DCユニバースvsプラスチック姉さん   作:スカンジナビア半島

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The クライシス タイイン:クリスタルナイツVSデンジャラスピンキーズ

 

 

「なあ、クラーク。

 クリプトン星人には、なんか妙な体質ってねえのか?」

 

「ないよ。

 いや、太陽光を浴びたら超怪力と超速度に目覚めるのがそれかも。

 両親が怪我しなかったのは本当に幸運だね」

 

「そっかあ……いいなあ。怪物に変身とかしなくて」

 

「君はするの?」

 

「ああ。オラんとこはそれで育ててくれたじいちゃんが死んじゃってさ。

 子どもだったオラが殺したようなもんだ」

 

「ええ!?」

 

「死んだ後のじいちゃんには再会したし、

 後で謝ったからそのことはいいんだけどよ。

 オラと同じような境遇の奴らがこんなにいて、

 みんな親が無事なのを考えると────」

 

「寂しくなかったかい?」

 

「そんなことはねえさ!

 いや、これで強がっても仕方ねえか……うん、めちゃくちゃ寂しかった。

 起きたら昨日まで元気だったじいちゃんがぺしゃんこに潰れてんだもんな。

 それがオラの生まれのせいだとわかったときは、つくづく身の上を恨んだもんだ」

 

「今もかい?」

 

「……最近になって、ようやくかな。

 サイヤ人にも、いいヤツや反省できるヤツがいるとわかった」

 

###########

 

スティーブン・ユニバース。

事実として言えるのは、

彼が戦闘の天才だということだ。

腹部にあるピンクダイアモンドが

母、ローズのコアであり、それを通して様々な力に目覚めてきた。

 

「どうした悪しきジェムよ!

 守っているだけで勝てると思うのか!」

 

バブルを展開したスティーブンにロビンマスクが

激しい打撃を繰り出していく。

内部にいるスティーブンにはダメージも何もない。

硬度10のダイアモンドパワーは大したものだった。

 

突きの連打を浴びせても傷一つつかないが、

泡にいては内部からも攻撃ができない。

リング外から悟空が指示を出した。

 

「今は耐えろ、スティーブン!

 相手はこっちがわからねえんだ」

 

しかし、こちらはロビンマスクのことを知っている。

悟空は趣味でいつか手合わせしたいと、

様々なアースのスーパーマンに強者の話を聞いていた。

キン肉マンが語ったロビンマスクの技は、

多くが落下技とタワーブリッジの派生技で構成されている。

 

つまりは、スティーブンの泡で強制的に距離を取れば、

それだけで超人博士の鉄の計算力にズレが生まれる。

 

「ロビン。アノアロの炎を使えば罅が入る」

 

「よし来た、ガーネット!」

 

ガーネットの未来視がロビンの仮面より一角を生やすよう促し、

応じたロビンの全身が炎に包まれていく。

あまり詳しくは知らないがロビン王朝(ダイナスティ)の家宝らしい。

立ち振舞いからも伝わる強さからも、さぞかし強力な炎なんだろう。

 

「ヒビが入ったぞ、悪行超人よ!」

 

「くっ……」

 

「頑張れ、スティーブン!」

 

「丸まって勝てる超人ファイトなど存在せんわー!!」

 

アノアロの杖を角にし、

スティーブンの泡を打ち上げると、

泡にいくつもの亀裂が走った。

 

硬度は強靭だが、物理的干渉まで防ぐわけではない。

サイがするように、

バブルをボールの如くかちあげると、

スティーブンの泡が砕け散った。

 

「ああっ!」

 

「好機!!」

 

落下技、すなわちバスター技に移行せんと跳び上がるロビン。

悟空は桃色の気を練り上げて、

死神の鎌を作り上げ、虚空へと振るった。

 

「どうした! 私はここだぞ!

