その日は、任務だった。
宙域の警戒任務だった
その事を知ったのは、帰投後だった。
「……おい、聞いたかよ…サイド1の30バンチの事」
「30バンチ?」
そう話す声が聞こえた。
「すみません…30バンチがどうかしたんですか?」
リフは母と弟が待つコロニーの事を話す上官が気になり尋ねた。
詳細は曖昧だったが内容は─
反乱分子のデモや予兆があった事。
そして未知の感染症が爆発的に広がった事。
どの言葉も、どこか空虚だった。
「……母と……弟は……?」
2人の上官は気まずそうに目を逸らしそれ以上の答えはなかった。
リフは、眠れなかった。
制服を着たまま、暗い自室に座り続けた。
「……何がおかしい……」
そう、漠然と思ったリフは自室の端末でティターンズとしての権限を使い、本来メディアではアクセスできない情報に手を伸ばした。
結果は──サイド1 30バンチにて激発性感染症発生 市民の全滅を確認 状態:閉鎖
報道や聞いた話とほぼ同じ内容だった。
当たり前だ。こんな新兵でも手が届く権限内に機密情報があるわけが無い。
「かくなる上は…」
戦艦の情報受信室
そこへ行くしかない。
何かがおかしい、真相を確かめるべく走り出したリフだったがその心は事実を認めたくない一心だった。
ティターンズの軍服を身に纏っている以上戦艦内のどこへでも容易に行けるだがこれ以上は高官の権限でなくては入れないエリアもあった。
目的の部屋の入り口には警備が2人立っている。
(よし)
リフは通路をさも当然かの様に歩いて2人の前へ向かった。
そして、敬礼をし片方に紙を渡した。
「警備隊長がお呼びです。至急警備室へ来いとの事です」
「なに?そんな無線は入ってないが…?」
「大変お怒りのご様子でしたのですぐ向かわれた方がよろしいかと…」
うーむ、と疑っている様子だった。
自分でも苦しいのは分かるがコレしかなかった。すると隣から思わぬ援護があった。
「お前の無線最近調子悪かったしな。
もしかしてその事じゃねぇのか?お前些細な事だーって報告しねぇし」
その言葉を受けた警備員は血相を変えて走っていった。
実にありがたい。
完全に分が悪すぎる武力制圧をするしか道がなくなる所だった。
そしてその走り去る姿を目で追っていた警備の隙を突き一撃で気絶させる事に成功した。
警備隊員が持っていた点検用キーでロックを解除
そしてカメラの位置も頭に入れてきていた為ダクトへ入りカメラのない位置へ
そしてやっと真相がわかる目的地へ辿り着いた。
すぐさま持ってきたPCでハッキングを始める。
そして─しばらくたった時目に刺さる様な赤い光と耳を切り裂く様な警報がなった。
「……くそ……!」
だが、本来であれば、警備が感知し警報がなるその制限時間のまえに全てを終えるはずだったのだが
リフは、真実を目の当たりにしたことで硬直しその制限時間を超えてしまった。
30バンチ毒ガスを散布─
抹消指示─
艦は周辺の警備─
世界が、音を立てて崩れた様に感じた。
「……嘘だ……」
これが、正義?
これが、守るということだと?
膝をつき涙と絶望で前が見えなくなったが後ろから大勢の足音が聞こえ我に帰った。
「こんな事が許せるものかッ…」