初投稿です
1話目を読む際はスタレのピノコニー編をクリアしている事が推奨されます。
さもないとネタバレを喰らいます。
突然だが、俺は「崩壊:スターレイル」が好きだ。
どのくらい好きかと言うと、他のホヨバが配信しているゲームに手をつけないレベルである。
そのくらい愛しているし、それに存在する魅力的なキャラクター達も全員好きだ。
全員、好きなんだが...
「前世自宅警備員に社畜やらせないでくれませんか???」
「兄様?」
(アカン、サンデーさんはマジでアカン。こちとらニートぞ?引きこもってたら布団でいつのまにかポックリ逝っちゃったニートぞ?
自宅警備員の無能さ舐めるんじゃないわよ!ヤバイわよ!)
(スタレをめっっちゃやりこんでたお陰でストーリーは完全に把握してるしどんな風に「サンデー」を演じ切ればいいかも理解できる...だけど!!!)
「仕事したくねえぇ......!」
「兄様???」
「申し訳ありません、ロビン。少し取り乱してしまいました」
いくらロビンが天使のように可愛いからといってこの痴態に苦言を呈さないわけがない。現実は非情である。
ロビンは見開いていた目を何度か瞬きさせた後、ほっと一息ついてからしっかりとこちらの目を見て話し始めた。
「兄様が大丈夫そうなら安心したわ」
ロビンの笑顔が柔らかすぎるが故に彼の心は致命傷を負ってしまうところだったが、この一連の会話をロビンのファンが聞いていたならば「女神かな?」と、思わず口に出していたことだろう。事実、彼もそうなりそうだった。
「このような姿を見せてしまったお詫びに、今日はアップルパイをご馳走しようと思うのですが...」
恐る恐るといった感じでロビンに対して今回の痴態の埋め合わせをしようとしているのが見て取れる。
その場では彼のみが内心ドギマギばかりしていたが、ポーカーフェイスは完璧であった。
「ぜひ頂くわ。久しぶりに兄様のアップルパイを食べるから楽しみよ♪」
そう言ってロビンは足取り軽く部屋を出て行った。
ロビンが部屋を出て十数秒後、部屋の周りに人がいないかをチェックして彼はいかにも豪華そうな椅子にゆっくり腰掛ける。
そうして彼が最初に取った行動は...
「はぁ〜...」
クソデカため息であった。マジかこいつ。
いかにもな雰囲気の部屋にそれと調和した木製の作業机、その上には山積みになった紙の束が所狭しと置かれている。そしてそこにコレである。
ガワは完璧にサンデーであるため、遠目から見ると無駄に絵になるのが哀愁を漂わせている。
「まずは今がどんな時期か情報収集をしなければ...!」
思い立ったが吉日、まずは山積みになりすぎてそろそろ太陽が登ってきそうな目の前の仕事を華麗にスルーして彼は情報収集に勤しんだ。
幸いにも、前世の記憶をたった今思い出したというだけで「サンデー」のこれまでの記憶は綺麗に残っていたため、情報収集は容易であった。
.........
「調和セレモニーちっっっか!?」
(゜Д゜;)
(つд⊂)ゴシゴシ
( ゚д゚)
「調和セレモニーちっっっっっっっっか!?!?!?!?」
(マジかよ!?こんなに期間短くて一体何ができるって言うんだ??)
早速諦めモードに入っているが、入手した情報が本当に間違っていないか目を擦って再度見直したり、逆さまにして確認しているのは実に滑稽である。
絶対にやってくる未来がこんなに近いとは思いもしなかったのだろう。
(これじゃあ他のファミリーに根回しも出来ない...こうなったらなるべくストーリー通りの行動をするしか道はない...!出来るのか?俺に)
出来る出来ないではなく、やるしかないという選択の余地がない道のみを進むことができる運命なのだろうか。
考えれば考えるほど「開拓者の今後のストーリーが自分の行動で変わってしまうかもしれない」その重みが実体を伴って身体にのしかかってくるような幻覚さえ感じはじめた。
自然と手を強く握っていた事に気づき、全身の力を抜く。
(まあ、なるようになるだろう)
彼は楽観的であった。
グッド!このメンタルだと、かの絶滅大君を前にしても優雅にティータイムに入るでしょう!
