D×D.Gray-man   作:快 適

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それぞれの影

「・・・・・・」

 

「どうしたのイッセー? そんな顔を青くして」

 

暢気でいいですね。あなたのせいですよ。

 

朝の登校。

 

昨日のハチャメチャファンタジー的出来事と、今朝の限りなくギリギリな出来事。

 

それだけでも体力を使い果たしたところで、登校生徒達の厳しい視線。

 

まぁ学園のアイドルの一人が、俺みたいな奴と一緒に登校してくればそうなるな。

俺もリアス先輩が松田と一緒に登校してきたら、とりあえず一発殴る。もちろん松田を。

 

そんなこんなで、俺等の周り半径5メートルは誰も近寄らない。

 

(そんなに俺はミスマッチか!?俺がこの人の隣にいてはいけないのか!?)

 

と思いながら、俺とリアス先輩は学校まで歩く。

 

「あ、イッセー。おはよう」

 

だがしかし、今の俺を後ろから呼ぶ男がいた。この優しそうな中世的な声は、アイツだろう。

 

「・・・おぉ~~っす・・・亜煉」

 

「元気ないですね・・・っと。グレモリー先輩じゃないですか。おはようございます」

 

といって、お辞儀をしながら俺の隣の人物に挨拶する。

 

――――ってか気付いてなかったんかい!! さすがは天然で定評のあるお前だぜ!

 

「ごきげんよう。イッセーのお友達?」

 

「ええ、まあ。灰原亜煉といいます。イッセーとお知り合いなんですか?」

 

「・・・・・・そうなるわね。つい最近知り合ったの」

 

リアス先輩はほんの少し顔をしかめたが、すぐに表情を戻して亜煉と話す。

 

「そうなんですか。リアス先輩という有名人がイッセーの隣にいるから、何か大変なことでもあったのかと」

 

「うふふ。心配性なのね亜煉君は。いい友達ね」

 

「いや・・・そんなことありませんよ。しかし、貴方の様な方に褒められるとは、恐縮です」

 

「フフ、そこまで言われるとコチラも照れるわね」

 

亜煉は極めて普通に、学園のアイドルと会話している。一々オドオドしてる俺とは大違いだ。

 

さすがはイケメン鈍感男。色んな意味で尊敬したい。

 

「それではイッセー。僕は日直なので、先に行かせて貰いますね。リアス先輩、失礼します」

 

といって亜煉はカバンを手に、校舎まで走っていく。

 

「・・・見た目から、変わった子ね。亜煉君って子は」

 

左目のところにタトゥー、若いのに白髪、左腕は包帯で巻かれ、さらに手袋をしている。

 

初対面なら驚くような外見だ。俺も初めてみたときは驚いた。

 

「そっすね。そこは俺も同意します。でも結構いいやつですよ」

 

本当にそう思う。

 

見た目だけで敬遠していた、当時の俺を殴り飛ばしてやりたいほど、亜煉はいいやつだ。

 

「・・・・・・そうなの。あ、学校に着いたわね」

 

リアス先輩の言うとおり、校門も見えてきている。そして校舎の入口で先輩と別れた。

 

「あとで使いを出すわ。放課後にまた会いましょう」

 

微笑みながら、そう告げた。

 

(使い?誰なんだろうか)

 

と思いながらも俺は教室へと向った。

 

扉を開けた瞬間、雑談などをしていた生徒が、一斉にこちらを向いた。こ、怖っ!

 

し、仕方ないか。リアス先輩と一緒に歩いてたから。

 

「「どういうことだっ!!」」

 

未だに扉の場所で止まっていたら、いきなり背後から叫ばれた。

 

「おっす。松田、元浜」

 

「なにが”おっす”だぁ!?この裏切り者め!!」

 

「イッセー。とりあえず話を聞こう。俺と別れた後、犯罪に走ったのか!?」

 

失礼な奴らだ。俺だってまだ昨日の事は整理できてねぇんだよ!

