なんでも一つ願いが叶うらしい(ただしその条件は鬼畜とする) 作:イーサン・W
誰も居ないな?
今だ!投稿ッ!!
───
・ヒースクリフの正体を暴く方法
ヒースクリフの正体は茅場晶彦。
これをどうにか皆の前で暴かなければいけない。
ただ正体を明かすだけでは駄目だ。
俺一人が証拠もなしにヒースクリフの正体を明かしたとしても、有耶無耶にされて誤魔化されてしまう可能性がある。
団長に冤罪を吹っ掛けた犯罪者になるのはごめんだ。
俺のミッションが詰んでしまうしまうことになる。
だからそれを回避するにはどうするか?
俺は奴の慢心的な力を利用することにした。
奴はGMの権限を使い、HPがイエロー以下にはならない。
つまりHPの半分以上はどんなにダメージを与えても削り切れないように設定されている。
俺は原作通りそこを突くつもりだ。
ヒースクリフのHPがイエローになったタイミング。
そこを俺が皆の前で攻撃し、奴の正体を白日の元に晒す。
そうすれば奴には《Immortal Object》
破壊不能オブジェクトと表示されるだろう。
それで皆に奴の正体が露見する。
そうなればほぼ俺の勝ちだ。
「───ねぇ、
「オウ……ドウシタ」
「そこのカップ取ってくれる?」
「オウ……ワカッタ」
「ふふ、ありがとう」
「ねえ、
「オウ……ドウシタ」
「一緒に散歩でも行かない?」
「オウ……ワカッタ」
ユイちゃんのデータをアスナのナーヴギアに移してから数日。
何故か俺はアスナとの同棲?生活が続いていた。
「───
「オウ……ソウダナ」
「───
「オウ……イイゾ」
「───
「オウ……マカセロ」
アスナがいつの間にか団長に出していた休団申請。
それによって生まれた休みの日々。
アスナにとっては楽しい日々。
俺にとっては心穏やかではない日々。
そんな日々の生活が続いていた。
「…………」
「
「あ、すまん、考え事してたわ」
「もう!まったく
「ははは、スマン、スマン」
先程から見ていて分かると思うが、この生活は俺にとって非常に気まずい。
マジ助けてキリエもん案件だ。
俺は朴念仁野郎ではない。
───アスナが俺に好意を持っていること
それにはもう気付いている。
というか前々から薄っすらとそれには気付いていた。
だけどそれに俺は気付かないふりをしていた。
だがもうそれは出来なくなってしまった。
『別に…今なら正直になってもいいの……かな?』
あの時のアスナの行動。
それにより現実を直視しなくてはいけなくなった。
一体俺はどうしたらいいのだろうか?
俺はこの世界に留まるつもりはない。
だからアスナの恋心なんて無碍にして元の世界に帰ればそれまでなのだが、流石にそんな非情な事はしたくもないし、アスナを傷つけたい訳でもない。
出来れば穏便に平穏に納めたい。
だがそんな考えは俺の頭では浮かんでこない。
ただ俺は途方に暮れるしかないのであった。
───
・ヒースクリフの正体を暴く時期について
ヒースクリフの正体を暴くなら出来れば早い時期がいい。
そうすればプレイヤーの多くは救われる。
死者も少なくなる。
万々歳な結果待ったなしだ。
だがそれをすぐに実行することは出来ない。
まず一つは俺の力量が圧倒的に足りない事。
今の俺がヒースクリフに挑んだ所で瞬殺されて終わりだ。
俺が奴に挑めるだけの力量を身に付ける必要がある。
そのためには奴も知らないような驚くような力が必要だ。
そして二つ目はユイちゃんのことだ。
時期早々にヒースクリフを打ち倒せたとしよう。
そうすればゲームは無事クリア。
多くのプレイヤーが解放される。
俺もミッションクリアだ。
だがそうすればユイちゃんはどうなる。
キリトやアスナに出会えず、ただ心を壊した状態のままアインクラッドと共に消去される。
この先の多くの未来でユイちゃんは必要な存在だ。
ユイちゃんが消去される。
我儘かもしれないがそんな事を俺は許容したくなかった。
故に俺は74層まではヒースクリフに手を出すことは出来ない。
最後に三つ目はヒースクリフ自身の事だ。
