惑星ネプティスの反乱鎮圧に乗り出したころ、各辺境星域でも反乱が起こった。
とりあえずネプティスでの反乱を鎮圧する為に、オフレッサーに陸戦隊を率いさせて降下を開始。
「提督、惑星ネプティスの反乱部隊、降伏しました」
「……早くないか?」
「オフレッサーさんがそれはもう、張り切って敵陣に乗り込んでいきましたので。それに圧倒されたのでしょう」
まぁ、ハルバードをぶん回しながら、狂気的な笑みを浮かべて殴り込んでくるんだからそりゃ怖いよな。
ネプティスでの反乱は僅か一週間で鎮圧されることになった。
「君のところのオフレッサー中将、凄いね」
「俺ですら扱い切れていないぐらいだからな」
「言えてる。それと、聞いていると思うけど他のところの反乱も鎮圧してこい、だってさ。ランテマリオの反乱は第五艦隊が鎮圧に動いている」
「第十一艦隊は反乱に加担したか?」
「うん。ルグランジュ提督が声明を出したよ」
「そんな事だろうと思ったよ。で、状況は?」
「第十一艦隊は第五艦隊を迎え撃つつもりらしい。第十艦隊には反乱鎮圧の命令は下ってないね」
「そりゃ敵が来るかもしれない場所から動かすわけには行かないだろ。ってことは第五、第十二、第十三、第十四の三個艦隊で反乱を鎮圧、ってことだな?」
「そうだね。それと、君のところには第五艦隊と協力してランテマリオの鎮圧に行け、ってことらしいけど」
「あぁ、本当なら第五艦隊だけでも問題は無いんだが、グリーンヒル大将が捕まってしまったらしい。それを無事に救助しつつ鎮圧を、とシトレ校長に命令されたよ
グリーンヒル大将は、脱出しようとしたところ、第十一艦隊に囲まれて捕まってしまったらしい。
まぁ、脱出する為の艦と、護衛を合わせても二十数隻程度。数千の艦隊に囲まれたらどうしようもないな。もうちょっと上手くやれればグリーンヒル大将が人質になることもなかったんだが。
「じゃ、ここで別れるってことだな。お互い上手くやろう」
「あぁ。お前も十分気を付けろ」
そう言って通信を切る。
「さてラインハルト。皆を集めてくれるか」
「はっ」
反乱が起きた惑星ネプティスは完全に鎮圧した。
俺にはランテマリオと第十一艦隊の制圧を命令されている。他の反乱はヤンが上手く制圧出来るだろうし、今回に備えて薔薇の騎士連隊が乗り込んでいるから地上戦でも困らないだろう。
イゼルローンに帝国軍が来るとは流石に想定出来ないから薔薇の騎士連隊を引き抜いて、代わりに三個連隊を増備している。
惑星カッファーの鎮圧にヤンの第十三艦隊が向かい、惑星シャンプールの反乱は第十二艦隊が。ランテマリオには第五、第十四艦隊。
あとはドーリア星系の鎮圧だが、カッファーを制圧したヤンが向かうことが決定している。
となると俺達はランテマリオを制圧したら、途中でハイネセンで起きるだろう反乱鎮圧が最後になるな。
頭の中でどう動くか考えながら航行していると、急報が入る。
「ハイネセンでも反乱発生!救国軍事会議が統合作戦本部、ハイネセンポリスは制圧され、軍政が敷かれたとのことです」
「第一艦隊と第九艦隊は?」
「ビュコック大将を始めとした要人を艦隊に収容したのち、惑星ハイネセンを包囲。数が足りないのと、地上反乱の鎮圧に我々の手を借りたいとのことで、到着まで包囲するに止めるそうです」
「了解。じゃ、ランテマリオをさっさと鎮圧してグリーンヒル大将を助け出そう」
「……弱いな」
目の前に広がるのは、第五、第十四艦隊によって包囲殲滅されつつある第十一艦隊の姿だった。
「こんなことを言うのも可笑しな話ですが、帝国軍の提督の方が圧倒的に優秀でしたね」
「あれと比べるのも酷な話だ。それに、こっちの意図があったとは言え艦艇は旧式ばかり。可能な限りそうなるようにしたのは俺達だ」
第十一艦隊は数も練度も、艦艇の差もある。
こっちは二個艦隊二万七〇〇〇隻、向こうは半個艦隊六六〇〇隻だ。こっちは四倍の兵力を有しているわけだからこの結果も別に不思議な話でもない。
にしても、それだけの兵力差を前にして、それでも降伏しないってのはなんなんだ?