.........
「なぜ...生命体は眠るのか?」
体が崩れ落ちてもはや指先さえ動かせないようになった彼がそこにはいた。最早声を出すことさえ苦しい状況であったが、筋書き通りに動いて見せると言う絶対に揺らぐことのない一本の芯が彼を支えていた。
そして、彼の質問に開拓者は答えを信じて疑わない表情で口を開く
「それは...
いつの日か...
夢から覚めるためだよ!」
(引くほど上手く行ったんだが??)
前言撤回である。
内心は超余裕そうだった。
それは名場面を当事者として見れたことが大きいだろう。
しかしそんな感傷に浸っている場合ではなく、彼がいる足場が崩れてなす術もなく宙に身を投げ出される。
(あ、この後なんかセリフあったよな...ヤバイ、もう仕事しなくていい感動がデカすぎてど忘れした...!)
相変わらずのガバガバ具合でこれにはアッハも大爆笑!
誰も気にしないから安心してくれ!
思考の海に溺れていると、上からロビンが降りてきて優しく彼を抱きしめながら囁く。
「兄様...夢から...覚める時よ」
(あっあっあっ声、良き........)
.........
全てが終わった後のピノコニーの黄金の刻、路地裏にある目立たないホテルにて...
「かーっ!やっぱりメインの仕事が終わった後のスラーダは最高やな!!」
口調も尊厳もへったくれもない姿を誰にも晒さずに1人で優勝している彼の姿がそこにはあった。
スラーダ片手にUFOバーガーを食べながらロビンの曲を聴き、テーブルには下が見えないほどのスラーダのつまみがあり、豪勢な晩酌をしている。
しかし、
今ごろロビンやらオーク家やらカンパニーやらが捜索を行なっているはずなので、隠れているのだ。
そしてこの安全な場所と少しの時間を確保したのは今後の展望を考えていくためであった。
「そろそろ現実と向き合うか...」
素面に戻るのが早すぎる気もするが、晩酌なんて正直してられない。いつロビンが来てもおかしくない。そういう気持ちが彼にはあった。
そんな彼の最大の懸念は...
「この後のストーリー知らないんだよなぁ」
これである。次の星がオンパロスという所で、ガーデン・オブ・リコレクションが秘匿している星で、アキヴィリが開拓をした事がない星ということしか知らない。
情報が無さすぎて自分が星穹列車に乗れば最悪の事態を引き起こしかねないという大きすぎる壁にぶち当たったのだ。
これまではストーリーを知っていたから「サンデー」の行動が出来ていたものの、これからは「サンデー」を演じるのではなく自分の意思で行動しなければならない。急に補助輪を外されて自転車に乗るのかと思ったらぶっつけ本番で車の運転を始めるようなものである。
カチ、カチ、と秒針は時を刻んでいる。いつのまにかロビンの曲は終わっていた。つまみも冷たくなっていた。
一分一秒が何時間にも感じる部屋の中で時計だけが正確に時を示していた。
時計の長針は23時59分から動かない。ここでは、明日が来ない。
それをジッと見つめ続けて、彼はようやく決心して勢いよく席を立ち上がった!
「よし!逃げるか!」
待て、どうしてそうなった。
.........
「この即断即決...素晴らしい。自分を褒めてやりたい...!さて、まさか仕事が嫌すぎて他の星に行こうとした時に購入した宇宙船に乗る事になるとは思いもしなかったけど...開拓行路と逆方向に旅してやる!」
そんなんで旅に出ちゃったらロビン泣いちゃうよ?