 

「三人とも。そろそろSHRが始まりますけど」

 

その時、後ろから日誌を持ちながら亜煉がそういうので、とりあえず一時休戦となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

「亜煉君、兵藤一誠君って知ってる?」

 

「イッセー? 知ってますけど、木場がどういった用で?」

 

「ちょっとした使いでね」

 

ポケーッと机に伏せてると、廊下の方からそんな声が聞こえてくる。

 

「イッセー。木場が君に会いにきたよ」

 

「やあ、どうも」

 

「・・・・・・」

 

半眼で亜煉と共に入ってくる男を睨んでやる。

 

(やはり貴様か。この学園一のイケメン野朗、木場祐斗!)

 

爽やかスマイルで学園の女子のハートを射抜いて周るイケメン。クラスは違うが同学年だ。

馴れ初めは知らないが、亜煉と仲がいいので、二人並んで学園の二大イケメンと呼ばれたりする。

まあ亜煉は見た目が奇抜なので、この木場祐斗が学園一女子にモテている。

 

この二人が並んでクラスに入ってくるのだから、周りの女子は黄色い悲鳴を上げる。

 

(うぜぇ。こういうときは亜煉にも殺意が沸くぜ)

 

「えっと、兵藤一誠君であってるよね?」

 

「そうですけど、何か御用ですかね」

 

まったくおもしろくいので素っ気無く返すが、木場は爽やかスマイルを浮かべるだけ。

 

「リアス・グレモリー先輩の使いできたんだ」

 

・・・・・・なるほどな。コイツが先輩の使いというわけか。

 

「オッケー了解。俺はどうしたらいいんだ?」

 

「僕についてきてほしい」

 

イヤー!

 

なんだこの女子の悲鳴は。

 

「そ、そんな木場君と兵藤が一緒に歩くなんて!!」

 

「汚れてしまうわ、木場君!」

 

「木場君にあうのは灰原君だけなのに!!」

 

「木場君×兵藤なんてカップリング許せない!!」

 

「木場君×灰原君じゃないと!!」

 

うん、一度落ち着けや。俺も引くほどの変態女子共。

 

「ああ、わかった」

 

心の中で最初に言ってやる。俺は大体のイケメンが大嫌いなんだ。

 

「お、おいイッセー!?」

 

松田。お前と俺は違うのだよ。

 

「木場、リアス先輩によろしくと伝えてもらえます?」

 

「わかったよ亜煉君。今度また組み手でもしよう」

 

「僕じゃあ、もう君には勝ち目は無いですよ。剣が入ったらもう無理」

 

「僕なんてまだまださ。君の闘い方は変わってるし」

 

「・・・自覚してるんですけどね。あ、急いでるんでしたね。また会いましょう」

 

「うん、また今度ね」

 

亜煉との会話を切り上げて、俺と共にクラスを出た。

 

「イッセー!! う、裏切り者ぉおおおおおおおおおっ!!」

 

涙声の松田の叫び。俺はあえて無視した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!! なんだ今日のイッセーの変わりようは!!」

 

「まったくだ。一体何がどうなってるのだ。亜煉、何か知っているか?」

 

「さあ。リアス先輩は最近知り合ったらしいですけど」

 

クラスに残された松田、元浜、亜煉の会話。

 

「なんだと!? イッセーとリアス先輩がどうやったら知り合えるんだ!?」

 

「しかも学園一のイケメン、木場祐斗とも知り合いだと!? 何がどうなってるんだ!?」

 

松田と元浜は頭を抱えて絶叫。

 

「それじゃあ、戸締りがあるから早く教室から出てもらえません?」

 

「こら亜煉!お前冷静すぎるだろう!」

 

「え? いやリアス先輩とイッセーが知り合いと言っても、そこまで騒ぐことでしょうか」

 

まったくわからない亜煉は首を傾げる。

 

「ったくお前は相変わらず変に鈍い!」

 

「全くその通りだ。あのイッセーだぞ? あのイッセーがリアス先輩と知り合いなど、おかしいではないか」

 

「す、すごい言われようですね・・・。でも今朝先輩自身から聞いたんですけど」

 

「何!?お前リアス先輩と話したのか?!」

 