開戦前に二度、開戦後にも度々降伏勧告を送っているが応答すらないとは、よっぽどの信念なんだろう。それが例え、ルドルフ大帝がやっていた事と同じことだとしても彼らは自分達が正しいと信じて疑わないんだろうか。
「地上部隊は?」
「映像が繋がっておりますから、見られますか?オフレッサーさんの映像ですが」
「いやいい。俺はハルバードで身体を真っ二つにされる映像なんてリアルタイムで見る趣味は無い」
「それは安心しました。私にもそんな趣味嗜好はありませんから」
どうやらオフレッサーはここでも反乱軍相手に無双しているらしい。
それに続いて第十四艦隊陸戦隊もヒャッハー!!という状態。民間人や捕らえられていた軍人兵士には一切手出ししていないから、まぁ、うん、いいか。
「地上の反乱も鎮圧まで時間の問題かと。都市の八割を制圧しております。反乱軍の残余は残った区域に集結して最後の抵抗を試みているようですね」
「一応、戦闘が始まる前に降伏勧告を出すように言ってくれ。オフレッサーならなんの言葉も無しに殴り込みかねないし」
「そうですね」
……オフレッサーに物騒な事言わないように、って言っとくべきだったかな。
あいつ、超男所帯で人生の殆どを過ごしているからエゲツナイぐらいの罵詈雑言が飛び出て来るんだよなぁ。そんなのに当てられたら降伏なんて怖くて出来なくなるぞ。
「ラインハルト、一応オフレッサーにマイルドな言葉で降伏勧告するように、って追伸しておいてくれるか」
「もう降伏勧告を出したようですので意味は無いかと」
「遅かったかぁ……」
「オフレッサーさんの降伏勧告文を一応読み上げますね。 『反逆者共ォ!貴様らは愚かにも秩序を乱し、我が主君の手を煩わせよった!更にはグリーンヒル大将を人質にまで取ったと言うではないか!その愚かさは地獄で数千年の苦しみを味わって然るべきこと!しかし我が主君ノルトハイム大将は大変寛大にあらせられる!今両手を挙げて、掌を見せて降伏すると言うのならば貴様らには寛大に過ぎる処遇をお約束してくださっている!せめて生きている間は楽に生きる為に大人しく降伏するか!それとも我がハルバードの錆となり肉片に変えられるか!さぁ好きに選ぶがいい!』 という文言だったそうです。オフレッサーさんにしては随分とマイルドな文言ですね」
「マイルド……?」
ラインハルトはマイルドな言葉だ、と言っているがこれがマイルドなのか?マイルドって何なんだろう?
いや、だが敵に対するオフレッサーの言葉としては確かにマイルドか……。
「提督、失礼します。地上部隊指揮官オフレッサー中将より連絡が入りました」
「読み上げてくれ」
「反乱軍、降伏せり。武装解除中。とのことです」
「オフレッサーの降伏勧告が効いた、という解釈で良いんだろうか」
「そのように解釈し、後でオフレッサーさんに存分にお褒めのお言葉と、葡萄酒かウイスキーでも贈られると宜しいかと。大変お喜びになられるかと思います」
それにそうだな、と頷いてどの葡萄酒が良いかな、と考える。
葡萄酒は七四六年ものがあった筈。それに二〇年もののウイスキーもあったから、それをどちらか好きな方を贈ろう。
「グリーンヒル大将はご無事か?」
「ご無事です。外傷が幾つかあったとのことなので、軍医が手当をしていると」
「それは良かった。手当が済んだら艦隊に来て貰ってくれ。で、第十一艦隊は?」
「未だ抵抗しております。こちらの損耗は軽微。それにしても包囲されているというのに何故降伏もしないのか不思議です」
直接の降伏勧告も一切受け入れず、地上の反乱も鎮圧済み。
二万七〇〇〇隻に囲まれて、こっちが損害を嫌ってシールドにエネルギーを回しているから弱腰とでも思っているのか?
