いつもの投稿時間になる前に寝落ちしてしまったので今回結構少なめです。申し訳ございません!
「ちょ、ちょっっっと待って?聞き間違いかもしれないからもう一回言ってくれないかしら?」
「エーテル侵蝕とやらは治せますよ」
サンデーはさも当たり前かの様に先程と同じ言葉を口に出す。
誰もが口を開いたまま閉じることができずにいる中、アンビーが申し出た。
「えっと、実演をお願いしてもいい?」
「もちろんです。最初からそのつもりでしたから」
サンデーはアンビーの前に立ち、右手を心臓の部分に添えて目を閉じる。
すると、アンビーの体の周りに何やら温かくてリラックス出来そうな黄色のエネルギーがふわふわと漂い始め、それの半分はアンビーの体の中に入り、もう半分は体を覆う。
アンビーは体の芯からほぐれていく感覚に陥り、それに伴って体がエーテルの圧迫感がどんどんと消失していることに気がついた。
「!...これは...」
そうして数秒も経たないうちにアンビーの体は『調和』された。
「どうでしょうか?」
サンデーは目を開けてアンビーの状態を確かめる。
『調和』のエネルギーは一部の隙も無くアンビーを囲んでいることを確認した。
「まるでホロウの外にいるみたい。ここがホロウの中なんて信じられない」
アンビーはというと体を動かしたりぴょんぴょんと跳ねてみたりして体の具合を確かめたのち、満足したのか後ろに下がっていく。
その光景を見て各々考えを巡らせていた。
1人は金稼ぎのため。
1人は純粋な驚き。
もう1人はその力に対しての疑問。
「ねぇ、秘密ならいいんだけど...どんな事をしたの?」
「リンさんも気になるのですか?秘密にするほどの事でもありませんので教えますよ」
その返事にニコは一つも聞き逃すまいとわざわざメモまで取り出す。
「いつでも話し始めて頂戴!」
「ワタシがしたことはとても単純です。『調和』のエネルギーをアンビーさんの体の内と外で循環させ、エーテルの侵蝕が始まっている部分を全て調和させて体を健康な状態に戻したのです」
「なんて?」
しかし、知らない単語が飛び交い肝心の内容がニコには理解出来なかった。いや、サンデー以外の全員が理解出来ていなかった。
「......ワタシだけが扱える凄いパワーと思っていただければ認識としては間違っていないかと」
サンデーはこの世界に『運命』がないことをすっかりと忘れていた。
知らないものの話をされても理解出来ないのは当然の結果である。
「俺らの身体能力が上げれる祝福と同じ司祭パワーってことか?」
「そんな感じですね」
「そういう事なら商売に使えそうにないわね...」
ニコはお金にがめつ過ぎて逆に商魂たくましく見えてきた。
「それじゃあ疑問も無くなったことだし、みんなのエーテル侵蝕を治してくれる?」
「わかりました。任せてください」
.........
てちてちてち歩く音が聞こえそうな足取りでリンは金庫のある座標まで走っていき、サンデー達一行はリンについて行っていた。
リンが急に曲がり、少し開けた駅のホームらしき場所に出る。
一行も曲がるとそこには金庫が落ちているのが確かに見えた。
「見つけた!」
先頭を走っていたアンビーが後続の3人に状況を説明する。
「今日はツイてるぜ!」
ビリーが髪をかきあげながらアンビーに追いつき、自身に運が回って来ている事を実感する。
「あたしの金庫!」
ニコは金庫めがけて一直線に走っていった。
「ふぅ...これで一件落着ですね」
一番最後に追いついたサンデーがビリーとアンビーの輪の中に混じる。
3人はニコの側に寄るため、余裕を見せながら歩こうとした一歩目を踏み出そうとした時...
「...!」
アンビーに電流走る。
アンビーがすぐさま後ろを振り向くと、刃を突き刺す気満々のデュラハンが音もなく現れる。
アンビーは咄嗟に電磁ナタを取り出してデュラハンの不意打ちの一撃をギリギリのタイミングで防御に成功した。
しかし、半身だけを向けた体勢で攻撃を受け止めてしまったので勢いだけは殺すことができずにその隙を狙ってデュラハンが猛攻をかけてきた!
