少年はただ息を吸う。
たった一人の愛してくれる家族を孤独にさせないために、同じ悲しみを味あわせないために。
少年は空が好きだった。
太陽が月が雲が星が好きだった、それらはこの世界でも向こうでも何ら変わらないから。
夢を決める時だった。
無数に広がる道でさえ迷っていたのに、この世界で見つけられるはずもない。
夢がなくては人は生きられない、祖母が旅立ったら自分も命を断とうと決め、毎日を懸命に生きていた。
そんな時、同じ想いの少年と少女が出会ってしまった。
少女に陽が射し始めると同時に、少年にも影が生まれ始めた。
少女も少年も知らない、お互いがお互いにどれほど助けられ救われたか。
少女と一緒に見る空は前世とは違って見え始めた。
前世とは変わってしまった空、なのに嫌いにはなれず益々好きになっていく。
それは幼き日の少年にとって、どうしても解きたい難題だった。
———
教官がバグった…
「雪山訓練に参加する者には二日間の休暇を与える!3日後の雪山訓練に備えて、せいぜい体を休めるんだな」
「教官大丈夫ですか?」
「何が言いたい…サク、貴様」
ウイルスに感染し乗っ取られたのだろう、スキンヘッドの挙動がおかしい。いつもに比べ優しすぎるのだ!トゲっトゲの言葉だが、訓練兵を思いやっている。
鬼軍曹が休みなんて言葉を知ってるはずがない…でも自分は雪山訓練に参加を決めている?…つまり、休暇になるってこと!?バグっている状態でだが言質取った!
しかし、いざ休みとなれば何をしようかと悩む。雪山に備えて訓練か……ちょっと待て、今の短時間で訓練という選択肢が出てくる自分が怖い、これは限界に近い証。
この素晴らしい休日に祝福を!まずは、食堂行って朝ご飯食べよっ。
———
押し倒した日を境にヒストリアはサクに避けられていると感じていた。目を合わせれば嬉しそうに手を振ってくれていたのに…最近は顔を伏せたり、横にいるアルミンやエレンの方を向き会話を始める。
その理由は…
サクは幼馴染の成長に驚き悶絶していた、今まで以上に魅力的に見えるのだ!可愛さに美しさも混ざってきたら、もう手に負えない。キャパオーバーで爆発しそうになっていた!何が?と野暮なことを聞いてはいけない。
ヒストリアはユミルに相談するが、ニヤニヤしてあしらわれるばかりで現状の蟠りの解決方法がわからなかった。
話したい、触れたいのにサクには逃げられる。フラストレーションは限界に達し、雪山訓練に参加を決め双方に休暇ができた今日ある計画を実行することにした。
「なぁクリスタ……」
「ライナー、ごめんね?今日はちょっと…」
「あぁ、わかった」
ライナーはクリスタの魔性にやられ気がつかない、目的を言う前に断られたことに。
ライナーはクリスタの色気にフリーズし見えていない、目の前でサクに足を絡め全身を使い壁に抑えつけ言質を取っている、周りから見るとただのイチャイチャプレイに。
「サク逃げないで…待っててね?」
女神に壁に抑えつけられ耳元で囁かれるサクを見て、羨ましいと思うと同時に脳を焼かれた状態から男子雪山訓練参加者の休暇は始まるのだった。
———
訓練場の入り口に起立しています、スキンヘッドからの罰で立っているのではありません。
うずうずするのでリアを探しに行こうかとも思いましたが、「ここで待っててね」と耳元で言霊魔法を使用されたので身動きとれません。
「待ったよね…ごめん…」
おぉ、アナタぁカワイイデスねぇ…全然待てます、2000年でも木になってでもここで待ちます。
「ちょっと!?服装可愛すぎない?」
最近、リアの顔を直視できない。
それより……なんだ、そのミニスカートは!?人に見られるから肌を隠せなんて野暮なことは言わない、他の人より見るからな。
「サク目合わせてよ…目を見て言って?」
ごめんなさい、ホワイトな足ばかり見てました…名誉のために言っておくが…足フェチではあります、嘘はつけない!
