ウィスパー「実は最近、この街に妖気が溢れているんです。」
俺が妖怪たちと初めて出会ってから気が付いたら五日も経っていた。これはそんな日の夜中から始まる物語である。
ウィスパーが唐突にそんなことを言い出す。
高成「急にどうしたんだよウィスパー。いやまあ、確かにここ数日は大きな力・・・いや、妖力がやたらあちこちから感じるようになったが。」
ゆきおんな「そういえば、今日会ったバクロ婆が『小学校から怪しいサラリーマンが出ていった』って言ってたわ。」
ツチノコ「あと、今日道場に鍛えに来てたジバニャンが怪しいサラリーマンが魚屋さんあたりで『明日はこやぎゆうびんだ』『これが成就すれば世界はオレたちのもの』って言ってたらしいよ?」
ゆきおんなとツチノコの話を要約すると『小学校から出てきた怪しいサラリーマンが世界を支配するために明日こやぎゆうびんに向かっている。』ということか・・・
ウィスパー「なるほど、そのサラリーマンが恐らくこの事件の実行犯ですね。では、早速こやぎ郵便に行きましょう!」
高成「待てウィスパー。今日はもう夜遅い。それに明日なんだろ?なら、朝早くから明日待ち伏せしてそのサラリーマンに事情を聞こう。」
ウィスパー「そうでしたそうでした。では、明日は早く起きてこやぎ郵便で待ち伏せしましょう!」
そして一夜が過ぎ去った朝の五時、あいにくの雨模様で雨合羽を着て家を飛び出す。因みに両親には事情を話し、外出の許可は取ってある。
道中に、昨日の夜ウィスパーがiPadもどきもとい妖怪パッドの連絡アプリを使って俺のともだち妖怪に協力を呼びかけていたようでそれに応じたジバニャンにグレるりん、セミまる、ジミーの通称【鍛錬組】が来てくれた。ほかの妖怪たちも行けるのなら行きたかったが別の大切な予定があったから泣く泣く断念したとのこと。でも、早く終わったら駆けつけると言ってくれた。・・・やはり、ともだちはいいものだな。
そうして待ち伏せすること30分。見るからに悪い顔をした怪しいサラリーマンがやってきた。
サラリーマン(?)「こんな簡単に力が手に入るんだからまったくボロい仕事だぜ・・・ってお前!」
高成「・・・俺の顔になにかついてるか?」
サラリーマン(?)「ざけんな!あの時俺を派手に吹っ飛ばしやがって!」
俺が吹っ飛ばした?・・・まさかコイツ。あの時ジバニャンの宝物を奪ったあの・・・
高成「お前、ネクラマテングか?」
そう言うと奴は正体をあらわした。
ネクラマテング「そうだよ!」
ジバニャン「お前、あの時の・・・!」
グレるりん「テメェ・・・!」
ウィスパー「まさか、あの時のネクラマテングが怪しいサラリーマンの正体だったとは・・・!」
ゆきおんな「貴方懲りずまだこんなことを・・・!」
セミまる「話には聞いてたミンが、とんでもないヤツだミン・・・!」
ジミー「・・・むかつく。」
ネクラマテング「ムッキー!ザコが生意気なんだよ!ぶっ飛ばしてやる!」
高成「来るぞみんな!」
そして戦いが始まったのだが・・・
ネクラマテング「ぐあっ!なんでこのオレが・・・!?」
ジバニャン「オレっちたちはアレから毎日高成と鍛えてるんだニャン!」
グレるりん「今までの俺たちとは一味違ぇぞ!!」
ゆきおんな「みんなで努力して強くなったの、貴方が怠けてる間にね。」
ネクラマテング「だが、こぶた銀行と公民館の結界にヨコドリとちからモチが向かった!それさえ解ければ、世界はオレたち、妖怪の物になる・・・!その時を楽しみに・・・ガッ!?」
高成「・・・そうなる前に、俺たちが止めるさ。」
ネクラマテングを木刀でとどめを刺し、背中の袋に入れた。その後、俺とウィスパー、ゆきおんなは公民館に向かい、ちからモチを倒した。時を同じくしてジバニャンとグレるりん、セミまる、ジミーがこぶた銀行でヨコドリを倒したと連絡があった。
そして、俺たちはさくら第一小学校の初代校長先生像前に集合した。
ゆきおんな「・・・ここね。」
高成「ウィスパー、頼む。」
ウィスパー「はい、
そして結界を張り直そうとした時、突如地ならしが起きた。そして・・・
ミツマタノヅチ「我が眠りを妨げるのは誰ギョロ・・・!」
ジバニャン「ニャニャ!?なんかヤバそうな奴が出てきたニャン!」
グレるりん「っ!なんて圧だ・・・!」
高成「狼狽えるな!来るぞ!」
ミツマタノヅチ「まずは手始めに貴様らを食ろうてやるギョロ〜!!」
そして、ミツマタノヅチとの戦いが始まった。
高成「セミまる、あの頭を必殺技で攻撃だ!」
セミまる「任せるミン!喰らえ、みんみん切り!」
そしてセミまるはまだ荒削りながら凄まじい剣戟でミツマタノヅチの頭を攻撃し、痛みのあまり弱点の目玉を出した。
ミツマタノヅチ「ギョロ!?何をするギョロ!」
高成「ジバニャン!グレるりん!ジミー!一斉攻撃でたたみかけろ!セミまるは回避に専念してくれ!」
ジバニャン「任せるニャン!ニャニャー!!」
グレるりん「おう!テメェ!!」
ジミー「行くよぉ・・・!それぇ・・・!!」
セミまる「わかったミン!」
ミツマタノヅチ「ギョロォォォ!?」
すると、強力な攻撃を受け続けミツマタノヅチはふらついたように見えた・・・が、俺の目にははっきり見えた。ミツマタノヅチがこちらの隙を狙っていることに・・・!
