結束バンドの決意表明と打ち上げ回です。
それではどうぞ
こうして、東京ドーム1日目が終了した。
ライブが終わり、楽屋に戻った【NEW GLORY】のメンバーたちは、汗を拭きながら一息ついていた。
全員、衣装から普段着に着替え、のんびりしていた。
静かな余韻が漂う中、ドアがノックされた。
入ってきたのは【結束バンド】の4人。
ひとりが先頭に立ち、虹夏・喜多・リョウがその後ろに並ぶ。
NaokIは笑顔で迎え入れようとしたが──一瞬、動きが止まった。
全員の目が、本気だった。
覚悟を決めた、情熱のこもった目。
先ほどのライブの余韻ではなく、何かを決意した炎のような瞳。
NaokIは、言葉を飲み込み、静かにみんなを見つめた。
ひとりが一歩前に出て、深く頭を下げた。
「……お父さん……みんな……今日のライブ……本当にありがとうございました。お父さんたちの音……全部……胸に響きました……」
「……そっか。それなら招待した甲斐があったよ」
ひとりは顔を上げ、目を潤ませながらも、強く続けた。
「……私……決めた。お父さんみたいな……じゃなくて……
お父さんにも負けない……ギタリストになる。
そして【結束バンド】を……
【NEW GLORY】にも負けないくらい……
最高のバンドにする!
私たちは…本気でプロになる!」
虹夏は、ひとりの横で強く頷いた。
喜多も、目を潤ませながら拳を握り、リョウも静かに、しかし力強く頷いた。
4人の心が、一つになった。
NaokIは、娘の言葉を聞いて、静かに目を閉じた。
涙が、一筋、頰を伝う。
(自分の気づかないうちに、娘はこんなに成長したんだな…)
感慨が胸を締めつけ、NaokIは涙を拭ったあと、ゆっくりと顔を上げた。
今度はひとりの父親としてではなく、【
「全力でかかってこい【結束バンド】。
いつかここを埋められるくらい大きくなって、
有名になったら……
対バンしよう」
その言葉は、優しいのに熱かった。
対等なライバルに向けるような、燃えるような目線。
NaokIの瞳に、娘への誇りと、ライバルへの敬意が宿っていた。
ひとりは、涙をこぼしながら力強く頷いた。
「…うん……!絶対…有名になる…!…だから、それまで待ってて…!!」
虹夏は、拳を握りしめて叫んだ。
「絶対…ここを埋めます!!!対バン……待っててください!!!」
喜多は、涙目で声を張った。
「私たち、最高のバンドになります!!!それまで…待っててください!!!」
リョウは静かに、しかし強く言った。
「絶対、追いついてみせる…!今度こそ…このバンドで頑張りたい…!!」
楽屋に、熱い空気が満ちた。
メンバーたちは、互いに笑い合い、肩を叩き合い、興奮を分かち合った。
そして緊張感が解け、安心した空気が楽屋に広がった瞬間──
グーグーッ
リョウのお腹が鳴った。
「……お腹空いた……そういえば、お昼食べてないや……」
虹夏は、ぷっと吹き出し、可愛くツッコんだ。
「もう〜リョウったら雰囲気台無しだよー!せっかくの感動的なシーンなのにぃ〜!」
でも、次の瞬間──
グゥゥゥ……
虹夏自身のお腹からも可愛い音が響いた。
虹夏は、顔を真っ赤にして両手で腹を押さえた。
「ひゃっ!? 私も……!?うぅ……恥ずかしい……!」
喜多は、くすくす笑いながらみんなを見回した。
「そういえばケータリングの食事、結局手をつけてませんでしたね…」
ひとりは、みんなの腹の音にびっくりしつつ、申し訳なさそうに俯いた。
「あっすみません。私のせいで……」
「気にしないでひとりちゃん。とりあえず、どこかで食事でもしません?」
「いいね〜どこ行く?ファミレス?」
「お金ないから誰か奢って」
「コラ リョウ!」
その時、直樹が優しく笑って手を挙げた。
「大丈夫だよみんな。こんなこともあろうかと、高級焼肉屋の予約をしておいたんだ。みんなで行こう」
