昨日昼頃の11時に出発したバスは22時間の道程を経て今日の朝9時にケマモト村のバス停に到着した。そしてその足でかなりの規模を誇る日本邸宅である旧石田家別邸に向かっている。
通称石田邸はその正式名称の通り、実際のところ石田家の別邸である。俺の父親である石田家当主石田朝成が当時桜元町と呼ばれていたさくらニュータウンに現在の新石田邸を建てるまで石田家全体にとって中心であった場所だ。今は俺の祖母である石田トミコが女主人として屋敷を仕切っている場所である。
ジバニャン「いつになったら着くニャン・・・?」
高成「もう少しだ・・・あ、見えた。」
ウィスパー「あのお屋敷でウィスか?」
ユキナ「すごく大きいおうちだねお姉ちゃん!」
ユキノ「そうね、ユキナ。」
ジバニャンから苦情が出るほどに長い道のりを歩んだ後に玄関に到着すると、トミコばあちゃんが傍付きであり親父の従妹にあたる香曽我部由美さんに連れられてやってきた。
トミコ「おかえりなさい、高成。」
由美「おかえりなさい、高成くん。」
高成「ただいまトミコばあちゃん、それに由美さんも。親父たちも来れればよかったんだが・・・」
トミコ「いいんだよ。朝成と光乃ちゃんは当主と奥方筆頭としての役目もあって忙しいからねえ。」
高成「そっか。・・・そうだ、ばあちゃん。手紙に書いてたユキノとユキナ、連れてきたよ。」
ユキノ「ボクが凩ユキノです。よろしくお願いします、トミコお義祖母様。それでこちらが・・・」
ユキナ「わたし、凩ユキナです!よろしくおねがいします、トミコおばあちゃん!」
トミコ「あらあら、ユキナちゃんは元気だねぇ。ユキノちゃん、高成のことよろしくお願いね?」
ユキノ「はっはい!」
ユキナ「うん!ユキナは元気なの!」
トミコ「うんうん、元気が一番だもんねぇ。」
ユキナ「えへへ・・・」
トミコばあちゃんとユキナは性格的な相性がいいらしい。まあ、母さんの甘やかしたがりな性格の原点と言うべき人だからユキナが母さんと直ぐに仲が良くなった時点で察しはついていたが。
高成「由美さん。お土産に元祖まんじゅうと本家まんじゅう、二箱ずつ買ってきたんだけどどこに置いてきたらいいですか?」
由美「あら、じゃあ貞成伯父様の仏壇に元祖と本家のおまんじゅう一つずつ置いて、あとはすぐ近くのちゃぶ台の上に置いてくれたら大丈夫よ。」
高成「わかりました。」
そう確認を取ると俺は由美さんに言われた通り貞成の爺様の仏壇に元祖と本家のまんじゅう一つずつを置き、残りはすぐ側にあったちゃぶ台に置いておいた。
そしてユキナとコマ兄弟とメラメライオンをいざと言う時のボディガードに石田邸に配置して、俺たちはデカニャンが待っているであろう
そんな割と適当なノリであったが、予想通り第五番倉庫にデカニャンが詰まっていた。
ウィスパー「こりゃあまた見事に詰まっちゃってますね・・・」
デカニャン「まあデフ〜ン。それより、高成。ここから引っ張り出して欲しいのデフが・・・」
高成「ああ、任せとけ。」
そして、持ち前の怪力でデカニャンを引っ張り出した。
高成「よし、出したぞ。」
デカニャン「ありがとうデフーン。」
アニ鬼「おい、デカニャン。この栓はなんだ?」
アニ鬼が指をさした方には、デカニャンに浮き輪の栓のようなものがあった。
デカニャン「ああ、それは・・・」
ジバニャン「とりあえず開けてみるニャン!」
高成「ちょっと待───!?」
デカニャン「デフゥゥゥン!?」
ジバニャン「ニャアァァァ!?」
『ジバニャン!?』
デカニャンの説明や俺の忠告を聞かずに栓を開けたジバニャンは噴出された妖気に吹っ飛ばされた。
そして吹っ飛ばされたジバニャンの介抱に気を取られた俺たちは気が付かなかったが、デカニャンの方も妖気が抜けるにつれ、どんどん縮んでいった。そして・・・
ジバニャン「やれやれ、エライ目に遭ったニャン・・・」
アニ鬼「ったく、話も聞かずに栓を開けるからだろうが。」
「ちょっと〜・・・抜きすぎだよ〜・・・!」
高成「!?フユニャン、なのか・・・?」
ヒョロッヒョロになったフユニャンの姿があった。そして、空気入れの差し口を突っ込むウィスパーと空気入れで空気を送り込むアニ鬼。そしてそんな
フユニャン「俺と共に60年前に行き、貞成を助けてくれ!!」
高成「・・・その前にひとつ聞きたい。妖怪ウォッチを消したのは、その貞成爺さんを陥れた輩どもか?フユニャン。」
そう、貞成爺さんの記録には、ひとつ不可解な点がある。勇敢で勇猛であったはずの貞成爺さんは友の危機を前に金縛りにあったかのように動けなくなり、その結果友を助けられずにいたことで絶縁を叩き付けられたそうだ。
フユニャン「ああ。というより、貞成こそがその妖怪ウォッチの前身であり現代における妖怪ウォッチの原型である零式の開発者だ。だが、奴らの卑劣な罠に嵌められ、陥れられたことで妖怪ウォッチの制作をやめてしまい、後の世の妖怪ウォッチも消えてしまったんだ・・・!」
ジバニャン「ニャに!?」
ウィスパー「なんと?高成くんのお祖父様である妖怪王ワイルドハント様・・・いえ、貞成さんが妖怪ウォッチを作った者ですって!?」
アニ鬼「そんな人物を陥れるとは、今回の敵はよほど人間と妖怪の関わりを断ちたいようだな・・・!」
高成「───ああ、そうだな。・・・みんな!俺にまた力を貸してくれるか?」
『おう!』
全く、頼もしい友達妖怪たちだ!
高成「という訳だフユニャン。60年前に行き、貞成爺さんに貸し作ってやろうぜ!」
フユニャン「ああ!」
こうしてフユニャンが取り出したマキモド石の力で、60年前の過去に来た俺たちだが、敵である怪魔に苦戦を強いられていた。なにせ、通常の妖怪よりも見えにくい上に人や妖怪に取り憑いてくるのだ。そのため、細心の注意を払って相手をする必要があり、次第にジリ貧となっていく・・・その時だった。
「おいお前、怪魔と戦ってんだろ?なら、これを使え。」
そう言って投げ渡されたのは、唐辛子が塗ってある棍棒だった。その棍棒を使うと一撃で怪魔たちが消えていった。そうして、改めて向かい合うその少年は、どことなく写真の貞成爺さんに似ていた。
高成「貴方は・・・?」
貞成「俺は石田貞成。無敵王者ガッツ仮面兼、石田家の嫡男だよ。」
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