娘のバンドと対バンしたい   作:肉野郎

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今回はぼっちちゃんがギターを購入する回です。
江の島、SICK HACKのライブ、文化祭ライブのところは、原作と大して展開が変わらないので、大幅にカットしました。期待してた方すみません。

それではどうぞ


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 台風ライブから、数ヶ月が経った。

 

 

 

 ひとりは少しずつ、でも確実に前に進んでいた。

 

 

 

 夏休みの最終日に【結束バンド】全員で江ノ島に行き、仲間との絆を深め。

 

 文化祭の個人ステージに、喜多の計らいで【結束バンド】が出演することになったり。

 

 【SICK HACK】の新宿FOLTライブに参戦して、きくりのステージに圧倒され、決意を新たに文化祭ライブに挑み。

 

 そして文化祭ライブでは、ひとりのギターが機材トラブルで、チューニングが安定せず、ペグが故障し、音が途切れるハプニングもあったが、喜多のアドリブのソロや、虹夏とリョウの演奏で場を繋ぎ、ひとりは土壇場でボトルネック奏法で乗り切って、大成功。

 

 曲終わりのMCの際、喜多に無茶振りの一言を求められ、色々考えた結果、勢いで客席にダイブして失敗。

 

 そして、例のダイブの所をSNSに晒されて、ネットでバズったりするが、それはまた別の話。

 

 色々あったけど、時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 直樹は、久々のオフで家族全員揃っていた。

 

 今回はフレーズを考えたり、ネタのストックも作らず、本当に一日中のんびり過ごしていた。

 

 

 

 直樹はふたりを肩車して、広いリビングを駆け回って遊んでいた。

 ふたりは父の肩車でキャッキャ笑い、ジミヘンは足元で尻尾を振っている。

 美智代は紅茶を淹れながら、その光景を優しく微笑んで見ている。

 

 

 ひとりは、少し離れたところでギターケースを抱えて立っていた。

 ケースの中のギターは、ライブで少し傷がついてしまっていた。

 

 ひとりは、深呼吸して、勇気を出した。

 

 

 「お父さん…ちょっといい?」

 

 「?どうしたひとり?…ごめんふたり。ちょっと、お姉ちゃんとお話していいかい?」

 

 「えー!?おとーさんまだあそんでー!」

 

 「大丈夫だよ、すぐ終わるから。…それで、どうしたんだ?…というか大丈夫か?顔色悪いぞ?」

 

 

 直樹はふたりを肩から下ろし、ひとりからの話を待つ。

 ひとりは、目を逸らしながら、ギターケースを差し出した。

 

 

 「お父さん、ごめんなさい。……お父さんから借りたギター…ライブで壊してしまいました…」

 

 

 直樹は、ひとりからギターケースを受け取り、ソファに座った。

 直樹はケースを開け、傷を確認した。

 確かにペグが壊れていた。

 でも、直樹は穏やかに微笑んだ。

 

 

 「大丈夫だよ。ペグが壊れただけだし、修理すれば使えるから心配しなくていいよ。ギターなんて、弾いてるうちに傷つくものだ。それに……お前が頑張ってる証拠だろ?」

 

 

 直樹は気にしないでいいと、ひとりを励ます。

 だがひとりは、涙目で首を振った。

 

 

 「…でも、このギター。私にとって特別で……5歳の時……初めて【NEW GLORY】のライブで、お父さんが弾いてたギターで……私に貸してくれるまで……色んなドームやスタジアム、ワールドツアーでも使ってて……フレーズ考える時も、いつも使ってたし……たくさん思い出が……」

 

 

 直樹の目が、優しく細められた。

 

 大切に使ってくれた娘の姿を思い出し、胸が熱くなる。

 

 

 「……ありがとう、ひとり。お前がこのギターを大切に使ってくれて……お父さん、すごく嬉しいよ。傷ついたって……お前の音が刻まれてる証拠だ」

 

 「……お父さん……」

 

 

 ひとりは、直樹の言葉に、涙をこぼした。

 

 

 「…丁度よかった。ひとり、渡したいものがあるから…ちょっと待っててくれ」

 

 

 直樹は、ひとりの頭を撫で、そのまま引き出しに向かい、通帳を取り出した。

 

