クズだった僕は転生して改心し魔法少女になる   作:Park M

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 魔法少女モノを書いてみたくなったので書きました。続きません()


第一話

 

 

 

 やぁみんな、僕だ。

 

 え?いや誰だよって?もー仕方ないなー、では改めて自己紹介を。

 

 容姿端麗!英俊豪傑!正しく才色兼備と謳われるのはこの僕!みなさんご存知環凪汐莉(かんなぎしおり)だ!……というのが今世の僕。どうしてわざわざ今世なんて言い回しをしているのかというと、実は僕には前世の記憶があるのだ。

 

 ……いや、そんな可哀想な子を見るような目でこっちを見ないでくれ。厨二病でもなんでも無く本当のことなんだ。たまに聞くだろう?前世の記憶を話すっていう幼い子供の話を。ただまあ僕の場合、高校生を間近に控えても忘れることなくハッキリと覚えているんだけどね……クズな男の一生とその最期を。

 

 さっきも言ったけど今世の僕は完璧美少女として名を馳せている。……自画自賛が過ぎるって?仕方ないだろう、事実なんだから。だけど前世の僕は、お世辞にも出来た人間とは言えなかった。

 

 怠惰で傲慢。努力しなくても自分ならどうにか出来ると思い込み、結局何も出来ず。そのくせプライドだけは人一倍高くて、それが原因でトラブルになることなんて日常茶飯事。もちろん、そんな僕に友達なんて出来るはずもなかった。勉強せずに高校受験を失敗して、あわや中卒になるところで、なんとか私立の高校に滑り込みで入ることになっても、僕は変わらなかった。いや、むしろ悪化したと言っていい。

 

 なんで僕がこんなバカしか居ない高校に?なんで僕ばっかこんな目に遭うんだ?これも全部、周りのせいだ……って。この頃から親にも当たり散らすようになっていったよ。いやほんと、我ながらとんだ救いようのないクズだったね、僕。

 

 そんな高校でも僕は勉強に着いていけず、結局人間関係で問題を起こして自主退学をすることになった。それからずっと学校に行くことも働くこともせず、親の脛を齧ってダラダラと過ごしていく。部屋に篭って外に出ることもせずに。そんなクソニートと化した僕にも父さんや母さんは声を掛けてくれていたけど、当時の僕は意に介さないどころか怒鳴って追い返すばかり。いつしか二人も見切りをつけたのか、何も言わなくなった。それもそうだろう。むしろ、息子思いで根気強いほうだったと思う。

 

 そして、自堕落な生活を続けて二十歳を過ぎた頃、ふと僕は外に出ようと考えた。別に理由なんてなかった。ただ、外の空気を吸ってみたくなっただけ。僕は両親に気付かれないよう部屋を抜け、外に出た。

 

 数年振りに見た外の世界は、かつて見たものと全く別のものに見えた。何か大きく変わった訳でもないのに。

 

 向かいの家の車が、別の新しい車になっていた。空き地だった場所に工事中の看板が立って家が建ち始めていた。少し先のコンビニが行列の出来るラーメン店になっていた。ただ、それだけの小さな変化。だけど、確実に前へと進んだ変化。そう、僕が、僕だけが。社会の底辺のまま変わらずにいた。

 

 その時、僕の心はポキッと折れてしまったのだ。もともと気も強くないのにプライドだけは高かった僕だ。自分がただの人間のクズだってことを自覚したら心も折れる。むしろなんでそれまで自覚していなかったのか自分でも疑問に思うよ。

 

 で、そのあとは幽鬼のようにふらふらと目的もなく歩いていると、角からくるトラックに気付くのが遅れてそのままズドン!気付いたら知らない女の人の腕の中でオギャってたって訳さ。

 

 いやーその時はほんとびっくりしたよね。なにせ成人男性(クソニート)の記憶を持ったまま赤ん坊に、それも女の子になってたんだから。その動揺が体にもでてたのか泣きに泣いて、助産師さんにも"よく泣く子ですねー"って言われちゃったよ。そしてそれを聞いた女の人……今世の母さんは、僕を産んだばかりでまだ辛かったはずなのに僕を見て笑って言ったんだ。

 

 "元気に生まれてきてくれてありがとう"

 

 僕はそれを聞いたとき、決心した。今世こそは真っ当に生きようと。前世じゃ両親に親孝行どころか酷い仕打ちをしてしまった。だけど、なんの因果か転生してやり直しの機会をもらったんだ。なら全力で親孝行しなきゃ損だろう?

 

 ちなみに父さんだけど、僕がそう決心した直後に顔面蒼白で息を切らしながら病室の中に駆け込んできて、僕と母さんを交互に見て間に合わなくてごめん、と僕と母さんに縋り付きながら泣きに泣いていた。それを見た助産師さんには"よ、よく泣く人ですね……"とドン引きされていて、母さんもこれには流石に苦笑いしていた。まあ、なんというか、今世も僕は両親に恵まれてたようで、尚更僕の決心は固くなった。

 

 それから僕は品行方正を心掛け、すくすくと育っていった。赤ん坊の時は夜泣きもせず母さんと父さんの言うことを聞いて手の掛からないようにした。……今思えば結構赤ん坊らしからぬ行動をしていたような気もするけど、天然なのか親バカなのか、おそらくどっちでもある両親は気にする様子は無かった。

 

