今回から赤白バスターズの話やそれに伴う今作オリジナルの設定が溢れ出します。バスターズの方は作者自身がアクションゲームが苦手なので動画サイトで実況動画を見たり攻略サイトで検索して知れる程度にしか知らないです。(それでも可能な限り話に落とし込めるよう情報を収集しましたが)
それと、今回は半分オリジナルの妖怪が出てきます。
第三十一刻目 少女を守るは絆の縁
これは秋も深まり、すっかり冬に近付いてきた時期、すなわち10月下旬のお話・・・あの戦いにて頻繁に六十年前に行っていたのだが、その影響は俺の親族関係にまで及んでしまっていた。
具体的には、父さんの腹違いの妹たちにあたる叔母が増えて、その結果覚えのない従妹たちが突然増えたのだった。それを知った時の俺の感情が恐怖一色だったのは言うまでもないだろう。
彼女たちの祖母はトミコばあちゃん公認の貞成の爺様の側室だったらしい。というより、トミコばあちゃんの方から勧めたらしい。なんでも死後に貞成の爺様がひとりぼっちにならないように・・・との事だった。
そのことを聞いた際にトミコばあちゃんにも霊感があることを知った。何でも、トミコばあちゃんの室町時代のご先祖様に寺社の娘を娶った武士がいるらしく、その影響が今でも続いているらしい。
因みに、俺の従妹たちは見事に全員妖怪の子供たちであり、生まれついて人妖どちらの姿になることもできるという存在であった。
さて、ここ最近は我が家にホームステイしている従妹たちの勉強や修行を見ているのだが、彼女たちの精神年齢は人間で言う所の小学三年生、つまりは遊びたい盛りなのだ。勉強をやめて遊びたくてそれはもうウズウズしていた。
高成「ダメだ。まだ今日のノルマの半分も済んでいないじゃないか。その様子じゃあ来年までのアゲランク試験で目標のBランク上位にも上がれないぞ。」
『ひぇ〜っ!』
俺とて本当はこんなに厳しくしたくないが、シズミとキリカが夢見て目指しているのは妖怪ウォッチバスターズ協会のエリートバスターズヒーローだ。その仕事に就くためには、少なくとも様々な知識と心構えを身につけた上で下位Sランククラスの実力ある妖怪にならねばなるまい。現に彼女たちの両親は上位Sランクの妖怪であり、エリートバスターズヒーローの一員として恥じない立派な妖怪だ。彼女たちは両親の背中を見て憧れたのだろう。
ならば彼女たちの師匠として、教導者として・・・そして何より夢を追う者の先達として手を緩める訳には行かない。だが、シズミとキリカは弱音を吐きがちなので俺は何度も心を鬼にして厳しく喝を入れているのだ。
こういう時、シズミたちの間から優しいお姉さんの立場を得ているユキノのアシストは本当に助かる。
さて、そうして勉強を再開すると同時にウィスパーが道場の方から戻ってきた。
ウィスパー「戻りましたよ、高成くん。」
高成「おう、おかえりウィスパー。ユキノ、ちょっとシズミとキリカの方を見ていてくれ。ちょっとトレーニングを受けるためにも席を外すわ。」
ユキノ「わかったよ。」
そして、先程までの勉強部屋とは別の自室に入りウィスパーの報告を聞きながらパソコンにデータを入力していた。
高成「さて、走り込みはラップタイムからどれくらい乖離してる?」
ウィスパー「今日来ている妖怪ですと、くさなぎと黄泉ゲンスイとブリー隊長、あとオロチさんとキュウビさんにブシニャンとしゅらコマとはズレなし、フユニャンと万尾獅子とまさむねとむらまさとゲンマ将軍は1秒、かぶと無双とクワガ大将ととどろき獅子とカゲまるは2秒、アニ鬼とたびがっぱ、コマ兄弟とメラメライオンは3秒、ほむら天狗と烏天狗とはつでんしんとまむし行司と大山砂夫は4秒、ジバニャンとむりだ城は5秒と言ったところでウィスね。」