「え、ええ。今朝偶然会って。その時少し会話をしたんです・・・って、早く教室から出てくださいよ」

 

「「それどころじゃない!!」」

 

「知りませんよ。はいはい、早く出ましょう出ましょう」

 

「「お、おいちょっと!」」

 

二人の背中を亜煉が無理矢理押して、教室から出した。

 

「まったく・・・。叫ぶのは勝手ですが、自分の家かどこか人に迷惑が掛からない場所でしてください」

 

「くそっ!イケメン爆発しろ!!」

 

「リア充は殺菌消毒されるべきだ!!」

 

プルルルルル。

 

「あ、電話」

 

「「無視するな!」」

 

「もしもし・・・あ、はいはい、そうです。バイトですか?でもちょっと都合が・・・・・・緊急のバイト?わかりました。すぐに向います」

 

ピッと電話を切る亜煉。

 

「バイト? お前バイトしてたのか?」

 

「ええ、時々ですが。それじゃあ僕は急いで帰らなければならないんで」

 

といって亜煉はカバンを片手に走り去った。

 

「・・・どうする?元浜」

 

「・・・帰ろう松田。イッセーはもはや俺たちの知るイッセーではなくなったのだ・・・」

 

残された二人も、理不尽な現実向き合いながら、涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・信じられないのはわかるわ。けれど、事実なの。あなたも私たちも悪魔なのよ」

 

「・・・・・・そう、なんすか・・・」

 

オカルト研究部という場所に案内された俺は、この頃俺を襲う摩訶不思議ファンタジー的な出来事の解説を受けた。

 

頭の悪い俺が、どうにか纏めようとするとこうなる。

 

 

悪魔達は堕天使と、太古の昔から争っている。冥界、地獄の覇権争いで。しかも堕天使や悪魔を問答無用で殺しに来る天使、この三つ巴+巻き込まれた人間達よる大昔からの戦争。

 

昨日の黒い羽を生やした男は堕天使。元天使だが邪な感情を持ったから、地獄に堕ちたという。

 

そして天野夕麻ちゃん。

 

彼女も堕天使だった。彼女は神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれるものを宿す俺を殺すために、ガールフレンドとして接触し、初デートのあの日あの公園で、俺を殺した。

 

しかし俺は、瀕死の状態で先輩を召還し、そして悪魔として生まれ変わった。

 

先輩の眷属―――――下僕として。

 

 

「そんな気を落とさないで。モテモテ人生を送れるかもしれないのよ?」

 

「そうっすね!こんな力も手にはいった事ですし、ポジティブに前を向きましょう!!」

 

左腕の赤色の宝玉の埋め込まれた篭手を見ながらそう思う。

 

未来のハーレムを作るため、俺は上級悪魔になってやる!!

 

「って、そういえば、聞きたいことがあるんですけど」

 

「ええ、何を聞きたいの?」

 

「あの、堕天使の男に殺されそうになった時、俺を守ってくれた奴はなんだったんですか?”エクソシスト”って名乗ってましたけど」

 

通常のイメージなら、エクソシストというと悪魔の敵だろう。だが一応、俺の命の恩人だ。

 

「エクソシストっていうのは『悪魔祓い』と呼ばれる人間の事。主に戦闘を専門に扱う聖職者をそう呼ぶ事が多いわ。端的に言うと我々の仇敵。神の祝福を受けた彼らの力は私たちを滅ぼせるほど」

 

「・・・え?でもじゃあ何で俺を庇ったんですか?俺は悪魔なのに」

 

「私にもわからないわ。一応警告はしたけど、見たところ堕天使とも敵対しているみたい」

 

「部長。ということは、天使の勢力ということですか?」

 

木場が顎に手を当てながら言う。先輩は顔を顰めるだけだ。

 

「そう思うんだけどね。ローズクロスを胸に着けてたから、おそらく『黒の教団』のエクソシストだと思うわ」

 

『ッ!!』

 

その言葉で、俺以外のみんなが驚いた表情をした。え、なんで?

