YAMA育ちの妖怪王   作:スルメ文庫

11 / 26
 今話は主人公が多少アンチヘイトなキツイことを言うシーンがあります。もし苦手だったら、ブラウザバックか、飛ばしてください。
 あと、今日の話はいつもの倍ほど長いです。


第十刻目 どんこ池のヌシの激怒!高成は見た!

 今日はユキノ(ゆきおんな)と一緒にケータこと天野景太のフミカさん木霊文花さんとカンチこと今田干治と学校に集まって遊んでいた。すると干治(カンチ)が思い出したかのようにこう言った。

 

干治(カンチ)「そういえば四人とも、どんこ池にヌシが出るっていう噂は聞いたかい?」

ユキノ「聞いたことないけど・・・どんこ池っておおもり山のところの?」

景太(ケータ)「うん!そこだね。俺はその噂を聞いたことはあるよ。」

文花(フミ)「ええ。結構有名な噂だよね?たしか、光るものを餌にしたら食いつく大きな魚がいるっていう。」

高成「俺も聞いたことはあるな。」

干治(カンチ)「やっぱり最近この街に来たユキノちゃん以外は知ってたか。こういうの、クマなら詳しそうなんだけど今日は来てないし・・・」

 

 噂をすれば影、とはこのことだろう。丁度クマこと熊島五郎太がやってきた・・・何故か落ち込んでいる様子だが。

 

干治(カンチ)「クマ、いいところに来てくれたね!」

景太(ケータ)「あっ、クマ!」

文花(フミ)「クマくん!」

五郎太(クマ)「・・・なんか用か?」

 

 いつもの五郎太からは考えられないほどの落ち込みぶりに俺とユキノとカンチは少ししり込みしながらも聞くことにした。

 

高成「・・・五郎太、お前大丈夫か?」

ユキノ「クマくん、大丈夫?」

干治(カンチ)「妙にテンション低いけど、何が悪いモノでも食べた?」

五郎太(クマ)「タカやん、ユキちゃん、カンチ、オレ・・・オレ・・・母ちゃんの指輪を・・・うわーんっ!!」

 

 すると、五郎太は急に泣き出してしまった。

 

高成「おい五郎太。まさかお前、お袋さんの指輪を・・・!?」

五郎太(クマ)「うん。どんこ池のヌシを釣るために母ちゃんの指輪を持ち出したんだ。そしたら、母ちゃんの指輪を落としちゃって・・・」

 

 おいおい、様子を見るにこりゃ親御さんにこってり絞られたらしいが、それでも人としてやっちゃダメだろうソレは・・・子供がやったからで済まされる一線は確実に超えてるぞ。

 

五郎太(クマ)「父ちゃんが言うには、父ちゃんが母ちゃんに送ったものだったって・・・」

干治(カンチ)「そんなものを持ち出すなんて、クマが悪いね。うん。」

景太(ケータ)「確かに指輪は光るけどさ・・・」

文花(フミ)「なんでそんなことを・・・」

高成「・・・五郎太。俺はお前の友達として二度とこんなことをして欲しくないから、今からお前に酷いことを言うぞ。・・・お前、それは流石に自業自得だぞ。家族の仲とはいえ、他人のモノを釣りの餌に使うのは人としてやってはダメだと分かるだろ。少しでも立ち止まって考えればさ。」

ユキノ「ちょっと、高成!いくらなんでも言い過ぎだよ!」

五郎太(クマ)「いや、ユキノちゃん。たしかに言い方はキツイし酷いけどさ、今回に関しては本当に高成の言う通りだとオレも思う。本当に馬鹿なことをしちまった。だからなんべんも父ちゃんにも母ちゃんにも謝ったさ。けどな、昨日の夜、母ちゃんが話してるのを聞いちまってよ・・・『残念だけど、指輪は諦める。私がいなくなってもクマとうまくやれ』って・・・母ちゃん、オレが指輪を無くしたから起こって遠くまで行っちまうつもりなんだ・・・」

文花(フミ)「本当に・・・?」

 

 これは、思ったより状況が悪いようだな。五郎太の話を聞く限り、家庭崩壊寸前まで行ってそうだ・・・

 

五郎太(クマ)「悪いな、お前ら・・・オレ、もう行くから・・・」

 

 そうして、五郎太は去っていった。

 

文花(フミ)「クマくん、可哀想・・・」

干治(カンチ)「流石に反省したらしいね・・・でも、僕たちにできることは何も無いよ・・・」

景太(ケータ)「うん・・・」

 

 そう言い景太たちはそれぞれ帰路についた。

 

高成「・・・言い過ぎちまったかもな。」

ユキノ「そうだよ!クマくんがやっちゃいけないことをやったのはボクも同意見だよ。クマくんのために言ったのはボクもわかってる。でも、あんなキツイ言い方しなくてもいいでしょ!」

高成「・・・そうだな。あれだけキツイことを言っちまったんだ。それに焚き付けたのは俺だし探さないのは不義理だしな、クマの手伝いをするか。」

ユキノ「待って、実際に泳いで探すのは妖怪に任せてね?」

高成「お、おう。」

 

