D×D.Gray-man   作:快 適

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日常が非日常に変わる

私立駒王学園―――。

 

それが、俺の通う学校だ。

 

現在は共学だが、数年前まで女子高だったらしく、男子より女子の割合が多い。

まあ共学になったから、学年が上がるごとに男子も増えているが、それでも女子の方が多い。

二年生である俺のクラスでも、男女比は3:7といういい数字だ。

発言力もどちらかと言わなくても、女子の方が強い。生徒会も女子が大半以上で生徒会長まで女性だ。

 

全体的に男子が強く出れない校風だが、俺は通っていた。

 

理由は単純にして明快だ。

 

「女子が男子より多い。それだけで素晴らしいじゃないか!!」

 

「「うおっ!?」」

 

いきなり叫びだした俺に驚いて、周りにいた二人の男が変な声を出す。

 

「どうしたイッセー? いつもの通りスケベ心は健在だろうが、いきなり叫びだすなよ」

 

「悪い悪い松田」

 

見た目は爽やかスポーツ少年。中身は俺が認めるド変態、松田。俺の悪友その一だ。

ここの学校の女子からは常にドン引きという咎を背負い、それでも日々下心を胸に前を向いて歩いている残念な男だ。

ここでは別名『エロ坊主』や『セクハラパパラッチ』などと呼ばれているが、奴にとってはもはや勲章だろう。

 

「ふっ・・・・・・どうせ今朝から女子高校生のパンツを拝めた俺への、見当違いな嫉妬だろう」

 

「誰がそんなことするか。ってか一回人生やり直せ元浜」

 

キザ男のようにカッコつけたメガネ男、元浜。俺の悪友その二だ。

唯一のキャラ立ちとも言えるメガネを通して、女子の体型を数値化する特殊能力(スカウター)を持って、メガネがないと何も出来ない、とても残念で色々無駄な野郎だ。

コイツの別名は『エロメガネ』、『スリーサイズスカウター』と呼ばれるが、最後の方は自分発信の別名だったりする。コイツの考えることはわからないぜ。

 

「そんなことより、朗報だぜ!」

 

と言いながら、松田がカバンから色々と卑猥な題名のDVDやら本を積み上げる。

 

「ひっ!」

 

近く――ってか隣の女子が悲鳴をあげ、高速機動で俺たちから離脱する。まぁ朝っぱらだしな~。

 

その次に周りの女子から「朝から最低、自重しろ」や「エロガキ共爆発しろ」と、蔑んだ女子達の罵倒が聞こえる。

 

「騒ぐな!別にR-18じゃねぇから! ほら、マーク見てみるか!?って女子供は見るな見るな! この『セクハラパパラッチ』様が脳内犯すぞコラ!」

 

コイツの発言は時として尊敬に・・・・・・値(あたい)しないか。

 

少し前までの俺なら机に広がるこれらを見て、『なんだこの大秘宝は?! ワン○ース!?』などと叫んでたかもしれないが、いかんせん、この頃の俺は朝日に弱い・・・どこのゾンビだ俺は。

 

などと憂鬱な気分で天井を見ていると、

 

「松田、そういう発言は控えた方がいいですよ」

 

という声が響き、それと対照的にクラスの全員が一瞬静まる。

 

キレイな白髪は左右に別れ、そこから透き通る銀灰色の双眸が覗かせる。ただし左目には複雑な赤い五亡星のタトゥーが刻まれて、ミステリアスな印象を与える。

優しい苦笑いを浮かべたまま歩く男に、クラスの女子は目を奪われている。

そんな注目された男は、駒王学園の制服をキッチリ羽織り、左手は白い手袋をつけて、袖に隠れた左腕は、包帯でグルグル巻きにされてる。

 

そんな神秘的な美少年が、右手にカバンを持ちながら俺等の方に歩いてくる。

 

「おっす、亜煉(あれん)」

 

「おはようイッセー。・・・相変わらずですね」

 

「・・・言うな。俺も泣けてくるから」

 