軽く化粧をして、薄い口紅も塗っているリア。いつも以上に魅力的に見える、なんか色気もあるぞ!?成長を感じ感慨深いなと思うと同時に瞑想する、宇宙のエネルギーとおばあちゃんの力を感じ危ない高鳴りを抑える。
「綺麗だよ本当に…」
「っ!……もう行こっ!」
幼き日とは違う二人の位置関係、手を引かれるのも悪くないと思う今日この頃。
昔は冷たく氷のようだったリアの手からも成長を感じる、なぜなら熱く汗ばんでいた。理由を聞こうとするとめちゃくちゃ睨まれた。
そして気がつく。
綺麗な金髪をまとめている髪留めに。
「つけてくれたんだっ…」
訓練所ではつけているのを見たことないから、あまりのセンスの無さに引きちぎられてたのかと思っていた…って、そんなことリアがするわけないだろ!
髪留めについているのは一輪の花。こうして見ると少しひまわりの花がデカすぎたか?とも思うが金色の髪によく馴染んでいる、満開のひまわり畑みたいでダイブしたくなります。
「リア、似合ってるよ…」
「うぅ……ありがとっサク!私の宝物なんだよっ?」
ひまわりの髪留めぇぇぇ!!!よかったなぁぁぁ!!こんな可愛い子につけてもらえて、宝物って言われて!
私は好きな子の髪留めになりたい—サクを。
何生分かもわからない程の恋をした子はひまわりのような女の子でした。
———
「りっ♪りっ♪リアリア〜ヒストリア〜」
「サク嬉しそうだね〜?うさぎさんみたいでかわいい」
ぴょんぴょんと跳ねながら歩く幼馴染を見ると子供だな、可愛いなと思ってしまう。リズムに合わせて小声でずっと私の名前を呼んでいるので、理由を聞くと訓練所では力を封印しているから全解放したいらしい……うさぎさんはそんなこと言わないよ?
私の名前を嬉しそうに呼ぶのなんてサクだけだよ…(いいえ、ちがいます)
ずっと呼ばれるていると胸の辺りがムズムズして……また手汗がでてる気がする…
(そういえばさっき!女の子に手汗かいてる理由聞いてきたんだ…ばかサクっ!)
「うん、めっちゃ嬉しい楽しい!はぴはぴっ!」
うぅ、許しちゃいそう……こんな可愛く笑うのズルい……なんだろう、最近胸の辺りがすごくモヤモヤする、今日はその理由も解き明かしたい。
「リアっ!どこ行く?」
勢いだけで誘ったせいで行く場所なんて決めてない。ただ二人でいたかった…なんて言う勇気ないよ…
立ち止まり困ったように下を向いていると、サクはぎゅっぎゅっと握り、指を絡めてくる。冬なのに手だけもの凄く熱く汗をかいているから、あまり密着されたくない。また失礼なこと聞いてきそう…やっぱり汗ばんでるの聞いたの許せない、夜締めよう。
「リアの好きなスイーツ巡りしよっか?頑張った分いっぱい食べよ〜お肉がついて丸くなっても気になりません、どんな君でもokです」
「お肉つかないもんっ!丸くならないっ!」
絶対にお仕置きする。
昔から何一つ変わらない、私の一番大好きな人はいつだって手を差し伸べてくれる。
ヒストリアはまだまだ気がつかない。大好きな人と無意識に思ってることに、前を歩くだけで無自覚に惚れ直すほどのデレっデレ具合に。
———
「あ、あなたは……この世界にもいたんですね!?」
前世ではタピオカ?なんだそれって毛嫌いしてましたよ、友達には逆張り系で売ってたからね?こんなヤバいやつでも友達はいました、信じてください…今になって白状します、集合体恐怖症で苦手でした、本当は飲んでみたかったんです!
しかし、この世界で再会を果たすなんて運命だな。集合体恐怖症?そんな恐怖症は存在しない!再会を邪魔するな!
「すいません、二人分を一つの容器に入れてもらうことってできますか?」
「二人で飲むんですねぇ〜?」
「えへへ」
ふっ…リアは気付かないだろう。一人分と言って渡す、優しいリアは一緒に飲もうと言ってくれるだろう…
今の間にハート型の恋人ストロー君を作ってよっと!
「チビマルクン二人分です、おまたせ!」
チビマルクン!?あなたも自分と同じで名前が変わったんですね、自分はサクって言います!
