 「こっちも大丈夫。……そういえばNaokI君、なんの曲演奏するんですか?」

 

 

 NaokIに、何の曲を弾くか尋ねるLaviel。

 

 NaokIはひとりを見て、曲名を告げた。

 

 

 「じゃあ、『Shade Of Gray(シェードオブグレイ)』やるか」

 

 『!?!?!!?』

 

 「え…嘘でしょ…… 『Shade Of Gray』やるの……!?……ライブでもほとんどやったことないのに…!?」

 

 「……えっ!!?アレやるの…!!?」

 

 

 【結束バンド】の3人は、一瞬凍りつく。

 

 特にリョウは、驚きを隠さなかった。

 

 ひとりもいきなりの激ムズ曲に驚く。

 

 

 

 Shade Of Gray(シェードオブグレイ)』──

 

 

 【NEW GLORY】史上、最も鬼畜と言われる曲。

 

 そして、リョウが【NEW GLORY】の曲で、個人的に一番好きな曲である。*1

 

 曲の難易度は『再現不可能』の域に達し、プロミュージシャンですら『人間の限界を超えている』と口を揃える。

 

 『弾けない・歌えない・叩けない』の三重苦で、チャレンジ動画がネットに溢れ、リタイヤ続出の伝説を生んだ。

 

 

 基本テンポは、 240〜280BPM(曲中で変動)。

 

 ドラムはほぼ全編ツーバス高速キックで埋め尽くされ、16分音符の密度がブラストビート並み。

 

 人間の限界を超える速度で、Kyoyaですら『譜面覚えるのが面倒だった』と後に語っている。

 

 メロディは、変拍子・転調の嵐。

 

 → 4/4 → 7/8 → 5/4 → 9/8 → 13/16 → 11/8 → 17/16と、予測不能な変拍子が連続。

 

 転調は半音・全音・増4度・減5度・増5度・減7度がランダムに混ざり、聴き手が『次どこに行くかわからない』状態に陥る。

 

 コード進行はdiminishedスケール、whole toneスケール、phrygian dominant、altered dominant、locrian super-dominantを多用し、理論上『解決しない緊張』が延々と続き、脳を混乱させる。

 

 

 まず、『Shade Of Gray』のドラムの基本BPMは240くらいの速さと叩き方だが──

 

 ツーバスは、300BPM超えの高速キックを全編維持、サビの前のメロディで32分音符のタム連打+ブラストビート級のスネア連打。

 

 ギターソロ前のユニゾンは、ツーバスを32分音符で連続しつつ、タムを逆回転で叩き、スネアをゴーストノートで散らし、ハイハットをオフビートでアクセント──一瞬のミスで全体が崩壊する鬼畜設計。

 

 変拍子の中でタイミングが狂わないよう、極限までメトロノーム練習を重ねた結果、感情的な揺らぎを一切許さない『機械的正確さ』と『人間的なグルーヴ』の両立を実現。『ドラムだけで聴いても成立する』と言われるほど独立したリズムラインだが、プロドラマーでも『叩けない』とリタイヤ続出。

 

 

 次にベース、最初のフレーズだけでリタイヤする人が続出する難易度で、リョウもその内の一人である。

 

 32分音符の高速タッピングでネック全域を駆け巡り、同時スラップでポップ音を散らし、変拍子の中でルート音を正確に刻む。

 

 タッピングは両手でコードを同時に弾くポリフォニック仕様、スラップは親指と人差し指のダブルポップで「爆発音」を連発。

 

 最初の4小節だけで指が絡まり、リタイヤ率90%超えの鬼畜設計。

 

 変拍子の中でアドリブで複雑なカウンターラインを入れるため、指の独立性と瞬発力が極限まで要求される。

 

 ベース一本で『ギター並みのメロディ』を奏で、バンドの低域を支えつつ、攻撃的な存在感を発揮。

 

 

 そしてボーカル、1分を超えるロングシャウト(ハイトーン→スクリーム→ハイトーンへの連続切り替え)。ピッチが揺れない超人的な息継ぎコントロール。

 

 オートチューンは補正ではなく『幻想的なハーモニー』を加えるためのエフェクトとして使用。

 

 感情を乗せたシャウトは、聴く者の心を直接抉るような切実さがあり、『Lavielの叫びを聞くと涙が出る』と世界中で語られる。

 

 

 最後にギター、メロディックスピードメタル顔負けの、超絶メロディアスなギターソロ(3分超え)。

 

 高速リフ(16分音符のオルタネイトピッキングでネック全域を駆け巡る)。

 

 変拍子の中で正確にコード進行を刻みつつ、感情を乗せたビブラートとベンドを多用。

 

 ソロパートは、NaokI特有の『中毒になるメロディ』が爆発。

 

 一度聴いたら頭から離れない爆発的なサウンド。

 

 

 全体として、理論的にも技術的にも『鬼畜』の域を超え、『人間の限界を試す曲』『人力コピーガード』として語り継がれている。

 