 リング外で武器の試し振りなど、

 神聖な勝負に唾を吐くかーーー!」

 

「危ない!」

 

ガーネットが警告しても間に合わない。

超サイヤ人ロゼは極まった神気を混ぜた形態。

故に時空間を操作する技に長けている。

 

空間に入った亀裂へと

悟空が気を送ると、

それは分身体になって次々にロビンへと襲い掛かった。

 

「ぬうっ!」

 

撃ち落とされたロビンに悟空の分身体が仕掛けようとするが、

ロビンを中心に強力な電磁波が生じ、

分身体が次々に弾けていく。

ガーネットが事前に罠を仕掛けていたのか。

 

「よし、次はオラに任せろ」

 

「ごめん、お願い」

 

ガーネットが交代してリングに上がるのを予想し、

悟空がいち早くタッチしてロープを飛び越えた。

一瞬遅れてのガーネットの攻撃。

腕で捌くもまだ痺れがある。

 

かなり重い。

優れたファイターなのは認めるが、

神の気を研ぎ澄ませ、燃やしている今の悟空の敵ではないはずだ。

 

「ガーネット。目を覚ませ。

 お前の敵はスティーブンじゃない」

 

「この3つの目は全て啓いている。

 ダークサイドは家族。

 彼の希望なら私はいつでも側にいる」

 

ガーネットの攻撃が素早さを増していく。

それは同時瞬間攻撃、

いわゆるラッシュになった。

両手でも防ぎきれるか厳しい。

 

「あんなやつがか。

 クリスタルジェムズはなんのためのチームだ」

 

「御託は聞かない。

 お前は最強の敵の一人と聞いている。

 なんとしてでもここで倒して彼の憂いを断たなければ」

 

「あんなデカブツに尽くすのか。

 よく考えろ。お前はあんなのを育てていたのか?」

 

両腕を組んで巨鎚となった

ガーネットの両手が脳天へ振り下ろされた。

悟空が大きく後退するが避けきれない。

攻撃の余波でロープまで吹き飛ばされた。

 

こちらに何かを仕掛けてくるのを察知し、

気弾を放つもののリングという環境では

あまり大きな気を込められない。

 

一方で、気弾を次々に打ち砕いた

ガーネットのロケットパンチが悟空の顎を打った。

セックスクリプトナイトが、

スーパーマン達を弱体化させているとは言え、

ロゼになった悟空をこうも押して見せるとは。

 

クリスタルジェムズのリーダー、ガーネット。

スティーブンが自慢した通り、

素晴らしいファイターだと言わざるを得ない。

 

「悟空! 代わるよ!」

 

「ダメだ、スティーブン。

 こいつはお前の知っている姉ちゃんじゃねえ!」

 

「でもやらないと!」

 

ガーネットの次弾ロケットパンチを

スティーブンの盾が防いだ。

母、ローズ、正体はその一族の姿を奪ったピンクダイアモンドから引き継いだ武装。

盾と違って絶対の硬度を誇る最高の盾だ。

 

「ガーネット!

 僕がわからないの!?

 たしかに急に家を出ることを決めたけども、忘れるなんてあんまりだよ」

 

「お前が誰かを知らない。

 ジェムだからと手加減をすることはない」

 

盾を避けての回しローキック。

スティーブンは躱して、

盾をぶつけた。

 

ガーネットは大きく下がって膝をつくが、ダメージはない。

 

「なかなかやる」

 

「こうなったらやるしかない……か!」

 

盾のない腕を回し、

スティーブンは覚悟を決めた。

 

「僕達が戦ったことは一度もなかったけれど、

 見せるよ。僕がもうガーネットの保護も必要ないくらいに強いって」

 

「そうだ! その意気だ!!」

 

スティーブンの勇気を称賛するが、

気がかりなこともある。

それはスティーブンの実力不足では断じてない。

彼がポテンシャルを発揮すれば、

自分やロビンに並ぶ猛者になるのは十分に伝わる。

 

しかし、彼は本質的に人と戦うことが好きではない。

事実、この戦いでスティーブンは

ロビンですら殴るチャンスがあっても殴らなかった。

彼は暴力に嫌悪感、忌避感を持つタイプだ。

それがわかったのは、その気質が悟空の息子と似ていたから。

 

「無理すんな。でも頑張れ!!