 

「く、黒の教団?」

 

「黒の教団って言うのは、ある物質を武器として扱う聖職者を中心とした、ヴァチカンの組織の一つだよ。ヴァチカンでは一番強大な力を持った組織かもしれないね」

 

木場が解説してくれた。だがイマイチ凄さがわからなかった。

 

「・・・へぇ」

 

「基本的に傍観なんだけど、自分たちに害のある敵が現れた場合、ある物質を扱う聖職者達が討伐するというシステムらしい。コチラが挑発しなければ、アチラも何もしないよ」

 

「・・・ある物質?」

 

「そうそう。『イノセンス』と呼ばれる、太古から存在する色々と謎の多い物質だよ。この世の万物全てに宿って、様々な怪奇現象を起こすらしい」

 

「怪奇現象?」

 

「うん。例えば剣に宿って、その持ち主の人間を何千年も生かしたとか。時計に宿って、その町が何十回も同じ日を繰り返すとか。そのほかにも色々と」

 

「た、確かに怪奇現象だ・・・・。それは神器じゃないのか?」

 

「違うかもしれないし、そうかもしれない。わかってるのは、その物質は悪魔や堕天使の天敵ってことと、持ち主を選ぶってこと。詳しいことは教団の人間じゃないとわからないかな」

 

「そ、そうなのか」

 

「うん。そしてその物質を武器として加工した物を『対アクマ武器』と呼んでる。適合者と呼ばれる人間がそれを振るうことで、神器と同等かそれ以上の力を発揮するよ」

 

なんだその物騒な名前!まさに悪魔のためにあるような武器じゃないか!

 

「まさに悪魔達を殺すためにある武器だよ。そして『イノセンス』は人間じゃないと使えないんだ」

 

「じゃあ・・・俺を助けた奴は、俺たちの敵だっていうのか?」

 

「立場的にはね。でも君を庇ったなら、一概にそうとは言えないかな」

 

木場が困ったような苦笑いを浮かべる。先輩もそれに賛同する。

 

「そうね。いっそのこと、全員敵ならわかりやすくていいのに。実際全員敵なんだけどね」

 

「・・・敵の敵は味方ってことは?」

 

「ありえないわ」

 

即答された。

 

「とにかく、次もあの白黒の少年が・・・あ、確か道化(クラウン)って言ってたけど、彼が現れたら敵と思いなさい。もう一度死にたくなかったらね」

 

「・・・・・・わかりました」

 

命の恩人を敵と思わなければならないのか・・・。でも、それが俺がこれから歩む道ってことか。

 

「それじゃあ次はお仕事を覚えてもらいましょう」

 

「わかりましたっ!!」

 

今は俺の新しい門出を喜ぼう。落ち込んでいる場合じゃないからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

side亜煉

 

 

 

「いらっしゃいませ」

 

みなさんこんばんは。灰原亜煉です。

 

僕は今コンビニの店員をしています。まぁ簡単に言うとバイトです。一人暮らしなので。

 

今日はシフトではないんですが、同僚の一人が風邪で寝込んだらしく、急に僕に白羽の矢が立ったというわけなんです。

 

「あの・・・」

 

「あ、すいません」

 

考え事をしていたら、お客様が何時の間にか目の前にいた。

 

弁当や飲み物のバーコードを読み取って、ビニール袋へと入れる。

 

「○○○円になります」

 

「・・・あ、はい」

 

女性客は何故か僕の顔を凝視していたが、話しかけられて我に戻り、財布から小銭を出す。

 

「ちょうど、お預かりします」

 

レジスターにお金を入れて、レシートと商品を渡せば終わり。

 

「ありがとうございました」

 

営業スマイルとお辞儀も忘れない。

 

「は・・・・・・はい・・・・・・」

 

女性客は半ば放心状態となって、コンビニの戸を開けて出て行った。顔はやけに紅い・・・かも。

 

(なんだろう。もしかして、僕の左目のタトゥーかな?)

