YAMA育ちの妖怪王   作:スルメ文庫

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第二章 妖怪との日常
第七刻目 高成のルーツ


 ミツマタノヅチとの戦いから三日ほど過ぎ去り、話を聞いた妖怪たちから勝負を挑まれたり、弟子にしてくれと懇願(こんがん)されたりとかなり忙しかった。そんな俺は今、妖怪ウォッチの使用者として、とある壁にぶつかっていた。

 

高成「友達の人数も、強さもこのままじゃ限界が来るな。」

ゆきおんな「中にはツチノコみたいに性格からして戦闘には向いてない妖怪もいるしね・・・」

高成「ああ。前はミツマタノヅチが完全に覚醒していなかったから良かったが今後もそんな都合のいいことが起こるわけがないからな・・・」

ウィスパー「そうですねぇ。・・・では、チョーシ堂にて妖怪ウォッチの強化をしましょう!」

高成「妖怪ウォッチの強化か・・・チョーシ堂ってのは、確か眼鏡と時計のチョーシ堂か?」

ゆきおんな「チョーシ堂っていうとあの団々坂の?」

ウィスパー「ええ、そのチョーシ堂です!チョーシ堂の店主は代々人間と妖怪の関係を取り持つ家系なのです!」

高成「そうか。チョーシ堂の店主は父さんの昔馴染みだから顔は通ってるはずだし早速行くか。」

 

 思い立ったが吉日とばかりに早速チョーシ堂に向かう。ちなみにチョーシ堂のある団々坂という区域は北から南にかけて下り坂となっている。

 

高成「失礼します。お久しぶりです、店主さん。」

店主(チョーシ堂)「おお、石田んトコの子供じゃねえか。いらっしゃい。今日はどうかしたかい?」

高成「実は、この時計について相談があります。」

 

 そう言って妖怪ウォッチを見せるとチョーシ堂の店主であるお爺さんは驚いた様子で俺を見た。

 

店主(チョーシ堂)「こりゃあ、妖怪ウォッチじゃねえか!それに、お前の両隣にいる妖怪も・・・」

ウィスパー「(わたくし)は妖怪執事のウィスパーでございます。ウィス。」

ゆきおんな「ボクはゆきおんな。高成のともだち妖怪です。」

高成「・・・まあ、という訳だ。二人にはよく助けて貰っている。」

店主(チョーシ堂)「なるほどな。やっぱりあの二人の子供と孫なだけはある。血は争えんな。」

 

 妙に訳あり顔に何か知ってそうな口ぶり。もしや・・・

 

高成「もしや、俺の父と祖父はウォッチ使いでしたか?」

ウィスパー「いやいや、高成くん。そんなまさか・・・」

ゆきおんな「そうだよ、流石にそれは・・・」

店主(チョーシ堂)「おお、よくわかったな。」

『嘘ぉ!?』

高成「やはりか。」

 

 二人は何故か驚いていたが、俺は逆に納得した。これだけ霊視能力が強いのはただの遺伝や才能だけでは説明がつかない。それこそ二代から三代にわたって妖怪と関わり続けなければここまではならないだろう。

 

高成「昔から、見えないはずのものが良く見えていたものでな。何故か不思議だったが爺様の代から妖怪と関わり続けていた一族だったのならばそれも納得だ。」

店主(チョーシ堂)「なるほどな。お前さんの親父も貞成のヤツもお前さんの霊視能力が強すぎて周りに馴染めずにいたって心配してたからな・・・」

 

 そうか、父さんも心配してたんだな・・・って待て、貞成だと?

 

高成「ちょっと待ってくれ店主さん。貞成の爺様は俺が生まれる数ヶ月前に無くなっているはずです。なんでそんなことを知ってるんですか?」

店主(チョーシ堂)「おや、知らなかったのか?貞成は今、【妖怪王ワイルドハント】として人間界にいる数多の妖怪を束ねる王者の一角に君臨してるぞ?まあ、なんでそんなことを知ってるのかっていうとオレは人間に化けている妖怪だからだな。」

 

 そういうと、ウィスパーとゆきおんなはギギギ・・・と凄い目で俺を見てきた。

 

ウィスパー「高成くんの御祖父様が妖怪王ワイルドハントですって!?」

ゆきおんな「凄い・・・!」

高成「ワイルドハントって、たしか自ら天国に行くことを拒んだ者たちが群れをなしている状態じゃなかったか?」

ゆきおんな「人間界では【ワイルドハント】ってそう伝わってるんだったね。・・・いい?高成。妖怪王ワイルドハント様は簡単に言うとね、人間界における妖怪たちの監視役でエンマ大王と並んで妖魔界で一番偉いの。」

ウィスパー「ええ。なにせ、人間界に妖怪たちが行くには、まずエンマ大王様の審査を通って、その後に妖怪王ワイルドハント様の審査を受けて初めて人間界に行けるんです。かくいう(わたくし)達も妖怪王様の審査を通って人間界に来てるのです。」

高成「なっ・・・!?」

 

 なんか俺の爺様とんでもない地位にいるらしいことが発覚したんだが・・・!?

 

店主(チョーシ堂)「おいおい、落ち着け。まあ、驚くのも無理はないが・・・まあ、要件は分かってる。妖怪ウォッチの強化をして欲しいんだろ?」

高成「え、ええ・・・お願いします。」

 

 そして、妖怪ウォッチを強化する為のパーツを集めてきて欲しい」と店主さんにお使いを頼まれたので自転車屋、さすらい荘、そしておんぼろ屋敷に向かい、全てのパーツを集め終えた。まあ、おんぼろ屋敷にて、バクと少し揉め事があったがともだち妖怪になってくれたので結果オーライだろう。

 

 そしてチョーシ堂に戻り、店主さんに報告した。

 

高成「全てのパーツを持ってきました。」

店主(チョーシ堂)「おお、もう揃えたのか。揃えた(ついで)で悪いが、もうちょっとお使いを頼むぞ。実は、俺の勝負下着を銭湯で無くしちまってな・・・」

高成「えっ、勝負下着っていうとあの褌ですか?」

店主(チョーシ堂)「おう。履いてるのがアレじゃないと力が入んないんだ。それで番台の姉ちゃんに探すのを頼んだんだがまだ見つかってないみたいでな。自分で探すには営業時間終了後じゃなきゃダメらしいんだが、俺は店を離れる訳には行かないからな。だから代わりに行って欲しいんだが・・・」

高成「営業時間終了後となるとちょっと厳しいですね。その時間帯だと父も母も外出を許可してくれないでしょうし・・・」

店主(チョーシ堂)「だよなぁ・・・」

 

 店主さんの願いは聞いてあげたいが、流石にその時間だとな・・・

 

ウィスパー「高成くん、こんな時こそさきほど友達になったバクの出番ですよ!」

店主(チョーシ堂)「おお!お前さん、バクと友達になっていたのか。なら話が早い!バクは眠気を食ってくれる上にお前さんに化けて親の目も誤魔化してくれるからな!」

高成「そうなのか・・・なら、早速今夜呼んで手伝ってもらうか。」

 

 後に、この選択を俺は後悔することになるのだが、それは次回の話でお会いした時にお話しましょう・・・




 読んでいただきありがとうございました。
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