YAMA育ちの妖怪王   作:スルメ文庫

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第二十四刻目 異常と陰謀の渦中にあるもの

 今日も今日とて妖怪集めに奔走する俺たちはおつかい横丁にて妖怪ウォッチで妖怪を探していたのだが・・・

 

「少年ビート、待つデフー!!」

高成「なんなんだアイツは!?」

ウィスパー「あれは、妖怪デカニャンでウィス!デカニャンの息には妖気によって触れたものがバッカデカく効果があるんです!!」

ユキノ(ふぶき姫)「あいつが息をする傍から色んなものがバッカデカくなってるのもそのせいなの!?」

ジバニャン「そもそも、どうしてこんなことになってるニャン!」

高成「知 る か!?ユキナ、しっかり肩に掴まってろよ!」

ユキナ(ゆきおんな)「う、うん・・・!」

 

 今絶賛、デカニャンというバカでかい猫妖怪に追いかけ回されている。なぜこんなことが起きたのか・・・そんなモノ、今起きてる時点で分かる訳がない。何せ、突然現れて俺たちに襲いかかってきたのだから。とにかく今は、広い迎撃できる場所に逃げ込まなければならない。

 

 そして必死に逃げて河川敷に到着した。ここなら誰の邪魔にもならないし、邪魔もされないだろう。そして追いついてきたデカニャンと相対する。

 

デカニャン「でっふ〜ん・・・や、やっと止まってくれたデフー・・・」

高成「デカニャン、何故俺たちをここまで追いかけてきたんだ?特別キミの機嫌を損ねるような真似はしていないはずだが・・・」

ウィスパー「ええ、そもそも(わたくし)たちは貴方と面識がないはずですが・・・」

デカニャン「そういう訳ではないデフ。キミがオラっちの友達そっくりで、オラっちの友達を助ける条件に合致したからデフ〜。」

ユキノ(ふぶき姫)「高成そっくりの友達?まさか朝成(トモナリ)さんのこと?」

デカニャン「朝成(トモナリ)坊やではないデフ・・・」

 

 この妖怪は親父のことも知っているようだが、捜し人ではないらしい。・・・待てよ、親父が坊や(・・)だと?───ッまさかこの妖怪は!?

 

高成「・・・お前、まさかフユニャンか?」

デカニャン「・・・!なんで本来のオラっちを知ってるデフか〜!?」

ジバニャン「ニャに!?」

ウィスパー「なんと!?」

ユキナ(ゆきおんな)「えっ!?フユニャンさんって確か・・・」

ユキノ(ふぶき姫)「・・・妖怪王ワイルドハントの右腕で、高成の御祖父様である貞成さんの最初の友だち妖怪。それが貴方だったのね。」

デカニャン「・・・そうデフ。」

高成「となると、そんなキミが助けを求める理由(ワケ)は俺の祖父である貞成が関係してるな?」

デカニャン「話が早くて助かるデフ。・・・このオラっちは妖気で作った分身みたいなものだから、本体はケマモト村の石田邸にある色んなものを蓄える場所で待ってるデフ。」

 

 そう言い残すとデカニャンの分身は消えていった。それを見届けた俺たちは、真っ直ぐ家に帰ることにした。デカニャンが言葉を濁したあたり、この事態の元凶が盗み聞きしてる可能性があったからだ。そして、ここからは俺の勘に過ぎないのだが、今回の事件は小学生の頃に経験したイカカモネ議長の事件を上回る規模で展開される気がしてならないのだった。

 

 

 ───石田高成の勘は、非常事態において高い精度を誇る。そしてそれは、今回も発揮されてしまったのだった。

 

「本当に、癇に障る小僧だ。人間が妖怪と仲良くするなど、見ているだけで腸が煮えくり返ってしょうがない。」

「しかし何も知らないのに、警戒心が無駄に高くて勘も鋭い。そのせいで付け入る隙が全くない。ああ、全く忌々しい。」

「・・・で、ドウするんじゃ?」

「今できることはヤツらを定期的に見張って、あの小僧が気を弛めて隙を晒すその瞬間を待つことのみよ。」

「ああ、認めるのも癪だが現時点でヤツらと戦っても勝ち筋は無に等しいじゃろうて・・・寧ろ下手に戦ったら、マキモド石を回収されて解析され、即座に対策を練られかねん。」

 

 そう言う彼等の顔は相対する敵の強大さ故の苦渋に満ちていた。

 

「それは、ドウにもしがたいのう・・・」

「だが、それはあくまで正面からやりあった場合。」

「隙を突き、完全なる不意打ちさえ行えられたのならば、勝ち筋は幾らでもある。」

 

 そういう2人の妖怪は悪い笑みを浮かべる。

 

「・・・でも、その隙を見せんのじゃろ?それはドウするんじゃ?」

「故にこそ定期的に殺気を放ち、緊張状態を持続させる。あヤツも所詮人だ。何時までも緊張の糸を張っていられる訳でもあるまい。」

「その疲弊した状態で隙を付けば、あの小僧も一溜りもあるまい。」

『その時を楽しみにしておるが良い、フェフェフェ・・・』

 

 今、クモが巣を張るように着々と奸計は巡らされ、刻一刻と高成たちに毒牙は近付いているのだった。

 

 そして、その出来事から三日後のこと・・・

 

高成「よし、着替えに財布、スマホに日記帳、宿題、あとみんなの分の弁当に土産の元祖と本家のドクロ屋まんじゅうも二箱ずつ入れた。他のみんなは準備万端か?」

ウィスパー「(わたくし)も終わりましたよ。妖怪大辞典と妖怪パッド。(わたくし)はこれさえあれば十分でウィス!」

ユキノ「ボクも必要最低限のものにしていたよ。」

ユキナ「わたしもお姉ちゃんに見てもらったからバッチリだよ!」

ししコマ「オラたちは特に持っていくもんはないズラね。」

とらじろう「んだ兄ちゃん!」

メラメライオン「メラメララ(俺は特に持ってくもんはないぜ)。」

アニ鬼「俺はこの釘バットくらいだな。」

 

 まあ、ここまでは問題が出るわけが無いな。で、問題がでてくる

 

ジバニャン「オレっちはチョコボーニャン!」

高成「・・・ジバニャン、ばあちゃん家にもチョコボーはあるから、それは置いていけ。」

ジバニャン「え〜・・・」

高成「狭めの個人部屋付きの指定席取ってるから、あんまり荷物は多く持ってけないって話をしただろ?」

ジバニャン「しょうがないニャ~・・・」

 

 そう、いくらバスでVIPの個人部屋をとってケマモト村に行くとはいえ、人数自体は結構多いから荷物はそんなに置けないのだ。ウィスパーのように必要なモノだったり、人間に化けて乗るユキノやユキナの着替えや(くし)のように生活に必要になるものじゃなければ持っていかないに越したことはないのだ。

 ちなみにバスで行く理由は単純に人数が多いからである。これが俺とユキノとウィスパーだけなら電車も視野に入れたのだが、迷惑をかけないためにも必要な手間であり経費である。

 

高成「じゃあ、父さんと母さんに挨拶して、さくら中央駅バスセンターから予約したバスに乗るぞ。」

 

 こうして、ケマモト村に行くことになるのであった。




 読んでいただきありがとうございました。
 2026/5/4 追記:不自然に途切れている部分があったので加筆しました。
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