 

僕だって、自分の容姿は奇抜だと自覚している。

 

まだ十代なのに白髪、左腕は諸事情が合って手袋+包帯。左目にはタトゥーだから。

大体の初対面の人には物珍しい顔で見られる。全部しょうがない理由があるんだけどな・・・。

 

「いやいや~、お疲れ様だね亜煉君」

 

「店長」

 

ちょっと憂鬱な気分になってたとき、店の奥から店長がやってきた。

 

「急な呼び出しですまなかったね」

 

「いえ。給料が上がるなら、お安い御用です」

 

「ハハハッ。そうかそうか。なら君に一つ朗報がある」

 

「え?」

 

「実は風邪で今日来れなかった彼女は、来週君のシフトのときは、自分が引き受けると言っていたんだ」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ。だから君は来週・・・といっても今日は金曜だから、日曜日から君は一週間有休だ。よかったな」

 

「ええっ!? 本当にいいんですか!?一週間も!?」

 

「ああ。彼女はそうでもしないと、ちゃんとした給料を払ってやれないのだよ。体が弱いらしく何日も休んでいてね。容姿は整ってるから看板娘なんだ。そんな子に無理させるのは心許ないが、自分からやるといって聞かないんだ」

 

「そ、そうなんですか」

 

「まあそういうわけなんで、再来週の月曜日から、また働いてくれ」

 

パンパンと肩を叩かれた。そして再び店の中に入っていく店長。

 

「・・・・・・いや、好都合か」

 

それならこの一週間で、何とかあの問題を解決しなければならない。

 

「・・・はぁ。厄介だなぁ・・・普通の高校二年生を謳歌したかったのに」

 

まぁそれは、生まれたときから無理とわかっていたけれど。選んだ道だし後悔はしてない。

 

カランカラン。

 

「いらっしゃいませ」

 

新たなるお客様が入ってきた。今は仕事中だ、こちらに集中しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

とある、様々な紙が山積みされた部屋。その真ん中に一人男がいる。

 

「・・・・・・赤龍帝が目覚めたのか・・・?」

 

白い帽子を被り、白いコートを着た男が、たくさんの紙が山積みにされた机に倒れながら、そんな事を呟いた。

 

「兄さん。どうしたの?」

 

その時、ドアから一人の女性が、トレーを持ちながら入ってくる。

 

その人物は、黒髪をツインテールにして、黒と銀で装飾された服を着ている。胸には複雑な銀の十字架が輝く。

 

女性はコーヒーの入ったマグカップを、男の机の上に置きながら尋ねる。

 

「あぁ、どうやら『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』が目覚めた・・・らしい」

 

「嘘っ! それじゃあ二天龍が両方とも目覚めたって事?」

 

「そうなるね。でも赤龍帝は目覚めたばかりだから、すぐには脅威にならないよ」

 

「・・・そう。でも近々様子は見に行くの?」

 

「そうだね、都合が合えば君かラビに行ってもらうよ。・・・でももう一つ、これ以上に厄介な問題があるんだ」

 

「問題?」

 

「・・・アレン・ウォーカーが、現れたかもしれない・・・」

 

苦々しい口調でいう男と、その言葉にポカンとする女性。

 

「・・・え? アレンって・・・・・・あのアレン君?」

 

「確定情報ではないけどね。数週間前から、全国各地で現れては、悪魔や堕天使などを倒して回って、用がなくなったら突然消えるという事を繰り返してる。ファインダーの話では、その人物が道化(クラウン)と名乗っていて、しかも左腕が対アクマ武器に寄生されてるという」

 

「・・・・・・アレン君よ、絶対。そんなことできる人なんて、彼以外ありえないわ」

 

「君もそう思うか・・・。もし彼だとしたら、僕らは心してかからなければならない」

 

「っ・・・・・・・・・・・・」

 

女性は、トレーを胸に抱きながら、その言葉に俯いてしまった。

 

「・・・リナリー。わかってほしい。彼はもう仲間じゃないんだ」

 

「・・・・・・部屋に戻ってる」

 

女性は男の言葉を無視して、その場から早足で立ち去った。

 

「・・・・・・リナリー」

 

男は立ち去る女性の後ろ姿を見ながら、呟く。

 

 

 

 

「僕だって辛いさ・・・。でも彼は・・・仲間ではなく、孤独の道を選んだんだよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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