メンバーたちは、一瞬ぽかんとした。
直樹は、照れくさそうに頭を掻きながら続けた。
「ライブ終わって、みんなも腹減ってるだろ?マネージャーが運転手連れて、送迎のバスを用意してくれてる。今から行こう」
【結束バンド】は、目を輝かせて飛び上がった。
「焼肉!? 高級焼肉!?【NEW GLORY】の方達と一緒に!?…やっやったー!!ありがとうございます!!!」
「神様仏様NaokI様!!!ありがとうございます!!」
「【NEW GLORY】のみなさんと!?すごいすごーい!夢みたいです!!ねっ!ひとりちゃん!!」
「あっはい…!」
マネージャーの●●が、笑顔で楽屋に入ってきた。
「車、用意できました。みなさんお乗りください」
『はい!!!』
「ハハ。若いっていいな」
「俺らも楽しむか。……まァ明日もあるから酒飲めねェけど…」
「まぁいいじゃないか。この子達がこんな喜んでくれてるんだから」
全員が立ち上がり、興奮と感謝の笑顔で車に向かった。
東京の夜道を、高級ロケバスが静かに走り出す。
車内は、ライブの余韻と焼肉への期待で、温かな空気に包まれていた。
◆
焼肉屋に向かう車内は、ライブの余韻がまだ冷めやらぬ熱気で満ちていた。
車の後部座席に【結束バンド】の4人が並び、NaokIと【NEW GLORY】のメンバーたちも同乗。
今朝乗って来たミニバンも広くて快適だったが、このロケバスも高級感溢れて、乗り心地抜群だった。
バスは、タレントやVIPの快適性と移動時間を重視した、豪華な内装を特徴とする車両。
その高級ロケバスは、夜の東京を静かに走り出す。
【結束バンド】は先ほどの、ライブの余韻を思い出し、感想を熱く語った。
虹夏は、シートに深く座りながら、興奮冷めやらぬ声で叫び。
喜多も、隣で両手を握りしめて跳ねるように頷く。
リョウも窓の外を見ながら、珍しく口数が多めだった。
ひとりも、みんなの興奮に引っ張られるように、ニコニコしながら頷いた。
そんな会話が弾む中、喜多がふと、ずっと気になっていたことを口にした。
「そういえば……ひとりちゃんって、【NEW GLORY】のライブ……いつもタダで見てたの?」
「あっはい。そうです…ライブ見たい時は、お父さんがいつも連れてってくれて……へへ」
ひとりは、少し照れながらも、今更取り繕う必要もないと思い、素直に答えた。
その答えに、虹夏とリョウが一瞬で振り返った。
「……えええええ!!!?毎回タダで!!!?ぼっちちゃん羨ましすぎる!!!私なんて倍率高すぎて、チケット一回も取れたことないのに~!」
「ぼっちズルいぞ…!!身内の特権フル活用しやがって…!!」
「ひとりちゃんいいな〜!【NEW GLORY】のライブ、毎回タダで見れるなんて夢みたい!」
その会話を聞いていたLavielが、笑いながら口を挟んだ。
「まぁ、ひとりちゃんはNaokI君の娘だし、俺たちとも10年くらいの付き合いだから特別なんだよ。俺たちも、ひとりちゃんのこと親戚の子みたいに思ってるし」
RoÉは、クールに窓の外を見ながら呟いた。
「……でも、ひとりちゃんのバンド仲間だからって、今回みたいに特別扱いしたり、贔屓する気はねェけどな」
Kyoyaは、穏やかに、しかし優しく付け加えた。
「今回はNaokIさんの頼みで受け入れた、特例中の特例だからね。またライブが見たかったらチケット買ってから来てね。じゃないと、他のお客さんからしたら不公平だからね」
虹夏・喜多・リョウは、さすがにその辺は弁えていた。
でも──それはそれとして、羨ましいことには変わりない。
「はい! 次はちゃんとチケット取って……絶対見に来ます!!……でも、やっぱりいいな〜!!ぼっちちゃん、タダで見れるなんてズルい!!」
「確かにそうですね。ひとりちゃん羨ましい…!」