ウィスパーの報告を聞き、
高成「なるほどなぁ・・・一応全員許容範囲内だな。ジバニャンのラインを見極めてサボる癖はどうにかしたいが・・・」
ウィスパー「でも、常時全力では倒れちゃいますよ?」
高成「にしたってココ最近のジバニャンの怠け具合は目に余る。アゲランク試験でAランク上位に合格して、特訓用の全自動運転トラックを真正面から吹っ飛ばせるようになってからサボり癖が酷くなった。アイツの為にもいざと言う時の為にせめて月に一回くらいは全力を出さないと全力の出し方を忘れかねない。何か良いキッカケがあればいいんだが・・・」
だが、俺はこの時気が付かなかった。この時ジバニャンが偶然ここを通りかかっていたことを・・・
ジバニャン「オレっちは仮にも妖怪だニャン!高成はオレっちたち妖怪に何を求めてるんだニャン!?」
ジバニャンは高成への不満を口にしながら、日向ぼっこの場所を探すべくさくらニュータウンの河川敷を歩いていた。そして適当な場所を見つけ、寝っ転がった。
ジバニャン「やっぱり、こうしていると嫌なことを忘れて居られるからいいニャンね〜。」
そう思っていると・・・急に灰色の世界が広がった。ジバニャンは違和感に飛び起きると・・・
「アオォォォン!!」
ジバニャン「ニャに!?ニャんで鬼時間に!?(しかも青鬼!?オレっちと相性が最悪じゃないかニャ!?)と、取り敢えず、襖を探さニャイと・・・!」
そう、鬼時間。鬼たちを始めとしたビックボスたちが魍魎跋扈している悪夢の具現である。
これでもジバニャンはエリートバスターズヒーローと呼べるほどではないしろ、上位のバスターズチームのリーダーをしているのだ。
なのでジバニャンは自分の実力の程をよく知っている。そして極モードのビックボスは通常のビックボスとは隔絶した実力を持つ。ましてや、自分にとって相性最悪な水の妖術を扱う青鬼が相手だ。逃げるが勝ちである。・・・普通なら。
「キャアアアア!!」
ジバニャン「この声は・・・!!」
ジバニャンの耳に入った悲鳴はあろうことか、反射的に彼を青鬼の方に向かわせる。仮に高成が今のジバニャンの顔を見たらこういうだろう。
「護るべきものを護りに行く漢の
一方、青鬼が向かう先には茶髪のツインテールの少女の姿があった。
青鬼「アオォォオオオンッ!!」
「なんでこんな・・・!もう嫌ッ!?」
ジバニャン「エミちゃんから離れるニャッ!!」
「えっ・・・?」
青鬼「アオォォッ!?」
そう、襲われていた少女はジバニャンの生前の飼い主であるエミちゃんだった。ジバニャンは彼女を守るために、高成監修の修行で身に着けた重く鋭いブローで青鬼を遠くに吹っ飛ばした。
エミ「アカ、マル・・・?」
ジバニャン「エミちゃん、積もる話はあるニャンが、それはあとニャン!とりあえず今は早く逃げるニャンよ!」
エミ「に、逃げるって行っても何処に・・・!」
ジバニャン「こやぎ郵便局の所にある襖ニャン!そこからなら、いつものさくらニュータウンに戻れるニャン!」
かつて、自分が愛していた可愛らしい愛猫が自分の前に現れた喜びと、死んだはずの愛猫が自分の前に現れたという生命の摂理を無視した事態への困惑によって頭がおかしくなりそうになったエミちゃんだったが、ジバニャンの必死さによって正気を取り戻し、ジバニャンの言葉に従うことにしたのだった。
エミ「・・・!わかった。一緒に行くよ、アカマル!」
ジバニャン「任せてくれニャン、エミちゃん!」
脱出のために手を取りあった二人。