奴はそもそもHPがイエローになる事自体が少ない。
原作でも右手で数えられる程度しかなっていない筈だ。
俺が奴の正体を暴くのに必要な絶対条件。
それは奴のHPがイエローであること。
それに伴い奴の正体を暴く時期も限られる。
理想的なのは50層で正体を暴いて倒すこと。
だけどそれを達成するには俺の力量的にも、ユイちゃんのこと的にもすることは出来そうもない。
ヒースクリフを倒す時期。
それは原作通り75層のボス戦後となるだろう。
「───皆んな上だ!!頭上に気を付けろッ!!」
巨大な怪物が俺たちの視界を埋める。
四つ目の頭蓋骨と骨でできたムカデのような胴体と触腕、触脚、そして何よりも目を惹く巨大な2本の鎌。
75層ボス《The Skull reaper》
それが今俺たちの目の前へと降り立った。
「奴には決して背を見せるなッ!死にたくなければ最後まで戦え抜け!」
ボスの威圧に戦慄してしまっている攻略組のメンバーを鼓舞する。
このボス部屋では転移結晶も使えないし、全滅かボス撃破まで扉がロックされる。
今この場においては逃げる=死なのだ。
こんな所で死者を出すわけにはいかない。
「
スカルリーパーの巨大鎌による攻撃が破竹の勢いで迫る。
ここで背を向ければ終わりだ。
原作通りなら一撃でも喰らえばHP全損もあり得る。
「俺とアスナ、キリトで受け止めるッ。その隙に奴のバランスを崩せ!」
『オオオオッッ!!!!』
「来るぞッッ!」
迫り来る鎌を俺とアスナたちで受け止める。
その重量感はとてつもなく重く、気を抜けば即座に吹き飛ばされてしまいそうな程だ。
もし吹き飛ばされれば最後。
いとも簡単に身体をスライスされてしまうだろう
流石は75層のボスと言った所だ。
「尾の攻撃が来るッ!」
「フッ、ここは私が対応しよう」
スカルリーパーは自身の鎌が止められた為か、その巨大な尾でプレイヤーたちを薙ぎ払おうとする。
当たれば必殺、最恐の鎌だ。
だがそれをヒースクリフが真っ向から対峙し、盾で相殺する。
「流石団長!」
「あの攻撃を一人で受け止めるなんて………」
キリトとアスナ二人の感嘆の声が耳に入る。
《神聖剣》というラスボス特別のチート使ってるだけの癖に、賞賛の声が聞こえてヒースクリフは随分と機嫌が良いようだ。顔がドヤってる。
(ケッ!ケッ!!)
俺は心の中でヒースクリフにブーイングを浴びせながら、身体を捻じるように回転させ再度迫り来る鎌を弾き飛ばす。
(そう何度もやらせるかってな!!)
「ボスは今ガラ空きだ!総攻撃を仕掛けろ!」
クラインやエギルたちが一斉にスカルリーパーの触脚を破壊せんと攻撃を仕掛け始める。
ボスの攻撃は俺とアスナたち、ヒースクリフが抑えるため問題はない。
全員で袋叩き、フルボッコだ。
ボスのHPがミルミルと減っていく。
「───スター…バースト…ストリームッッ!!」
キリトの二刀流が動く。
その16連撃にも及ぶ高速の斬撃。
それはスカルリーパーの鎌を集中して攻撃される。
『gasaya!gaaaa!!!!』
スカルリーパーの叫びが響き渡る。
キリトはスカルリーパーの片方の鎌を破壊した。
「ッッでかいのが来るぞ!」
『gayagaayaaaa!!!!!』
スカルリーパーは自身の身体が破壊され激高し、その巨体を渦に巻くように暴れる。
何人かはその鋭利な触脚により吹き飛ばされ、切り裂かれる。
数人のHPがレットゾーンへと突入してしまった。
「ジタバタジタバタ気色悪いんだよムカデ野郎ッ!!」
残った方の鎌で攻撃してくるスカルリーパーを俺は擦れ擦れで躱し、そのがら空きな背骨目掛けて剣を振り下ろす。
そしてそのまま俺はスカルリーパーに剣を突き刺したまま、背骨を一直線に駆け抜けた。
これで綺麗な背開きの出来上がりだ。
骨しかないけどな。
ボスのHPもようやく三分の一といったところだ。
「
アスナからの掛け声とともに俺は後退する。
それと同時にアスナが前進し、ミサイルの様に突進した。
「はああああーーーッッ」
『■■■■■ーー!!』