 だが──NaokIの天才的なメロディセンスにより、難解さを感じさせず、聴く者を一瞬で虜にする。

 

 『聴けば聴くほどハマる』『頭から離れない』『中毒性ヤバい』と、世界中のファンが口を揃える恐ろしい曲。

 

 リリース当時、日本どころか世界チャート1位を、1年以上独占。

 

 『Shade Of Gray』EPのデジタルダウンロードは、リリースからたったの2年で、約5000万ダウンロードを記録。今現在も売り上げを更新している。

 

 【NEW GLORY】の公式オーチューブチャンネルに上がっている『Shade Of Gray』のMVは、現在 再生数91億回という、破格の再生数を誇る。

 

 【NEW GLORY】の公式オーチューブチャンネルで、2番目に再生されているMV。

 

 まさに、音楽史に残る怪物級の名曲。

 

 そしてNaokIが、ひとりの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という曲。

 

 

 

 「『Shade Of Gray』か……NaokI君がニヤニヤしながら『これならひとりもカバーできないだろ!』って言ってたな。……まぁひとりちゃん、一発で完コピしたらしいけど…」

 

 「あれ楽しいっちゃ楽しいけど、弾くのそこそこダルいンだよな。ライブでもほとんどやったことねェし」

 

 「NaokIさん、自信満々で曲出したのに…ひとりちゃんに一発で完コピされた上にアレンジまでされたから、割とガチで凹んでたな」

 

 「うるさい!あの時はちょっと、ひとりの実力を見誤ってただけだ!………次はもっと難しいやつ作ろうかな」

 

 

 【結束バンド】の3人は、最前列で静かに息を飲み、目を輝かせて見守った。

 

 ひとりは、ギターを握りしめ深呼吸した。

 

 いつもの【結束バンド】のライブとは違う。

 

 

 

 お父さんたちとのセッション──

 

 

 

 ひとりは、目を閉じて集中した。

 

 心臓の鼓動が、徐々に速くなり、トランス状態に入っていく。

 

 今まで以上に没頭し、ギターに全神経を注ぐ。

 

 

 「……始めます……!」

 

 

 NaokIのリズムギターが、イントロの重厚なコードを刻んだ瞬間──

 

 Kyoyaのツーバスが、爆発的なスピードでキックを連打し始めた。

 

 RoÉのベースが、高速タッピングとスラップで複雑なカウンターラインを織り交ぜ、Lavielのハイトーンがロングシャウトで突き刺さる。

 

 

 そして───ひとりのリードギターが、炸裂した。

 

 

 ひとりは、まるで別人格になったように、ギターを弾き始めた。

 

 一発で完コピし…アレンジできたとはいえ、本気の全力で集中しなければ弾けない曲。

 

 指先が弦を切り裂くように動き、ピッキングの精度が極限まで高まる。

 

 高速リフは超密度で、ネック全域を駆け巡る。

 

 ビブラートは深く、感情を乗せ、ベンドは正確に音程を捉える。

 

 変拍子の中でも、まったく揺らがない。

 

 

 ひとりは、完全にトランス状態に入っていた。

 

 

 目が虚ろになり、呼吸すら忘れたように、ギターだけに全神経を集中。

 

 

 NaokIは高速でリズムギターを刻みながら、余裕の表情でひとりのソロを聴き、時折笑みを浮かべる。

 

 RoÉは軽くあくびをしながらベースを弾き。

 

 Kyoyaはドラムを叩きながら穏やかに微笑む。

 

 Lavielは、1分を超えるロングシャウトを、息継ぎ一つで歌い切り、即座にクリアなハイトーンに切り替えた。

 

 

 そして、ひとりのギターソロが始まった。

 

 最大の力を発揮し、超絶メロディアスなフレーズを、指が追いつかない速度でかき鳴らす。

 

 弦が悲鳴を上げ、ピックが火花を散らす。

 

 感情が爆発し、音がドーム全体を震わせる。

 

 NaokIは、ツインでギターソロを始めた。

 

 ひとりのフレーズに合わせ、八の字に軽くヘドバンしながら余裕で高速ギターリフを弾き切る。

 

 頭を振りながらも指は完璧に動き、ビブラートは深く、ベンドは正確。

 

 ひとりが全力で神経を集中させているのに対し、NaokIは遊び心さえ感じさせる余裕。

 

 二人のギターが絡み合い、ドーム全体が震えた。

 

 

 「これが、ぼっちちゃんの全力……!次元が違いすぎる……明らかにギターヒーローの時よりも上手い……!でも、NaokIさんは余裕で着いてきてる…!しかも頭振りながら、あんなとんでもないリフを簡単に弾き切ってる……!…というかKyoyaさん、なんでちゃっかりギターと同じ速さでユニゾンしてるの…!!?」

 