 そして俺は、ユキノが提示してくれた情報から、河川敷でノガッパという河童の妖怪を探すことにした。

 

 

 そして、早速河川敷に向かうと、二人の女性の会話からUFOを見たという噂話を聞いた俺たちは

 

高成「UFOか、河童が頭の皿を消し忘れたのか?」

ユキノ「うん、やっぱり妖怪も疲れたり弱ったりすると姿を消し忘れることがあるから・・・」

高成「成る程な。つまり、あんな感じで適当に擬態することもあると・・・?」

ユキノ「・・・うん、にしても雑でしょコレは!?」

 

 体を緑色にして、ひまわりの真似をしてるノガッパらしき妖怪の姿があった。普段優しいユキノも思わず怒鳴るほどの雑ぶりだ。

 

ノガッパ「・・・はぁ、お腹空いたッスね〜誰かご飯奢ってくれないッスかね〜?」チラチラ

ユキノ「高成、他のノガッパを当たりましょう?そこまで珍しい妖怪じゃないから近くにもう一人、二人はいるはずよ?」

 

 ユキノがすごい怖い笑顔で俺にそう言ってくるが、生憎(あいにく)そんな時間は無い。

 

高成「このデカイ手製のおにぎりで良ければ構わないが・・・」

ノガッパ「え〜、おにぎりッスか?いや別にいいんすけど、どうせならお寿司が良かったな〜って「このおにぎり、中身特上マグロのタタキだぞ?」喜んでありがたく食べさせていただくッス。」

ユキノ「変わり身が早すぎるでしょ貴方・・・」

 

 そしておにぎりをノガッパに渡すと必死な形相で食べ進めた。そして食べ終わると満足げにしていた。

 

ノガッパ「ふ〜っ、美味しくて幸せだったッス。」

高成「満足している所すまないが、話を聞いてくれないか?」

ノガッパ「いいッスよ。アンタは命の恩人ッスから!」

高成「(命の恩人?)実は、俺の友達がどんこ池で指輪を無くしちまってな・・・それで泳いで探して欲しいんだが・・・」

ノガッパ「いいッスよ!丁度カッパの水泳大会に向けて練習したかったところッスからね!」

 

 そしてノガッパがともだちになってもらい、道中出会ったカゲまるとわすれん帽にも事情を話協力してもらうことになって向かったさきにあるどんこ池がこちらとなります。

 

ノガッパ「・・・この池の水は死んでますか?」

高成「・・・半死半生だろうな。」

ノガッパ「いや、楽観的に見て七割は死んでるッスよね!?なんであのフナとかブラックバスは生きてるんすか!?」

高成「知らんな。」

カゲまる「ノガッパ、少し静かにするミン。」

 

 カゲまる、助かった。ということで、気まずいがまずは五郎太に謝ろう。

 

五郎太(クマ)「ん?高成、ユキノちゃん、何しに来たんだよ・・・?」

高成「すまんな、五郎太。ちょっとキツく言い過ぎちまってよ・・・」

五郎太(クマ)「いや、いいんだよ・・・高成の言ってたことは事実だからさ。」

高成「それじゃ俺の気が済まないんだよ。だからさ、俺も手伝わせてくれよ。」

ユキノ「ボクは単純にクマくんを手伝いに来たよ。」

五郎太(クマ)「あ、ありがとう二人とも・・・!二人とも、本当に良い奴だな・・・!」

 

 ここで合図を出してノガッパに泳いで取ってきてもらう。

 

高成「なあ、五郎太。どこら辺で探したか覚えてるか?」

五郎太「ああ。確か・・・ってええ!?なんか水飛沫が飛びまくってる!?」

ユキノ「(あのおバカ!)大きな魚が暴れてるんじゃないのかな?この後天気アプリで雨が降るって言ってたし!」

五郎太(クマ)「!マジか、なら急いで探さねぇと!」

ノガッパ「やった!見つかったっす〜!」

「バッカモ〜ン!誰じゃ、この池で騒いでいるのは・・・!」

 

 見つかりはしたようだが、その無法な泳ぎっぷりがこのどんこ池のヌシである妖怪の逆鱗に触れたようだ。

 

高成「(ユキノ!五郎太を対岸まで避難させてくれ!)ああ!俺はこの辺りを探すから、ユキノとクマは他のところを探してくれ!」

ユキノ「(了解したわ!高成も気を付けてね!)うん!クマくん、行きましょう!」

五郎太(クマ)「えっ!?な、何が起こってるんだ・・・!?」

ユキノ(場合によっては、クマくんの記憶の一部をわすれん帽に消してもらう必要があるかしら・・・)

 

 ユキノが五郎太を避難させるのを見送ると、それぞれに指示を出す。

 