セミまる「いける、いけるミン!」
ジバニャン「このまま畳み掛けるニャン!」
高成「ダメだみんな!下がれ!!」
ミツマタノヅチ「かかったギョロ!モーレツ三叉撃!!」
『!?うわあああ!』
セミまる「ぐっ!?みんな!!」
高成「セミまる!倒れたみんなを連れて下がれ!ゆきおんな!行くぞ!」
ゆきおんな「う、うん!」
ミツマタノヅチの必殺技を諸に受けた三人は戦闘不能だ。
回避を続けていたセミまるが辛うじて戦闘可能といったところか・・・!
そして俺は死地へと赴いた。
その時の俺はセミまるがどれだけ悔しい思いをしているか、理解しきれていなかった。見通しが甘かったと言わざるを得ないだろう・・・
高成とゆきおんながミツマタノヅチ向かって駆け出した時、セミまるはウィスパーのところまでジバニャンたちを運んでいた。
セミまる「・・・拙者が、拙者が「不甲斐ないなんて言うつもりじゃねぇだろうな?」!グレるりん殿。」
グレるりん「俺たちがやられたのは俺たちの責任だ。ましてや、高成は『下がれって』ミツマタノヅチの策に気づいていた。足りなかったのは、俺たちの実力だ。」
ジバニャン「そうだニャン。セミまる、お前は悪くないニャン。」
ジミー「だから、キミは今すぐ高成の所に向かって助けるんだ・・・!それが今できるのはキミだけだから・・・!」
ウィスパー「その通りですセミまる。高成くんを助けられるのは貴方だけなんです。」
セミまる「ウィスパー殿・・・」
三人に続き、ウィスパーがセミまるの背を押した。その後ウィスパーは自虐気にこういった。
ウィスパー「私は戦う力がありませんから、ジバニャンたちがこれ以上傷付かないように見ておきますよ!」
ウィスパーたちの優しさ、高成への信頼と友情を胸に抱えたセミまるは・・・
高成「っチィ!しぶといなコイツ・・・!」
ゆきおんな「ええ、そうね・・・!」
ミツマタノヅチ「しぶといのはお前たちギョロ・・・!とっとと倒れて我の餌になるギョロ・・・!」
高成「ハッ!そう言って倒れるものかよ!貴様の方こそ
ミツマタノヅチ「ッ!!余程死にたいらしいギョロな・・・!」
そういうとミツマタノヅチはふたつの頭を俺への攻撃に使い、もうひとつの頭を火を吹く為に使った。
高成「ゆきおんな!必殺技を使うぞ!遠慮はなしだ!《奥義・疾風速激》!!」
ゆきおんな「わかった!《ゆきんこシャーベット》!ヒュウウウウウウウ!!」
互いに凄まじい攻撃を繰り出すが、俺とゆきおんなは追い詰められていく。その時だった。
高成(くっ、このままでは殺られる・・・!)
ゆきおんな(これ、ちょっとヤバいかも・・・!)
セミまる(?)「【忍法・影走り】!」
高成「セミまる!?」
ミツマタノヅチ「ギョロロ!?」
ゆきおんな「いやあれはカゲまる、セミまるの進化形態よ!」
カゲまる「高成、今だミン!」
高成「ああ、
バギャアッ!!
カゲまるの作った隙を無駄にしない為にも凄まじく早く重い一撃を繰り出した結果、ミツマタノヅチは倒れた。
ミツマタノヅチ「ギョ、ギョロロロ〜ン!?」
しかし、俺は戦いにおいて石橋を叩いて渡る主義だ。故に俺は倒れたミツマタノヅチに木刀を振り落ろした・・・
高成「
ミツマタノヅチ「ギョ!?な、なぜ分かった、ギョロ・・・!」
やはり、最後の最後まで油断はしないものだな。
あとはウィスパーが結界を元に戻してこの件は終わりを告げる。
こうして、さくらニュータウンにおける大結界騒動は幕を閉じた。しかし、高成たちは知らなかった。これは、大冒険の始まりに過ぎなかったということを・・・
読んでいただきありがとうございました。
今回で第一章は終わりです。次回からは第二章をお楽しみ下さい。