娘のバンドと対バンしたい   作:肉野郎

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ここ最近小説ばっか書いてて、アニメ見たりとかゲーム全然してなかったので、一気見したりゲームしてました。(フリーレン面白い)
今回一気に時系列飛びます。

それではどうぞ


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 あれから【結束バンド】は大躍進した。

 

 

 

 完成音源を受け取った後、すぐに『グルーミーグッドバイ』のMV撮影に取り掛かった。

 

 ファン1号とファン2号(美大の映像学科生)が全面協力。

 

 二人はカメラワーク・照明・編集のセンスが抜群で、【結束バンド】らしい雰囲気を完璧に捉えた。

 スタジオの機材を活かしたシンプルなセットに、スターリーの店内、公園のベンチ、下北沢の路地……日常の風景を織り交ぜ、虹夏のドラムが叩き出すビートに合わせて、喜多の歌声が響き、リョウのベースが低く唸り、ひとりのギターが感情を爆発させる。

 撮影は順調に進み、ファン1号が「ここでスローモーション!」と叫び、ファン2号が「照明もっと暖色で!」と指示を飛ばすたび、みんなで笑い合いながら完成させていった。

 

 完成したMVは即アップロード。

 シンプルながら心に刺さる映像と、4人の成長した演奏が融合した結果──プチバズり。

 

 数週間で『グルーミーグッドバイ』のMVは23万再生を突破し、SNSで拡散されフォロワーも急増した。

 

 

 路上ライブも、もはや緊張はほとんどなかった。

 下北沢の駅前は、夕暮れ時で人通りがピークを迎えていた。

 【結束バンド】の4人は、いつものように簡易的な機材を広げ、ひとりがSchecterを肩にかけ、虹夏がドラムパッドをセット、リョウがベースを構え、喜多がマイクスタンドを立て声を上げた。

 

 

 「【結束バンド】です!よろしくお願いしまーす!それじゃ1曲目聴いてください!」

 

 

 周囲の通行人がチラチラと視線を寄せる中、虹夏がスティックを軽く叩いてカウントを取る。

 イントロのドラムが響いた瞬間、喜多のクリアなボーカルが通りを抜け、ひとりのギターが感情を乗せて絡み、リョウのベースが低く唸った。

 『グルーミーグッドバイ』のメロディが、下北沢の雑踏に溶け込みながらも、しっかりと耳に届く。

 

 最初は数人の通行人が足を止めただけだったが、徐々に人が増えていく。

 スマホを構える人、立ち止まって聴き入る人、友達を呼び止める人……

 気づけば、演奏の周りに40人、50人と人だかりができていた。

 動画を撮る人が増え、SNSにリアルタイムでアップされる。

 コメントとリトゥイートが連鎖し、フォロワーが少しずつ増えていく。

 物販コーナーには、デモCD(20枚)と【結束バンド】の結束バンドが並べられていた。

 最初は誰も触らなかったが、演奏がサビに入ると、一人、また一人と手に取る人が現れる。

 20枚用意したデモCDは、あっという間に売り切れ。

 結束バンドも10本ほど売れ、投げ銭の箱には8000円近くのお金が溜まった。

 

 その勢いに乗って、【結束バンド】は他の路上ライブスポットにも足を運んだ。

 

 東京のおすすめスポット──渋谷TSUTAY○前、原宿竹下通り入口、秋葉原電気街口、新宿歌舞伎町広場前、池袋○口公園など。

 渋谷TS○TAYA前では通りすがりの若者たちがスマホを構え、原宿竹下通り入口では観光客が足を止め、新宿歌舞伎町広場前ではホストが演奏に耳を傾け、秋葉原電気街口ではオタク層が動画を撮りまくり、池袋西○公園ではカップルが手を繋いで聴き入った。

 どの場所でも20〜30人ほどの聴衆が集まり、動画を撮る人や物販に手を伸ばす人も増え、フォロワーと投げ銭が少しずつ積み上がっていった。

 

 虹夏のリズムはさらに安定し、喜多の声は通りを抜け、リョウのベースは低く響き、ひとりのギターは感情を乗せて飛ばす。

 

 着実にファンを増やしていき、東京の街角で【結束バンド】の音が、少しずつ広がっていった。

 

 

 新学期が始まってすぐの頃──ひとりと喜多は高校2年生、虹夏とリョウは高校3年生──

 

