なんでも一つ願いが叶うらしい(ただしその条件は鬼畜とする) 作:イーサン・W
バイオがバイオが面白すぎるんじゃ。
「───君!───
「ウェ?!」
気持ち良くうたた寝をしていた最中、身体を揺さぶる衝撃とアスナの大きな声で叩き起こされる。
もう少し惰眠を貪っていたい所だったが、アスナの顔を見るに何やら緊急事態のようだ。
まあ十中八九、圏内事件の事だろうが。
「よう
アスナに続き、横から野太い男の声が響く。
視線をそこに向けて見れば、エギルがニヤニヤしながら俺を見ていた。
「ん、エギルさん?何でここに……?」
「何でってそりゃあ、俺の店だからな」
「何で俺がエギルさんの店に?」
「お前が中々起きないから、キリトと副団長様が俺の店に預けてきたんだよ。迷惑な事にな」
周りを見渡し、自身の状況を理解する。
どうやら俺はエギルの店の奥にあるベッドで寝かされていたようだ。
外を見ると日は沈み完全に暗くなってしまっている。
今日一日を寝て過ごしてしまった。
後でキリトたちとエギルにお礼をしないといけない。
「そんな事より
「ちょ、ちょっと!エギルさん!言わない約束でしょ!」
エギルが何か言おうとした所をアスナが慌てて話を遮る。
文脈的に俺が寝ている最中にアスナが何かをしたという事は分かるが、何をされたのかは不明。
もしや俺が寝ている最中に、アスナがあんなことやこんなことをされたのかもしれない。
エロ同人誌みたいに!エロ同人誌みたいに!!
まあ冗談だ。
「そんな事よりも
「聞きたい事?俺の好みか?それならまず髪が───」
「違うわよ!圏内でPKがあったの!
「あー、やっぱり?」
アスナから詳しく話を聞くとやはり圏内事件の事だった。
カインズという名の男が圏内でPKされたらしい。
ただそのPKの手段も手口も全くわからない。
そこで普段、PKをしている奴を捕まえている俺に目処が立ったという事だ。
俺ならそういった手段に詳しくだろうと。
「キリトはどうしたんだ?」
「キリトなら一足先に帰ったぞ。調べ物だとよ」
「忙しい奴だな」
キリトは圏内事件が起きた現場に赴いているらしい。
そこに何かヒントがないかを探しているようだ。
(俺はどう行動しようかなぁ………)
原作を知っている身からしたら、今回の圏内事件というのは茶番だと知っているので、さっさと暴露して終わらせたいというのが俺の本音だ。
この圏内事件というのは、カインズという男が圏内でPKされ、そいつと元同じギルドであるヨルコという女性がまた圏内でPKされるという事件だ。
だけど実際は、その二人がPKされたというのは演出で二人とも死んでおらず生きており、その本当の目的は元ギルド内で起きたグリセルダという女性を殺した犯人を炙り出す為の物だった、といった感じの筈だ。
だけどその事を先程までスヤスヤと寝ていた俺が急に全てを暴露したら、不自然に思われる所じゃなくなるし、俺が原作という名の限定的な未来を知っているのを勘付かれてしまうかもしれない。
未来を知っている事は隠し通しておきたいのだ。
うーん、これが俺の辛い所。
故にチマチマと出来る限りの情報を開示するしかない。
「それで
「そうだな……一つ言えるのは圏内でPKは絶対出来ない。これは確かだな」
「どうしてそう言えるの?」
「キリト(原作)の言葉を借りるが、SAOのルールは基本的にフェアネスを貫いてる。圏内殺人なんてこのゲームが認める筈がないんだ」
このSAOは良くも悪くも公平だ。
圏内では睡眠PKなどを除いて絶対にプレイヤーがPKがされないようなっている。
逆に圏外だと誰にPKされようが文句なしという感じだが。
「わかったわ………。
「わかった」
「ありがとう。それじゃあ私も失礼するわ」
アスナはそう言い残し、思案した顔をしながら席を立ち、エギルの店を出て行く。
まあ、今は何もわからない手探りの状況でも、アスナたちならすぐ事件の真相に辿り着くだろう。
俺の出番はない。出来てもサポートだけ。
そう思い、アスナに続くよう俺もエギルに礼を言ってから店を後にしようとする。
そこでふと、殺されたプレイヤー。
グリセルダさんが頭を過ぎった。
自身の失敗。その苦い記憶が頭に過ぎる。
「フゥーーー」
気持ちを切り替える為、軽く深呼吸をする。
関わってしまったのならしょうがない。
俺は俺が出来る事に最善を尽くそう。
「なあエギルさん。レベル5の《麻痺毒》ある?」
後日
「───ッヨルコさん!!」
ヨルコさんが突如として襲われ窓から落下する。
それを見たキリトの迫真とした声が響き、アスナも思わず手で口を覆ってしまう。
という事でここまでのあらすじ!