苦笑いしながら俺の右隣に座る男、灰原(はいばら)亜煉(あれん)。

 

十人すれ違ったら、九人は絶対に振り返ると断言できるほどの、中性的な美少年。

温厚で優しくて頭がよくて、運動神経は学園でもトップ10に入るほど。要するに文武両道、眉目秀麗って奴だ。

ちなみに女子には超モテモテだが、鈍感スキルがあるらしく全く気付いてない。(殺意が沸くぜ)

いつも男女問わずほぼ敬語で話す(女子は必ず敬語)し、俺等みたいな奴に進んで仲良くなるし、色々と変わった奴だけど、俺の数少ない親友だ。

 

「気分・・・悪そうですね。保健室に行った方がいいですよ」

 

「ん・・・まあ、時間が経てば治るから、別にいいだろ」

 

「・・・ならいいですけど」

 

ちょっと納得してない表情だが、首を前に戻して授業の準備を整える。

 

「亜煉。ここんとこ、イッセーのノリが悪すぎる件について、何か一言」

 

どこから出したかは知らんが、松田がワイヤレスマイクを亜煉に向ける。さすがパパラッチ。

 

「え?・・・・・・さあ。どうでしょう?」

 

「んだよ。お前もノリ悪いなぁ。その歳で性欲がないとか、本気で枯れてんぞ?」

 

「いや、あまり興味が無いので」

 

アハハと苦笑いを浮かべながら、そんなことを言う亜煉。今の俺でもお前は異常だと思う。

 

「やっぱり病気ではないか?エロの権化たるお前から性欲を取れば、もはや残るものなど無い」

 

「さらりと失礼な事言うな元浜。てめぇからメガネとってやろうか?」

 

「あー、もしかしてアレか? お前に彼女がいたって言う、怪しい薬やった後の副作用のことか?」

 

「幻覚じゃねぇし、怪しい薬もやってねぇよ!・・・・・お前ら、マジで覚えてないのか?」

 

俺の言葉に、二人は本気で哀れんだような目を向けてくる。

 

「だからさぁ。俺等夕麻ちゃんなんて知らないって。マジで病院行った方がいいんじゃねぇか? フラッシュバックがキツイって聞くが、リストカットしてないだけマシだろうし」

 

「だから薬物は乱用してねぇ」

 

とりあえずツッコミは入れなければ。

 

「ああ、何度も言うが俺たちは夕麻ちゃんという女の子の紹介は受けていない。なぁ亜煉?」

 

「そうですね。僕もそのような女子を紹介された覚えは・・・」

 

亜煉も怪訝な表情をして、そんな事を言う。

 

(・・・・・・俺がおかしいのか?天野夕麻という女子なんて、最初からいなかったのか?)

 

人生初の彼女で美少女(ここ重要!)だったのに、アレは全部俺の夢だったのか?

ケータイなど電子端末はもちろん、プレゼントなど彼女に関連したものは全てなくなっている。

俺の単なる夢といえば簡単だが、俺は彼女との記憶が鮮明に残ってるんだぜ?

 

(・・・・・・深夜に湧き上がる力といい、俺は一体どうなっちまったんだ?)

 

考え込む俺の肩に松田が手を置く。

 

「まあ、思春期真っ只中の俺らなら、幻想の彼女を見ることぐらい・・・多分あるだろ。イッセー、今日は俺の家に来い。我が秘蔵コレクションを鑑賞しまくろうではないか!」

 

「それはいい提案だ。松田君、その話俺も乗った」

 

「さすがは元浜。話が早いぜ。イッセーに拒否権はねぇぞ。Sで始まりXで終わる行為をしなければ、自分を生んでくれた両親に申し訳ねぇぜ」

 

早く孫の顔を見せてやりたいぜ!と言いながら、グヘへへと下品な笑いを浮かべる二人。それを苦笑しながら見てる亜煉。

 

やっぱりいつも通りの風景だ。俺の杞憂なんて最初から無駄と言うような・・・。

 

「わーったよ!今日は無礼講だ!炭酸飲料とスナック菓子で祝杯を挙げながら、大人の階段を登る準備をしようじゃねぇか!」

 

半ばヤケクソだ。でも公開はしない・・・・・・おっと失礼、後悔はしないぜ。

 

「おおっ! それでこそ兵藤一誠だ!それでこそ、イッセーだ!」

 

「その心意気があれば病気など知ったことか。共に青春を謳歌しようではないか」

 

この際夕麻ちゃんのことは保留だ。

 

たまには息を抜く! ここまで悪友に気を使わせて、憂鬱になってる訳にはいかないぜ!