「ぼっちが羨ましすぎる…!私も娘になりたかった…!!」
「大丈夫ですリョウ先輩!!私がリョウ先輩の娘になります!!」
「喜多ちゃ〜ん。それ、なんの解決にもなってないよ〜」
ひとりは、みんなに羨ましがられて、顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうに笑った。
車内は、そんな温かな雰囲気で満たされた。
NaokIは、娘とその仲間たちを見て優しく微笑んだ。
◆
東京の新橋にある高級焼肉屋に到着した。
車が店の裏口近くに停まると、【NEW GLORY】のメンバーたちはそれぞれ帽子、マスク、メガネをかけて変装を済ませ、素早く車を降りた。
ひとりはいつものピンクジャージ姿だが、みんなに囲まれるようにして歩く。
【結束バンド】の虹夏、喜多、リョウも、興奮と緊張で少しおどおどしながら後ろからついていく。
店内に入ると、店員がすぐに大きめの個室へ案内した。
個室は10人掛けのテーブルが置かれ、壁は落ち着いた木目調で、照明は柔らかく、プライバシーがしっかり守られている。
テーブルにはすでに高級肉の盛り合わせが並び始め、霜降りの和牛サーロイン、シャトーブリアン、特選タン、ホルモン盛り合わせ、野菜盛り……
ソフトドリンクも冷えた烏龍茶、水、色んなジュースが用意されている。
【NEW GLORY】のメンバーも、翌日に2日目の東京ドーム公演があるため、酒は我慢して烏龍茶や水を頼んだ。
マネージャーの●●は、皆にグラスを配りながら立ち上がった。
笑顔で、しかし少し緊張した声で音頭を取る。
「それでは、僭越ながら乾杯の音頭を取らせて頂きます。東京ドーム公演1日目…お疲れ様でした。今回の打ち上げの食事代は全て、リーダーのNaokIさんから出ています。なので、遠慮なく楽しんでくださいね。それでは……東京ドーム1日目が無事に成功したことを祝して、乾杯!」
『乾杯!!!』
全員がグラスを掲げた。
グラスが軽く触れ合い音が響く。
食事が始まると、個室はすぐに賑やかになった。
◆
個室は、煙と肉の香りで満たされていた。
高級和牛の霜降りがジュージューと音を立て、網の上に並ぶ肉が次々と焼き上がる。
【結束バンド】の4人は、ライブの興奮がまだ冷めやらぬまま、テーブルを囲んでいた。
リョウは、昼ごはんを食べ損ねた空腹を一気に爆発させていた。
目の前のカルビをトングでつまみ、網の上でひっくり返しながら、焼き加減を見極める。
「ジュッ……」という音が心地よく、肉汁が滴る瞬間を見逃さず、口に運ぶ。
一口で頰が緩み、それと一緒に白ごはんも食べる。
二口、三口……と止まらない。
おかわりを次々と頼み、スタッフが新しいお皿を持ってくるたび、リョウは無言で受け取り、黙々と食べ続けた。
いつもはクールに一言二言しか話さないリョウが、今日は肉に集中しすぎて、ほとんど無言だった。
そんなリョウに、隣の席からRoÉが静かに声をかけた。
「いい食べっぷりだな。そんなに腹減ってたのか?」
リョウは、箸を止めてぴくっと肩を震わせた。
いきなり話しかけられて、目が丸くなる。
RoÉの視線が自分に向いていることに気づき、慌てて口の中の肉を飲み込んだ。
「RoÉさん…!あの……はい……昼、食べ損ねて……」
RoÉはクールに笑みを浮かべ、自分の網から焼き上がった肉をリョウの皿に移した。
『おかわりもいいぞ!』『遠慮するな、今までの分食え…』と言わんばかりに、シャトーブリアン、特上ロース、霜降りサーロインをリョウの皿に盛り付ける。
「ほら、食えよ」
リョウは、RoÉから肉を受け取り目を輝かせた。
「ありがとうございます…!」
リョウはそのまま「ウメ ウメ ウメ」と肉と白ごはんを頬張る。
RoÉは、トングを置いて、静かに続けた。