 

 

 後藤ひとり名義の、通帳とキャッシュカード。

 

 

 「これを機に、ひとりも自分のギター買ったらどうだ?自分で買ったギターだと、愛着湧くぞ。とりあえず受け取ってくれ」

 

 「え?う、うん」

 

 

 ひとりは直樹から通帳を受け取り、開いた。

 

 残高の欄に、並んだ数字。

 

 

 

 

 

 

 

 2226万7920円

 

 

 

 

 

 

 

 「……え……?」

 

 

 

 ひとりは、涙が一瞬で引っ込み、固まった。

 

 通帳を二度見、三度見、四度見。

 

 残高欄に並ぶ数字──2226万7920円──が、現実味を帯びてくるにつれ、顔がどんどん青ざめていく。

 

 

 「……2……2千万!!!!?」

 

 「びっくりしたか? まあ、2千万って数字だけ見たらそうなるよな」

 

 

 ひとりは、申し訳なさそうに顔を上げた。

 

 

 「おっお父さん…!こんなのもらえないよ!お父さんには、いつもお小遣いもお年玉も……ものすごい金額もらってるのに……これ以上は……!」

 

 

 そこに、美智代が入ってきた。

 直樹の横にピッタリとくっついて座り、優しく言った。

 

 

 「ひとりちゃん。これは、ひとりちゃんが稼いだお金よ。お父さんは、それを管理してただけ」

 

 「私が……稼いだ……?」

 

 

 ひとりは目を丸くした。

 直樹は頷きながら、ゆっくり説明した。

 

 

 「ギターヒーローのチャンネル、2年くらい前から広告をつけてたんだ。最初は趣味で上げてただけだったけど、登録者が100万人超えて、再生数がどんどん伸びて……海外の視聴者も多かったから、広告単価も結構良かった」

 

 「オーチューブ側で手数料45%引かれるけど、それでも2年間で5億再生以上だから、かなりの金額になる。ただ、日本だと所得税と住民税がかかるし、確定申告も必要だろ?」

 

 「だから僕がずっと雇ってる税理士に全部任せたんだ。源泉徴収の計算から、経費の計上、節税の対策まで、全部やってくれてる」

 

 「つまり、ひとりは何も手続きしなくていい。税金も、もう引かれた後の金額がここに入ってる状態だよ」

 

 

 ひとりは、ますます目を丸くした。

 

 

 「……税理士さん……?経費……?私……何もしてないのに……」

 

 

 直樹は、笑って続けた。

 

 

「大丈夫だよ。こういうのはプロに任せとけば間違いない。ひとりは、自分の音楽に集中してればいいんだ」

 

 

「これは…ひとりが自分の力で、真っ当に稼いだお金だから…好きに使っていい」

 

 

 美智代が、優しく付け加えた。

 

 

 「ギターを買うのもいいし、ひとりちゃんの欲しいものに使ってもいい……ひとりちゃんが幸せになることに使ってくれたら、お父さんもお母さんも嬉しいわ」

 

 

 ひとりは、通帳を胸に抱きしめた。

 涙が、ぽろぽろとこぼれる。

 

 

 「……ありがとう……お父さん、お母さん……私……大事に使う……新しいギター買って……もっと……みんなを熱狂させる……」

 

 

 直樹は、ふたりを再び肩車しながら、笑った。

 

 

 「ひとりがどんなギター買うか、お父さん楽しみにしてるよ」

 

 

 ひとりは、涙を拭きながら力強く頷いた。

 

 

 「…うん…!…楽しみにしてて…!」

 

 

 直樹は思い出したかのように、軽く付け加えた。

 

 

 「それにお父さん、2千万程度なら稼ぐのに半日もいらないから、本当に気にしなくていいよ」

 

 「ねーおとーさん!はやくあそんでー!」

 

 「おぉごめんごめん。それじゃ行くぞふたり!!後藤直樹号!発進!!」

 

 「きゃー!おとーさんもっとはやくー!」

 

 「よっしゃー!5000馬力だー!!」

 

 「きゃー!はやーい!」

 

 「ワンワン!」

 

 「ふふっ♪転ばないようにね〜」

 

 

 そのまま直樹はふたりを肩車して、再びリビングを走り回り、ジミヘンも尻尾を振りながら追いかけた。

 

 美智代は微笑みながら、優しく見守っていた。

 

 家族の笑い声がリビングに響き、いつもの家族団欒の光景に戻った。

 

 そんな中、ひとりは改めて思った。

 

 

 (……お父さん…流石に規格外すぎる…!やっぱり年収数百億近くあるっての…本当なんだ…!)

