Zenless Zone Zero The S.T.A.L.K.E.R Who Wandered In 作:路肩の石ころ
山の中にある「屋根付き倉庫」と呼ばれる場所はその名の通り大きな屋根が付いた集積場の様な場所である。
ただの屋根付きの集積場では無く、山の中をくり抜いて出入口に防護扉を備えたコンクリートバンカーの様な倉庫が存在しており、ストライダーの隠れ家はその中に作られていた。
スキフ達は警戒用の空き瓶やガラス片などの警戒用の鳴子が散りばめられたトラックが通れるくらいの通路を進むと、元居た世界でドヴパロフ教授の魔法のウォッカ蒸留所があった広い空間に出る。
ここでスキフは“ある男”と戦う為の装備を得る為に、かつて「プロジェクトX」の科学者であったドヴパロフ教授に会いに来たはいいものの、情報が欲しいなら飲みまくれとウォッカを飲まされ、酔っ払いながら倉庫中を飛び回るアーティファクトを追いかけたり、後に教授の元助手が認められたいが為にやったミュータントを操る実験に巻き込まれたりしたのだが……今は懐かしい、別の世界の思い出である。
クリアスカイの計画を阻止し、アキラを奪還する為にストライダーがその協力している人物と連絡を取る準備をしている間、スキフは先程ストライダーが言った、「この世界のモノリス」について考えていた。
モノリス───それは
その正体はチョルノービリのZONEを生み出した「C-コンシャスネス」の作ったマインドコントロール装置であり、ZONEの奥まで辿り着いたストーカー達を洗脳し、奴らの意のままに操られる「モノリス兵」に変えてしまう物だ。
その凄まじいまでの残虐性と死を恐れぬ“モノリス”への狂信、そしてZONEで最も優れた最新鋭装備を保有するモノリス兵はストーカーにとっては恐怖の対象であり、
モノリス兵のスナイパーとして、自由意志を奪われた状態で多くの人間を殺めてきたストライダーにとっては、忘れたくとも忘れられない過去であり、始めて出会った時からそうした過去との決別を語っていたのは印象に残っている。
だがこれはチョルノービリのモノリスの話。
ヤンターのX-ラボの調査任務。
11号やトリガーと共に地下深くで見つけた、強力なPSI放射を発生させ、施設に近づく者をゾンビに変えていた機器。
彼処で手に入れた情報曰く、何かの“中継機”を改造した物だったらしいが……何故モノリスとそっくりなのかは全く見当が付かなかった。
あれは一体何だったのだろうかと思っていると、ストライダーが自分のPDAにスピーカーを付けて全員が“協力者”の声を聞ける様にする。
「先に言っておく、俺と“彼”は対クリアスカイという目的で協力してはいるんだが……実は彼と直接
『何だそれは? 会ったことも無いのに、そいつは本当に信用出来る人間なのか?実は裏で情報を流していたとかだったら最悪だぞ。』
「私も鬼火隊長とちょっとだけ同じ気持ちだよストライダーさん、どうやってその人と出会ったの?」
“協力者”と直接顔を合わせた事は無い───そう言うストライダーに鬼火とリンが怪訝な顔をする。
鬼火は軍人としての警戒、リンはノコノコ1人で来た自分の責任もあるとは言え、ZONEにやって来て直ぐに“シン”の傭兵に攫われかけた事があるが故だ。
「その懸念は当然だな……彼との出会いは、3週間程前に俺がZONEの奥へどうにか行けないか赤い森の近くで調査していた時に、ダークストーカーに捕まってな。」
「ダークストーカー…?」
「お前達も遭遇しただろ? ガスマスクを身に着けた“シン”の傭兵団は、本当はダークストーカーと呼ばれているんだ。
そして俺はクリアスカイの本部に連行されてそこで色々尋問を受けた、ナタリア・レベデフとも直接話したよ。