 いざとなったらオラが代わるからな!!」

 

幸いにもロゼになったことで

リング上の戦いには

空間操作で割り込みやすい。

 

「こっちから行くよ!」

 

盾をスケボーに見立て、

リングを滑る。

ガーネットが受け止めたところに

彼女を泡で閉じ込め、宙に浮かせた。

 

持続時間は数秒。弾けたらすぐに

スティーブンへ飛び込んでくる。

ガーネットのカウンターを、

薄い板にした結界で受け止め、

壊れる前に蹴り飛ばした。

 

未来視で次の動きに移ろうとするのを、

泡ではなく板状の結界をガーネットの四方に展開させ、

逃げ場をなくした。

 

泡を足場に大きく跳んで、

一方向、すなわち上空しかないガーネットが攻撃するより早くに、

盾を蹴り飛ばして気円斬のように鋭利な丸鋸にした。

 

「「上手い!!」」

 

ロビンマスクと悟空が揃って感嘆した。

疑っていたわけではないが、

極めて優れた戦闘スタイルだ。

本人が見立てを凌駕する身体能力を持ち、

結界術の活用に長けているのが大きい。

 

「驚いたぞ。すげぇじゃねえか。

 こんなことなら手合わせ願っとくんだった」

 

「…………ぐあっ」

 

「ガーネット!!」

 

ダウンした家族に思わずスティーブンが駆け寄る。

そこに腕組みをしたロビンマスクが立ちはだかる。

 

「どいてよ!」

 

「新たな好敵手にそう言われてどくと思うか!

 スティーブンと言ったな。

 今度はこのロビンマスクがその胸を借りよう!!」

 

「君と戦う気はないんだ!」

 

「だが私にはある。

 いつかは、ダークサイドと再戦し、今度こそ背骨をへし折るために!!

 その実力をつけるためには如何なる戦いも逃せん!」

 

ロビンマスクは理知的かつ冷静な超人博士だ。

しかし、そのもう一方の面は

戦いの興奮と獣性に満ちた狂戦士だ。

 

「この戦いが私をダークサイド打倒に一歩近づかせる!」

 

ロビンマスクの心に闘志が燃え上がった。

全身が発光し、戦闘力が一段階跳ね上がった。

突きと蹴りを防ぐにも泡では容易く砕かれる。

そこで結界を張ろうにも、

練って構築して狙いを定めるという、

展開する時間をロビンマスクは潰していく。

 

「さあどうする!」

 

「このっ!」

 

スティーブンが手に小型バブルを展開させ、

ストレートを放つ。

それを絡め取って懐に入り込んで

ロビンが担ぎ上げた。

 

「やばい! 間に合ってくれ!」

 

「そうはさせない」

 

最悪のパターンだ。

悟空がカットに入ろうとするが、

空間を斬るための鎌がガーネットのロケットパンチに弾かれた。

 

「タワーブリッジ!!」

 

ロビンマスクとっておきのフェイバリットホールドだ。

この技は相手の背骨が真っ二つになるまで

決して解かれることはない。

 

「うわああああっ!」

 

「スティーブン!」

 

リングに乗り込もうとするが

ガーネットが阻む。

 

「どけ! お前の家族がそこで背骨を折られようとしてんだ!」

 

「何度も言わせるな」

 

「ハハハハハ、ここからどう抜け出す、若き超人戦士よ!!」

 

どれだけ藻掻いても抜け出せない。

否、技に呑まれると動くことができない。

なんと恐ろしい技だというのか。

 

「やめて……僕はガーネットを……!」

 

「なにをするにも抜け出してみろ!