そんな二人を上空から見下ろす少年の口元がフッと綻んでいたが、それに気付く者はいなかった。
目玉のような鬼である見回り鬼を蹴散らしながら青鬼から逃げていたが、なんとかこやぎ郵便局すぐそこまで辿り着いた。
青鬼「アオォォオオオン!!」
エミ「あと少し・・・!あと少し・・・!」
ジバニャン「エミちゃん!襖まであと少しニャン!がんばるニャンよ!」
エミ「あと少し・・・!間に合って〜!!」
そして青鬼から逃げ切ったジバニャンとエミちゃんは疲れにへたりこんだのだった。
エミ「アカマル、ありがとう・・・!あ、アカマルなんだよね?」
ジバニャン「どういたしましてだニャン!そうニャン!オレっちはアカマルニャン!」
エミ「アカマル・・・!アカマル〜!」
そして、改めてジバニャンに抱きついたエミちゃんだった。
ジバニャン「そういえば、どうしたんだニャンエミちゃん?鬼時間に迷い込むニャんて・・・」
エミ「・・・実は赤いスーツを着た骸骨の死神っぽい何かに追いかけられててね・・・」
ジバニャン「赤いスーツを着た骸骨の死神・・・!?エミちゃんソレは「おやおや、いけませんよ。そこの猫妖怪さん?」!?」
エミ「ヒッ───」
エミちゃんが嫌そうに話したジバニャンは何か察したようだ。するとちょうどその時、赤いスーツを着た死神のような妖怪がやってきた。
死神「お初にお目にかかります。私は死神と申します。早速で申し訳ございませんが、私に着いてきて貰えませんか?」
エミ「嫌よ!?あたしはデザイナーになるんだから、まだ死ねないの!!」
死神「おやおや、我儘を言ってもらうと困ります。貴方は既に魂を冥界に送る手配を受けているのです。」
ジバニャン「騙されたらダメニャンよエミちゃん!大体そいつは逸れ死が───「黙りなさい。」バゴニャー!?」
エミ「アカマル!・・・っアカマルに乱暴しないで!!」
ジバニャンを死神───もとい逸れ死神は全く悪びれた様子を見せていないようだ。
逸れ死神「我々死神の仕事の邪魔をするからです。さあ、こっちに来なさい。」
ジバニャン「エミちゃん!!」
エミ「イヤッ!イヤァッ!!助けて、ユウくん!!」
泣き叫び死んだ恋人に助けを求めるエミちゃん。そんな彼女を嘲るように逸れ死神は引っ張りあげて魂を抜こうとする。
万事休すかと思われたその時・・・
逸れ死神「無駄ですよ、あの者は既に───グベらァ!?」
アニ鬼「テメェ、エミに何しやがるッッ!!」
エミ「え・・・?」
アニ鬼が逸れ死神を殴り飛ばした。
その時、エミちゃんの目にはアニ鬼とかつての恋人である豊樹ユウマの姿が重なって見えた。
エミ「ユウ、くん・・・だよね?」
アニ鬼「え、エミ・・・!?」
エミ「ユウくん・・・ユウくんッ!」
エミちゃんの質問に思わず反応してしまったアニ鬼は直ぐさま「しまった」と顔をより青くしたが、逆にエミちゃんは歓喜の涙を流し、アニ鬼にハグをした。
逸れ死神「きッ・・・貴様ァ!!貴様も死神である私に歯向かう「うるせぇよ。」何ッ・・・!?貴様、今、なんて言った・・・!」
アニ鬼「うるせぇっつったんだよこのバカヤロウが!ジバニャン、エミを頼んだ!」
ジバニャン「任せるニャン!エミちゃん、オレっちから離れちゃダメニャンよ!」
エミ「で、でもアカマル、あのままじゃユウくんが・・・!」
ジバニャン「エミちゃん、ユウマはオレっちの何倍も強いニャン、だから大丈夫ニャンよ!それより、オレっちから離れないで欲しいニャン・・・!」
エミ「アカマル・・・!」
そして、アニ鬼と逸れ死神は互いを睨み合い、 間合いを詰め始め、武器を構え、相手の隙を狙っている。そして、汗が滴り落ちたその時───!