アスナによる細剣の怒涛の神速がスカルリーパーを襲う。
顔面から背中に目掛けての殺意マシマシの攻撃。
無数の傷跡と共にスカルリーパーは痛いダメージを負った。
「キリトッ!最後は頼んだぜ!」
「ああ!!」
俺はキリトに最後の攻撃を託す。
ボスのHPはまだ少なからずある。
それを一気に削り切るにはやはり二刀流を持つキリトしかいない。
「うおおおおーーーッッ!!!」
キリトの二刀流スキル《ジ・イクリプス》が発動する。
二刀流最上位ソードスキルである27連撃。
それがスカルリーパーに全方位から殺到する。
スカルリーパーの抵抗は虚しく、ボスのHPゲージの底が見え始めてきた。もう少しでカタがつく事だろう。
「キリトッ!やれ!!!!」
「ああッ!!!!」
キリトが最後の一撃を振り上げる。
そしてその一撃が与えられた瞬間。
ボスのHPはゆっくりと底を突いた。
死者数はゼロだ。
「「よっしゃあああーーー!!!!」」
───
・ヒースクリフの倒し方について
大前提として。
俺はヒースクリフより圧倒的に弱い。
それについて考えなくてはいけない。
俺がヒースクリフに闘いを挑んだとしよう。
そしたらまず俺が勝つ事はないだろう。
100回中、99回は俺が負ける。
普通に殺されて終わり。ただそれだけだ。
技量で言えば俺はキリトやアスナたちより余裕で弱い。
天才たちと違って俺は凡人、よくて秀才止まりだ。
まあこの結果は妥当だろう。
すぐに未来を予測する事ができる。
ならどうするのか?
キリトと協力する事も考えた。
だがこの世界は原作の世界と違い、俺の介入のせいで全く違う世界となってしまっている。
もしかしたら俺の介入のせいで未知のアクシデントが起こり、キリトに何か起こってしまうかもしれない。
キリトに何かあればミッションクリアどころではない。
全てが失敗となる。
ミッションクリア失敗だ。
それは何としてでも回避しなくてはいけない。
そしてキリトは保険でもある。
例え俺が負けたとしてもキリトなら安心してあとの世界を任せられる。
キリトなら絶対に仇を取ってくれると信じられるのだ。
まあそれなら信じて一緒に闘えよって話だがな。
俺は心配性なんだ。
そこは許してくれ。
それでヒースクリフをどう倒すのか?
方法はある。
ただ、この方法は奴に一度しか通じないだろう。
だが一度でいい。
一度で俺は全てに決着をつけてみせる。
その方法は───
「───よう。ヒースクリフ。いや、茅場晶彦か?」
ヒースクリフを剣が切り裂く。
だが奴のHPは変わらない。イエローのままだ。
「───やはり君にはバレていたようだね。
浮かび上がるのは《Immortal Object》。
この不死存在属性を持つ可能性があるのは、NPCでもなければ、オブジェクトでもなければ、システム管理者以外あり得ない。
本来なら断じてプレイヤーに現れるものではないのだ。
つまり今。
奴の正体が白日の元に晒された。
「……なぜ気付いたのか参考までに教えてもらえるかな?」
「それ、俺に聞く?」
「ふっ、愚問だったようだね」
問答を聞いた面々が驚愕して目を見開く。
ヒースクリフの答えはつまり自分が茅場晶彦だと認めるような物だ。ヒースクリフを信じて付いてきた血盟騎士団の驚きは大きく、今だ信じられないのか呆然として放心している人さえいる。
「どういうことですか?!団長!!!」
アスナの叫びが響く。
アスナとて信じられないのだろう。
自身の信じていた団長が茅場晶彦だと。
「お前の正体を見破った俺にはボーナスがあってもいいんじゃないのか?それとも口封じのために全員抹殺するつもりか?ん?」
「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ。だが君には些かボーナスを与えるのは渋るな。君は私の正体を初めから知っていただろう?」
「し、知りませんー!」
「………まあいいだろう」
茅場晶彦マジかよ。
なんで俺が正体知っている事を知ってるねん。
なんだ?俺の事ストーカーしてたのか?