 俺を高みに上げねば

 望みも果たせず胴体が泣き別れだーーーー!」

 

容赦ないロビンマスクの必殺技。

スティーブンに怒りが生まれ、

それと一緒に全身がロゼのように桃色に発光した。

それだけではない。地団駄(タントラム)の通り、

彼らのいる地点に亀裂が入り、

深いクレーターが生まれた。

 

「ぬうううっ!!」

 

強大な力そのものの発生。

ロビンマスクは技をかけ続けられずに取りこぼした。

スティーブンが着地せずに浮遊し、

 

ロビンのマスクに盾を使った半ば斬撃をお見舞いした。

彼らしからぬダーティな一撃。

出してしまった当人も、直後に動揺してしまった。

 

ロビンのマスクとアーマーは硬度7のサファイア。

ピンクダイアモンドの盾は硬度10以上のもの。

攻撃を受けた相手を気遣い、

スティーブンの動きが止まってしまった。

 

「フフフ、フハハハハハ!」

 

両肩を震わせたロビンが、

血みどろのマスクで振り返る。

 

「さらに解放せねばなるまい!

 いくぞ、ガーネット! フュージョンだ!!」

 

「…………仕方ない」

 

ガーネットとロビンの姿が重なり、

強い光に包まれ、巨大なガントレット双拳に

サファイアの青色、大渦を纏った新たな超人が現れた。

 

ルビーとサファイアの融合体であるガーネット。

そこにサファイアの戦士が融合し、

拮抗していたバランスが大きく傾いた。

今の戦士は、いわば究極サファイア超人だった。

 

「ガーネットが……!!」

 

「迷ってる暇はねえ!」

 

悟空が率先して究極サファイア超人に

攻撃を仕掛ける。だが紙一重で躱される。

それは一撃だけでなく、

二撃目も三撃目もだった。

 

ジェムとしてのサファイアの能力は未来予知。

そこにロビンのサファイアが加わり、

今では完全なる未来予知の戦闘運用が可能になった。

 

「身勝手の極意を相手にしているとこんな気持ちになるのか……

 じっちゃんを相手にした時みてえだ」

 

「戦闘力はその100倍はあるだろう」

 

ガントレットを振るっているとは思えない

完全なる精密攻撃が無数に悟空を突き刺した。

頭部、腹部、胸部。

身勝手の極意を使ってもどれだけ渡り合えるか。

武術家の極みとしての超反応と

未来予知の超強化、どちらが勝つかは微妙なところだ。

 

「危ない!!」

 

スティーブンがありったけの結界を悟空の周囲に張る。

その横をサファイア超人が歩くように通り過ぎた。

悟空の防御行動も虚しく、

全身が打たれて結界が粉々に砕け散った。

 

「がはあっ!!」

 

白目を剥いた悟空とサファイア超人を両断する

分厚い結界がリングを分かった。

 

「こっちもフュージョンをしよう!!」

 

「オラ、そっちのやり方わかんねえぞ!

 なんかあいつら踊ってたけど」

 

「大丈夫。知ってる動きをしてくれたら僕が合わせるから!」

 

悟空が彼なりのフュージョンの動きをし、

それに合わせてスティーブンが

踊りながら加わった。

 

ピンクダイアモンドは治癒と破壊を司る。

それらは心の有り様にて傾き、

共感なら治療や防御、

拒絶ならソニックスクリーム、

強烈な癇癪に支配されると巨大な獣が如き無限の破壊を齎す。

 

その性質と超サイヤ人ロゼが合わさり、

ピンク色の大猿めいたサイヤ人が生まれた。

 

「超サイヤ人ロゼ……その四段階目ってとこか?」

 

超サイヤ人ロゼ4が手を振るうと、鎌がなくとも空間に亀裂が走った。

そこに向かって咆哮すると、ポータルを通してサファイア超人に

ソニックスクリームが叩きつけられる。

 

未来予知でも避けられない範囲攻撃。

分身体が追撃し、サファイアのボディを打ち据える。

大渦がただちに呑み込んだが、

それだけではロゼ4は止まらない。

 

「GRRRRRRRRR」

 

獣の咆哮をあげ、超人ではなく、

猿の怪物といった動きで

サファイア超人に迫った。

 

「動きは読んでいる」

 

「それがどうした?」

 

サファイアの仮面が砕け散った。

ロゼ4、癇癪と獣性で

身近なものを傷つけ、破壊してきた性質が融合し、

何十倍にも強まってしまっている。

 

その暴力性は、従者のパールを半壊させたようであり、

最愛の親を殺した大猿のようでもあった。

 