「……ひとりちゃんを引き抜きに来たライターに、毅然とした態度で物申したんだろ?仲間を庇ったって聞いたぞ」
リョウは、肉を頰張る手を止め、顔を少し赤らめた。
恥ずかしそうに、でも小さく頷く。
「…はい……ぼっち…いや、ひとりを……守りたかった…だから……」
RoÉは、短く、しかし力強く言った。
「……仲間、大事にしろよ。俺も、【結束バンド】には死んでほしくないからな」
リョウはRoÉの言葉に静かに、しかし力強く返事をした。
「…はい!RoÉさん……ありがとうございます…!私…【結束バンド】…大事にします……!」
その言葉をきっかけに、二人の会話が弾み始めた。
そのうちリョウのベースの練習法の話になり、気になったRoÉはリョウの練習動画を見せてもらう。
しばらく動画を見た後RoÉは、リョウのベースの弾き方に対して、具体的な改善点を挙げ始めた。
「お前のベース、センスはある。でも、まだ粗いところが多い」
リョウはいきなり本題に入られて、目が少し大きくなる。
RoÉはクールだが丁寧に、言葉を選ぶように話し始めた。
「まず、スラップの親指の角度。今のお前は、親指を45度くらいに倒して弾いてるだろ?それじゃ音が散らばる。もっと手首を返して…こう80度近くまで立てて、指先で弦を『叩く』意識に変えろ。叩く瞬間、手首をスナップさせるイメージだ。そうすると…ポンッ!って音が鋭く抜ける。低域がぼやけずに、バンドの中で埋もれなくなる」
リョウは真剣に聞きながら、スマホのメモアプリを開いてメモを取った。
RoÉは、ゆっくりと自分の手を見せながら続けた。
「次、タッピング。お前のタッピングは速いけど、指の独立性がまだ弱ェ。特に薬指と小指の動きが追いついてない。毎日指のストレッチと独立練習をしろ。俺が昔やってたのは1フレットから12フレットまで、1弦ずつタッピングして戻る練習。B弦からG弦まで、素早く移動する時は…指を『浮かせる』意識を持て。弦に引っかからないように、軽く浮かせて移動するんだ。それだけでスピードが1.5倍になる」
リョウの目が、キラキラと輝き始めた。
宝の山のような情報に、心が震える。
RoÉは、さらに具体的にアドバイスを重ねた。
「次は、アクティブEQの使い方だけど…お前の動画だと、中域を少しブーストしてるだろ?でも、800Hz〜1.2kHzあたりをピンポイントでブーストするともっと抜ける。低域は100Hz以下をカットしてクリーンに保て。そうするとスラップのポップ音がギターと共鳴して、バンド全体の輪郭がクッキリする」
リョウは、メモを取りながら必死に頷いた。
いつも以上に真剣で、瞳が燃えるように輝いている。
RoÉの言葉はレベルが高すぎて、そこらのベース講師とは比べ物にならないほど的確で丁寧だった。
一つ一つが、リョウのベースを次のステージへ引き上げる鍵のように感じられた。
「RoÉさん、ありがとうございます…!私これ…全部試します…!早速自主練で参考にします…!」
RoÉはクールに頷きながら、肉を一枚焼いてリョウの皿に置いた。
「楽しみにしてるよ。お前のベース、もっと聴きたい」
リョウはRoÉの言葉に静かに、しかし力強く頷いた。
胸の奥で、練習への意欲が燃え上がる。
このアドバイスを、絶対に活かしてみせる──
リョウは、心の中で強く誓った。
◆
Lavielは網の上でジュージュー焼けるタンをトングで返しながら、ふと隣にいる喜多に目を向けた。
「そういえば喜多ちゃん。最初のライブバックレたって聞いたけど…マジ?」
「……えっ!!?なんでそれを…!!?…あっ!ひとりちゃんからNaokIさん経由で…!…………はい……そうです」
喜多は、箸を止めて顔を真っ赤にした。
Lavielは腹を抱えて大笑いした。
「ははははは!!!喜多ちゃんロックすぎンだろ!?初ライブ バックレるって最高じゃん!!生粋のロックンローラーだな!!」