そんな時に彼が遠隔でこちらに接触を図り、彼の助けで何とかマラカイトから脱出出来た訳だ。」
「と言うことはその“協力者”ってのは……」
「そうだスキフ、彼はクリアスカイの内通者だ。」
ストライダーがそう言うと、丁度PDAから男女の区別が付かない、電子加工された声が聞こえて来た。
リンが自宅でアキラの事を伝えた人物と同じ声である。
『───ライダー、ストライダー?聞こえるかい、ボクだ。遅れてゴメンよ。首尾はどうだい?パエトーンは無事?』
「ああ、無事だ“ドクター”。パエトーンも、俺達に協力してくれそうな者達も一緒だ。」
そう言ってこちらへ振り向くストライダー。
「彼は“ドクター”、クリアスカイに所属している人物なんだが、“シン”の計画に反発して止めようとしている。」
『ドクター……ってのはボクの本当の名前じゃないんだけど、まぁZONEでは偽名は珍しく無いからね。』
謎多きクリアスカイの内通者──ドクターと名乗る人物との接触に、リンやオボルス小隊のメンバーの顔が引き締まる。
何せ、アキラを“シン”とクリアスカイから救うには彼の協力が不可欠だからだ。
『この間ぶりだねパエトーン、キミが無事で良かった。“シン”の動きが想像以上に速くて君がZONEに到着した瞬間を狙って来るとは思わなかったんだ、危ない目に合わせて本当に申し訳ないよ。』
「ううん、私も焦って1人で来るなんてバカな事しちゃったから……多分師匠達と一緒だったら、攫われかけることは無かったかもしれない。」
『そう言えば、ボクがキミに頼んだ応援は────』
ドクターとリンが話している横で、スキフはドクターと言う名前に目を丸くしていた。
(ストライダーの協力者の名前が“ドクター”だと? いや、“ドクター”なんてニックネームそこまで珍しい者じゃ無い…よな。だが“ドクター”なぁ……まさか本名はカイマノフじゃ────)
「おいスキフ、どうしたんだよ明後日の方向見て。」
「ああいや……すまん、よそ見してた。」
「何だそりゃ、腹に機関砲直撃した後遺症でも残ってんじゃないのか?少し休んでろよ。」
「大丈夫だ、怪我はもう治ってる。」
隣にいたリヒターが心配したような表情でスキフを覗き込んで来たのでしっかり前を向くが、やはり通信の向こう側にいるドクターの本名が気になってしまう。
スキフからすればドクターという名前を聞いてイメージするのはただ1人───スキフがZONEの解放という選択肢を選んだきっかけになった人物、「カイマノフ博士」その人である。
スキフが出会ってきた人間の中で、1番広い視点でZONEという存在を見ていたカイマノフ博士は、「ZONEで起こることは誰の責任でも無く、誰もが報いを受ける世界、だから皆が平等に持っている命を救う」という信念を持っている医者でもあった。
実はチョルノービリにおいて、SIRCAAの実験によってモノリス兵へと戻ってしまったストライダーは、モノリスから彼の暗殺を命じられ、カイマノフ博士の住まう赤い森に派遣されたが、何があったのか気を失い倒れていた。
カイマノフ博士は自分の命を奪おうとしたストライダーまでも救おうとし、“ドクター”を探しに赤い森へと赴いたスキフと出会い、ストライダーを治療する為に協力する事になったのだ。
だが、治療に必要な探し物を終えて、カイマノフ博士の下へ戻ってきたスキフは、覚醒したストライダーがカイマノフ博士を殺害しようとする現場に遭遇する。
ストライダーを撃つことが出来なかったスキフは制圧しようと試みるが、逆に反撃され絞め殺されそうになった所で────カイマノフ博士はスキフを救う為に、ストライダーの首にナイフを刺したのだ。
つまり、元居た世界でドクターはストライダーを殺めた人物だと言うことだ。それがこの世界では対クリアスカイの為に共に協力し合っている。