 【結束バンド】は池袋のライブハウスからブッキングライブの招待を受けた。

 

 ホームのスターリーや以前のFOLTとは違い、全く知らない箱。

 客層も雰囲気も下北沢とは異なり、完全にアウェーな環境だった。

 それでも「実力を試したい」という思いで、4人は参加を決めた。

 

 ライブ当日。

 

 池袋のライブハウスは、下北沢の温かみのある空気とは違い、クールで少し緊張感のある雰囲気。

 ジャンルはバラバラで、トップバッターは弾き語りを始めたばかりの哀愁漂うおっさん(カツラが微妙にズレてる)。

 その次は地下アイドル【天使のキューティクル】、デスメタルバンド【屍人のカーニバル】…ジャンルがバラバラすぎて、客層も完全に分断されている。

 好きなグループの出番以外は、ノリについていけずスマホをいじったり、壁に寄りかかってぼーっとしている人がほとんど。

 

 ブッキングマネージャーはスケジュール埋めのためにたまたま目についたバンドを適当に呼んだだけで、【結束バンド】のことをほとんど考えていない様子だった。

 

 客層が全く異なるブッキングライブに、困惑する虹夏は数日前の出来事を思い出す。

 数日前の出来事──虹夏は池袋のブッキングライブ招待を星歌に喜んで報告したが、星歌は「まだスターリーだけでいいんじゃないか?」と芳しくない反応。

 虹夏は姉が自分たちを侮っていると思い、拗ねて聞き入れなかった。

 

 そしてライブ当日──ご覧の有様で会場の空気は微妙だった。

 

 虹夏はステージ袖で震えながら後悔が溢れ、ポロポロと涙がこぼれた。

 虹夏はみんなに謝り始めるが、リョウがすかさずチョップで話を遮る。

 

 

 「なに?思ってたライブじゃなかったから責任感じてんの?今更その程度で萎える私たちな訳ないじゃん。むしろここにいる全員私たちのファンにしてやりゃいいんだよ」

 

 「……リョウ…」

 

 

 そしてひとりは真っ直ぐな目で、直樹がかつて台風ライブの前に言ってくれた言葉を、虹夏に伝えた。

 

 

 「虹夏ちゃん。私たちは近い将来…【NEW GLORY】と対バンするんです… どんな逆境や向かい風でも…【結束バンド】の音で、興味のないオーディエンスの視線…全部掻っ攫ってやりましょう…!」

 

 「ぼっちちゃん……」

 

 

 虹夏は涙を拭き、気合を入れ直した。

 顔を上げ拳を握り、先ほどの迷いはどこかに飛んでいった。

 

 虹夏のカウントで演奏が始まった。

 最初の一曲が鳴り響くと、最初は静かだった客席が少しずつ動き始めた。

 喜多の声が会場を包み、虹夏のリズムが刻まれ、リョウのベースが支え、ひとりのギターが飛ばす。

 デスメタルファンは虹夏のドラムの安定感やひとりのギターテクに見惚れ、アイドルファンが喜多の美声やリョウのベースに目がいき、弾き語りおっさんがカツラを直しながら頷く。

 

 サビで拳を上げる人が現れ、終盤には会場全体が一体に。

 ラスト一曲で『グルーミーグッドバイ』を披露し、誰も帰らず最後まで残った。

 

 ライブは大成功。

 

 物販に人が殺到し、SNSには【結束バンド】を賞賛する投稿が溢れた。

 

 

 そして未確認ライオット用の曲『グルーミーグッドバイ』のデモ審査は無事通過し、ネット審査まで進んだ。

 MV公開、路上ライブの積み重ね、池袋でのアウェーライブでの大成功……すべてが実を結び、【結束バンド】は実力も知名度も着実に上昇。

 【結束バンド】のトゥイッターフォロワー数は3万人を突破し、ヨヨコ個人のトゥイッターフォロワー数をあっさり抜いてしまった。

 ネット投票の結果発表の日。

 公式サイトが更新され、ランキングが表示された。

 

 

 【結束バンド】

 

 ・中間結果発表→7位

 

 ・最終結果発表→6位

 

 

 半年ほど前、まだ無名に等しかったバンドが、トップ10入りを果たしたのだ。

 

 

 『やったー!!!!』

 

 