「うぅ……あの時は、本当に怖くて……」
喜多は両手で顔を覆い、恥ずかしそうに縮こまった。
Lavielは、笑いを抑えながらすぐにフォローした。
優しく、でも真剣な声で。
「……でもさ、こうして戻ってきて、ちゃんとギターボーカルこなしてンだろ?逃げずに自分に向き合って…すごいよ喜多ちゃん」
喜多は顔を上げて、苦笑いしながら小さく頷いた。
「ありがとうございます……でも私、まだギターも歌も下手くそなので……本当にひとりちゃんを支えられるか……心配で……」
Lavielは、肉を口に運びながら感慨深く言った。
「………今まで、色んなやつらに応援してますだの、世界一になれますよだの…言われてたけどさ。面と向かって『【NEW GLORY】にも負けない最高のバンドにする』って堂々と宣言したやつ…【結束バンド】が初めてだったな」
喜多は、目を丸くした。
Lavielは肉を頰張りながら、酒も入ってないのに少し酔ったように笑った。
「だから嬉しいンだよ。俺らに挑んでくるバンドがいるのが…支えるだけじゃなくて……いっそ世界レベルの歌姫くらいになって、みんなを惹きつけて引っ張ってやれよ」
Lavielは口角を上げて、喜多に熱い視線を送った。
喜多は胸が熱くなり、涙目になりながらも、いつもの明るい笑顔で元気よく返事した。
「……はい!!!ラヴィさん…私絶対…!世界レベルの歌姫になります!!!ひとりちゃんの隣で…みんなを惹きつける声を出してみせます!!!」
Lavielは満足そうに頷き、スマホを取り出した。
「……喜多ちゃん、イソスタやってる?」
「え?あぁはい…やってます!……このアカウントです」
「よ〜し。じゃあこれ見て練習しな」
Lavielがスマホを操作し始め、数分後──DMに通知が届いた。
Lavielのメッセージは、丁寧で、死ぬほどわかりやすいメモ形式だった。
喜多ちゃんへ
俺の経験から、喉と歌の基礎をまとめたよ。
これを毎日続けてみてね。無理せず少しずつでいいから。
1. 発声練習の基本ルーティン(毎日5〜10分)
• まずはリップロール(唇をブルブル振るわせながら「ブブブ〜」と音を出す)で喉を温める。
→ 息を均等に吐きながら、音程をゆっくり上下させて。喉が締まらないように注意。
• 次に「ンー」→「アー」→「イー」の母音練習。
→ 鼻腔に響かせる意識で「ンー」、胸に響かせる意識で「アー」、頭に響かせる意識で「イー」。→ 音域は中音域からスタートして、少しずつ上下に広げて。
• 最後はサイレン(「ウー」から「イー」へスライドしながら音を上げる)。
→ 喉が締まらないように、息をたっぷり使って滑らかに。
2. 喉を痛めない歌い方
• 喉を締めない! 喉で声を押さえつけないで、お腹(横隔膜)で息を支える。
→ 息を吐きながら声を出すイメージ。喉に力を入れず、息で声を乗せる。
• 高音が出ない時は喉を上げない。胸を張って肩を落とし、喉の位置を低く保つ。
• ロングトーン練習時は、息を「漏らす」意識で。喉を締めて声を絞らない。
• 水分補給は必須。 歌う前後に常温の水をこまめに。冷たいものはNG。
3. 腹から声を出すコツ
• お腹に手を当てて、息を吐く時に「お腹を凹ませる」感覚を覚える。→ 腹式呼吸で、息を吐き切ってから声を出す。
• 「フッ!」と短く息を吐く練習を繰り返す。お腹が凹む感覚を体に覚えさせる。
• 声を出す時は「フッ!」の延長線上で声を乗せるイメージ。喉じゃなく、お腹で押す。
• 最初は「ハー」と息を吐きながら声を出す練習から。徐々に音程をつけて。
4. 息継ぎのタイミング
• 歌詞の句読点や、子音の強いところで息継ぎを入れる。
• ロングトーン中は、息を「漏らす」意識で。喉を締めないで、少しずつ息を吐きながら声を維持。