 

 

 ちなみに直樹の年収は、ライブの収益、CDの印税、ストリーミング・ダウンロード収益、カラオケ印税、2次利用(CM・番組タイアップ)、色んなアーティストへの楽曲提供で長期に渡る不労所得もあり、9月の中旬時点で、とっくに年収580億円(手取り)を超えていた。

 

 ひとりは通帳を大切に抱きしめながら、父親の凄さを改めて実感した。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 「この辺の店はいろ〜。お姉ちゃん昔ここでバイトしてたんだよ!」

 

 「あっはい」(入りたくない…)

 

 

 

 ひとりは50万ほど財布に入れ、ギターを買う決意をした。

 

 【結束バンド】のメンバーたちに相談すると、虹夏が即座に「楽器屋さんに行こう!」と提案。

 ひとりは通販サイトで買おうと思っていたが、虹夏に、実際に触って選ぶのがいいと押し切られ、流されるまま楽器屋に行くことになった。

 

 

 (楽器屋さんの店員怖そうだし、もし話しかけられたりしたら…)

 

 

 『お前このギター選ぶとかなかなかのセンスじゃん?』

 

 『洋楽とか聴く?…ほー、センスあンじゃねェか!じゃあこのヘビィメタルバンドは当然知ってンよなァ?…あン、知らねェだと!?(バラ)すぞ!!!』

 

 

 ひとりの妄想が暴走し、顔がどんどん崩壊していく。

 ひとりは震えながら、ある作戦に出る。

 

 

 (イヤホンつけてノってるふりすれば、話しかけられないはず…!)

 

 

 そして、ひとりはイヤホンを装着し、本当にヘドバンしながら入店した。

 

 

 「ピックってこんなに種類あるんですね〜」

 

 「これとか可愛くない?」

 

 「イヤリングに加工しちゃおうかな〜」

 

 「いいね~それ♪」

 

 

 虹夏と喜多は、ひとりのいつもの奇行だと無視して、ウィンドショッピングを楽しむ。

 

 

 (楽器みろや…)

 

 

 そんなカオスな光景を目にしたリョウは、全員に静かにツッコミを入れた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 ひとりは店内を歩き回っていた。

 

 店内はプロ仕様のギターが壁一面に並び、試奏ブースからあちこちで音が鳴り響いている。

 ひとりは最初、店員の視線が怖くて縮こまっていたが、ギターの美しさに少しずつ目を奪われていく。

 

 Fenderのストラトキャスター、GibsonのLes Paul、PRSのカスタムモデル、ESPのシグネチャー…

 いろんなギターを手に取っては、軽く弦を弾いてみる。

 でも、心のどこかで「これじゃない……」と感じていた。

 

 

 

 そんな時──棚の奥に、一本のギターが目に入った。

 

 

 

 

 

 Schecter PA-SX (2013年モデル)

 

 

 

 

 

 アルダーボディにメイプルネック、Ebony指板を採用し、EMG 81/85アクティブピックアップを搭載。

 

 ブリッジはFloyd Rose Originalで、ハイゲインサウンドに特化した仕様。

 

 ボディトップは、美しい杢目が浮き出るキルテッド・メイプルが採用されており、高級感のある質感で、グラデーションは、ボディ中央が鮮やかなエメラルドグリーンで、外周に向かって色が濃くなるバースト塗装が施されている。

 

 価格は当時新品で20万円前後だったが、中古市場では希少性が高く、状態の良いものはプレミアがついている。

 

 

 

 ひとりは、思わず息を飲んだ。

 

 

 (これ、確かSchecter…お父さんが、特に気に入ってるメーカーの……)

 

 

 店員が、優しく声をかけてきた。

 

 