 虹夏はスマホの画面を見て 目を潤ませながら可愛く飛び跳ね、喜多は飛び跳ねて「やったー!」と喜び ひとりに抱きつき、リョウは無表情のまま小さく頷き、ひとりは喜多を抱きしめ返しながら涙目で微笑んだ。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 美大の食堂は、昼休みの喧騒で賑わっていた。

 ファン1号とファン2号は、テーブルにスマホを並べて座っていた。

 1号が【結束バンド】の話を切り出して、スマホを見ながら話に花を咲かせていた。

 

 

 「いや〜っそれにしても6位って…【結束バンド】半年で本当にすごくなったよね〜!私たちが撮ったMVも57万再生超えたし、私たちも誇らしいよ〜!」

 

 

 1号は興奮冷めやらぬままスマホを握りしめ、SNSのコメント欄をスクロールする。

 ファン2号は、トレイの残りを箸でつつきながら、1号の興奮を横目で見ていた。

 

 

 「…………うん…」

 

 「…?何かテンション低いじゃん?」

 

 

 1号は喜んでいるのに、2号のテンションは明らかに低い。

 箸を止めて、ため息混じりにぼそぼそと呟き始めた。

 

 

 「これからどんどん認知されて、新規ファンが増えていくんだろうね…それは嬉しい事だけど…」

 

 「?」

 

 

 2号はオーチューブを開き、【結束バンド】の『グルーミーグッドバイ』のコメント欄を見ながら、ゆっくりと話し始めた。

 目はどこか虚ろで、言葉が少しずつ重くなっていく。

 

 

 「動画サイトで一番再生数が多い曲聴いただけの人が『ファンです!』って名乗ってそんな人たちがライブに来るからチケットも入手困難になって…現にこの前のスターリーのライブ…初めて一番後ろだったし…」

 

 「え? ちょ……大丈夫……?」

 

 

1号が心配して声をかけるが、2号は聞こえていないように続ける。

声がだんだん小さくなり、呪文のようにぶつぶつと。

 

 

 「この前までゼロ距離で観れてた皆が、いつの間にか豆粒程度の距離しか見えなくて…この前のライブで一気に遠い存在に感じちゃったし。新規の参入によって民度が低下し、それに対して私達が少しでも苦言を呈そうものなら『老害』とか『バンドを潰すのは古参ファン』とか…袋叩きにされて腫れ物扱いされちゃうんだ…」

 

 「あっあの〜……聞いてる?」

 

 

 1号はスマホを置いて、2号をまじまじと見た。

 

 

 「わーん!!私達だけが知ってる秘密のバンドだったのに〜!!」

 

 「着実にこじらせファン化していってる!」

 

 

 2号は急に涙目になり声を上げ、テーブルに突っ伏した。

 額をテーブルに押しつけ、両手で頭を抱えて、ぶつぶつと呟き続ける。

 

 

 「……MV完成した後、みんなに感謝されたのが…今じゃ昔みたいに思えるよ。あの時ひとりちゃんが『1号さん2号さんのおかげです』って…人見知りなのに、あんなに近くで話してくれて…嬉しくてつい抱きついちゃって…そしたらひとりちゃんも抱きしめてくれて…今はもう…遠い……」

 

 「そういえば… MV撮影の時、ひとりちゃんが持ってきてくれた機材…プロ仕様のカメラですごかったよね。三脚も照明も全部業務用だったし…」

 

 「うん…覚えてるよ。しかもひとりちゃん…私たちよりもカメラや機材の扱い上手かったね…あれ私たち、本当に必要だったのかな?」

 

 「それは言わないの!それにみんな喜んでくれてたじゃん!ひとりちゃんも『1号さん2号さんありがとうございます』って…私たちにちゃんとお礼言ってくれたし」

 

 「……そうだね」

 

 

 2号はテーブルに突っ伏したまま、ぼそぼそと返事。

 1号はさらに勢いづいて、身を乗り出す。

 

 

 「でさ、撮影終わった後の打ち上げでJOJO苑の高級焼肉行ったじゃん?6人で高級肉ばっかり頼んで20万超えたのに…ひとりちゃんが『お父さんがこれで1号さん2号さんと美味しいものでも食べてきなさい』って焼肉代出してくれて、流石にヤバかったよね」

 

 「……いや、それよりもその後のがヤバかったよ…」

 

 

 2号は、テーブルに額を押しつけたまま、小さく呟く。

 1号がスマホを握りしめながら、思い出したように口を開いた。

 