後日改めてヨルコさんから話を聞く事になった俺たちはある民家で話を聞いていた。
そしたら急にカインズを殺したのは、死んだグリセルダさんの幽霊だ!と頑なに背中を見せないヨルコさんがヒスってしまい、錯乱している内に空いている窓から謎の人物によるダガーがグサリ!(本当は元から刺さっていた)
ヨルコさんがポックリ逝ってしまった!
元ギルド仲間という事で呼ばれていたシュミットという何も知らない男は恐怖によりガタガタ!
一体どうなるんだ圏内事件!
「ここは俺に任せろ!キリトとアスナはシュミットさんを頼む!」
そこに華麗に犯人を捕まえる為にカッコよく飛び出す
だが
その本当の目的はこのまま犯人を追ったフリをしてトンズラすること!
なんて最低な奴なんだ!
「転移、《十字の丘》!」
俺は転移結晶を取り出し、19層にある《十字の丘》と呼ばれるフィールドに転移する。
茶番は終わりだ。目的を果たす為に行動を開始する。
「とりあえず、まずは罠を仕掛けるか………」
人目のつかない場所を探す為に周りの探索する。
目的は麻痺毒をたっぷりと塗った罠を仕掛ける為だ。
俺が何でこんな行動をしているのか、大体の人は疑問に思うだろう。
だがその理由を説明する前に、圏内事件の真犯人について触れなければならない。
この圏内事件の真犯人。
グリセルダさんを殺した犯人というのは、グリムロックというグリセルダさんの旦那が犯人だ。
SAO内で自分の知っている妻が変わっていくのが耐えられなくて、永遠に思い出の中に封じ込めてしまいたいと妻を殺した中々にイカレたクズ野郎だ。
しかもそいつは自分の手を汚すのは嫌で、レッドギルドに妻を殺すよう依頼を出す小心者だ。
本当にクズ。
あんな美人な奥さんを殺そうとするマジクソ野郎だ。
そして俺が何でこんな行動をしているのかは、このグリムロックのある行動に直結する。
それはグリムロックはレッドギルドである諸悪《ラフィン・コフィン》に妻を殺すよう依頼していたのだ。
あの《ラフィン・コフィン》にだ。
笑う棺桶という意味を持つラフィン・コフィンに。
彼らの常用句は「本当に死んだのか確かめる術はない」「やってはいけないことはシステム的にできない、PKはそうではないのだからやってもよい」「どうせゲームなんだから楽しもう」という物だ。
このSAO内でPKを楽しんでいるプレイヤー集団。
最低最悪な人殺し集団だ。
グリムロックはこの集団。
《ラフコフ》とのパイプを、グリセルダさんを殺すよう依頼した際の繋がりから持っている。
そしてグリムロックは、今回の圏内事件で真相に迫ろうとしているカインズやヨルコさん、ついでにシュミットを《ラフコフ》を使って纏めて葬ろうとしている。
理由は簡単。
そうすれば自分の罪はバレる事はなく安泰でいれるから。
なので俺はそれを利用することにした。
原作通りならこの場には《ラフコフ》の幹部である、『赤眼のザザ』『ジョニー・ブラック』。
そして《ラフコフ》のボス的存在である『PoH』が来る。
コイツらは原作での敵キャラであり、多くの被害を出す最悪のプレイヤーだ。中には各章でラスボスになる奴も居る。
本当なら世のため人のために、生かしておいてはいけない存在である彼ら。
コイツらを殺した方が今後の未来的にも断然良いのは確定しているが、ある事がネックでそれをすることは出来ない。
ミッションの条件である《主要キャラの死亡回避》。
多分それにコイツらも含まれているのだ。
原作の敵主要キャラとして。
コイツらをSAO内で自由にしておくと、多くのプレイヤーが死ぬ。
だから俺はそれを阻止する為に戦わないといけない。
向こうは全力で殺しにくるのに対して、相手を殺さないよう配慮しながら俺は戦わないといけないのだ。
俺は思った。やっぱりこのミッションはクソだと。