だがその時の記憶はストライダーに無く、恐らくカイマノフ博士の事をストライダーは一切知らないだろう。
この世界の“ドクター”の本名がカイマノフ博士なのかどうかは全く分からないが、違う世界の癖に同じZONE、同じ組織、同じ名前の人物が多数存在するのならもしや……とスキフは考えていた。
『スキフという人はそこにいるかい?』
そんな事を思っていると、ドクターがスキフに話しかけてきた。
どうやらスキフが余計な事を考えている内に他の者達との自己紹介など済ませたらしい。
『さっきストライダーが友人と言っていた、とても信用出来る人物だとね。パエトーンを助けてくれたのもキミだと、協力に感謝するよ。』
「友人の為なら当然だ。」
そう言ってリンとストライダーの方を見るスキフ、2人は軽い笑みをスキフに返していた。
「聞かせてくれドクター、クリアスカイは……“シン”という讃煩会の異端者は一体何が目的なんだ?何故アキラを攫うような真似をしたんだ。」
スキフの質問に対し、その場の全員がドクターの返答に注目する。
ドクターは今の自分に分かっている範囲だけという断りを入れ、“シン”の目的を話し始めた。
『“シン”の目的は、ホロウを“浄化”する力を手中に収める事、ホロウそのものを書き換える“技術”を彼らは手に入れようとしている。』
『な……ホロウを書き換える技術だと!?』
「一体全体、どんな技術なのでありますかドクター殿!?」
『キミ達は既にその力を目にしている、今その場に立っているんだよ。』
「まさかこの倉庫のことじゃ無いよね〜?」
「比喩表現ですよシード、恐らくドクターが言っているのは……」
「ええ、2年前に原生ホロウを上書きして出来た、今私達が居るこのZONEの事よ……!」
オボルス小隊が驚愕に包まれるが、最低限の事しかホロウを知らない為ピンと来てないスキフと、既にドクターから色々知らされていたストライダーを除いたリン達も同様の表情を浮かべていた。
リンがその技術についてもっと踏み込もうとする、何せそれが原因で最愛の兄が讃煩会に攫われたのだから。
「ドクター、その技術について知ってる事を話してくれる?」
『勿論だ、このZONEに存在するX-ラボでは、様々な技術研究が行われて居たのは知ってるかな?』
ドクターの言葉に11号が反応する。
「STALKERプログラム……以前ヤンターで実行した防衛軍と研究基地の合同調査任務の時に、トリガーとゴールドフィッシュ・ハープと共にその様な軍事計画を手に入れた覚えがあるわ。」
『うん、それを始めとした様々な極秘研究がかつてこの地で行われていた。だけどそれは全て中心プロジェクトの派生研究に過ぎない。』
「その中心プロジェクトって……?」
少し緊張しながらリンが聞いた。
『プロジェクト・モノリス、エーテル活性を自由に操り、人間をエーテルに完全に適応させ、もう誰もホロウ災害に怯えずに済む人類の希望「モノリス」を開発する研究。
そして旧都陥落の裏で、突如現れたホロウに飲み込まれ、そのまま歴史の裏に消える筈だったけど………
その装置を、自らの野望の為にクリアスカイは……讃領会の異端者“シン”は手に入れようとしている。』
予想を上回る壮大な事実に、リンは思わず息を呑む。
他にも顔をこわばらせたオボルス小隊、唖然としているリヒター、成り行きでここまで着いてきたらとんでもない事を聞いてしまったシュルガ中佐たちデューティ。
この世界を脅かすホロウという脅威を、人類が克服出来るかもしれない技術───否、ある意味ZONEという形で既に成し遂げたと言ってもいい“モノリス”という存在に、誰もが言葉も出なかった。
(おいストライダー!ドクターの言う奴は本当にモノリスなのか!?俺の知っているモノリスと全然違うぞ!?)
