第三十六刻目 さよなら日本!?
ぬらりひょんが起こした騒動から二年半月後・・・俺は小中高大一貫校である
中等部三年の夏頃から、実家のスポーツ用品の開発、製造、流通まで手掛けている会社を継ぐ為にも、手伝いをして経験を積んでいた。会社の経営など必要なノウハウを学んでいった。
ところが、最近アイディアのマンネリが起き始めていた。どうにかこの状況を打破する方法は無いかと思ったその時、脳裏に浮かんだのは中等部二年の頃にうんがい鏡とカゲローの力を借りてアメリカに渡った時のことだ。あの時はシャッチーバーグ社長を探すのに必死だったこともあってあまり見れていなかったがそれでもインスピレーションを掻き立てられたものだ。そして俺は決心したのだ。───アメリカに行こう、と。
そうと決まれば行動は早かった。同じことを考えていたユキノと共に学校に一時留学の旨を提出して掛け合ってもらい、アメリカのセントピーナッツバーグにある世界最高のデザイナー育成学校であるヨカルティアデザインハイスクールに留学する手筈が整った。
そして今日、多くの知り合いに見送られ、日本を発つ。
天都「アンタたちが突然アメリカに行くって言い出した時は流石にビックリしましたよ。」
小崎「でも、とっても石田師範たちらしいなって思いました。」
高成「小崎、それは褒めてるのか?というか、酒井は?」
和樹「酒井は『石田師範はどうせ何度殺しても一度も死なないようなお方ですし、ユキノ先輩も石田師範が死ぬ気で守り抜くのでどのみち再会出来るから今日限定のスイーツフェスタを優先する』との事です。」
ユキノ「あの子ったら・・・」
目の前にいるのは、臨戦流にて俺の直属の部下である天都という少年と小崎という少女だ。
三年前、この二人も含めた多くの少年少女が半ば監禁されていた違法
しかし、子供たちを違法施設から救ってめでたしめでたし、とは当然ながらならなかった。彼らの中には親に売られたり、精神的に違法施設の洗脳じみた偏重な教育を受けたためにそのままでは社会進出が難しくなったり、そもそも親が違法施設の職員だったりと、様々な問題が露呈し、半数以上の子供を家に返すことができず、その結果多くの子供が行き先を見失った。
その結果子供たちの引受先に白羽の矢が立ったのが臨戦流であり、俺であったというワケだ。
俺も彼等の教育係に任命された際に知ったのだが、臨戦流は神軍という世界防衛軍の一部門なのだ。武術一門であり、であるというのは武具や兵器を合法的に蓄えるための大義名分とは師匠の上官にあたる織田元帥の談だ。
細かい詳細はここでは省くが、この世界を狙っている敵が宇宙の更に外に沢山おり、連中にせいで俺もユキノも暗殺者に気を回す生活を送っている。
高成「気にすんなよ景太。それより大丈夫なのか?後輩に刺されたっていう傷は・・・」
そう、この色男。遂に刺されたのだ。と言っても、彼に惚れた女が情念を煮詰まらせた果てに彼を刺した訳では無い。景太に文花に思いを募らせていたとある後輩男子が嫉妬に狂って帰宅中の彼の背中をナイフで刺したのだ。
そこに偶然居合わせた天都が男子生徒を取り押さえつつ、小崎が適切な応急処置をして、酒井が救急車を呼んだおかげで無事後遺症なく退院できたのだった。
イナホ「そうですよ!私もフミさんもユウカちゃんもキララさんたちもみんな心配したんですから!」
ユキノ「あはは・・・ケータくん、フミちゃんたちと仲睦まじそうで良かったよ。ボクたちもお義父さんたちに掛け合った甲斐があったって思えるよ。」
いやホントユキノの言う通り、あのままだったら誰も幸せになれねぇ未来が訪れるのは目に見えていたからな。だから親父に頼み込んで国に掛け合って例外的に景太たちの多重交際を認めて貰った。尤も、元から例外的多重交際、多重婚法があったから成せたことではあるが・・・四年前、瀧流の奴が無自覚に女を引っ掛けまくって国家権力クラスが動くレベルの危機に陥ったあの事件が巡り巡って役に立つとは・・・風が吹けば桶屋が儲かるとはよく言ったものだな。
高成「さて、な。そろそろ時間だな。行くぞ、ユキナ。」
ユキナ「うん。じゃあみんな、またね。」
兎も角、そろそろ飛行機が出る頃合いだ。連れていくのはユキノとウィスパーのいつもの面子に加えてジバニャンとアニ鬼、あとは最近進化して鍛えておきたいフクリュウと龍神くらいだ。他の面子は最近は妖力の安定に向けた修行の一環で人間に化けて過ごしているユキナの護衛だ。
ユキナ「ふー、間に合った・・・お姉ちゃん!高成さん!行ってらっしゃい!」
高成「ああ、行ってきます。」
ユキノ「うん!行ってきます!」
そして俺たちは飛行機に乗って日本を発ち、アメリカに向かったのだった。
・・・
ユキナ「お姉ちゃんたち行っちゃったなぁ・・・」
私はそう思い、妖怪ウォッチU2を眺める。高成さんが去年の私の誕生日に買ってくれたのだ。その上、護衛として沢山のメダルを貸してくれたのだ。
・・・別に今始まったことではないのだが、高成さんは少し過保護なのかもしれない。
さて、私も暇では無い。今日は百鬼ちゃんと椿ちゃんの恋愛相談をしなきゃいけないのだ。お相手は・・・高成さんとお姉ちゃんと同じように互いにともだち契約をした妖怪ウォッチャーだ。
そう思い、空港から出たその時。目に留まったのは、小さくて黄色い妖怪だった。こっちを見つめてくるだけで何もしてこないが、それが少し気味が悪かった。
ユキナ「ねえ、キミ。どうしてこっちを見てるの?」
「だ、ダニ・・・!?」
さて、最後の妖怪は一体・・・?
今回も読んでいただきありがとうございました。