だから俺は考えた。
如何に安全に楽してコイツらを捕まえられるかを。
《ラフコフ》は神出鬼没だ。
何処で現れるのかを中々見つけ出す事は出来ない。
幹部級となれば更にだ。
だが今回の圏内事件ではほぼ確実にアイツらは現れる。
そこで俺は今回の圏内事件で思いついた。
《ラフコフ》のよく使う手段は、《麻痺毒》で奇襲し動けなくしてから嬲り殺すという物だ。
ならば俺も圏内事件を利用して《麻痺毒》で奇襲すればいいのでは?と。
《耐毒》のスキルがあっても、レベル5の《麻痺毒》ならば動きを少しの間なら止めておく事は出来る。その間に纏めて監獄に送り込んでやればいい。
《ラフコフ》の幹部様をここで捕まえられたら万々歳だ。
我ながら天才なのでは?(自画自賛)
「───っと………ここまで来ちまったか」
俺はある場所で足を止める。
この19層の《十字の丘》には、ある大きな木の真下にグリセルダさんの墓がある。
俺が助ける事の出来なかったプレイヤーの墓が。
俺はそれを前にし、そっと合掌をした。
「グリセルダさん。俺は貴方を救う事は出来なかった。自己満足かもしれないけど、貴方の仇は必ず取ります」
俺がこのSAO内を駆け回り、何とかグリセルダさんの元へと辿り着いた時には、既に《ラフコフ》にやられてしまった後だった。
SAO内でこの事件が起こることを知っていたのに、俺はこの人を助ける事が出来なかったのである。
所詮、俺は凡人だ。
多くの人を助けようと手を伸ばしても、誰かはこぼれ落ちてしまう。
それでも俺はやるしかない。
自分の出来る最善を尽くすしかないのだ。
「さあ、悪者退治といくか」
「───ワーンダウーン!」
《ラフコフ》の幹部であるジョニー・ブラックの意気揚々とした声が響く。
シュミットを後ろから奇襲し、動けなくしたのだ。
ジョニー・ブラックの相手を地べたに這いつくばらせ、見下すその表情には愉悦の表情が浮かび、酷く歪んでいた。
「大型ギルドの幹部様とは、確かにコイツはデカい獲物だな」
ジョニー・ブラックに続くようPoHが前に出る。
その手には友切包丁が握られており、この場に居るカインズ、ヨルコ、シュミットは恐怖に支配され、冷や汗を流す。
自分たちの目の前にSAO内で悪い意味で有名な殺人レッドギルド《ラフコフ》がいるのだから。
「さてどうやって遊んだもんかね?」
「あれやろうよヘッド!殺し合って残った奴だけ助けてやるぜゲーム!」
「んなこと言ってお前この間、結局残った奴も殺しただろうがよ」
「ああーっ!今それ言っちゃゲームにならないっすよ!」
殺伐とした内容を意気揚々と楽しそうな雰囲気で話す異様な光景。人の命を何とも思っておらず、それを踏み躙ることに楽しみを得ている事が感じられる残虐性。
シュミットたちはこの先の運命を直感し身体が強張る。
恐怖に縛られて動く事が全く出来ない。
自分たちも甚振られてこのまま殺されてしまうのではないか、そんな最悪の未来が脳裏をチラつかせる。
───そんな時だった。
「───ツーダウーン」
「——ッ?!」
「なんだよ?!」
赤眼のザザとジョニー・ブラックが突如として倒れる。
その背中には無数の投げ針が両名刺さっていた。
「いや、これはスリーダウンか?なあどう思うよ?」
木の影から
その手には数本の投げ針とダガーが握られていた。
「またお前か。毎度毎度御苦労なこったな」
「お陰様でな。でもほんとなんでお前は防いじゃうかな」
「見え見えなんだよ、お前のは特にな」
だがその瞳は全く笑っておらず、殺気に満ち溢れていた。
「でどうする?お前のお仲間さんはこのザマだけど」
念のため更に《麻痺毒》付きの投げ針をザザとジョニーに飛ばしながら、
プランbだ。
こうなったら戦うしかないよねという作戦だ。
つまりプランbなんて存在しない。