 

・・・・・・だが。

 

 

「・・・・・・今日は忙しくなるかな・・・」

 

 

そんな俺等は空を無表情で見つめる亜煉に、気付けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、いい夢見ろよ」

 

「出来ればな。また明日」

 

「ああ」

 

松田の家で鑑賞会を終えた俺と元浜は、帰り道の途中で別れたが、アイツは諸事情で元気が無い。後で励ましのメールを送っておこう。

 

そして元浜と別れて数分。

 

いつものように帰り道を歩いていただけの俺だが、体から湧き上がる疼きが酷かった。

 

例の”夜になると力が湧き出る”って現象だ。

 

日に日にこの現象が強くなっているような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

で・・・・・・今は。

 

 

 

 

 

 

 

「これは数奇なものだな。こんな都市部でもない地方の市街で貴様のような存在にあうのだからな」

 

スーツを着た男がとんでもない形相で俺を睨んでいるんだ。

 

視線を受けるだけで体が震える。全身が奴を拒絶しているような感覚が襲う。

 

これが殺意と言う物なのだろうか。少なくとも敵意はビンビン感じている。

 

(お、俺を狙ってるのか?なんでだよ!?)

 

全くワケがわからない。だが逃げるしか俺には道がない。こうなれば逃げるしかない。

幸い今の俺には”夜になると力が湧き出る”という現象がある。逃げれるはずだ・・・!

 

「なんだ逃げるのか?主は誰だ。こんな場所を根城にしてる輩だ。ただの物好きが下位の悪魔だろう。もう一度聞くが、主は誰だ?」

 

もうわけわかんねー!

 

俺はもう逃げた。来た道を全速力で戻った。

 

何が面白くて、こんな夜にスーツの男に追いかけられなきゃいけないんだよ!

 

数分走って、俺は無意識にとある公園に走りこんだ。

 

ここは―――――夕麻ちゃんとのデートで最後に訪れた場所だ!

 

なんつー偶然。ここを墓標にしろと?まったく嬉しくないね。

 

―――――ゾクッ!

 

「っ!?」

 

「逃がすと思うか?下級な存在はこれだから困る」

 

悪寒が背筋に走り、咄嗟に振り返ると、背中にカラスの羽(?)を生やした男がいた。さっきから俺を追いかけてる変質者だ。

 

・・・・・・っておいおい!! アンタ来る次元間違えてるだろ!? 人間に羽はいらねぇよ!

 

「お前の属する主の名を言え。こんな所で邪魔をされると迷惑なんでな。こちらもそれなりの・・・。まさか、お前『はぐれ』か? 主無ならば、その困惑した表情にも説明がつく」

 

勝手に質問して、自分で解決しやがった。一人で納得してんじゃねぇ!

 

「主の気配も仲間の気配もなし。消える素振りも見せないとなると・・・やはり『はぐれ』か。ならば殺しても問題は無いだろう」

 

その男が物騒なことを呟きながら、手をかざしてくる。狙いは当然・・・俺だ。

 

男の手には徐々に光の槍らしきものが形成される。

 

―――――って槍ぃいいいいい!? やべぇ!!殺される!!