(俺も疑問には思っているんだ、だが俺達の知るZONEとそっくりなこの世界のZONEで“モノリス”なんて名前の装置が存在するなら、俺は単なる杞憂で済ますつもりは無いぞスキフ。)
(けどなぁ結局モノリスは強力なマインドコントロール装置だぞ? 確かにプロジェクトXにはZONEと言う世界を“書き換える”技術があるのを知ってるし、実際に使った事もあるが………)
(この世界では違うのかもな、どちらにせよモノリスを誰かの手に渡す訳にはいかない。SIRCAAの時の様になるのは真っ平だ。)
ドクターから齎されたモノリスの情報にリン達が驚愕している横で、自分の知っているモノリスとはあまりに違いすぎる事に困惑したスキフがストライダーとコソコソと小声で話していた。
チョルノービリでプロジェクトXによって作られた「ジェネレーター」や「エミッター」と言った装置の数々。
C-コンシャスネスの下になった科学者達がPSI放射を利用し、地球を包む
その中で「モノリス」と言う装置は、あくまでZONEが生まれた後に秘密に近づき過ぎたストーカー達からC-コンシャスネスが自身を守る為に作った防衛機構に過ぎない物の筈だ。
(もしかしてプロジェクトXに相当する技術がモノリス単体に集約されているのか?)
この世界のZONEについて色々と謎が多いが、取り敢えず今はクリアスカイの計画を止め、アキラを救う事が最優先目標だ。
ZONEの謎を調べるのはその後でも出来ると考えて、スキフはドクターの話に集中する。
『それでだパエトーン。キミのお兄さんを“シン”が攫ったのは、彼が……そしてキミを狙ったのも、キミ達兄妹がモノリスに繋がる“鍵”らしいからなんだ。』
「“鍵”ってどういう事?私とお兄ちゃんがモノリスに必要って……」
『アグロプロムの地下で捕まえた……まぁ死んでしまったが、衛非地区の讃領会だった奴が言うには“シン”はプロキシ君を生贄にするつもりだと言っていた。』
リンが何故自分たち兄妹を攫おうとしたのか疑問に思い、鬼火はアグロプロムで手に入れた情報をドクターに伝える。
『“シン”の教義にそう言う物があるのは知ってる、恐らくモノリスを手に入れる為には、パエトーンを犠牲にしなければならないんだろう。
でも……申し訳無いけど、計画の深い所まではボクは知らない。クリアスカイの代表にして“シン”の司教であるナタリア・レベデフは極一部にしか計画の全容を明かしていないから……』
「だが計画の始動は近い、それは確かなんだろドクター?」
『そうだストライダー、ナタリアは計画の始動の為の準備をほぼ終わらせている。後は新エリー都のクリアスカイ本社からの増援を待っている段階だ。』
どうやらそこまで悠長にしていられる時間は無いようだ。
計画が始まったらアキラはどうなるか分からない、ならその前に救出しなければ。
『プロキシ君が“生贄”にされるのも時間の問題だと言う訳か……ならグダグダしていられないぞ、プロキシ君は何処に捕まっている?』
すぐに救出作戦を立てる必要があると考えた鬼火がドクターに聞く。
『マラカイト地域中央の「STCマラカイト」。クリアスカイが彼処を占拠してから軍事基地と同レベルの警備部隊を置いている。
そして計画の始動が近いから、今やZONEの大部分に通信妨害を彼処で行なっているんだ。』
「軍事基地並みかぁ……皆どういう作戦で行く?」
リンはこの場にいる全員に問う。
まずスキフ、リヒター、ストライダーの3人。
オボルス小隊の。
アグロプロムで生き残ったシュルガ中佐たちデューティが4名。
デューティ以外の実力はこれっぽっちもリンは疑ってないメンバーだが、アグロプロムに投入されたクリアスカイの軍隊を見て何処までやれるか不安であった。
「スキフさん、リヒターさん。ZONEに詳しい人代表として何か案は……」
「リヒター、STCマラカイト周辺で施設に潜入出来そうなルートは?潜り込んでアキラを連れ出す、戦闘は出来るだけ少なくだ。」
「無茶だな、マラカイトの周辺に隠れながら進めそうな森とかは無い。」