• ライブでは、フレーズの終わりで必ず息を補充。息継ぎを「恥ずかしい」と思わないで。
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• 腹式呼吸と喉の開き方と解説
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• ハイトーンへの移行練習
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喉にいい飲み物(俺が毎日飲んでるやつ)
• カモミールティー(常温):喉の炎症を抑えてリラックス効果抜群。
• はちみつレモン水(常温):はちみつが喉をコーティング、レモンが殺菌。
• 生姜湯(薄め):血行促進で喉の血流アップ。
• ペパーミントティー(常温):スッキリして高音が出やすい。
冷たいものは絶対NG。常温か温かいもので喉を労わってね。
喜多は、DMを開いて目を丸くした。
スクロールしても終わらない丁寧なメモ。
添付された動画リンクは、Lavielのプライベートストレージからで、タイトルまでわかりやすく整理されている。
さらに喉にいい飲み物のリストまで。
喜多はスマホを握りしめ、涙目になりながらLavielを見上げた。
「ラヴィさん…!これ…全部!?…いいんですか!?」
「俺たちと対バンするなら、いつまでも駆け出しのままじゃいられないだろ?だからこれ見て、もっと歌上手くなって、みんなを見返してやれ」
Lavielは、優しく笑った。
喜多は涙目になりながら、満面の笑みでお礼を言った。
「ラヴィさんありがとうございました!これ見て練習します!!!世界レベルの歌姫になってみせます!!!」
「おう 楽しみにしてるよ。まぁ…バッキングに関しては、ひとりちゃんかNaokIさんにでも教えてもらいな」
二人は笑い合いながら肉を焼き、会話を続けた。
喜多の胸には、Lavielの言葉とアドバイスが熱く刻まれていた。
◆
「虹夏ちゃん。ひとりちゃんをサポートギターに勧誘して、ライブに出した話……聞いたよ」
「あっあはは。今になって考えたら…あの時、ぼっ…ひとりちゃんだったからよかったけど…流石にギター持ってるだけで、いきなり初対面の人をライブに出演させるのは酷かったなって…ちょっと反省してます」
虹夏は箸を止めて、少し照れくさそうに笑った。
Kyoyaは、穏やかに笑いながら優しくフォローした。
「勢いがあっていいじゃん。そういうのも若者の特権だよ。俺たちも昔は無茶なことばっかりやってたからな」
虹夏は、Kyoyaの言葉に少しホッとして、頷いた。
「ありがとうございますKyoyaさん。……あの、Kyoyaさん。ひとりちゃんとは…昔から付き合い長いんですか?」
Kyoyaは、烏龍茶を飲みながら静かに頷いた。
少し感慨深げな表情で、ゆっくりと話し始めた。
「ああ、もう10年くらいになるね。NaokIさんほどじゃないけど、俺もひとりちゃんのことはずっと気にかけてた。ギターの腕はすごいけど…周りに友達がいなくて、ギターばっかり弾いてて、俺たちのライブにもしょっちゅう着いてきてたから…もっと友達と遊んだり、楽しいことがいっぱいあるのに……ひとりちゃんの貴重な時間を奪ってないかって…心配してたんだ」
虹夏は、Kyoyaの言葉に胸が熱くなった。
「……だから虹夏ちゃんが、ひとりちゃんをバンドに誘ってくれて…毎日楽しそうにしてるって聞いてホッとした。自分のことのように嬉しかったよ」
Kyoyaはグラスを置いて、虹夏に向き直った。
そして、虹夏に向かって深く頭を下げた。
「虹夏ちゃん。ひとりちゃんを【結束バンド】に誘ってくれて…本当にありがとう。ひとりちゃんは、虹夏ちゃんのバンドに入ってから…毎日楽しそうにしてるから、俺も安心した」