「ありがとうご……」
きもちわ…なんて言わないよ?旧知の仲じゃないか、旧友だろ?でも、タピオカだけ二人分…そりゃないよ…ぎゅうぎゅう詰めで身動きできてないよ?チビマルクン。
手に持っている容器をもう一度眺める…好きな子に渡していいものかこれ?モザイク必須じゃないだろうか。
「サク?何買ったの、お金半分こしよっ」
あ、それは大丈夫です。結婚したら全部自分が払いたいんで、今から払いたいです。
と馬鹿なことを考えているとふと思う、集合体恐怖症だったらどうしようと…(同じだったら少し嬉しい)でもそれだとせっかくの恋人ストロー君の活躍場面が…
「あ、あはは…これで飲むんだって」
「何これ!すっごく、かわいいね」
いいえ、あなたがかわいいです。
うん、チビマルクンめっちゃ可愛いな!ぎゅうぎゅう詰めで、身動き取れないくらい隣の子と距離が近いのは仲がいいからだろう。容器は教室!チビマルクンは学生!隣の子と席近い方がいいもんね。
「リア飲んでみて、美味しいよ!」
半分くらい減ってくれないかなと思っていると、優しいリアは一緒に飲もうと恋人ストローの片方を渡してくれた。
めっちゃ冷や汗でてきた…
繋いでる手…どっちも汗めっちゃかいてるぅ。
———
「リアはいちごが好きだからな〜、次はいちごの乗ったパンケンケーキはどう?」
「イチゴって高いよ?…今度は私が払うから!」
あ、それは大丈夫です。結婚したら以下同文。
散財っていいな破滅してる感がたまらん!立体機動中でよかった、買い物依存症になってたかもしれない。
「なんかサクって…女の子と出かけるの慣れてる?…」
「慣れてないよ…今でもドキドキして、爆発しそう…でもリアには笑ってほしいから」
「うぅ…もう!イチゴ食べにいこっ、いっぱい食べてお金つかおっ!」
前世でも何度かはあるが…もう、いいだろう。前世の恋愛事情は、今はこれからは目の前でぴょんぴょん跳ねるリアしか見えないんだから…かっこいいことをずらずらと言ったが何度かには前世の母が含まれてます。
それにしてもぴょんぴょんリア可愛いな、図鑑に保存決定!No.315くらいでいいですか?
有名なカフェらしきお店に入ったのはいいものの中々の高級店ぽい。あっれれ〜おかしいぞ〜、よく見れば値段が時値って書かれてる…払えなかったら本当にどうしよう。二日間なら自分、食洗機になれます。
「私は紅茶にしようかなぁ…私が払うから、サクは好きなの選んで?」
「水分ばっか摂取してると、また汗かくよ?」
「サク、あとでね?もうっ、私も頼む」
高級店に気圧され遠慮しているリア、自分も少し支払いが怖いけど勇気を出そう。それよりあとで何されるのだろう、名誉のために言っておくが…ドMにもなれます。
リアは注文を決めているようなので、メニューを見てみると懐かしい響きを発見!ミッカンだと!?これは、あれか蜜柑のことか!?地元がすっごく有名でした、旧友との再会が止まりません。
値段?そんなものは知らん、道をあけろ!食洗機になれば済む話だろ。
「すいません…ミッカン半分とイチゴでお願いしますぅ」
———
「リア!?美味しいよミッカン」
嬉しそうに笑うサクを見ると、こちらまで嬉しくなり自然と口角が上がる。
結局イチゴのパンケーキは頼まなかった、二人で一つを食べることにした。イチゴのパンケーキを食べるより、ミッカンで頬を膨らますサクを見る方が幸せで胸いっぱい…胸焼けしそう、かわいすぎて。
「リアも食べて!」
スプーンの上にいっぱいのミッカンを乗せたパンケンケーキを持ってくる、サクの嬉しそうな顔を見ると、私はいいから食べてなんて言えない。
「うん〜!美味しいね!?」
「てしょ?やっぱりみかんは最強なんだよ」
サクはずっと笑ってる、私といるのの何が楽しいのだろう。なんで私にだけ、そんな太陽のような笑顔を向けてくれるの。聞けない、聞くと怒っちゃうから。
サクがいなかったら私はどんな風に生きていたのだろう、笑顔を見るたびに思い想像し怖くなる。
「今度はいちご食べにこよっ!リア」
小指を出してくるサクにヒストリアも小指を差し出す。
とうの昔に心を奪われ惹かれてしまっているが、ヒストリアが恋に気がつくまで、あと何度恋をするのだろう…
今日で2回目の惚れ直しをしたヒストリアだった。
———
「サクは行きたいところないの?サクの行きたいところに私も行きたい」
「アクセサリーのお店とかかな?」
リアを連れて来たのは髪留めを作ってもらった、ひまわりの加工をしてくれた唯一のお店。
名店だがあまりにも立地が悪すぎる!路地裏に連れ込まれてると思われてないよな?いかがわしいことしようとしてるって思われてないよね…いやいつかはしますよ?