普通にやらかしである。
というか普通に奇襲を全部防いだPoHが異常なのである。
大人しくやられておけや、と
「ッチ。今日の所はお預けだな」
「日本人殺しがか?」
「つくづくムカつく野郎だなお前」
PoHは自身の不利を悟ったのか友切包丁をしまい、逃走を図ろうとする。
手詰まりだ。
「おいおい、ふざけんなぁよ!お前のせいで楽しみがパァーだ!」
「お前の顔、覚えた、次は絶対、お前を、殺す」
麻痺で動けないジョニーとザザが喚き散らす。
そんな二人を
勿論HPは完全に削らないよう心掛けてだ。
「へいへい。殺せるといいっすねー」
殺意を向けられても
あー負け犬の遠吠え気持ちー。
「いつか確実にお前を殺してやるよ
「へ、出来る事ならやめてください」
PoHが捨て台詞を残し、霧に乗じて姿を消す。
《隠蔽》のスキルでも使って逃走したのだろう。
もう追うことは出来そうもない。
「ヨルコさん」
「ッ?!はい!」
「すぐこの場にキリトとアスナが来ると思います。多分そしたら貴方たちグリセルダさんの件は一応解決すると思うので、この場で待っててください」
「あ、貴方はどうするの?」
「俺はコイツらを監獄にぶち込まないといけないので」
圏内事件の方はキリトたちの方に任せておけばいいので、これにて
「ハア………つっかれた」
PoHを逃してしまったという失態はあったものの、《ラフコフ》の幹部二名を捕まえたというのは、このSAO内にて大手柄だ。彼らによって殺される筈だった人も減ったので一応は万々歳だろう。
「せっかく休んだのになんか余計に疲れたな………」
圏内事件はキリトとアスナが解決し、俺は《ラフコフ》幹部二名も捕まえて、お互いにハッピーエンド!
───そう思っていたが、キリトたちからしたら違ったようだ。
俺がクラインとルンルンで店に向かって歩いていると、それは不機嫌そうな二人が店の前で待ち構えていたのである。
クラインは即座に俺を置いてフェードアウト。
店の奥へと消えた。
俺も後を追い、さりげなく店に入ろうとするもキリトとアスナに両肩を掴まれ無事確保。
1時間にも及ぶ説教が開始した。
なんで《ラフコフ》相手に一人で挑んだとか、圏内事件にもう少し協力してくれても良かったんじゃないのとか、なんで自分たちに頼ってくれなかったのかとか、俺が一人で如何に危険な事をしたのかとか、とにかく色々と怒られた。
「───申し訳ありませんでした」
馬鹿くそ怒られ、心身ともに疲弊した俺は誠心誠意を込めて土下座をする。
時より店から顔を出して様子を見てくるクライン。
お前は後でマジビンタな。
「本当に二度と!こんな事はしないでね?」
「はい。尽力します………」
「よろしい。それと
「い、いや俺はフレンドの居ない自由な生活が………」
「何か言ったかしら?」
「いえ何でもナイデス」
フレンド登録したら自分の現在地とかバレたりするので、ソロで自由にやりたい俺としては断りたい所だが、断れるわけもなく。
俺は大人しく二人にフレンド申請をする。
やったーSAO内で初のフレンドだー(棒読み)
「御愁傷様だな
「そう思うなら助けてくれてもいいんだよキリト君」
「はは、それは無理かな。鬼の閃光が見ている事だし」
「チッ、イキリトが」
「アスナさーん。コイツがフレンド解除しようとしてまーす」
「おいッ?!」
その後、何やかんや色々あったと記載しておこう。
アスナから、結婚した人の隠れた一面的な物を知ったらどう思う?と聞かれたが、そんなの性格がうんぴーじゃなきゃ大丈夫と言ったら呆れられた。
貴方はそういえばこんな人だったわねと。
解せん。
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後、誤字報告も本当に有り難いです!ありがとうございます!