魔法少女を護る者 作:歯車
「はぁい、みたま特性モンブランよぉ」
トッピングはにしば漬けと煮干し。更にとんかつソース。飲み物は紅茶にマヨネーズとワサビを入れたもの。
「もぐもぐ………フェリシアの奴、有名になったもんだな」
「うん、今日も美味しく出来たわぁ…………フェリシアちゃんねぇ。元々有名ではあったのだけど、ななかさん達は信用されてる魔法少女だから、きっとこれから余計にねぇ」
「まあ実際1人で戦えるタイプの魔法少女だし、物量に押されて死ぬのは暫く先だろ」
「死んじゃうのねぇ」
「あのままならくたばるだろ」
魔女が増え協力になっている現在なら割と直ぐくたばりそうだ。
「そういや調整屋。お前、多くの魔法少女を受け持ってんだよな? ウワサ使って魔女モドキ作ってる連中知らねえ?」
「あら、駄目よぉ。調整屋のお姉さんは中立なの」
知ってるが教えない、ということか。まあ調整屋ならさもありなん。どの道聞いた所で此方から手を出せないのだ。何処かに都合良く彼女達の存在に気付くいて手を出してくれる相手でもいればいいのに。
「てかお姉さん………」
「みたまはまだ17だからぁ〜♪」
「…………………幾つだよ」
「? 17だってば。それにしても、文句は言わないのねぇ」
「調整屋に中立を敗れってのも酷だろ。俺は例外として、調整屋なんてやる奴等はゴミクズの雑魚だからな」
「ゴミクズ…………」
「人を呪ったんだろ? 俺が知る調整屋は、だから戦う力が殆どねえ」
魔法少女は希望を願い奇跡を得た少女達。だからか、人を呪うような願いをした魔法少女は総じて弱い。まあ、たった一度の奇跡を人を呪うことに使う連中は、だからこそ絶望に対して耐性があるとも言えるが。
「貴方はどうして調整屋に?」
「……………継ぎ接ぐため」
「?」
「なんでもねぇよ。詮索するな………」
と、ドカリと座り直す。みたまは微笑んだまま紅茶を入れ直す。ティーポットにグミと梅干しも入れてたぞ今。
「世間話でもしないかしらぁ」
「?」
「貴方って色々知ってそうだけど………もし魔法少女が、その運命から救われるとしたらどうするぅ?」
「ああ、その為のエネルギー回収ね…………心底くだらん。大人しく死に絶えろよゴミクズの分際で」
「あらぁ、言うのねぇ」
「言うさ。奇跡を叶えた代価に逆らうならまだいいが、そのつけを無関係に払わせんなら魔女と変わらん。いっそ魔女より質が悪い」
死ねばいいのにと心の底から願う。
「貴方は魔法少女を救う力を持っているのに?」
「なんで俺があんなゴミ共救わなきゃならねえんだ?」
「…………………」
「俺は魔法少女を護る者。救う者じゃねえ………救うとしたら魔法少女関係なく、俺個人の価値観で決める」
「私情を捨てればより多くの魔法少女が救われるとしてもぉ?」
「
「……………キュゥべえが?」
「……………成る程、全てを知っているわけじゃないのか」
コテンと首を傾げるみたまを見て岸はポツリと呟く。
「あの、失礼します………」
「あら、いろはちゃん。いらっしゃぁい、いろはちゃんも食べる?」
「え、えっと………ありが、いえ、遠慮します…………」
「そぉう? ももこ達も断るのよねえ。見た目より美味しいのに、ね〜?」
「別に美味くはねえよ」
「まあ!」
「ウワサ?」
神浜市に増えているウワサについて知りたいらしい。たくさんの魔法少女に関わるみたまなら色々知っているのでは、と思ったのだろう。
「う〜ん。例えばぁ、調整屋さんには可愛い女の子割引があるとか?」
岸は男なので使えないようだ。
「へぇ、そうなんですね」」
「あら、つまらない。乗ってくれたらからかえるのに……」
「もう! 真剣に聞いているのに!」
「ふふ、ごめんね………」
急にその話を聞いたのは、『絶交ルール』という噂が気になっているからだそうだ。
絶交すると言った後、その絶交を取り消すべく謝罪すると嘘つきとして怖い化け物に連れて行かれ無限に階段掃除をさせられるとか。なんで階段?