 

と思った瞬間、俺の腹を光の槍が貫いた。

 

「ごほっ!!」

 

込み上げる嘔吐感に耐え切れず、俺は口から盛大に赤い液体を吐き出した。

 

い、痛い。超痛い。

 

全身を侵しているような激痛のため、俺は膝から崩れ落ちる。腹の槍は手で抜こうとしても、今度は手が焦がされる。

 

「痛かろう?光はお前らにとって猛毒だからな。しかし意外と頑丈だ。少し加減を間違えたかな?」

 

などと言いながら、コツコツと靴音を鳴らしながら歩いてくる男。

 

「もう一撃で、楽にしてやる」

 

言うが早し、先ほどと同じよう・・・いや、先ほどよりもデカイ光の槍が形成される。

 

(俺・・・こんな所で死んじまうのか?)

 

夢で夕麻ちゃんに殺されるときと同じように、男が俺に槍を向ける。

まさか彼女に殺される夢が、正夢だったとは・・・・・・いや変質者に殺されるにすり替わってる!

 

「死ね」

 

そんな俺の心情とは裏腹に、男は容赦なくその光の槍を振り下ろした。

 

 

 

―――――ガギィン!

 

 

 

「やらせません」

 

しかしその槍は、俺に届く前に、突然の乱入者の鉤爪によって阻まれていた。

 

「・・・貴様。何者だ」

 

男は一度飛び上がって、乱入者と距離を取る。

 

その乱入者は、シルエットからおそらく男。

 

この暗がりの公園でもよく目立つ跳ねた白髪。風によって静かに揺れる純白のマント。そのマントは右腕にくっついていて、少年の左腕は黒い鉤爪と化している。

そして銀の仮面を顔に付け、左胸に十字の紋章を入れたコートを羽織っていた。

 

(た、助かった・・・のか?)

 

しかし腹を槍で貫かれたのには変わりない。激痛が容赦なく俺を襲う。

 

「――――エクソシストです」

 

その少年がそう名乗ったのを最後に、俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「エクソシストだと? 聖職者を名乗るならその少年を何故庇う?!」

 

一誠が意識を手放した後、空に浮かぶ男は、白と黒を纏う少年へ光の槍を投げる。

 

「神ノ道化(クラウン・クラウン)」

 

しかしその槍は、少年のマントに衝突して砕けた。

 

「僕は争いたい訳ではありません。しかし”貴方達”が攻撃するというのなら、抵抗させてもらいます」

 

仮面をつけた少年は、そういって一つの街灯へ視線を向ける。

 

「バレてたの。エクソシストさん」

 

そこから出て来たのは、紅髪を振り乱す美しい女性。駒王学園の制服を羽織ったその人物は、腰に手を当てて歩いてくる。

 

「・・・紅い髪・・・グレモリー家の者か・・・・・・」

 

「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう、堕ちた天使さんに退魔師さん。この子に手を出さないで」

 

「・・・ふふっ。これはこれは。そのものはそちらの眷属か。この町もそちらの縄張りというわけだな。まあいい、今日の非礼は詫びよう。だが、下僕を首輪に繫いで置かない飼い主も問題があるだろう?」

 

「ご忠告痛み入るわ。この街は私の管轄なの。そこの退魔師共々、私の邪魔をしたら容赦しないわよ」

 

「そのセリフ、そっくりお返ししよう。グレモリー家次期当主にエクソシストよ。我が名はドーナシーク。再び見えないことを願う」

 

そう言って男はこの場から飛び去った。残るはリアスと白と黒の少年。

 

「貴方はどうするのかしら? 退魔師」

 

「僕はあなたの邪魔はしません。その代わり、貴方も僕の邪魔をしないでほしい」

 

「退魔師が私と交渉するの? 変わっってるわね」

 

リアスはニコニコと、殺意を視線に織り交ぜて少年を見つめる。

 

「僕は退魔師ではなく、エクソシストです。一応道化(クラウン)と名乗っておきます。では、コチラも用事が出来たので失礼します。ミス・リアス」

 

それだけ呟くと、少年はマントを翻して夜の闇に溶け込んだ。

 

「・・・一体何者なのかしら。あのエクソシストは・・・」

 

それだけ呟いて、リアスは一誠をつれてこの場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちぃ・・・まさかエクソシストが悪魔と手を組むとは・・・」

 

ドーナシークは、とある廃工場へその体を潜めた。

 

「しかしあの団服・・・”黒の教団”のエクソシストが悪魔と手を組むだと・・・?」

 

羽を隠し、帽子を被りなおしてドーナシークは考える。

 

「いや待て・・・あの”イノセンスに寄生された左腕”・・・まさか!?」

 

 

ドォドオオオンッ!!

