YAMA育ちの妖怪王   作:スルメ文庫

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第一章 人と妖怪の世界
第一刻目 はじめまして、妖怪さん


 俺は石田高成。銀色の髪に紫色の目をした多少腕っ節が強くて家が裕福でそこそこ歴史の長い一族の当主の一人息子だ。

 こうしてみると、そこそこスペックが高いな・・・

 まあそんなことはどうでも良くて、俺は今でこそ平穏で平凡な地方都市さくらニュータウンにて暮らしているが、生まれてから五年はYAMAにいた。山ではない、YAMAだ。俺は今でもあんなYAMAを山だとは認められない。雀は鷹サイズだし、鷹はグリフォン、カナヘビはコモドドラゴン、イタチは虎、イノシシに至ってはトリケラトプスを想起させるサイズだった。オマケに、どいつもこいつも図体の割にバカ早いのだ。いくら鍛えられたとはいえあのYAMAを下りた時は終始生きた心地がしなかった。ましてや今通ってる小学校の裏山であるおおもり山を知ってしまった以上、アレを山として認めるのはもう無理だ。おのれ、俺が生まれる前に診断ミスをした医者よ。四月と六月は言い間違えようがないだろうに・・・!

 

 ───閑話休題

 

 ともかく、そんな環境に生まれた俺にも弱点がある。それは気温による暑さだ。え?そんなヤバいYAMAで育ったのならその程度なんでもないだろって?YAMAGOYAがあるの割と高い所だから寒さは大丈夫でも暑さに対する耐性はそんな無いんだよ・・・

 そして今の季節は夏、それも真夏だ。・・・そう、暑い。只管に蒸していて暑いのだ。

 まあそんな中で俺は、好物のベリーベリーソフトというソフトクリームを食べるためにさくら中央シティのサンセットモールに赴いたのだ。

 

高成「暑いな全く・・・ん?」

 

 すると、1人の紺色の髪の少女がこちらを羨ましそうに見ていた。

 

高成「キミ。欲しいのか?」

「!?う、うん。でも、ボク今そんなにお金なくて・・・」

高成「そうか・・・」

 

 まぁそりゃ、お金に余裕がなかったら買えないわな・・・でもこの子ここら辺では見ない顔だから恐らくは遠くから旅行なりなんなりで来たんだろう。

 なのにこんな暑い中で目的も果たせないまま帰すのも忍びないな・・・

 そう考えた俺は、その少女にそこにいるようにお願いして一旦席を立った。そしてその足でソフトクリームの屋台まで赴き、屋台のお姉さんに不思議がられながらもベリーベリーソフトを購入し、彼女のもとに戻った。

 

高成「ほい、買ってきたぞ。」

「ええっ!?う、受け取れないよ!」

高成「遠慮すんなよ。それにせっかくさくらニュータウンに来たんだ。なら、いい思いして帰ってもらいたいだけだよ。」

 

 そう言うと俯いて何か考え込んだ後に女の子はどこか彼女に似た女の子がプリントされているメダルを差し出してきた。何となく、そのメダルから不思議な力を感じるな・・・

 

「・・・わかった、ありがとう。でもそれを受け取る代わりにあなたもこのメダルを受け取ってください!」

高成「(別にお礼なんていいんだがな・・・)まあ、ありがとうな。大事にするよ。」

 

 そう言うと彼女は満足そうにし、美味しそうにベリーベリーソフトを食べた。その後彼女は再びお礼をいい、去っていった。

 そして、たまたま居合わせたのだろう。クラスメイトのダニエルが鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で突っ立っていた。

 

高成「ダニエルじゃないか。どうしたんだよ。」

ダニエル「いや、タカやん。誰に話しかけてるんや?」

高成「いや、誰って・・・さっきまでそこに居ただろ、俺たちと同い年ぐらいの女の子が。ベリーベリーソフトも食べてたじゃないか。」

ダニエル「いや、わいには女の子なんて見えてなかったで?ソフトクリームだってタカやんが手を離した途端に消えてたしな。」

 

 は?ダニエルはなにをいってるんだ?確かにさっきまであの女の子は居たはずだぞ?

 

高成「・・・たしかに居たと思うんだが・・・もしかして幻覚だったか?」

ダニエル「ははっ、せやかもな!・・・あかん。お互い、同じ幻覚が見えるくらい疲れてんのかもな。わいは早めに帰って寝るわ。タカやんも早めに帰れよ。」

高成「おう。」

 

 とは言ったものの、この後は学校の裏山であるおおもり山に宿題の昆虫採集に行くつもりだ。というか、ダニエルには悪いが俺はとてもあの女の子が幻覚には思えなかった。なにせ、彼女から受け取ったメダルが俺の手の中にちゃんとあるのだから。

 

 

 あれから30分ほどかけて、おおもり山に到着した俺は早速虫捕りを開始した。レアなミンミンセミとカブトムシ、あと普通のノコギリクワガタとペットにするためにカナヘビを捕まえた。

 

高成「そろそろ帰るか・・・って、おいおい誰だよ柵と看板取っ払った馬鹿は・・・って、看板自体がないだと・・・!?」

 

 なんとそこを見ると、柵と立ち入り禁止の看板が消えており御神木への道が開通していたのだった。

 流石に異変を感じて帰ろうか迷ったが、何となくここで帰ってはいけない気がした(・・・・・・・・・・・・・・・)ので、ナニカに導かれるようにご神木に向かった。

 そして御神木にたどり着くとどこをどう見ても御神木の雰囲気には似合わない、石製のガチャガチャマシンが存在していた。

 

高成「コイン・・・入り口の大きさ的に100円で大丈夫か?」

 

 そうして俺は、100円玉を入れてレバーをマシンの回すと丸い石のようなガチャカプセルが出てきた。

 せっかく100円を使って入手したのだから開けなきゃもったいないと思い、カプセルを開けると・・・水色の渦と共に白いふよふよとした何者かが出てきた。

 

ウィスパー「わたくしの名前はウィスパー、妖怪です。ウィス。」




 読んでいただき、誠にありがとうございました。
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