可愛い妹が脳裏をよぎるが、あのメンタルつよつよ歌姫が泣き崩れる姿が全くと言っていいほど想像できないので、きっと上手くやれるだろうという謎の安心感と共にピノコニーを出発した。
「とりあえずはアスデナ星系を出て...ヤリーロVIでオーロラ見ようかなぁ...!」
目が生き生きしすぎている。気分もちょっぴりハイになっている。
いや、最高にハイである。
仕事をしすぎた反動であろうか、彼の「何かをしたい欲」はとどまる所を知らない。
妄想に妄想を重ね、アスデナ星系をたった今突き抜けたという事実に心が打ち震えている。
しかし、良い事があった後には大抵悪い事があるのだ。
ビーッ!ビーッ!
“警告!警告!本機が外部からの攻撃を受けています!”
彼は焦りすぎて言葉を発する事なく、急いで窓から外を確認する。
そこには赤い眼が並んでいた。
見渡す限りの蟲、蟲、蟲。
そう......スウォームの群れと遭遇してしまったのである!
「アイエエエエエ!?!?スウォーム!?スウォームナンデ!?!?」
ここから助かる選択肢を以下のA~Cから記号で選び、答えろ
A:実はこの宇宙船は超高性能戦闘機に変形する
B:通りすがりの開拓者が倒してくれる
C:どうにもならない。現実は非情である
答え C :どうにもならない。現実は非情である
「助かる選択肢って言ってるでしょうが!!!」
サンデーの姿と声でツッコむ事ではない。
しかし、こんな事をしている間にもスウォームの攻撃は止まるわけがなく、
すでに右翼は折れてメインルームも時間の問題、エンジンルームは洒落にならない。
「まずいまずいまずい!!!そ、そうだ!救難信号を出せば...!」
“エンジンルームが破壊されたため、本機は10秒後に大爆発を起こします!”
「わァ...ぁ...」
どうあがいても絶望である。
“10”
”9“
”8“
「イヤッ!」
”7“
”6“
”5“
「ヤダッ!」
”4“
”3“
”2“
「イヤーーーーッ!!!」
”1“
.........
「いてて...ワタシとしたことが、早まってしまいましたね」
(!?...口調が矯正される...!?)
何個も疑問が浮かんでくるものの、とりあえずは現状把握を優先させるために立ち上がって服についたホコリを払い、辺りを見渡す。
「壊れかけの建造物はあるようですが...人が...いない?」
「それに、この場所は空気が重いですね...身体に何か良くないものでも浮いているのでしょうか...」
放射線に汚染されている場所の可能性も考え、念の為に調和の力で透明なベールを身に纏っておく。そうすると、途端に身体が軽くなった。
「やはり、ここは危険な場所のようですね...一刻も早くここから避難しなければいけません」
そう判断して大通りを探そうと一歩を踏み出した瞬間、
「GuOOoooOoOo!!」
何か、この世全ての憎悪を一身に背負ったような悍ましい叫び声が背後から轟いた!
「ッ!?」
反射的に後ろを振り向きながら距離をとり、もしもの時の戦闘用に往日の夢のこだまを一体出して相手の姿を確認する。
明らかに、人という存在からはかけ離れている「何か」であった。
それは右手が刃と一体化し、左手は盾のように見えるものを掴み、何より頭部がブラックホールのようなものに置き換わっていて、緑色に怪しく光っていた。体格はがっしりしていて、目測で2m50cmはあるかと思われた。それは歪な人型でありながら、まるで騎士のようだった。
(一応、『騎士』さんと呼称するか...しかし、なんか見覚えがあるような気がするんだよなぁ?)