 

 「あれか……ひとりちゃんが焼肉代とは別に『お父さんから、1号さん2号さんへのお礼です』って封筒渡してきて、中身見たら50万円入っててびっくりしたよ。NaokIさん…お礼に対してのリターンがデカすぎる」

 

 

 1号は目を細めて、遠くを見るように呟いた。

 2号はテーブルに頰杖をつき、静かに頷いた。

 

 

 「さすがに額が額だったから受け取れないって言ったのにひとりちゃんが…『お父さんが路上ライブでの感謝の気持ちとMV撮影のギャラだから絶対渡して欲しいって…』って中々譲らなかったよね…」

 

 「そうだね。……話逸れたけど…もうあんな風に一緒にご飯行ったり、ファンサしてもらったりとかなくなって……これからもっと遠くなるんだろうな……」

 

 

 1号は、2号の肩を抱き寄せ、優しく言った。

 

 

 「例えファンが増えても、一番のファンは私たちだよ。新規が増えたって私たちは最初からいたんだから。【結束バンド】の子たちやひとりちゃんは…私たちを無碍にするような子じゃないよ…」

 

 「…………」

 

 「それに、ひとりちゃんが心の支えになってくれて嬉しかったって言ってたじゃん。NaokIさんが来た時のこと覚えてる?あの時ひとりちゃん…顔真っ赤にして『1号さん2号さんのおかげで私がんばれました』って…あれ本心だよ。私たちは、ずっと一番近くにいるよ…」

 

 

 2号は、ゆっくりと顔を上げた。

 目が少し潤んでいるが、表情が少し和らいでいる。

 

 

 「…うん。そうだね……私がこじらせてるだけだ…これからも…【結束バンド】の…ひとりちゃんの一番のファンでいるよ」

 

 「そーそー、その意気だよ。それに今日もライブあるし整番も一桁だから楽しも!」

 

 

 二人は食堂の喧騒の中で、静かに拳を合わせた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 ライブの打ち上げ後、【SIDEROS】の4人はヨヨコの奢りでJOJO苑にやって来た。

 

 店内は上質な木の香りと炭火の煙が漂い、テーブルには最高級の黒毛和牛やホルモンが並ぶ。

 ヨヨコはメニューを見ながら内心で(私の財布終わった…)と後悔しつつも、表面上は余裕の笑顔で「今日は私の奢りよ!好きなだけ食べなさい!!」と宣言していた。

 

 

 話は自然と未確認ライオットのネット投票結果に移った。

 

 ちなみに【SIDEROS】は中間・最終、共に1位に輝いた。

 ヨヨコのリーダーシップとバンドの完成度が、ネット投票でも反映された形だ。

 

 

 「まぁ…当然の結果よね!この私が率いてるんだから、1位以外なんてありえないわよ!」

 

 (とか言って結果発表の時、凄くソワソワしてたわよね〜)

 

 (そして1位って分かったら、超笑顔だったよね♫)

 

 (本当にヨヨコ先輩、素直じゃないっすよね…)

 

 

 ヨヨコはグラスを傾けながら、当然のように胸を張り、3人は温かい目でヨヨコを見ていた。

 あくびは思い出したかのように、自然と【結束バンド】の話に切り替えた。

 

 

 「でもそれ以上に【結束バンド】の上がり方えぐいっすよね。6位っすよ6位。半年前まで無名もいいとこだったのに」

 

 「確かに〜!【結束バンド】のみんなも喜多ちゃんもめちゃくちゃ上手くなってたよね〜!私『グルーミーグッドバイ』のMVずっと鬼リピしてるもん!」

 

 「幽々も虹夏ちゃんが家に来た時にCDもらってから、毎日聴いてるわ〜。曲もよかったけど、MIXのクオリティすごかったわよね〜」

 

 「あぁそれ分かります。あれ絶対プロのエンジニアがやりましたよね?明らかに一発撮りのクオリティじゃありませんでしたもん」

 

 「だね〜。明日虹夏ちゃん家でタコパするから、その時に聞いてみる?」

 

 「そうね〜。それより虹夏ちゃんの家初めてだから、楽しみだわ〜」

 

 「ウチは今回で2回目っすね。前にふーちゃんと虹夏ちゃんと喜多ちゃん4人で下北に集まって、夜通し遊んでたら終電すぎちゃって、泊めてもらいました」

 