 「お客様、試奏されますか?このモデル、かなり希少で状態も良いんです。EMGピックアップ搭載で、ディストーションが抜群に効くんですよ」

 

 「……は、はい……」

 

 

 ひとりは、緊張でガチガチになりながら、頷いた。

 ギターを手に取り、アンプに繋ぐ。

 最初は指が震えて、音が掠れる。

 

 

 でも──弦を弾いた瞬間、音が響いた。

 

 

 重厚で、鋭くて、でもどこか優しいトーン。

 

 EMG 81のブリッジポジションがもたらすハイゲインの歪みが、脳に直撃するようなパンチのあるサウンド。

 

 EMG 85のネックポジションは、クリーンでウォームな響きを保ちつつ、ソロで伸びやかなサスティンを生む。

 

 ラウドロックやメタルコアに最適で、高速リフやブレイクダウンにぴったりなエッジの効いた音色。

 

 ボディの軽さとネックの滑らかさが、速弾きを容易にし、Floyd Roseの安定したチューニングが、激しい演奏でも音を崩さない。

 

 

 ひとりの心が、一気に引き込まれた。

 

 

 「……あ……」

 

 

 ひとりは、目を閉じた。

 

 自分の世界に入り、いつもの調子で弾き始めた。

 

 指が弦を滑るように動き、感情を乗せたピッキング。

 

 速いパッセージも、正確で、でも心がこもっている。

 

 あの路上ライブで感じた感覚が、蘇る。

 

 

 音が、店内に響き渡る。

 

 

 

 虹夏、喜多、リョウは、他のギターを見ていたが、その音に気づいて、慌ててひとりの元に駆け寄った。

 

 【結束バンド】の3人は、目を丸くして立ち止まった。

 

 

 「ぼっちちゃん!?えっ!?この音ヤバい!いつもよりキレてて、ストロークの切れ味がいつもと違う!」

 

 「え……これ……ひとりちゃんの音……!?いつも練習の時と全然違う!メロディが心に響く…ひとりちゃんすごい!」

 

 

 虹夏は目を丸くして立ち止まり、喜多は息を飲んで見つめた。

 

 そしてリョウは、腕を組んで静かに見つめ、珍しく目を細めた。

 最初はクールに聞いていたが、ひとりのピッキングの細かなニュアンスに気づき、内心で驚愕した。

 

 

 (このトーン、EMGのアクティブピックアップのハイゲインを完璧に活かしてる。ネックポジションのウォームなサスティン、ブリッジのエッジの効いた歪み。速弾きのフィンガリングが、指板の滑らかさを最大限に使ってる。Floyd Roseの安定したチューニングで、ビブラートが全く揺れない……いつも練習の時は抑え気味だったのに……これがぼっちの実力か……私のベースも、このギターに負けないように、もっと磨かないと……曲作りと並行して、もっと自主練の時間を増やそう…)

 

 

 ひとりは、完全に自分の世界に入っていた。

 

 ギターソロを弾き切り、最後の音を響かせて、静かに弦を止めた。

 

 店内が、一瞬静まり返った。

 

 店員が、目を丸くして拍手した。

 

 

 「お客様凄いですね!!こんな上手い人、初めて見ましたよ!!」

 

 「えっ!?あっいや〜、へへ…あっありがとうございます…うへへ…」

 

 

 ひとりは驚きつつも、褒められたことが嬉しくなり、顔がニヤケ始める。

 

 【結束バンド】の3人も、ひとりの腕前に感服する。

 

 

 「ぼっちちゃんすごいすごい!!本当にカッコよかったよ!!このギターにしなよ!」

 

 「ひとりちゃん、ソロだとこんなに上手だったのね!それにこのギター、ひとりちゃんにぴったり!あと緑のグラデーションも綺麗だし!」

 

 「やっぱり私の目に狂いはなかった。このギターは、ぼっちが買うべきだと思う」

 

 

 ひとりは、みんなの賞賛に、恥ずかしがりながらも、承認欲求が満たされて、ご満悦。

 

 小さな笑みが、口元に浮かび、決意する。

 

 

 

 「……このギター、買います……」

 

 

 

 店員は、笑顔で頷いた。

 

 