 「ラヴィさんのシャウト……RoÉさんのベース……Kyoyaさんのドラム……NaokIさんとひとりちゃんのギター……全部完璧すぎる……ひとりちゃんの本気、こんなにすごかったんだ…」

 

 「…これがぼっちの本当の実力か……でも、【NEW GLORY】のメンバーはあっさり着いてきてる……RoÉさんなんて、欠伸しながら手元も見ずにあんな高速のタッピングを…しかもリズムは一切ブレてない……これが、世界最高峰の実力…」

 

 

 虹夏、喜多、リョウは、最前列で息を飲んだ。

 

 一音足りとも聴き逃さないように、目を凝らして見つめた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 『Shade Of Gray』が終わった瞬間、ドームに静寂が訪れた。

 

 ひとりはSchecterを握ったまま、息を切らし、額に汗を浮かべていた。

 

 指先が微かに震え、胸が激しく上下する。

 

 全力で集中し、トランス状態に入った演奏は、彼女の限界を超えていた。

 

 ステージ上の空気が、重く、熱く、残響のように残る。

 

 Lavielがマイクをスタンドに戻し、ひとりに駆け寄った。

 

 

 「ひとりちゃんすごいな。あのストロークのキレ…前より全然鋭くなってるよ。ピッキングの精度は異常値出てたし、高速リフの密度も、俺のシャウトと完全に絡み合ってた」

 

 

 Kyoyaはスティックをケースにしまい、穏やかだが熱を帯びた声で言った。

 

 

 「確かに、俺のドラムに完全に追いついてるどころか…追い越してる瞬間があった。あのビブラートの深みとベントの正確さは完璧すぎる。…マジで震えたよ」

 

 

 RoÉはベースをスタンドに立てかけ、クールに…でも目が本気で言った。

 

 

 「…前より鋭いどころか、俺の音と共鳴してた。あの高速タッピングのフレーズは、俺のラインに負けないくらい存在感あった。変拍子の中でピッキングの精度が一切落ちてない。…ひとりちゃん、この1年でめちゃくちゃ上達したな」

 

 

 ひとりは、褒め言葉の嵐に顔を真っ赤にして俯いた。

 

 でも、口元が緩み、ニヤニヤが止まらない。

 

 

 「……そ、そ、そんなことないですよ〜…!うへ……うへへへへ……!」

 

 

 承認欲求が満たされ、顔がにやけ、目がキラキラ輝く。

 

 恥ずかしがりながらも、心の底から嬉しさが溢れていた。

 

 NaokIは、娘のそんな姿を見て、優しく微笑んだ。

 

 内心では、成長を嬉しく思いながらも、少し焦りが混じる。

 

 

 (ひとり、前より腕が上がってるな。……ヤバい、そのうち追いつかれるかも…)

 

 

 するとLavielが、NaokIを揶揄うように言った。

 

 

 「NaokI君。このままだとマジで、ひとりちゃんに追いつかれるんじゃないですか?2年前ですらヤバかったのに…」

 

 「!?…なっ何言ってるんだ…!」

 

 

 Lavielの指摘に狼狽えるNaokI。

 

 そこでRoÉとKyoyaも追撃。

 

 

 「NaokIさんって基本的に、新曲の時とリハの通し以外じゃ ギターの練習全くしないから、腕が錆びついたンじゃねェの?」

 

 「…確かに。あとはライブで昔の曲やる時、少し練習するくらいじゃないですか?…正直10年前の方が上手かった気がする…」

 

 

 NaokIは、ギクッと肩を震わせ 冷や汗ダラダラさせながら慌てて誤魔化した。

 

 

 「…あっあ〜!お腹すいたな〜!ほら、リハ終わったしそろそろ昼ごはんにしよう。みんな楽屋に戻るぞ!」

 

 

 【NEW GLORY】のメンバーたちは、内心で(……誤魔化したな……)と思いながら、笑みを浮かべた。

 

 

 そして、ひとりは褒められて嬉しく思う反面、中学の時よりも実力が身につき、ある程度相手の力量を把握していたため、お父さんと自分との差がとんでもなく遠いと悟った。

 

 メンバーたちも口では「追い抜かれるんじゃないか?」とお父さんを揶揄っていたが、ひとりが全力で集中しなければ弾けない曲を、お父さんは頭を振りながら余裕で弾き切っていた。

 

 その差に、胸が締めつけられる。

 

 でも──よりお父さんの腕前に近づけるように、努力しようと心に誓った。

 

 

 そしてNaokIは、(久しぶりに自主練しようかな…)と考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、【結束バンド】の3人は、最前列でセッションを見届けた後、楽屋に戻る道中──沈黙していた。

 

 

 

*1
第三話参照




ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!
ついに虹夏ちゃん 喜多ちゃん リョウは、ぼっちちゃんとの差を理解してしまいました。
次回は結束バンドの葛藤と、ついにライブシーンに突入します。
オリジナルばかりでつまんねーと思うかもしれませんが、もうしばらくお付き合いください。
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