Cyberpunk:RUNNING IN THE NIGHT CITY 作:菜の花畑
本日からは三年遅れで視聴した、サイバーパンクエッジランナーズの二次創作をお届けしたく思います。
ほんのごく僅かなボタンの掛け違いによって、どう変化が起こるか。
ドラえもんのように生あたたかい目で見てくださると、嬉しい限りです。
デイビッドは、目の前に広がる光景を疑った。
リパードクの喉元に迫った腕を、ルーシーの細い指が掴んでいる。
上着が背に張り付く。
彼の殺害。それは自殺と同義だ。
サイバーサイコシス。震えや目眩なら可愛いものだが、放置すれば精神崩壊を起こし、挙句には狂人と化す。
自覚はあった。ルーシーにもレベッカにも咎められた。
聞かなかった。自分は特別だから。
そんな思い込みなど通用しなかった。現に倒れ、運び込まれた。運が良かった。
頭がこんがらがった状態で諍いになり、この始末だ。
「悪い、ドク……血が上ってた」
「へっ、気を付けるんだな。出禁にしてやる所だったぜ」
「すまない……」
視線を落とす。
ドクの背を見ると口が重いが、前を向かなければ話にならない。
「でもさ!薬は無いと困るんだ。頼むよドク、金なら上乗せ」
「なぁデイビッド」
遮られた。穿つような目付きだった。
「お前、何をそんな焦ってる?」
「焦ってなんか」
「あんな醜態晒しといて落ち着いてるってか!笑わせるな」
押し黙る。否定の言葉も無い。
再度問いが来た。
「……で、どうなんだよ?」
何故そこまで聞きたがるのだろうか。
古い付き合いだが、とどのつまり関係は金に帰結する。その筈だ。答える義務は無い。
とは言え、この際だ。抑制剤の件もある。
「俺は……止まる訳にはいかないんだよ!母さんもメインも、何かを俺に託して死んだ!それが何か、俺は掴まなきゃいけないんだ!」
「いつどうやって掴み取るんだ?」
答えに詰まった。人の夢の細目など答えられる筈が無かった。
「それは分からない……けど、だからこそだ!仕事をこなして、上に行けば、分かるかも知れないだろ?だから!」
「だから薬が欲しいです。ってか?馬鹿でも分かるようはっきり言ってやるよ……その前にお前は
、エッジの向こう側だ」
理屈もへったくれもあったものでは無かった。
どう取り繕ったとて、先のことに帰結するだけだ。
「じゃあ俺は、どうすりゃ良いんだよ!?」
「まぁ手っ取り早いのは、ありきたりな伝説にでもなるこったな」
この時彼には、自分の言葉のことしか頭に無かった。声を荒げ、勢いづいたことで酔っていた。
「この際それでも良い!それで何か残せるなら!」
故に、それを人が聞いているということも、すっぽりと抜け落ちていた。
ドクは一瞬だけルーシーに目をやり、語気を強めた。
「早計なガキだ……独りよがりに腰振って出すガキと、何も変わらねぇ」
「さっきから何なんだあんたは!俺がどうなろうと、金だけ受け取ればそれで良いだろうが!」
「ああ、全くその通りだとも」
立ち上がり、取って付けたように両手を広げた。
「ナイトシティで名を残す方法はただ一つ。どれだけ派手にくたばるか、だ。精々そうするが良いさ。そこの嬢さんも、さぞかし喜んでくれるだろうしな」
彼は、今になってルーシーを視界に入れ、口をパクパクさせた。
そぐわない発言しか無かった。
「何だそのアホ面。まぁどっちでも良いが……違うってんなら話し合いぐらいしとくんだな」
いつの間にか用意した紙袋を、デイビッドへと投げ寄越す。
そうして奥へ消えようとした所で、彼は再起動した。
「ちょっと待ってくれよ!これいつものだろ?強いのは」
「あのなぁ、俺だって嬢さんに殺されたかねぇんだ。強いの欲しけりゃ説得してこい」
手をひらひらとさせ、今度こそベッドに戻る。
数分後、やっと静かになった部屋で、誰に言うでもなく呟いた。
「たく、俺はいつからカウンセラーになったんだ」
我ながららしくも無い問答をしたものだ。
こんな時はリフレッシュするに限る。
新たに仕入れた裏BDをおかずに、マスターベーションに耽った。三回フィニッシュした。中々の逸品だ。
やはり生きていてこそだ。死ねば快楽は味わえない。