 「かしこまりました。大切に使ってくださいね」

 

 「あっはい!」

 

 

 そのあとひとりは、支払いを済ませ、新しいギターを抱きしめた。

 ケースに入れてもらい、一目散に店を出る。

 いつものコミュ症が発揮され、店員さんにもメンバーにも「ありがとうございます……」と小さく呟くだけで、素早く外へ出る。虹夏たちは、笑いながら追いかけた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 ひとりは、家に着くなり靴を脱ぎ捨てて、地下スタジオに向かった。

 

 新しいギターケースを胸に抱きしめ、息を切らしながら地下スタジオのドアを開ける。

 

 いつものスタジオの匂い、弦の金属臭が迎えてくれる。

 

 ひとりは、ケースをそっと床に置き、ストラップを肩にかけた。

 

 

「かっかっこいい…!」

 

 

 Schecter PA-SX

 

 バースト塗装された、エメラルドグリーンのグラフィックが、照明に照らされてキラキラと輝く。

 EMG 81/85のピックアップが、静かに光を反射している。

 

 ひとりの目は、キラキラと輝き始めた。

 まるで宝物を見つけた子どものように。

 

 

 「これが、私の新しいギター…!」

 

 

 ひとりは、スタンドからケーブルを引っ張り、アンプに繋いだ。

 アンプの電源を入れると、低いハム音が部屋に響く。

 軽くボリュームを上げ、弦を弾いてチューニングを確認。

 新しい弦の感触が、指先に心地いい。

 

 そして──試しに、【NEW GLORY】と【SICK HACK】のコラボ曲「Psychedelic Collapse」を弾き始めた。

 

 イントロのサイケなベースうねりをイメージしながら、指を滑らせる。

 

 EMG 81のブリッジポジションが、歪みを効かせた鋭いトーンを生み出す。

 ハイゲインなのに、音の輪郭がクッキリとしていて、脳に直撃するようなパンチがある。

 攻撃的なエッジが、ひとりの速弾きをより鮮やかに引き立てる。

 サビのメロディラインに入ると、EMG 85のネックポジションに切り替えて、暖かみのあるクリーン寄りのサウンドで歌うように弾く。

 Floyd Roseの安定したチューニングが、激しいビブラートでも音を崩さない。

 ボディの軽さとネックの薄さが、速いフレーズをスムーズに弾かせてくれる。

 

 

「あっ…これいい…!私の音が…もっと大きくなる…!」

 

 

 ひとりは、完全に自分の世界に入っていた。

 

 コラボ曲のギターソロパートを、感情を乗せて弾き切る。

 音が部屋に響き渡り、防音室なのに胸が震える。

 

 弾き終わった瞬間、ひとりはギターを抱きしめた。

 

 

 「私のギター…私だけのギター…!お父さんに借りてたのと同じくらい、絶対大事にする…!」

 

 

 ひとりは、すぐにメンテナンス道具を取り出した。

 新しい弦を張り替えるためのクリーナー、ポリッシュクロス、指板オイル、クロモリ弦の予備。

 丁寧にボディを拭き、指板にオイルを塗り、弦を一本ずつ丁寧に巻き直す。

 

 父に借りていたギターと同じように、毎日欠かさずメンテナンスすることを心に誓った。

 

 

 「これでもっと…みんなを熱狂させられる。【結束バンド】を最高のバンドにする…!」

 

 

 ひとりは、新しいギターをスタンドに立て、部屋の明かりを落とした。

 

 外は秋の夜。

 

 でも、ひとりの心は、キラキラと輝いていた。

 

 新しい相棒とともに、未来への一歩を踏み出した。

 

 ギターの弦が、静かに震える。

 

 それは、ひとりの新しい音の始まりだった。

 




はい。というわけでぼっちちゃんのギター購入回でした。
ギターは元ベガスのSxunさんが愛用してたギターに変更しました。
ギターは完全に自分の好きなギタリストの愛用ギターです。
散々設定変えまくったし、今更ギターくらいでガタガタ言う人おらんやろ多分。
あと自分で書いててなんだけど、ぼっちちゃんもう高校中退出来るやんけ…

今回も見てくれた方、ありがとうございました!
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