「クリアスカイもマラカイト全体に警戒拠点や前哨基地を敷いて、常にあちこちに巡回部隊を哨戒させている。バレたらその瞬間、マラカイトから全部隊が集まって来るぞ。俺が前にマラカイトから逃げられた時は、1人だったのとドクターの支援があってこそだ。」
「そっか……オボルス小隊の皆は?」
『そんな物簡単だ、戦闘プラン「正面突撃」!………と、言いたい所だが、現状の戦力差がありすぎる。いくら我々でも数で圧されたら敵わん。』
「しかし潜入は難しいとなると……増援を要請する必要がありますね。コヴァルスキー大佐の隊や“少佐”との連絡さえ繋がれば、クリアスカイと戦える戦力が集まるかもしれません。」
「僕がステルス迷彩で忍び込むって方法もあるけどさぁ〜 その前にビック・シードの補給しておかないと多分火力で負けるかもしれないんだよね〜 “アッシーくん”が予備弾薬持ってるんだっけ?」
「ソコロフ中尉の事ね、確かにスティングレイ4が居れば補給も受けられるし、彼のヘリで航空攻撃も可能になるわ、現状不可能だけれど。」
「でも派手に動けばプロキシ殿の身に危険が及ぶリスクがあるであります!戦力に劣っている上、敵に囲まれた状態でプロキシ殿を人質にされたら……」
「潜入は厳しくて、正面からも難しい、クリアスカイの通信妨害のせいで助けを呼べない……師匠は多分ZONEには来ている筈だから連絡さえ取れれば────そう言えば、そもそも師匠PDAとか持ってないからどの道合流ほぼ無理じゃん!?」
せっかくZONEまで呼んだ
「虚狩り級」の実力の持ち主である
だがクリアスカイが各地で行なっている強力な通信妨害が頼れそうな増援を呼ぶ事を阻んでいた。それが無くとも雲嶽山はZONEでの連絡手段を持っていないのだが。
計画の始動がもう間もなくと言うのなら、ZONE中を探しまわって直接言葉で助けを求めに行くのは時間が掛かり過ぎるので不可能だ。
リンはちらりと、ここまで蚊帳の外に置かれていたデューティ達に目を向ける。
デューティ隊の指揮官であるシュルガ中佐は腕を組んで何かを悩んでいるようだった。
成り行きで着いてきた彼らにも何か無いかとリンが恐る恐る聞いてみた。
「デューティの……シュルガ中佐だっけ? そう言えば、あなた達もクリアスカイへの攻撃に参加してくれたりとかは……」
「勿論我々も協力する。私の部下を殺し、更にはクリアスカイに中立であったデューティに対する攻撃……そのツケを払わせてやるつもりだ。」
リンは胸を撫で下ろした、こんな状況ではどんな助けもありがたい。
「タチェンコ将軍に連絡する事が出来ればきっと攻撃部隊を送ってくれる筈だ、問題は防衛軍との共闘をお許しになられるかどうかだが……」
「タチェンコ“大尉”は実直な人間です、讃領会の事を話せば、きっと分かってくれますよ。必要なら私も手を貸します……連絡が取れれば、ですが。」
シュルガ中佐の心配事に対し、ライアー小隊時代の古い戦友であるタチェンコ将軍との交渉は任せろとトリガーが言う。
新エリー都防衛軍と、オブシディアン大隊から離反した兵士たちの組織であるデューティはお互い対立している立場だが、「新エリー都を脅威から守る」という点では一致している。
ならば新エリー都の敵である讃領会相手に共同戦線を張ることは可能であろう。ZONEの何処に居るか分からない特殊部隊や雲嶽山を探すよりもデューティならば本拠地に向かえば話が出来る。
だが、デューティの今の本拠地はここから近いロストクでは無く、ZONEの東端にある「セメント工場」の地域だ。どの道、情報を伝えに戻るには時間が無さすぎる事に、鬼火が溜息をつく。
『戦力も時間も足りないが、だからと言ってこのまま二の足を踏んでいても仕方が無い。ドクター、出来る限りマラカイト周辺の情報を教えて────』
「待て鬼火隊長、実は通信妨害なら
『どういう事だ?通信妨害を回避出来る方法があるのか!?』
シュルガ中佐の言葉に、鬼火を始め全員が驚いた様な目で彼を見た。
部下のデューティ達はシュルガ中佐の意図が分かった様で声を上げて反対する。
「自分は反対です中佐!