アニ鬼「雄々ォォオオオッ!!」
逸れ死神「キシャアアアア!!」
深く踏み込み互いに交差した瞬間、鎌と釘バットを振り下ろした。その結末は───
アニ鬼「ぐッ・・・!」
エミ「ユウくん!!」
ジバニャン「ユウマ!!」
逸れ死神「フッ・・・やれや───!?ガアアァァアア!!」
アニ鬼も膝を着くほどの大ダメージを受けたが、逸れ死神はアニ鬼の一撃をその身で受けた結果、時間差で体を弾き飛ばされ遥か彼方に吹っ飛ばされたのだった・・・
そして、エミちゃんは
エミ「ユウくん!大丈夫!?」
エミ「ううん!あたしがちゃんと確認しないで信号を渡ったから悪いの・・・!だから・・・ごめんなさい、ユウくん。アカマルも、あの時助けてくれたのに、酷いこと言っちゃってごめんね・・・!」
エミ「ありがとう・・・!ふたりとも、ありがとう・・・!」
涙を流しながらも、かつて亡くした大切な人たちに会えて、赦しを得たエミちゃんは確かに微笑んだのだった。
エミ「うん、今はあたしの家で引き取って元気にしてるよ!」
高成「ジバニャン!アニ鬼!大丈夫か!?」
エミ「高成って?」
中々帰ってこないジバニャンたちに高成も心配になったのだろう。心配した顔で2人に駆け寄った。
高成「二人とも、なんとか大丈夫だったか!よかった・・・急に居なくなったと思ったら逸れ死神がそっちに向かっていったって聞いたから心配したんだぞ!」
ジバニャン「ご、ごめんニャン・・・」
アニ鬼「す、すまねぇ・・・」
高成の勢いにエミちゃんは気圧されていたが、名前を聞くことはできた。
エミ「あ、貴方は誰?」
高成「俺は石田高成と言います。貴女こそ誰ですか?」
エミ「あっ、ごめんなさい。あたし、エミって言います。」
高成「エミ・・・なるほど、あなたがアカマルの飼い主でユウマの彼女さんのエミさんですね?」
エミ「は、はい!」
高成「なるほど、それならそうと言ってくれよ二人とも・・・それじゃあ、帰るかい?それともエミさんに着いていくかい?」
『え?』
高成「奇跡的な確率でせっかく会えたんだ。なのに無理やり引き離す事は俺には出来ないからな。考えて決めてくれ。」
『・・・』
高成はあくまで二人の気持ちを優先する様子だ。
一方、二人は悩んでいた。高成と高みを目指すか、それともエミちゃんと共に過ごすか・・・
そんな二人の様子を見たエミちゃんは・・・
エミ「二人とも、高成くんと一緒にいてあげて。」
『え?』
高成「いいんですか?」
エミ「ええ。幸い、あたしもさくらニュータウンに住んでいるから、また会えるわよ。それより、あたしは二人も夢に進んで欲しいの。」
エミちゃんはわかっていたのだ。二人は今の生活に満足しているのだと。だからこそ、エミちゃんは二人の背中を押したのだった。
高成「・・・そうですか。それでは、また今度お会いしましょう。」
エミ「うん!またね、ユウマくん!アカマル!」
互いに別れの言葉を交わす四人。
妖怪には妖怪の、人間には人間の世界がある。普通は交わらないものの、偶にはこういうこともいいかもしれない。そう思った四人だった。
読んでいただきありがとうございました。
今回出た逸れ死神ですが、死神が不祥事を起こした結果、職を失った死神というオリジナル妖怪です。
そして今回出てきた逸れ死神ですが、偽の情報を渡されていたにも関わらずそれを見抜けないどころか、エミちゃんを追いかける道中に様々な被害を出した為にムゲン地獄に更迭されました。
それと妖怪ウォッチ3のアゲランクの秘宝代わりの制度であるアゲランク試験ですが、本作においてはこれによって妖怪のランクが決まると思っていただければと思います。
具体的には
最上位Sランク
上位 Sランク
中位 Sランク
下位 Sランク
上位 Aランク
中位 Aランク
下位 Aランク
上位 Bランク
下位 Bランク
上位 Cランク
下位 Cランク
上位 Dランク
下位 Dランク
上位 Eランク
下位 Eランク
といった具合です。例えば最上位Sランクと下位Sランクでは可能な権限が変わります。
とはいえ妖怪ウォッチのサーチでは最上位Sランクも下位Sランクも同じSランクとして処理されます。
因みにエンマ大王などのミカド族もこのランク付けに含まれています。先代や今代のエンマ大王は言うまでもなく最上位Sランクに分類されています。
それではまた次回お会いしましょう。