YAMA育ちの妖怪王   作:スルメ文庫

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遂に、この時が来ました。
お楽しみください!


第十七刻目 君ありて幾年(いくとせ)経ても惜しくなく愛の花咲く杜鵑草(ホトトギス)かな

ユキノ(ゆきおんな)「高成ィッ!!」

ウィスパー「高成くん!」

 

 まさか、来てくれるとはな・・・

 感動のあまり力を入れ過ぎてしまい、バキッ!!と鎖が壊れた。まさか、こんな簡単に砕けるとは・・・

 

高成「何とか、壊せたな・・・」

ユキノ(ゆきおんな)「高成!高成大丈夫!?」

高成「まあ、体の節々が痛いが、問題になるほどじゃないな。」

ウィスパー「もー、全く高成くんは無茶なさるんですから・・・」

ユキノ(ゆきおんな)「本当だよ・・・!たびガッパから話を聞かされた時、ボク心臓止まるかと思ったよ・・・!こんな命懸けの無茶、もう二度としないで・・・!!」

高成「・・・すまない。だが、できる範囲で無茶は控えるよ。」

ユキノ(ゆきおんな)「できれば絶対にしないでって言いたいけど・・・わかった。でも、本当に控えてよ?」

高成「わかったよ。・・・さて。」

 

 そろそろ、此方も攻撃を開始せねばな・・・

 

やぶれかぶれ院長「ぐぬぬ、イカカモネ議長様から託されたみちび鬼たちを倒したばかりかこちらを無視し、挙句の果て、我らに楯突くとはなんも愚かな・・・!!」

高成「そりゃあ勝算があるからな。」

やぶれかぶれ院長「はぁ?・・・くくく、ナーハッハッハッ!これは傑作だ!まさか、さっきまでみちび鬼に捕らわれていた男が『勝算がある』と抜かすとは・・・ここまで頭が目出度いとは!死なねば治らんでしょうな!」

 

 どうやら理解できていないようだな。自分の状況を!

 

高成「そうか。───やれ、たびガッパ!げきりゅう一閃だ!」

たびガッパ「任せるッス!【げきりゅう一閃】!!」

やぶれかぶれ院長「!?ぬおおお!!き、貴様!どこから・・・!!」

たびガッパ「そりゃあ、天井からに決まってるッス!ユキノさん!ウィスパー!お待たせしたッス!」

ジバニャン「高成は相変わらず無茶ばっかニャンね!」

やぶれかぶれ院長「な、何故お前のような低級妖怪が・・・!」

ジバニャン「そんなのお前の部下たちを全員やっつけたからに決まってるニャン!」

やぶれかぶれ院長「馬鹿な!私の部下たちがお前らなどに負けるわけが・・・!」

アニ鬼「待たせたな、高成!」

カゲまる「やっと追いついたミン!」

カゲロー「置いていくなんて酷いよ・・・!」

高成「悪い、完全に焦ってた。でも今一度、俺に力を貸してくれ!」

『ああ!』

 

 そして、全員がやぶれかぶれ院長の方を向く。

 

やぶれかぶれ院長「おのれ、あの役立たずども・・・ヒィッ!?」

高成「言うことに欠いて他責とは・・・貴様の底がしれたな。」

ウィスパー「やってやりましょう高成くん!」

ユキノ(ゆきおんな)「みんなで行こう、高成!」

高成「ああ!やってやれ、みんな!」

『おう!』

やぶれかぶれ院長「や、やめろぉぉぉ!?」

 

 こうしてやぶれかぶれ院長との戦いが始まった。

 

やぶれかぶれ院長「ええい!こうなれば出し惜しみはナシだ!おだい死・・・」

ジバニャン「させないニャ!喰らえ必殺!【ひゃくれつ肉球】ッ!!」

やぶれかぶれ院長「ぐわあああ!?」

 

 そして、やぶれかぶれ院長の攻撃を遮るようにジバニャンのひゃくれつ肉球を皮切りに様々な攻撃を受けたやぶれかぶれ院長は、しぶとくもまだ立っていた。

 

やぶれかぶれ院長「こうなれば・・・!」

 

 なにやら回復するような・・・!と周りをよく見ると、診察の照明などにハートがある。まさかあれから体力を吸い上げる気か!!

 

高成「ベンケイ!九九九刀で周りのハートを壊せ!」

ベンケイ「承知!【九九九刀】ッ!!」

やぶれかぶれ院長「のわっ!?き、貴様らァ・・・!!」

ユキノ(ゆきおんな)「目を逸らしてていのかしら!?【ゆきんこシャーベット】!!ヒュウウウウウウウウウ!!」

やぶれかぶれ院長「のわああああああ!?い、イカカモネ議長様ぁぁぁ!?」

 

 こうして、やぶれかぶれ院長を突破したのだった。

 

高成「今回ばかりは死を覚悟したな・・・」

ウィスパー「全くです!これに懲りたら、無茶は控えてくださいね。」

高成「ああ。そうする・・・」

 

 ウィスパーからの全員の総意を込めた説教を受けたあと、俺は人間に化けたユキノと向き合った。

 

ユキノ「・・・高成、ボクから勝手に離れちゃって、ごめんなさいッ!でも、まだ貴方と一緒に居たいの!こんな我儘娘だけど、許してくれる・・・?」

 

 ユキノは俺から拒絶されるかもしれないという恐怖に打ち克ち、ちゃんと謝罪してくれた。なら俺が出す答えは一択だろう。

 

高成「ああ、許す。許すさ。なんなら、俺も独断専行でみんなに心配をかけてしまったからな。その時に真っ先に俺を助けてくれたユキノを許さなければ俺は俺自身を許せなくなってしまう。だから、俺からもキミに問わせてくれ。『こんな情けない男と最期まで一緒にいてくれますか?』」

 

 そう言ってユキノは涙を頬に伝わせながらこういってくれた。

 

ユキノ「うん!うん・・・!」

 

 この言葉を以て、誓いは交わされた。俺はこの瞬間(とき)のユキノの笑顔を一生涯忘れることはなかった。そして、この後に紡ぐ言葉も忘れることは無いのだった。

 

ユキノ「ところで、高成。さっきのって告白って受け取ってもいいの?」

高成「・・・悪かったな、告白が下手くそで。」

ユキノ「ううん。高成らしくていいと思うよ、ボクはね♪」

 

 こうして、この一連の騒動は一旦幕を閉じたのだった。しかし、俺たちの幸せの中で確かに闇は蠢動していた。

 

 ・・・

 

 ここはエンマ宮殿。そこに本来の座主は無く。エンマ族から王位を簒奪したイカカモネ議長が座っていた。彼は悪い妖怪たちを秘密裏に送るという悪政によって人間妖怪問わず数多の者を苦しめてきた妖怪である。

 そんなイカカモネ議長には、今目の上の(たんこぶ)と言うべき存在がいた。それこそが、高成の祖父にあたる【妖怪王ワイルドハント】である。

 自身の野望のためなら自ら手をかけることも辞さない残忍性を持つイカカモネ議長は・・・

 ───先代エンマ大王の愛息である日影真生(マオ)と、妖怪王自身の孫である高成を人質に、妖怪王ワイルドハントを誘き出す作戦を立案した。そして、その奸計が間もなく牙を剥こうとしているのであった・・・




 読んでいただきありがとうございました。
 ちなみに杜鵑草(ホトトギス)は漢字の通り草花です。断じて鳥のホトトギスではありません。
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