驚き過ぎてカッコつけてるのにボロが出そうになったわ。
やっぱりこいつはラスボスだわ。
雰囲気壊すのやめちくりー。
「………本当なんだな。 お前の正体が、茅場晶彦だって」
キリトが確かめるようにヒースクリフに問い掛ける。
原作程ヒントが無かったのに、キリトは薄っすらとだがヒースクリフの正体に勘付いていたのだろう。
ヒースクリフの正体に驚きはあれど飲み込みが早い。
流石主人公だ。
「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えて言えば、最上層で君達を待ち受ける筈だった最終ボスでもある」
ヒースクリフの宣言で空気が強張る。
これで本当にヒースクリフの正体は茅場晶彦だと現実を見なくてはいけなくなったのだ。
「───さて」
ヒースクリフが左腕を振り、コマンドを操作する。
左手で開いたGM用ウィンドウを操作し、他のプレイヤー達へと次々に麻痺を付与していく。
一斉にこの場に居るプレイヤーたちに麻痺が付与された。
キリトたちは麻痺で倒れて動く事は出来ない。
最終的に立っているのは俺とヒースクリフだけだ。
「私は最上層にある《紅玉宮》で君達の訪れを待つ事にしよう。90層以降に待ち受ける強力なモンスター達に対抗しうる存在として育ててきた血盟騎士団と、攻略組の諸君を途中で放り出すのは私としても不本意だが。……君達ならば必ず私の元へたどり着けるさ。だがその前に、
その言葉を待っていた。
もしこれで麻痺を俺にも掛けられていたら詰んでいたが、流石に茅場晶彦もそこまで非情な事はしなかったようだ。
先程の茅場が俺にボーナスを与えるのを渋っているのを見て、プランが台無しになるんじゃないのかとめっちゃ不安だったのだ。
セーフ!セーフなのだよ!!
「そのボーナスって?」
「今ここで私と戦うボーナスだ。無論、不死属性は解除する。君がここで私に勝てばゲームはクリアされ、生き残っている全てのプレイヤーがこの世界からログアウト出来る。これでどうかな?」
茅場からの提案。
迷う理由はない。
俺はこの日の為に頑張ってきたのだから。
「ダメッ!ダメだよ! 絶対にダメ!
アスナの悲鳴にも近い叫びが俺に届く。
結局俺はアスナに対して何もしてやれなかったなと思いながら、静かに歩み寄りアスナの頬を撫でた。
「いやーすまん。アスナ。俺はさ、お前の気持ちに応えてやる事が出来そうにないわ。本当にすまん。出来れば俺の事なんてさっさと忘れて幸せに生きて欲しい。アスナはめっちゃ可愛い美少女なんだからさ。きっと俺よりいい相手が居るよ。絶対に」
アスナの涙が俺の手へと伝わる。
本当にアスナには申し訳ないと思っている。
だけど俺は茅場に勝っても負けてもアスナの気持ちには応える事が出来ないのだ。
ならしっかりとここで義理を通すのが筋だろう。
「まあ俺もアスナの事は好きだったぜ。可愛いし、料理も美味いし、スタイルも良いし、性格もいいしな。彼女だったら最高だろうよ。本当に結婚したいぐらいだ」
「そんなの今言わないでよ……ちゃんとあとで正式に私の前で言ってよ!嫌だよ!こんな、こんな最後の別れみたいなの………そんなの嫌だよ………」
アスナの瞳が真っ直ぐ俺を見つめる。
その瞳はとても綺麗だった。
本当にアスナは美少女なんだなと痛感する。
俺には本当に本当に勿体ない存在だ。
「だからそんなお前をポイするクズな俺なんかさっさと忘れる事をおすすめしとくぜ。───今までありがとうな」
アスナの頭を優しく撫でて立ち上がる。
アスナは必死に俺の腕を掴もうとするが麻痺で動く事は出来ない。
アスナの瞳からボロボロと涙が溢れていた。
「そんなの……そんなの……あんまりだよ………」
アスナの顔が悲しみでいっぱいの表情になる。
俺は本当にクズ野郎だな。
こんな女の子を泣かせるなんて。
「───いいぜ、茅場晶彦。やってやるよ」
俺はゆっくりと茅場晶彦と向かい合った。
いやーね。
あれだよ。プロット自体はあるんだけどね?
筆がなんか重いというか、何というか。
多分きっとこれは呪いなんだ!!(言い訳)
あのー、えーとお待たせして大変申し訳ない。
よかったら評価・感想よろしくお願いします!
誤字報告などはマジ感謝です!ありがたい!
次回はなるべく早く投稿するよ!多分!!