「未来を読めても圧倒的なパワーには無意味なようだな」

 

サファイア超人に見えるのはカラフルな多眼。

血みどろの中でもらんらんと輝くそれは、

ガントレットからスパークを発生させ、大渦に伝える。

 

「効かないな」

 

電流に貫かれようと意にも介さない。

直進し続ける姿、脅威には、

誰の眼にも決着がついたとわかった。

 

サファイア超人が両腕を交差させ、

高速で突っ込んでくるが、

それさえも頭部を掴んで止め、

タワーブリッジに移行しようとしてもびくともしない。

 

「スティーブン、いや、母のピンクダイアモンドを

 サイヤ人の獣性で伸ばし、神の気で纏めればこんなものさ」

 

未来視特化、それは乱戦で、屋外で戦えば

効果を発揮できただろう。

だがここはリングの上。

 

超人博士とクリスタルジェムズのリーダー、

その経験を持ってしても

無限の力の体現を制御するには

フィールドが狭すぎる。限度を超えていた。

 

「…………まだだ!!

 殺すなら殺せ。それまでにその首を掻っ切ってくれる!!」

 

「よく見ろ!!」

 

頭を鷲掴みにして、

サファイア超人をリングの外に

視線を向けさせた。

 

未来を見通す眼には、

エムワン決勝戦まで進出したスーパーマン、

髙羽史彦がダークサイドにダメ出しを喰らっていた。

 

「ですからね、いいんですよ。

 うんこ爆撃は。めっちゃ切れ味ありますもん。

 エムワンには出さない。それもわかります。

 ゴールデンにキツめの下ネタはねえってもなりますもんね」

 

「え、ええ! そうなんですよ!

 ケンさん、昔母親やってたとかでとにかく下ネタ大好きだし、

 チョイスがエグいんすよ!!」

 

「ああ、やっぱりケンの方なんですね、ネタ出したの。

 じゃあね。ケンさんの下ネタへの熱意が悪いとしますよ?

 そこでタカさんは何したんすか?

 相方のやりたいことに蓋したんすよね。

 じゃあそこから別の爆笑ネタ。

 ケンさんのパワーをゴールデン向けにする話し合いしたんですか?」

 

「そ、そのっ、それは……!!

 こ、こここれはウラの話で素人さんに言うことじゃ──」

 

「その格好も、まんまパクリだし、ピンだとパクリネタばっか。

 それも下ネタとか攻めるネタは避けるからパワー不足。

 ちょっとタイムトラベラー滅して時空跳躍してタカさんの過去の舞台も見ましたけどお……

 もうちょっとケンさんに貢献しないと相方と言えなくないっすか?」

 

「どうだ!! お前の戦いには目もくれずに、

 笑いのダメ出しに夢中になっている!!

 それがお前が愛した少年の姿なのか! 家族なのか!」

 

「だ、黙れ!!!」

 

サファイア超人が無理矢理に両腕両脚を突き出して

大渦パワーを解放せしめた。

ヤケを起こしたとしか思えない両腕を振り回した攻撃。

ガントレットを粉砕して、アーマーを砕く。

それでも止まらない。

 

本来のロビンマスクとガーネットならこうはしなかっただろう。

だが、運命を根底より捻じ曲げられたのなら言う。

 

「……サイヤ人は満月の夜、大猿になり暴れまわる。

 ピンクダイアモンドの拒絶の力は極まれば巨大な怪獣になり、無敵の暴力となる」

 

攻撃を胸板で受け止め、

結界も使わず、ロゼも解いた。

そんな彼の言葉に、

サファイア超人は訝しんだ。

 

「サイヤ人は親を殺した。ピンクダイアモンドはそうせずにすんだ。

 …………君たちがいてくれたからだ」

 

ジャムズの故郷では凶相、

不具と軽蔑される多眼を見つめ、

超サイヤ人ロゼ4は微笑んだ。

 