「もう一度降伏勧告を送ってくれ。それで駄目なら一気に片を付ける」
「はっ」
最後の降伏勧告だ。
今までに半数の艦艇をなんだかんだで失っているわけだから、普通なら降伏するもんなんだが、こうも狂信的になられると降伏することも難しいか?
「第十一艦隊より返信。《第十一艦隊司令官ルグランジュの名において降伏受領す。最後の戦いがノルトハイム提督、カールセン提督とのものであること名誉なり。なれど敗北すれども信念は本懐を遂げると信ずる。願わくば両提督のみならず、全軍人が身の振りを再考願うものなり。救国軍事会議万歳》とのことです」
「よろしい。降伏を受理し、処理する。ルグランジュ提督は?」
「自決されたようです」
「分かった。では、事後処理と救助を第五艦隊に任せてハイネセンに急行する。艦隊前進」
こっちのの損害は損傷艦が出たぐらいで、第五艦隊も同様。
第十一艦隊は六六〇〇隻のうち、六四〇〇隻がこの反乱で沈んだ。
「ノルトハイム大将、お手を煩わせてしまった」
「いえ、グリーンヒル大将こそご無事で何よりです。怪我をされたと聞きましたが……」
「あぁ、ちょっと殴られたぐらいだ。あんなもの怪我の内にも入らんよ。それを軍医が大袈裟に治療してくれただけだ」
「顔に青あざを作っているのは、ちょっとの怪我ではありませんよ。それで、今後の事ですが」
「あぁ、分かっている。君らはハイネセンの反乱鎮圧に向かうのだろう?」
「はい」
「だが第一艦隊と第九艦隊を合わせれば一万隻弱と言った数。鎮圧は容易だろうに何故態々第十三、第十四艦隊の到着を待つのか不思議だな」
「多分、お前達の味方はいない、とか民間人に姿勢を示すとか、そう言う意味があるんでしょう。三万六〇〇〇隻がぐるっとハイネセンを囲むんです。上手く行けば降伏してくれるし、そうでなくても態度が態度です。民心をこっちの味方に付けられます」
「なるほど。それは確かに有効な手だな。それで、私はどうすればいい?」
「このまま付いてきて頂きたく。シトレ本部長、ビュコック宇宙艦隊総司令官、それに軍の大将五人が揃って反乱を認めない、となれば少なからず動揺が走るでしょうし、上手く行けば離反者を誘えます」
「そうだな。そのポーズも大きな意味があるだろう。出発は何時に?」
「もう一時間で出立します。部屋は用意しておりますので、ハイネセンに到着するまでの間、人質になっていた際に溜まった疲労と怪我を癒されてください。そのお顔をグリーンヒル大尉にお見せする訳にもいかないでしょう?」
「そうだな、そうさせてもらおう。この顔を見られたら困る」
「えぇ。ラインハルト、ご案内して差し上げろ」
「はっ。ではグリーンヒル大将、ご案内します」
グリーンヒル大将は幾らか暴行を受けたのか、顔に青あざを作り、頭に包帯を巻いていた。
怪我の程度としてはそこまでのものではないようだから良かった。これを見たらグリーンヒル大尉がカンカンになるかな。
「急報!ハイネセンで大規模な武力衝突発生!」
「どこの誰がやり合っているんだ?小康状態にあるんじゃないのか」
「第一艦隊司令官クブルスリー提督、ビュコック提督より通信!」
「繋いでくれ」
二人が映ると、立ち上がって敬礼をする。
ついでにヤンも映っていた。どうやら四人で会議をすることになるらしい。
「お疲れ様です。お二人ともご無事で」
『うむ、お主もランテマリオの反乱鎮圧とグリーンヒル大将救出、ご苦労じゃったな』
「はっ」
『それで、グリーンヒル大将は?』
「現在はお休み中だ。色々と大変だったからな」
ヤンはグリーンヒル大尉の手前、色々と気になるらしい。
まぁ、ヤン本人が自覚しているかは別としてあの二人、互いに好意があるように思う。何かしらのきっかけがあれば多分、ポーンと進みそうな気もするが野暮なことはしたくないから周りも見守っているに留まっているが、あれはじれったい。
