YAMA育ちの妖怪王   作:スルメ文庫

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 またしても二日もお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。


第十九刻目 槍が降り 地が(くつがえ)る 大災禍 ()は祓う剣 伝う加密列(カミツレ)

 黒鬼の助けもあり、日影真生(マオ)やユキノたちと共に妖魔界の第三の門まで来た俺たちは、いよいよ今まで友達になった妖怪の中で戦闘が得意な妖怪全てを喚び集めた。

 そして白い妖怪たちを蹴散らしながら進む俺たちは遂に、イカカモネ議長のいる玉座の間に到着した。

 

高成「ようやく捉えたぞ、イカカモネ議長ッ!!」

 

イカカモネ議長「全く、高ランクや強者などと自ら宣っておきながら、どいつもこいつも役立ずではなイカ!人間の小僧二人程度攫えないようじゃ話にならないではなイカ・・・これは戦いに勝ったとしても、全員に処罰・・・特に役たたずだったらヤツらは粛清してらないとイカんではなイカ!!」

 

 ・・・こいつも他責思考か。下らないな、全く。

 

高成「・・・っは〜。部下のやぶれかぶれ院長もそうだったが、貴様も部下に責任を擦り付けるのか。」

イカカモネ議長「何か勘違いをしてなイカ?ヤツらは部下ではない!所詮私の下僕にすぎぬ連中でなければイカん!ましてや貴様らのような人間と人間と仲良くしている誇りを失った妖怪など奴隷と奴隷に飼い慣らされた畜生に過ぎないじゃなイカ!その妖怪の誇りを取り戻させて人間を扱き使うのドコがイカんというのか!!」

 

 ・・・恐らく、こいつには何を言っても無駄だな。芯から腐ってやがる。最初に出会った悪い妖怪であるネクラマテングたちがただの小悪党の三流チンピラに見えるほどの腐れ外道にして巨悪である。

 

くさなぎ「貴様・・・!!」

カゲまる「いい加減にするミン!!」

アニ鬼「コノ野郎、自分のことしか頭にないのか!!」

ジバニャン「オレっちたちの力は悪事のための力じゃないニャ!」

かぶと無双「貴様の狂った思想に同じ妖怪として恥じ入るばかりだ!!」

つられたろう丸「貴様にどんこ池は勿論、人間界も渡すわけにはいかんな!!」

真生(マオ)「・・・エンマの一族の者として、お前の考えは到底容認できない!」

ユキノ(ゆきおんな)「ふざけないで!ボクたちは高成が好きだから付いてるの!見ず知らずの他人である貴方にどうこう言われる筋合いは無いわ!!」

ウィスパー「ユキノさんの言う通り、(わたくし)たちは自らの意思で高成くんたちに付いているんです!高成くんからも何か言ってください!!」

 

 みんなが好き放題言ってる中ウィスパーが振るが、俺は真生から正式に譲り受けた【霊刀・天断剣】を抜く隙を見計らっているのだ。そして、ウィスパーが叫ぶ中、遂に必然の隙を見つけた。ならば、一瞬で駆け抜けてその隙を突くだけである。ようは居合である。

 

「・・・羅ァッ!!」

イカカモネ議長「ぬおおおお!?き、貴様ァァァ!!」

『ええっ!?』

ウィスパー「高成くん!?」

高成「こいつに何を言っても無駄だ。心の芯から腐っているらしい。敵は眼前にある!ならば、戦うのみである!!」

 

 そう言うと俺は、刀から風の刃を飛ばしイカカモネ議長を攻撃した。それを皮切りに攻撃を重ねていくみんな。しかし、イカカモネ議長も中々に強く、徐々に押されていた。

 すると突然、イカカモネ議長の不意を突くかのようにユキノが必殺技を使った。

 

ユキノ(ゆきおんな)「行って高成!【ゆきんこシャーベット】!!ヒュウウウウウウウウウ!!」

イカカモネ議長「小賢しいじゃなイカ!この小娘ガァァァ!!」

高成「・・・!」

 

 ユキノはイカカモネ議長の覇気に膝を付くが、その闘志は消えていなかった。

 その間に俺はユキノが作った隙を無駄にはしまいと、剣をほぼ同時に連続で振るった。

 

高成「───絶技、【転輪壊劫斬(てんりんえごうざん)】ッ!!」

イカカモネ議長「ごブッ!?」

 

 この転輪壊劫斬は今、土壇場で編み出した技である。この事象に気づいたのは一週間前に高速で素振りをしていた時であるが、原理が分からないからとその時は放置していた。しかし、完全に成功させると案外どうなっているかある程度分かるものである。この技は、全く同時に全く同じの斬撃を加える事で斬撃同士が対消滅するが如く壊れ、その崩壊に斬られた相手も巻き込まれるのだ。

 それは兎も角、俺たちは勝利したのだった。

 

イカカモネ議長「グゾォ・・・!?イカんともし難い人間め・・・!我が野望を打ち砕くか・・・!!」

高成「・・・」

 

 俺はこいつのために言葉を使いたくない。ここまで誰かを憎く思ったのは、生まれて初めてだった。

 

ウィスパー「当然です!人間界のことは人間に任せるのです!妖怪王様もよく言っておられました。『我ら妖怪の人間界での本質は、人間たちを見守り、時に手を取りあって助け合うこと』だと!」

ユキノ(ゆきおんな)「それに、妖魔界だって始めから誰のものでもないわよ!それを奪われるのは同じ妖怪として我慢ならないの!」

真生(マオ)「うん、それから僕のお父さんも言ってたよ。『人間と妖怪の絆の力は、計り知れないものだ』って。」

イカカモネ議長「っ・・・イカーッカッカッカッ!!私は必ず蘇る!!そして再び妖魔界に君臨し、人間界を私のものにしてやろうじゃなイカ!」

 

 そう捨て台詞を吐くと彼は禍々しい何かに飲み込まれていったのだった。

 

ウィスパー「ふぅ・・・ようやく終わりましたね。」

ユキノ(ゆきおんな)「何とかなったね・・・」

真生(マオ)「いや、まだ終わりじゃない気がする。寧ろ、始まったばっかりみたいな・・・」

高成「奇遇だな、俺も同じ考えだ。みんな!早いところ人間界に戻るぞ!!」

 

 こうして俺たちは、人間界に早足で向かっていった。その時、さくらニュータウンで、何が起こってるのか想像もせずに・・・




 読んでいただきありがとうございました。
 次回妖怪ウォッチ1のストーリーにあたる部分の最終章になります。

追記:2026/2/6 一部抜けていた部分があった為加筆しました。
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