「普通のように生きたかった。

 同年代の友達が欲しかった、

 学校にも通いたかった、勉強とかスポーツをしたかった。

 その“もしも”を振り切って、今の人生を完全に受け入れるのは、

 僕にはできないけれど、君たちがいてくれたから、悟空みたいに

 親を殺して孤独の夜を過ごさずにはいられた」

 

サファイア超人の体が大きくぶれ、

未来視が揺らぎ、

ガーネットとロビンマスクが分離しようとしていた。

 

「ありがとう、ガーネット。

 僕達親子を守ってくれて、離れていても、

 ずっとみんなのことは大好きだ」

 

──フュージョンが解けた。

 

「何故…………」

 

サファイア超人から分離したガーネットが戸惑いを浮かべ、

目の前のファイターと、ダークサイドを交互に見つめた。

 

「ダークサイド様を見ても、何の未来もないんだ……」

 

「目を覚ましたかい、ガーネット?」

 

手を差し伸べるのを、

ロビンが遮った。

 

「私はまだお前達を認めたわけではない」

 

「そんな……」

 

「だが、確かめたいことがある。

 タッグ名・クリスタルナイツのパートナーとして、

 付き合ってくれるか、ガーネット」

 

ガーネットはロビンの覚悟を見通し、頷いた。

二人はリングより降りて、

ダークサイドへとドロップキックをした。

 

「え、観客席の乱闘!?」

 

「彼らを連れて退却するがいい!」

 

「私達は彼と話をする」

 

その決断に、

フュージョンが解けたスティーブンが動揺した。

 

「そんな……ガーネット!!」

 

「史彦! お前もこっちに来い!

 ここはあいつらに任せるぞ!」

 

同時に、ポータルが開いて

初代フラッシュのジェイ・ギャリックがやって来た。

戦場をスピンし回っていたソニックが

目を輝かせて頬に手をやった。

 

「君たち、動ける者はこの門を通るんだ。

 私が要救助者を回収する」

 

「ワオ! 本物のフラッシュ!?

 初代と二代目の大ファンなんだ! 一緒にレースしていい!?」

 

「はは、老体には手加減を──なんて言葉を鵜呑みにしてくれるなよ?」

 

周囲を纏わりつく蒼い閃光に

ニヒルに笑いかけて、

銀の銀帽子と真紅のスーツのジェイは二色の閃光になった。

 

「うっひょう、かっけえ!!」

 

ダークサイドがΩの視線を飛ばし、

ジェイを消滅させようとするが、

投擲したヘルメスの兜が跳ね返した。

 

「こちらを見ろ、友よ!」

 

ダークサイドの頭にハイキックを浴びせ、

ガーネットがそこにアッパーをぶつける。

 

「何のつもりだ……」

 

「私のタワーブリッジを……

 最新タワーブリッジを受けろ!!

 その背中の骨が記憶通りに鳴りやすいか試させてくれ!!」

 

その申し出に、

ダークサイドも眼を白黒にさせた。

ロビンマスクのタワーブリッジ、

中でも最新のツイステッド・タワーブリッジは

神を殺した究極に近いものだ。

 

それを受ければ如何にダークサイドでも

体が真っ二つになりかねない。

 

「ふざけるな。戦友を殺すつもりか」

 

「なんということだ……やはり……そうなのか?

 俺の脳裏に焼き付いたニンニク臭い

 ブサイクな豚鼻マスク……あれこそが本当の……」

 

「馬鹿なことを言っていないで逃亡しようとする奴らを追え」

 

「超人同士の友情を公然と侮辱したな貴様ーーーー!!!!」

 

友情パワーが燃え上がり、

ダークサイドの頬に拳が刺さった。

 

「なんだ……この男は……!!

 乱暴過ぎる……!!」

 

せっかく無効化していた

〈超人(スーパーマン)〉髙羽史彦を逃し、

あまつさえ理解不能な詰められ方で足止めをされ、

ダークサイドの絶対の数式に罅が入り始めた。

 

「ガーネット!! 待って!!」

 

家族を心配するスティーブンの声に、

ガーネットは笑顔と一緒に、

両手で大きなハートマークを創った。

 

「愛してる、いってらっしゃい」

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