「それなら私も聞いたことあるわよぉ」
「本当ですか!? 実は、ももこさんのところの………」
「レナちゃんとかえでちゃんが、また喧嘩したのねぇ………」
またと言われる程度にはよく喧嘩するらしい。その喧嘩で絶交という単語が出て、ももこにも絶交ルールの話をしたが信じてもらえなかったらしい。騒いでいるのがやちよだから、らしい。
「
「ん? お前は、確か志伸………」
人目も憚らず声をかけてきたあきら。周りの女子達がキャアキャア喚く。
「か、かこが………!」
「…………ああ、あのガキに謝りに行くとでも連絡して消えたか?」
「!? な、何か知ってるの!」
「知っていると言えば………場所を移すぞ」
そして…………。
「なんだよ、オレは忙しいんだよ!! かこの奴攫ったあの使い魔を!!」
「だから、その使い魔について聞かせろ言ってるネ!」
「知らねえよ! 急に現れてかこを…………ふざけやがってぇ!!」
あきらが携帯のメールで確認した集合場所でフェリシアがななかと美雨に抑えられていた。彼女曰く、使い魔がかこを連れ去ったらしい。
「それってこんな形か?」
岸が黒い霧を操り紐が絡みついた南京錠を生み出す。
「あー! そいつ、色がチゲぇけどかこを攫った奴!」
「そりゃ形だけしか再現しないからな」
「…………今回の件に関わる魔女を知っているんですか?」
「どうして言わなかったネ」
「言ったところで信じるか? お前等には感知できねえが、使い魔に見張られてるぞなんて、会ったばかりの男の言葉を」
「はい」
ななかは即答した。
「………………人がいい、わけじゃねえな。固有魔法か」
「貴方を信用します、と言えれば良かったのですが、私はそこまで清らかではあれません。だからこそ、言葉に害意があるか、確実に見抜けます」
「成る程、忠告してやらなかった俺のミスだ。許せ」
「いえ………それで、かこは?」
「絶交ルールだったか? それに囚われてる。あっちこっち移動してて、本体の場所が掴めねえな………どっかに絶好中で謝ってくれる奴がいりゃ誘き出せるだが」
噂は確か『絶交って言っちゃうと、それは絶交ルールが始まる合図!後悔して謝ると、嘘つき呼ばわりでたーいへん! 怖いバケモノに捕まって、無限に階段掃除をさせられちゃう!
ケンカをすれば、ひとりは消えちゃうって神浜市の子ども達の間ではもっぱらのウワサ
オッソロシー!』だったか。1人は消える、となるとフェリシアに今更謝らせても意味ないか?
「絶交ルール、ですか………噂の下地が魔女とは」
「魔女じゃねえぞ。そもそも逆だ」
「?」
「あれがあるから噂が流れたんじゃなくて、あれを実体化させるために噂を流した。そうして集まった集団認識の感情エネルギーを器に流し込んで完成」
「完成って………誰が作ったっていうのさ」
「んなもん魔女に決まって………!」
「魔法少女だろ。魔女呼び込んでるのと同じ奴」
「またですか………嫌な奴を思い出しますね」
ななかの目に嫌悪と怒りが宿る。魔女使いの魔法少女とでも敵対したのだろう。
「取り敢えず、ほれ………」
黒い球体を人数分作り出し渡す。
「これは?」
「絶交ルールの噂の魔力に反応して光る。本体を探知すりゃさらに強く光って他の珠にも連絡が行く」
「お前本当になんでも出来るネ」
「出来ることだけだっての」
「よぉし! 待ってろよかこ!!」
と、フェリシアが駆け出して言った。
「……………僕達は、どうしよ」
「…………相手の強さはわかりますか?」
「まあそこらの魔女ぐらいはあるだろ。後魔女じゃねえしグリーフシードを落とさない」
「…………二人一組で行動しましょう。魔女と同等ならば、一人では危険です」
「あのガキは?」
「フェリシアさんは、実力は確かです。幸い、発見連絡は自動なのですよね? 我々が向かうまでにフェリシアさんがやられるということはないかと………」
まあ、確かに神浜の平均的な魔女と同程度の相手ならフェリシアが一方的にやられることはないだろう。傭兵をやるだけあり、彼女はそこそこの実力者だ。
「私は美雨さんと。あきらさんは、
「う、うん!」
「りょーかい」