「『騎士』さん、急にこのような対応をしてしまい、申し訳ありません...現地民の方でしょうか?よろしければッ!!」
先手必勝と言わんばかりに『騎士』は高速で近づき、刃を横に薙ぎ払った後に距離をとって盾に身を隠してサンデーの出方を探っている様子だった。
(あの動き方を見るに、最低限の知能は間違いなくある!これは...良い戦いになりそうだ、な。)
「どうやら、話し合いは難しいようですね...そして、アナタはワタシの『敵』であることは間違いない。そうでしょう?」
サンデーは側に置いていたこだまを自身の身体能力増強に使用し、本を開いてもう一体のこだまを取り出して戦闘態勢に入る。
「悔い改めなさい」
そうサンデーが言うと、空中にサンデーのヘイローとそっくりな二つの円環が出現し、それが質量を持って『騎士』にパァンと音を立てて直撃する。
それは『騎士』が思っていたよりもずっと重く、破壊力があった。
『騎士』の持っていた盾が砕け、ダメージを負うくらいには。
(なぜ...通常攻撃でこんなにも火力が出ているんだ...?)
どうやら本人も把握できていない様子。しかし、命のやり取りをしているときはその思考する時間が危険であるためサンデーはすぐに考えることをやめた。
そうして前を向くと、『騎士』が態勢を立て直してこちらに突撃して来ていた。
サンデーが放った攻撃が中距離からの飛び道具だと予想したため、相手の懐に潜り込んで『騎士』の有利な接近戦に持ち込むつもりらしい。
「近接戦闘はできないと踏んで近付いて来ましたか...!」
(サンデーの攻撃に近づいて殴ったりするものは当然だが存在していない...通常攻撃は出来るには出来るだろうが間に合うか怪しい!)
(だけど...よくよく考えたら別にゲームの攻撃に囚われなくても良いわけで...)
(閃いた!)
「アナタの土俵で戦ってあげましょう!」
「gAaAAuuuGUuUooOO!!!!!」
『騎士』の刃とサンデーが物凄い勢いですれ違い、突風が駆け抜けた後に静寂が場を支配する。両者は幾らか移動した所でピタッと止まる。
──既に決着はついた。
戦場には、紫色の虚数エネルギーで作られた即席茨グローブを右手にはめていたサンデーが残っていた。
「意外となんとかなるものですね」
他に今戦った『騎士』のような敵がいないかをチェックして、サンデーは戦闘態勢を解除する。すると、途端に膝から崩れ落ちた。この光景だけを切り取れば敵を倒して神に祈る啓蒙な信者かと思われるであろう。
「流石に...思い出してしまいました...!」
(よりによって『ゼンレスゾーンゼロ』の世界ですかァ〜!!)
ゼンレスゾーンゼロ。それは終末世界。「ホロウ」と呼ばれる災害が各地で発生し、そのホロウに入ってしまうと「エーテリアス」と呼ばれる敵が出て来て人々を襲い回る。挙げ句の果てにはホロウに長時間滞在していると侵食症状が発生し、最終的には人間がエーテリアスになってしまう。
(もしかしなくても素直に星穹列車に同行した方が良かったよねぇ!)
(そして何より大変なのが...ゼンレスゾーンゼロをプレイした事がないって所だな。いや、トレーラーとかは見たよ?だけどさぁ...こんな風になるとか誰も予想できないでしょぉ...!?)
考えを整理した結果、サンデーは今すぐにでもこのホロウから抜け出したくなった。いくら今の『騎士』のエーテリアスが思ったより簡単に対処できたとはいえ、敵がわんさかいる中で流石に暮らしたくはない。とりあえず、サンデーは立ち上がった。
ホロウから出たいのだが、『何も持っていない状態だとホロウから脱出するのは難しい』と言うことはわかっているため、どうしようもないのが現状であった。
されど、建物の陰から覗く二人の視線には気付かず...
.........
「あの人...まるで『
「アイツ、最っっっ高にイカした動きしてたな!」
時系列的にはアンビーとビリーがホロウに落ちて来て数分くらいです
次回「苦難の道(労働)を再び歩む司祭」