虹夏はKyoyaの言葉に胸が熱くなり、涙目になりながら笑顔で頷いた。
「Kyoyaさん…ありがとうございます…私、ひとりちゃんが毎日笑顔でいてくれるのが一番嬉しいんです…!これからも…絶対支えます!」
Kyoyaは満足そうに頷き、スマホを取り出した。
「じゃあ、俺からもエールを…虹夏ちゃんAir Dr○p受信できる?」
「え?あっはい!」
Kyoyaは、丁寧で死ぬほどわかりやすいメモを送り始めた。
ドラムの叩き方のコツ、改善点、いつもしている練習方法、レコーディングでの注意点……
虹夏目線に立った言葉で、細かく、優しく、詳細に。
さらに、Kyoyaの練習動画やおすすめのドラム練習動画のリンクも添付。
虹夏は、スマホを見て目を丸くした。
「Kyoyaさんこんなに丁寧に…!?…ありがとうございます…!!」
Kyoyaは、優しく笑った。
「……虹夏ちゃんのひたむきに努力する姿に、俺も心打たれたよ。だからこれ見て、もっと上手くなってくれ。俺も虹夏ちゃんのドラム楽しみにしてるから」
虹夏は、涙目になりながら満面の笑みでお礼を言った。
「ありがとうございますKyoyaさん…!!!今日のサウンドチェックの時といい、本当にお世話になりました!!【結束バンド】のドラマーとして、みんなを支えてみせます!!!」
そのあと二人は肉を焼きながら、ドラムの話で盛り上がった。
虹夏の胸には、Kyoyaの言葉とアドバイスが熱く刻まれていた。
◆
焼肉屋の個室は、笑い声と肉の焼ける音で温かく満たされていた。
みんなそれぞれ焼肉を堪能し、会話を弾ませながら、ライブの余韻を楽しんでいた。
直樹は、ひとりの皿にシャトーブリアンを乗せてやりながら優しく言った。
「ひとり、まだまだ好きなもの頼んでいいぞ。今日はお前たちのために来たんだから」
「うん。ありがとうお父さん」
ひとりは、父親相手なので特に緊張することなく、素直に頷いた。
シャトーブリアンを頰張りながら、幸せそうに笑う。
美味しそうに食べる娘の顔を見て、直樹は優しく頭を撫でる。
そして、ひとりは箸を置き、直樹の顔を見る。
「…お父さん、今日はありがとう。ライブに誘ってくれて…本当に嬉しかった…みんなと一緒に観れて…本当によかった…」
「……気にしなくていいよ。…それで、いい経験になったかな?」
「うん。【結束バンド】として…目指すべき目標が見えた気がする……お父さんたちの想い、ちゃんと届いたよ…」
「…ひとり……」
直樹は娘の笑顔を見て、先ほどの覚悟を決めた目を思い出した。
胸が熱くなり、涙を浮かべて号泣し始めた。
酒も入ってないのに、肩を震わせて。
「…ひとり…こんな立派になって………うわあああん!!!お父さん嬉しいよ〜!!!娘が【NEW GLORY】を…最高のバンドって言ってくれた〜!!お父さん幸せすぎて死ぬぅ〜!!!」
「おっお父さん!恥ずかしいから泣かないで!」
ひとりは、慌ててお父さんを慰めた。
虹夏たちは、その光景を見て、思わず苦笑い。
虹夏は、「NaokIさんって、こっちが素なのかな…?」と小声で呟いた。
マネージャーの●●は、微笑みながら「本当に親バカですね、NaokIさん」と言った。
【NEW GLORY】のメンバーたちも、NaokIを茶化すように笑った。
ある程度盛り上がり、そろそろお開きな雰囲気になった頃、直樹はひとりに改めて向き直った。
涙を拭き優しく、しかし力強く言った。
「対バン、楽しみにしてるよ。そして…僕たちも世界一になるから待っててくれ」
「!……うん!お父さん…私たちも負けない…!だから、待ってて…!」
ひとりはお父さんの言葉に強く頷いた。
そのあと、みんなで記念写真を撮った。