 話せるようになってからは幼いながらの語彙を駆使して両親に"ありがとう"と"大好き"の言葉を尽くした。というより、体に精神も引っ張られているのか思っていることがすぐ口に出てしまうから隠そうにも隠せなかった。それが原因かは分からないけど、両親は今に続く大の付く親バカになってしまった。

 

 また、今世は前世のような思い込み天才野郎とは違って、本当の天の才能が与えられてたみたいで、一度覚えたことは忘れず、教えられたことはスポンジのように吸収し、努力をすれば必ず実った。学校に通うようになってからそれは顕著になり、常に成績は校内でトップ。また、人間関係も良好で友達もたくさん居た……んだけど、ちょっと僕は張り切り過ぎたみたいで、友達間でいざこざがあり僕が間に入って仲裁することがあったりして、少し自重することになった。まさか現実で、"私のために争わないで!"を言うことになるとは夢にも思わなかったよ……。

 

 そして現在。春から高校生になる僕は父さんの転勤に伴って少し遠くの町に引っ越した。引っ越す際に友達に重過ぎる贈り物を貰ったり、泣かれたり、どさくさに紛れて女友達に告白されたり、父さんがいきなりでごめんよ、と泣きに泣いて母さんに呆れられたり、それはもう色々あった。

 

 それからなんやかんやあり、ようやく引っ越し作業が落ち着いたところで、僕は高校の下見ついでに近所を散歩している。春の暖かな気候は僕の気分を高揚させ、華やかな高校生活へと思いを馳せる。

 

 そう!僕の高校生活はこれからだ!

 

 

 

 

 

 「……そんな訳で、ボクと契約して魔法少女になってほしいポム!」

 

 ……いやだめだ。現実逃避をかねて僕の回想を入れてみたけど、やっぱりなんか居る。しかも胡散臭い誘い文句で魔法少女に勧誘してきてる。

 

 「えっと、ごめんなさい。僕には無理です」

 

 「よし!それじゃさっそく……って、無理ポム?!」

 

 断られるとは思ってなかったのか、その小さくて白いモコモコした体を後ろにのけ反らせて驚く。

 

 「う、嘘だポム……年頃の女の子はこれでイチコロだって聞いたのにポム……」

 

 「いやどこ情報だそれ」

 

 なんか明らかに駄目なソースじゃない?契約したら最後悲惨な運命を辿りそうなやつだけどねそれ。

 

 「というより、え、君はその……何者?」

 

 「ポム?!キミはさっきのボクの話を聞いてなかったポムか?!」

 

 「はい……」

 

 だって現実逃避で回想に入ってたし……

 

 「もー、仕方ないポムね……」

 

 やれやれといった感じに肩……肩?を竦めて話し始めるマスコット。それを見て少しイラッとする僕。

 

 「まず、ボクの名前はポムリンポム。ボクはこの世界とは違う次元から来た、言うなれば精霊ような存在ポム」

 

 「ふむふむ」

 

 「ボク以外にも精霊は居て、この世界の至る所で魔法の才を持った少女を探しているポム。それはなぜかというと、魔法少女になってこの世界に巣食う邪悪……イーターを退治して欲しいからポム!」

 

 「ほー」

 

 「イーターそのままにしておくと人間の感情や思考を喰らって廃人同然の存在にしてしまうポム。事実、少なくない数の人間がイーターの毒牙に掛かり、社会復帰が困難になってしまってるポム……。さらに最悪なことに、イーターは魔法の才を持たない人間には見えず、対処のしようがないポム」

 

 「はへー」

 

 「そしてキミにはとてつもなく大きな魔法の才があるポム!その才を魔法少女として役立てることが出来たのなら、きっと誰よりも強い魔法少女になるポム!」

 

 「なるほどなるほど」

 

 「そんな訳で、ボクと契約して魔法少女になって欲しいポム!」

 

 なんだか壮大な話をしていたけど、最後まで聞いた僕の答えはこうだ。

 

 「えっと、ごめんなさい。僕には無理です」

 

 「さっきと同じ断り方ポム?!」

 

 確かにイーターとやらの存在が脅威なのは分かった。で、僕にはそれを倒す魔法の才があるってことも。だけども、言っちゃなんだけど、見ず知らずの人のために魔法少女とやらになって危険な目に遭うのは割に合わないと感じてしまう。僕は今世で真っ当に生きると決心した訳だけど、別に聖人になりたい訳じゃないんだ。ただ、僕の身近な人が幸せであればそれでいい。

 

 「だから、ごめんね?僕はそこまでお人好しにはなれないんだ」

 

 「うー、どうしてもポム?」

 

 「どうしても」

 

 そこまで押し問答をして、やっと諦めたのかポムリンは背を向けて一言。

 

 「この町にもイーターが来ているから、魔法少女が居てくれたら安心だと思ったポムにな」

 

 「ちょっと待って」

 

 僕はすぐさまポムリンの頭を押さえ付けて留まらせる。僕の聞き間違えじゃなかったら今、とてつもない爆弾発言をしていなかった?

 

 「今、なんて言った?」

 

 「だから、この町にもイーターが来ているポム。今はまだ動きはないみたいだけど、そのうち動き出すポム」

 

 こ、こいつ、今までわざと話さなかったのか……しかも、今のポムリンの言い方的に近くに魔法少女は居ない……つまり、父さんと母さんが危ない目に遭うかもしれない……。

 

 「……ぉ」

 

 「え?ポム」

 

 「なるしかないじゃん!魔法少女ぉ!」

 

 「よっしゃあ!ポムぅ!」

 

 

 

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