でも、よくよく考えれば…リアからお尻ぃぃぃっ!
「変なこと考えたらだめっ」
恋人繋ぎの手がみしって鳴った…(鍛えてるんだなとこちらも好きなところが増え惚れ直したのだった)
また好きなところ言うゲームで敗北から遠のく、負けたいのに負けれないジレンマ。
そうこうしてるとお店の前に着く…人通り少なっ、本当に連れ込んでるみたいになってないか?
「ひさしぶり〜」
「きたわね!あんたの顔は一生忘れないわ…ややこしい注文呪文のように続けるカスハラ野郎!寝ててもあんたのねちっこい声が聞こえてくるのよ!」
おい、言い過ぎだろ!横に座って優しく囁いてただけじゃないか、二人とも寝不足になったのはいい思い出だろう?
最後は硬い握手をした仲じゃないか。こちらは好きな子に最高なプレゼントを渡せる、そちらは技術を高められたと喜びあっただろ?それは、もう友でしょ。
ところで…
「おね〜ちゃ〜ん⤴︎、お店見せてねぇ〜」
「お姉ちゃんって呼ぶな!……その子があんたの言ってた子?それにしても…こんな可愛い子だったなんて…あんたには勿体無いわね」
「サクがお世話になってます…私はクリス……あぅぅ」
自分より先に今日抱きついてやがる、なんだこいつは!軽くN◯Rされた気分、調子に乗りました寝てません…いつか寝る予定ですが未定です。
それにリアに変なこと言うなよ?
連れ出した上で立地の悪いこの店燃やして、中央通り沿いに店構えさすからな?
この人以外、誰がリアへの指輪を作ってくれるんだよ…おね〜ちゃ〜ん⤴︎には結婚指輪をもう予約している。
店を燃やす場合は死なれたら困る重要人物♯2なので丁重に保護しないといけない(♯1は祖母)
……でも本当に思うよ自分には勿体無いって。物語の登場人物みたいな子だから、例え決まった相手がいたとしても不思議じゃ…き、決まった相手?…うぅ、全力で奪いに行きます。
「……誰にも渡したらダメだよ、この子…指輪を作るなんて最初で…」
変なことぉぉぉぉ!!!
「ああああぁぁぁ!静かにしろババ…おね〜ちゃ〜ん⤴︎」
「お姉ちゃんって言うな!」
ふっ…こいつはババァよりおね〜ちゃ〜ん⤴︎の方が効くんだ…よくよく考えるとどういうことなん?変わったやつだなこの天才職人、普通に怖いよ。
———
「ツインテール似合うと思うけどな〜リアには」
店構えは怪しいが品はいい、良すぎるので評価星5で投稿したい。
今日のデートの一番の目的…リアはデートなんて…いや、デートだよ。
なぜここに来たかというと、リアにツインテールをさせるためのヘアゴムを買いに来た!
「に、似合わないよぉ…ミーナがしてるみたいなのでしょ?」
に、似合わないだと?何言ってるだ!おいババ…おね〜ちゃ〜ん⤴︎髪留めください!
こうして、こうしてこう!ほら鏡を見て…
ぁ…好きです。
「サク慣れてるね?…女の子の髪を結うの!」
頬を膨らますリア、可愛いので押してもいいですか?
はい…まぁ何度か女性の髪を結ったことはあります。
かっこいいことを言いましたが何度かには、死なれたら困る重要人物♯1が含まれてます。
好きな子のために祖母でツインテールの結い方を練習したなんて言えません、墓場まで持って行く予定です。
なんだ?この二人。デートが濃すぎて、1話にまとめれません。
早く雪山登らして純愛で雪溶かしてぇです。