わすれん帽「高成、わすれん帽、どうする?」

高成「わすれん帽はユキノと一緒にいてくれ!」

わすれん帽「わかった。わすれん帽、ユキノといる!」

高成「ああ、頼んだぞ!カゲまるは見守っててくれ!ノガッパは俺と一緒に命懸けで謝るぞ!」

カゲまる「わかったミン!」

ノガッパ「えっ!?マジッスか!?」

高成「大マジだ!そもそもあのヌシはキミのあの無法な泳ぎ方に怒ってるんじゃないか!?」

ノガッパ「いや、そんな訳・・・」

「当たり前だ!あんな泳ぎ方したら、魚が驚くだろうが!第一、この池は遊泳禁止じゃ!」

ノガッパ「そうだったんスか!?」

 

 やはりか・・・!ならば俺は・・・

 

高成「そうだったのか・・・すみませんでした!遊泳禁止とは知らなかったものの、友が無くした指輪を探すためにノガッパに依頼して泳がせたのは俺です!責任は俺が取ります!俺を許せとは言いません。ですがただ、謝らせてください。本当に、申し訳ございませんでしたッ!」

 

 最敬礼にて俺が命懸けで誠心誠意謝罪するしかない。そして俺に(なら)い、ノガッパも謝罪する。

 

ノガッパ「知らなかったとはいえ、遊泳禁止で泳いでしまってすみませんでしたッス!」

 

 そして裁きを下すどんこ池のヌシは・・・

 

「そこまでいうのなら、仕方ない・・・今回だけは目を瞑ろう。じゃが、次にやったら承知しないぞ!」

 

 俺たちを許してくれた。

 

高成「ありがとうございます!」

ノガッパ「ありがとうッス!」

「ふっ、今の若者にしては、随分礼儀正しいな少年!」

高成「・・・親から、躾られてます故。」

つられたろう丸「良い良い!子は親から学ぶものよ!ワシはお前さんのことを気に入ったぞ!この、つられたろう丸はお前さんのともだちになってやる!」

 

 そして俺は、つられたろう丸の妖怪メダルを手に入れた。

 丸く納まったのを確認して、ユキノが五郎太とわすれん帽を連れて戻ってくる。

 

高成「ほら、クマ。指輪あったぞ。これじゃないか?」

五郎太(クマ)「ああ、これだ!ありがとうタカやん!ユキノちゃん!でも、タカやん、これどこにあったんだ?」

高成「さっきの魚が大暴れしたのあっただろ?その時に池のそこにあった指輪が吹っ飛んでこの石の上に落っこちてきたみたいだ。」

 

 我ながら苦しい言い訳だが、五郎太は納得してくれたみたいだった。

 

五郎太(クマ)「そうか、ありがとうな!二人とも!・・・なあ、悪ぃけどオレと一緒に謝りに来てくれないか?いや、タカやんたちは見てるだけでいいんだよ。オレがちゃんと謝れるか見てほしいんだ。」

高成「わかった。それならいいぜ。」

ユキノ「うん、ボクもそれなら。」

 

 そして場所は団々坂の熊島工務店・・・つまり、クマの家に向かう・・・

 

熊島(クマ)母「あんた、私がいなくても大丈夫かい?」

熊島(クマ)父「おう!五郎太の面倒は任せとけ。アイツにゃキチンといい聞かせとく。」

熊島(クマ)母「すまないねぇ、必要なことは書いておいたから・・・」

ユキノ「やっぱりクマくんのお母さん出てっちゃうのかな・・・?」

高成「さぁ見てないと分からないぞ。さ、五郎太。勇気振り絞って行ってこい。」

五郎太(クマ)「う、うん・・・」

 

 そして勇気を振り絞ったクマは了解へと近づく。俺たちは電柱の傍でそれを見守ってる。

 

五郎太(クマ)「母ちゃん・・・」

熊島(クマ)母「どうしたんだい五郎太、びしょ濡れじゃないか。」

五郎太(クマ)「母ちゃんゴメン!オレ、ちゃんと指輪探してきたんだ。」

熊島(クマ)母「安物の指輪ひとつで大袈裟だねぇ・・・まぁ確かに気に入っちゃいたけどさ。」

 

 お袋さんの衝撃の発言に、五郎太や親父さんは勿論、俺たちも驚愕した。同時に俺は、とんだ思い違いだったことを察した。

 

五郎太(クマ)「ええっ!?」

ユキノ「えっ?」

高成(何を言って・・・!?まさか、俺たち全員でとんだ思い違いをしていたのか?)

熊島(クマ)父「なっ!や、安物!?この指輪はオレがお前に(おく)った・・・!」

熊島(クマ)母「やだねぇ、何言ってるんだいアンタ

は。コレは私が自分で買った指輪だよ。まさかアンタ、自分で(おく)った指輪がどんなのだったか忘れちまったのかい?」

 

 そう、要は五郎太と親父さんの勘違いだったのだ。

 

熊島(クマ)父「・・・」

熊島(クマ)母「はぁ、しょうがない人だねぇ・・・父ちゃんにもらった指輪はいつも私がつけてるじゃないのさ。勿論、今度の同窓会にもつけていくつもりさ。」

五郎太(クマ)「同窓会・・・?」

熊島(クマ)母「おうさ!留守番は頼んだよ。」

 

 そして、俺とユキノはお騒がせな、と思いつつも五郎太の思い過ごしで本当に良かったと心の奥底から思うのだった。




 読んでいただきありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。