「連中はクリアスカイと
「既に連中がクリアスカイと袂を分かっていると情報で知っているだろう。それも穏便にでは無く裏ではかなり“イザコザ”があったようだからな。」
「えっと……シュルガ中佐、一体誰ならクリアスカイの通信妨害を突破出来るの?」
冗談じゃないとばかりに反対するデューティ達を見て、リンがシュルガ中佐が誰に手を貸して貰うのか気になった。
「我々デューティは元々、「ケミカルプラント」地域に偵察の為に来ていたのはスキフやオボルス小隊には伝えたな?」
「覚えてるぞ、てっきりバンディット狩りの為だと思ってたが。」
『違うと言うのか中佐?』
シュルガ中佐は何故自分達が本拠地から離れたこの地域に居たのかを説明し始めた。
「我々は連中がケミカルプラントの何処かに、新しい本拠地を敷いたと聞き、その場所と戦力を突き止める為にここまでやって来た。」
「ああ、そう言う事か。バーキープから聞いたな。」
「そりゃあ考えればそうだよなぁ。」
「えっと……2人共、何がそう言う事?」
リンやオボルス小隊は首を傾げるが、スキフとリヒターはその言葉で相手の正体に察しが付いた。
スキフはリンに少しばかり、ZONEの情勢を説明する。
「クリアスカイとTOPSが幅を利かせてるせいで、最近のZONEは表面上は平穏だ。だからと言ってそれ以前の恨み辛みは簡単に消えやしない……だろ?」
「そうだな……話を続けるぞ。奴らはかつてクリアスカイからかなりの資金提供を受けていた、そして奴らの為に仕事をしていた事も分かっている。
だがクリアスカイの本格介入による資金提供の停止と、本拠地を奪われた事で関係は最悪となり、蜜月の関係は終わりを迎えた。
我々デューティは、
「だけどなシュルガ中佐、いくらそんな関係だったからといって、奴らの通信妨害をなんとか出来るもんなのか?」
スキフの疑問にシュルガ中佐は答える。
「認めるのは非常に癪だが、連中の技術力は高いと言わざるをえない。クリアスカイから資金だけではなく、技術も提供されていたらしいからな、自分達の庭であったマラカイトを奪われた恨みで技術を持ち逃げしたって噂も効いた。」
「なら通信妨害を回避できて、マラカイトの秘密のルートを知っているかも知れないって訳か。」
「そうだスキフ、連中に頼るのは屈辱的だが……讃領会を相手に背に腹は代えられない。」
本当に、本当に苦虫を噛み潰した様な顔で嫌々言うシュルガ中佐。他のデューティ達も同じ様な表情だ。
「「
◇プロジェクトX
Stalkerにおける全ての元凶である研究。洗脳装置やガウスガン、アノマリー操作装置だったり等など……ゲーム本編に出てくるSF見たいな技術はほぼ全てこのプロジェクトの成果による物と言っていい。
◇モノリス
CNPPに存在すると言う噂の願いを叶える願望器
ストーカーがZONEの奥へ向かうのはこのモノリスを探し出す為の者も多い。
その実態はクソヤバ洗脳装置で、初代ではモノリスまで辿り着いたらバッドエンド確定になってしまう。
S.T.A.L.K.E.R.2では機能が停止されたモノリスがCNPPから持ち出され、ゲーム中盤のSIRCAAで御目見する事が出来る。
そこでスキフ君はめちゃくちゃ幻覚を見せられるが、実はあれは初代で主人公ストレロク君がモノリスに辿り着いた時のプレイ状況によって変化する各バッドエンドである。