明らかにお互いに好意があるのに、もじもじとしているもんだから周りも、ユリアン君も随分とじれったく思っているかもな。
『なるほど、確かに』
『それで、ハイネセンでの武力衝突の件なのだがな』
「はい。小康状態にあると伺っておりましたが」
『それが、我が艦隊に内通者がいたらしくてな、第十三、第十四艦隊がハイネセンに向かっていて第一艦隊と合流後に反乱鎮圧に本格的に乗り出す、と言う情報を流してしまったのだ』
「なるほど、それまでに何としてでも目的を達成しよう、という事ですか」
『そうらしい』
『それで、連中の目的は?』
『分からん。何やら政治家連中を狙っていると言う事自体は分かっているのだが、具体的に誰を目標としているのか、最終的な目的が捕縛なのか、それとも殺害すら辞さないのか未だに良く分からんのだ』
『彼らには護衛を?』
『手配はしてあるが、規模が規模だ。増援も送ったがどれだけ耐えられるか……』
クブルスリー提督も、ビュコック提督も腕を組んでいる。
まぁ、汚職政治家の排除とか目的としてはそんな感じだろうか。
「……まさかとは思いますが、連中の目的はトリューニヒトでは?」
『そんなまさか……、いや、有り得る』
『確かにトリューニヒトの居所はこの反乱が始まってから全く掴めておらん。何処かに逃げたのか、それとも匿われたのかは分からんが……』
『どうする?このままでは被害は大きく拡大するばかりになってしまうぞ。今すぐにでも我々だけでも鎮圧に乗り出すか?』
『いいや、こっちの陸戦隊は新兵ばかりの訓練部隊だ。それなりに練度のある反乱連中相手に勝ち目はあるまい』
『アルフレート提督、ヤン提督、あとどれぐらいで到着する?』
『私の艦隊は十三日は掛かるところです』
「私は一週間頂ければ到着致しますが……』
『うぅむ……』
二人は悩む。
今すぐに反乱鎮圧に乗り出したいところだが、実戦力として新兵ばかりの訓練部隊であることがネックだ。陸戦隊や空戦隊も同様で、正直期待は難しい。投入したとしても、最悪殲滅されかねない。
こう言う言い方をするのもおかしなものだが、あんなトリューニヒトの為に若者を死なせたくない、という思いもあるのかもしれない。それに関しては同意だが。
『よし、第十四艦隊の到着を待って反乱鎮圧に乗り出そう。ヤン提督は可能な限り速やかにハイネセンに向かうように』
「『はっ』」
『では、貴官らを待っている』
通信が切られる。
「このタイミングでの大規模な戦闘を起こすとはどういうことでしょうか?彼らは本当にトリューニヒトを狙っていると……?」
「分からん。分からんが……」
本当にどうなるのか分からんな。
「お待たせいたしました。ノルトハイム大将、只今到着しました」
「おぉ、待っておったぞ。それじゃ、早速取り掛かるとしよう」
「はっ」
ハイネセンに艦隊が戻り、すぐに鎮圧に乗り出す。
陸戦隊と、それを率いるオフレッサーを降下させて即座にハイネセンポリスの鎮圧を進める。
どうやら反乱に組みしなかった軍人の一部が反乱軍との戦闘に自発的参加をしたらしく、シトレ本部長はそれら部隊を纏め上げて指揮を執って辛うじてなんとか防いでいるらしい。
だがそれが崩壊するのも時間の問題と言うところでギリギリ間に合ったようだ。
降下したオフレッサー以下陸戦隊は、今まで同様にほぼほぼ無双して鎮圧。
残った反乱部隊は一つの部隊が降伏を始めると、段々と降伏を始める部隊が出てきた。三日もするとハイネセン全土で反乱を起こした部隊は全て降伏をするに至った。
「降伏部隊を受け入れつつ、事後処理を進める」
「漸く終わりましたね……」
「四か月を長いと言うのか、それとも短いと言えば良いのか……」
「半個艦隊も加わった同盟領全域での反乱を、四カ月で平定したのであればとても速いものかと思いますが」
「だが、敵味方の損害は意外と多い。第十一艦隊は六四〇〇隻の艦艇と人員約七〇万名を殆ど失ったし、それに加わった者を含めると一三〇万は届くだろう。抵抗して殺された者を入れれば一五〇万はいるかもしれない。少なからず処罰を与えなければならないし、反乱を起こした、加担したとなれば軍籍剥奪、不名誉除隊だってあり得る」
