担任の先生「高成くん。本当に申し訳ないけど、夏の勉強会に教師側として出てくれないかい!?」
高成「・・・大変な失礼を承知で申し上げますがまたですか?俺、これで五年連続教師側としての出席となるんですが・・・」
俺は、当惑していた。小学校に入ってから毎年恒例の夏の勉強会に何故か生徒側ではなく教師側で参加している。まあ、連立方程式までだったら解ける程度には頭がいいのを自覚しているがそれでも毎年教師側をやるのも少し疲れる。
高成「どうにか生徒側で参加できませんか?」
担任の先生「・・・実は、高成くんは頭が良すぎて、まともに教えられる自信のある先生が限られてくるんだよ。それに夏休みに来れる先生もなかなか少なくてね。だから高成くんが手伝ってくれるとありがたいんだ。」
・・・今までそんな理由で先生側に組み込まれてたのか。少しショックだが、まあ学校側にも理由があるのは理解した。
高成「・・・そういう事でしたか。わかりました。」
担任の先生「あと、高成くん。ユキノちゃんは生徒側でも大丈夫だと思うかい?」
俺が言うのもなんだが、ゆきおんなことユキノはとても頭がいい。生前はすこし貧乏な家庭だったが、その分周りを見返すために必死になって勉強を頑張ったのだとか。ちなみに享年11歳で雪山でスキー授業の時遭難して亡くなったのだとか。
ちなみになぜゆきおんなという妖怪であるユキノの話が学校に伝わったのかというと、父さん曰く人間に化けられる上に勉強もできるんだから人間として俺の相棒兼ライバルになって欲しいとのこと。そのために凩ユキノという戸籍まで作ったとのこと。・・・あの人は本当に妖怪に何を求めているのだろうか。
高成「いや、先程断ろうとして俺が言うのも何ですが、俺から見てもユキノは俺と肩を並べられるくらい頭がいいので教え切れる自信が無いのなら先生側に入れるようにした方がいいと思います。」
担任の先生「そうか・・・」
その声には、苦悩が満ちていた。
高成「俺から、彼女に伝えておきましょうか?」
担任「本当かい?なら、よろしく頼むよ。」
その後、簡単な打ち合わせの後に先生との通話を終了した。
ウィスパー「電話が終わったようですね高成くん。」
高成「ああ。全く、仮にも一生徒に教員のやることを任せるかね。」
ウィスパー「あはは、まあ人に勉強を教えるのも立派で貴重な経験ですよ。」
高成「ああ。それとだが、ユキノも先生側に組み込まれるらしい。ユキノに伝えに行かねばな。」
ウィスパー「えっ?ユキノさん妖怪ですよ?」
高成「文句があるなら、妖怪を学校に通わせることにした父さんに言ってくれ。」
そしてゆきおんな状態のユキノにも話を通した。すると案の定ユキノは不安そうな顔をした。
高成「ああ。すまないが、頼めるか?断るなら、俺から先生に謝るが。」
高成「ああ、わかった。」
こうして翌日、さくら第一小学校の図書室にて勉強会が開かれた。ちなみに勉強会の他にも一回の教室にて補習も行われている。
担任の先生「実は二学期から5年2組に入る子もこの勉強会に先生役として来てくれました!どうぞ!」
ユキノ「初めまして。凩ユキノです。先月から高成くんの家でお世話になっています。好きな食べ物はアイスです。よろしくお願いします。」
担任の先生「分からないところがあったら、先生たちや高成くんとユキノさんに声をかけてください!」
こうして、勉強会が始まった。
高成「干治。ここは、さっきの問題みたいに比例の表と反比例の表が真逆に並行しながらも同じような動きをすることを使えばいいんだ。」
高成「どういたしまして。」
クラスメイトのカンチこと今田干治が持ってきたドリルは小学校六年生の比例反比例の内容も含まれる、小学五年生にはレベルの高いものだった。まあ、私立のレベルの高い中学校に進学するつもりらしいので然もありなんと言った感じだ。
一方、ユキノはというと・・・
ユキノ「
ユキノ「しおりちゃん、年号は適当な言葉に紐付けて覚えると分かりやすいよ。」
ユキノ「
女子たちに引っ張りだこだったので俺も所々救援に赴く羽目となった。しかし、ユキノもどこか嬉しそうに笑っていたのだった。
読んでいただきありがとうございました。
追記 2026/1/23 本作のサブタイトルを【八刻半目】としていましたが正確には【九刻目】でした。
大変申し訳ございませんでした。