マネージャーの●●が喜多のスマホを構え、NaokIとひとりが中央に座り、虹夏、Kyoya、リョウ、RoÉ、喜多、Lavielが周りを囲む。
笑顔でピース。
シャッター音が響き、みんなの笑い声が広がった。
◆
お開きになり、マネージャーが虹夏たちの為にタクシーを呼んでくれた。
直樹は会計の前に、タクシー代として一人20万円ずつ、虹夏・喜多・リョウに渡した。
「これ、少ないけど。タクシー代に当ててくれ」
「え…えええ!? さすがにもらえないですよ!!!」
「そっそうですよ!ライブに招待してくれて、焼肉に連れてってくれただけでもありがたいのに…!!」
虹夏と喜多は慌てて手を振って断るが、直樹は笑って押し切った。
「気にしないで。ちょっとしたお小遣いみたいなもんだから。今日は来てくれてありがとう」
リョウはニヤニヤ笑って、嬉しそうに20万円を懐にしまった。
「ありがとうございます神様仏様NaokI様!!!!この20万は大切に使います!!…うへへ…!何に使おうかな…!」
「ほんっと現金だねリョウは……」
「あっ本当に気にしなくて大丈夫ですよ……お父さんからしたら、多分お菓子奢るくらいの感覚なので…」
「そういうことだから気にしないで…っと会計来たか……あれ?思ったより安いな」
「いくらですか?……42万ッ!!?……やっぱり、NaokIさんって規格外ね……」
直樹はそのまま伝票にブラックカードを乗せて、店員に差し出して会計。
3人はそのままお金を受け取り、タクシーに乗って家まで帰った。
ひとりと【NEW GLORY】のメンバーたちは、ホテルへ戻る車に乗り込んだ。
車は、夜の東京を走り続けた。
◆
翌日。
スターリーに集まった4人。
虹夏は、昨日の【NEW GLORY】からのエールを胸に、みんなを見回した。
「『未確認ライオット』10代アーティスト限定のロックフェス。ここからメジャーデビューする人もいるんだって。…これに出て、優勝を目指して…プロになるための足がかりにしよう!そして、皆の力をちゃんと証明しよう!……どうかな…!?」
リョウは、拳を握りしめて静かに頷いた。
「うん。みんなで出て…優勝目指そう」
喜多は、目を輝かせて言った。
「もちろんです!実は私も、その話を今日しようと思ってた所だったんです…!」
そしてひとりは、覚悟を決めた目で言った。
「【結束バンド】で…グランプリ獲りましょう!」
【結束バンド】全員の手が重なり、強く握り合う。
スターリーの小さなステージで、4人の決意が響き合った。
【結束バンド】の物語は、ここから本当のスタートを切った。
『未確認ライオット』への挑戦。
プロへの道。
ひとりの夢。
みんなの夢。
父娘の絆とともに。
メンバーたちの絆とともに。
これから、もっと大きく、もっと強く、みんなの心に届いていく。
スターリー開店以来、一番の騒ぎだった夜から、
一番の、奇跡と絆と感謝の続きが──今、動き始めた。
「ひとりちゃん。文化祭でダイブしてたらしいけど…危ないよ。打ちどころが悪かったら死ぬかもしれないから…もうやらないでね」
「あっ…ごめんなさい…もう……しません……」
「うん、分かればいいよ。これからもがんばってね」
「あっはい」
ちなみに、焼き肉屋の帰りにホテルに戻る道中の車の中で、マネージャーの●●が、ひとりが文化祭でダイブしたことを、小さい子に言い聞かせるように、優しく注意していた。
これでオリジナル回は終わりです。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!
…なんか、打ち切り漫画の最終回みたいな文章になってて草
あと虹夏ちゃんのドラムの助言のところは、サウンドチェックの時にやったので割愛しました。
次から原作ルートに戻り、結束バンドは徐々にレベルアップしていきます。
そして次回は、あのツンデレ先輩視点になります。