 

 

「っ!」

 

「案外遠くに行ってない様で、安心しました」

 

突然廃工場の扉が吹っ飛ばされ、そこから先ほどのエクソシストと名乗る少年が現れる。

 

「貴様! そのコート・・・やはり”黒の教団”のエクソシストだな!!」

 

「違います。”元”黒の教団のエクソシストです」

 

少年は左腕の鉤爪を慣らすように動かして、ドーナシークへと近づく。

 

「元だと!?・・・そうか、貴様が『白き悪魔』か! 一年前禁忌を侵したため、ヴァチカンを永久追放されたエクソシスト!」

 

ドーナシークは納得がいったと言わんばかりに、手に光の槍を形成して構える。

 

「僕を知ってるなら、あなたの抵抗は無意味です」

 

「何を・・・! 確かに貴様は、『元帥』を除くエクソシストでは最強と謳われたが、所詮人間の話だ!下等生物が我等堕天使適うはずはないっ!!」

 

ドーナシークはその顔を歪めながら、プライドに縋るように少年に光の槍を向ける。

 

「・・・・・・貴方、教団のエクソシストに会うのは初めてですか?」

 

少年は、可哀想なものを慰めるような声音でドーナシークに尋ねる。

 

「それがどうした!」

 

「・・・・・・初めに前言撤回をします。あなたと闘う理由が、二つも出来ました」

 

少年は歩く足を止めて、光の槍を向けるドーナシークと向き合う。

 

「貴様は高貴なる我に殺されるべきだ!!」

 

ドーナシークは光の槍を構えて走り出した。少年はその攻撃に構えずに、銀の仮面に包まれた顔を向ける。

 

「うぉおおおおおおおおおっ!!」

 

それを僥倖と思ったドーナシークは、雄叫びを上げて少年へと槍を突き出す。

 

・・・しかし。

 

「―――――遅いよ」

 

 

ズシャッ!

 

 

「ぐふっ!!」

 

槍を振りかぶったまま、一瞬でドーナシークの腹部を、少年の左手の鉤爪が貫いた。

 

「――――まず一つ、貴方は彼を傷つけた。それは同じ傷を持って償え」

 

そして少年は左腕を引き抜く。ドーナシークは血反吐を吐きながらヨロヨロと倒れる。

 

「き・・・貴様・・・ゴホッ!」

 

「もう一つ、己の力量を自覚した方がいい。貴方に負けるエクソシストなど、この世に存在しない」

 

「く、くそっ・・・・・・・!!」

 

少年は、這い蹲りながらも何とか逃げようとするドーナシークへ、鉤爪を振り上げる。

 

「破滅ノ爪(エッジ・エンド)」

 

その言葉で左手の鉤爪がまばゆい白光に包まれる。

 

「わ、私は・・・堕天使だぞ!貴様ら人間などが私たちに歯向かうなど・・・!」

 

恐怖に顔を歪めるドーナシークに、少年はただ言葉を呟いた。

 

 

「――――哀れなる堕天使の魂よ―――――」

 

 

そして少年は―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――安らかに眠れ―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――静かにその手を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――」

 

ドーナシークは悲鳴をあげることもできず、その光の放流に飲まれて、光が収まる頃には跡形も無く消えていた。

 

「・・・ついに目覚めるか・・・」

 

少年は左腕の力を解除し、振り返って、服装を整えながら歩き出す。

 

「――――覇の宿命を、君はどう歩むんだ? 赤龍帝、兵藤一誠」

 

そして少年は、用がなくなった廃工場を立ち去り、夜の闇へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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