 「幽々ちゃん、金欠だからって誘い断ったもんね〜。今度は幽々ちゃんも行こ〜♪」

 

 

 ヨヨコは、箸を止めて固まった。

 

 

 「え?CD…?私…もらってない……」

 

 「「「あっ…」」」

 

 

 3人が一瞬でヨヨコの方を向いた。

 ヨヨコは自分だけ蚊帳の外だった事に、内心で少しショックを受けながらも、表面上は平静を装って。

 

 

 「ふっふん…!別にいいけど…!私はそんなもん…いらないし……」

 

 

 だが、ヨヨコの目が少し潤んで声が震えているのが、3人にはバレバレだった。

 

 

 「だ…大丈夫ですよ!ヨヨコ先輩!明日虹夏ちゃんに、ヨヨコ先輩の分のCDもらえないか聞いてくるんで!」

 

 「別にいいし……興味ないし…」

 

 (あっ拗ね出した…これ厄介なパターンだ…)

 

 

 楓子が慌てて慰めるが、ヨヨコは聞く耳を持たず拗ね始めた。

 そしてヨヨコは、【結束バンド】のフォロワーとMVの再生数の事も思い出した。

 

 

 「……そういえば【結束バンド】のトゥイッターのフォロワー、もう3万超えてる…私コツコツ頑張ってようやく1万なのに…半年で3万って何?横スタレベル?MVも57万って何?どうやったらあんなに伸びるの?………いやいや、あくまでも【結束バンド】のアカウントの話だし、私は単独で1万だし…MVの再生数もまだ私たちの方が上だし……」

 

 

 ヨヨコは高級和牛を頰張りながら、スマホをチラチラ見ていたが、急に肩を落とした。

 あくびも肉を箸でつまみながら、呆れた顔でヨヨコを見る。

 

 

 (ヨヨコ先輩、また数字に囚われてる。…とりあえず喜多ちゃんのイソスタ、もう7万人超えてる事は黙っておこ…)

 

 「うぅ…私1位なのに…なんか悔しい……」

 

 

 ヨヨコは、ますます凹んでテーブルに突っ伏した。

 あくびは、そんなヨヨコを見てため息をつき、スマホを取り出した。

 

 

 「ヨヨコ先輩。これ見てください」

 

 「…ん?」

 

 

 画面には、【NEW GLORY】の国立競技場公演(2日目)の当選メールが4人分表示されていた。

 ヨヨコは、目を丸くして飛び起きた。

 

 

 「え!? これ【NEW GLORY】の!? しかも国立当選!?どうしたのこれ!?」

 

 

 あくびは、平然と肉を口に運びながら。

 

 

 「ヨヨコ先輩。去年あたりからずっと【NEW GLORY】の曲ばっかり聴いてたでしょ?アルバムもグッズも買ってたしファンだと思って…ウチらも【NEW GLORY】のファンなんで、丁度いいかなってチケット4人分買っておきました」

 

 「嘘…私…全公演落選したのに…」

 

 「なんだかんだでヨヨコ先輩には世話になってますし、みんなで行きましょう。チケ代はウチの奢りっす」

 

 

 ヨヨコは、感極まって可愛い笑顔を見せた。

 目が潤み、頰が赤くなる。

 だがいつものツンデレが発動し、見栄を張るヨヨコ。

 

 

 「べ、別にファンじゃないし…!そんなに嬉しくないんだからね!でっでも、そんなに着いてきて欲しいなら考えなくもないけど…!」

 

 「じゃあいいっす。虹夏ちゃんか喜多ちゃん誘います」

 

 「ああ!!嘘です!行きます!行かせてください!!」

 

 

 あくびがあっさり引くと、ヨヨコは慌てて手を振り誘いに乗る。

 楓子と幽々は、笑いながら肉を頰張った。

 ヨヨコは、顔を真っ赤にしてテーブルに突っ伏したが、口元は緩んでいた。

 

 

 「…ふん!…仕方ないから行ってあげる…!でも…楽しみかも」

 

 

 4人は、焼肉の煙の中で笑い合い、未確認ライオットの結果と、これからの挑戦を語り合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方──

 

 直樹は死にかけていた。

 

 




ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!
今回かなり結束バンドは成長して、見事結果を残せました。
SIDEROSも原作よりブーストが掛かって1位です。

次回はぼっちパパと美智代さんの出会いの話になります。
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