「反乱を起こした者達を軍に置いておくわけにも行きませんからね……」
「あぁ。幾ら人員不足と言ってもな」
反乱部隊と、抵抗した者、軍官民全て合わせてざっと一五〇万の死傷者か。
艦隊が丸々一個吹き飛ぶぐらいのレベルだな。
「き、急報!」
「どうした、またどこかで反乱が起きたのか?」
「そ、それが……」
「どうした」
一息吸い込んで言った。
「トリューニヒト議長が、撃たれました!」
「なっ!?」
それは、信じがたい事だった。
「……トリューニヒトが撃たれたと言うのは、事実ですか」
「うむ……。どうやら、潜伏していると想定される近辺に兵を伏せていたらしい。その中の一つが当たって、襲撃を掛けたそうだ。何故か護衛に地球教教徒がいて、それと撃ち合いになった際にその中の一発が退避しようとしたトリューニヒトの側頭部に命中。情報によれば、鎮圧部隊が到着してすぐに反乱部隊も地球教徒も鎮圧されたらしい。トリューニヒトが病院に運ばれた時にはもう死んでおったそうじゃ。見た医師によれば即死だったそうじゃな」
なんと言う……。
これで、なんだかんだ言いつつ同盟を取り纏めていたトリューニヒトを欠くことになる。思惑はどうあれ、帝国領侵攻作戦で空中分解しかかっていた同盟を纏め上げていたのはトリューニヒトだ。それが殺されたとなれば、最悪同盟そのものがドカン、と大爆発を起こしかねない。
「ここまで来ると、今までの反乱は全てトリューニヒトを仕留める為の布石、ぐらいに勘ぐってしまいますな……」
「いや、そこまで考えておらんだろうて。最後の悪足掻きが成功してしまった、と言ったところじゃろう」
「これで、軍は例えどんな形に落ち着こうにも信用は失墜したと言っていい」
「後任は、誰になるかな……」
正直、能力は兎も角としてもレベロ議員やホワン・ルイ議員に、ここまでガタガタになった今の同盟を纏め上げられるかは不安がある。
それ以外の議員は論外にしかならない。つい最近国防委員長に就任したネクロポンティなんかは、あれはトリューニヒト派閥だが同盟を任せるには余りにも能力不足だ。それ以外のトリューニヒト派閥の政治家、官僚はまぁ、任せるに足る存在とは言い難い。
「どうなるかな、これから」
「さぁ……。だけど暗雲立ち込める、とはこのことだと思ったよ」
中々、どうしてこうなるかな。
反乱鎮圧後、世間はさておき軍は軍で再び再建計画に着手し始めた。
一連の騒動で反乱を起こした者はすべからく処罰を受けることになったし、首謀した面々は自決にしろ、投降にしろ、階級降格と不名誉除隊となった。それに参加した者も重い処罰を受けることになる。軍刑務所に入れられたりすることになり、一時的に軍刑務所はパンク状態になりかけた。
そこで新しく軍刑務所を用意する必要が出てきて、早速補正予算を組まねばならなくなった。
トリューニヒトの後任にはレベロ議員が就任し、早急な国内治安事情の回復を宣言。問題はここで誰が用意していたか、トリューニヒト政権(トリューニヒト派閥の)の数々の汚職やらなんやらが出てきたのだ。
逮捕者は出るし、政府施設や軍施設の前には連日猛抗議を行う為のデモ隊が押し寄せ、MPの配備や警察の手も借りることに。
お陰で政府は政府で信用失墜、軍は軍で信用失墜と、それはもう困った状態になった。
軍は市民からの冷たい目線を浴びながら暫く過ごすことになる。
軍上層部はそもそも反乱に加担していない上、元々反乱が起きることは想定し、政府には説明をして明確に反乱に反対した立場を取ったことで首を斬られるなどの処分は免れたが、それでも減給と一週間の謹慎処分が言い渡された。まぁ民衆向けのポーズと言っていい。
ともかく、ゴタついた反乱は多くの意味で傷跡を残したがこうして終わることになった。