「うおっ!」
「うっ!?」
「ええっ!?」
アンビー以外の3人は巻き込まれて凄まじい風圧と共に壁や床に吹き飛ばされる。
アンビーは両足でしっかりと大地を踏み体勢をきちんと立て直してからデュラハンの大振りな横薙ぎを視認し、今度は準備万端の状態でもう一度防御を試みる。
ガキイィィン!!
電磁ナタの根の部分で受け止めることで可能な限り衝撃に耐えれる様にしてデュラハンの刃を受け止め、吹き飛ばされていた他のメンバーと合流する。
デュラハンの足元の金庫に隠れていたリンはささっと全員の後ろに移動をする。デュラハンはリンの事を狙っていないのか幸いにも攻撃はされなかった。
「見つけた...」
ビリーは吹き飛ばされて尻餅をついていた。
戦闘が始まっているのですぐさま立ち上がりつつ、顔を押さえて皮肉めいた言葉が出てくる。
「今日はツイてるぜ...」
ニコもニコで金庫に折角辿り着いたのに邪魔が入って少しイラッとしたのだろうか、先ほどよりも語気が強くなっている。
「あ・た・し・の・金庫!」
サンデーはデュラハンが出てきて予定が狂ったわけでもないのにやけに疲れている物言いをする。
「はぁ...これで一件落着ですね...」
各々の武器をデュラハンに向ける。
.........
「茨を越えて...!」
サンデーが最速でメンバーに祝福の掛け直しを行う。
「祝福ありがとう。タンクは私に任せて」
アンビーは積極的に前に出ることでヘイトを貰いつつカウンターで少しずつ相手の体力を削ることを視野に入れる。
「じゃあ俺はアイツの関節を狙うぜ!」
言い放った次の瞬間には執拗に関節部分付近のみを綺麗に射撃し続けるビリーの姿があった。
「ビリー!片足だけ集中的にお願い!」
「任せとけ!」
アンビーがデュラハンの攻撃を凌いでいる間に後ろに周り、機関銃もかくやという勢いで超火力を関節に撃ち続けることでデュラハンは関節の回復までの一瞬の時間、重心が移動して盾を持っている腕と一体化した刃が明日の方向を向く。
アンビーがそれを見逃すはずもなく、素早くデュラハンの懐に入り込んで大ダメージを狙う。
電磁ナタが最大まで電気を纏い、デュラハンの股下から切り上げて跳躍したかと思えば空中で何回転かしつつ攻撃を行った後に落下しながらデュラハンの頭部から足元まで重力に従って内部を焼き切りながら電磁ナタを振り抜く。
あまりの電気の放出具合で付近には目に見えて太いと認識できるほどの電気が迸っている様子が見られた。
「よくやってくれたわ2人とも!」
そうこうしている間にニコのシュガーボムのチャージが完了し、デュラハンに傷を再生する時間を与えないままエーテルのブラックホールをぶつける。
「大人しく喰らいなさい!そして──やっちゃってサンデー!」
その命令と共にサンデーは一気に前に詰めてデュラハンへと飛びかかる!
が、ブラックホールから虹色の刃が飛び出して来て引かざるをえなくなってしまった。
「申し訳ございません、追撃が間に合いませんでした!」
「大丈夫よ。それに向こうは今の連携でかなりの体力を消耗したようだし、次も同じように攻撃を仕掛ければ勝てるわ」
アンビーは気に病む必要はないとサンデーをフォローする。
「今の戦闘を見た感じ、デュラハンは体力回復にリソースを割いてるから畳み掛けるなら今だよ!」
「店長!助言助かるぜ!」
ブラックホールがなくなり、デュラハンが姿を現す。
デュラハンは盾に身を隠して何かを溜めているようだった。
「デュラハンの周囲のエーテル濃度が急激に上昇してる!何か大きい攻撃が来るよ!」
「GuuuUu...」
その構えは直前まで盾に隠されて見えなかったが、アンビーはそれに見覚えがあった。
「居合切り...?ッ!全員気を付けて!ここはデュラハンの間合いよ!」
アンビーが全員に注意喚起をした数瞬後に全員がバラけようとするが、それを待っていたかのように目にも止まらぬ速さでデュラハンが接近する。
「はっや!?」
ビリーは咄嗟のことに対応がほんの少し遅れてしまい、気づけば首の隣にはビリーの命を刈り取らんとする刃が迫っていた。
「だけどよぉ...まだまだ甘ぇな!」
ビリーは関節のエンジンを起動させ、紙一重でデュラハンの居合切りを回避することに成功する。
「お返しだ!」
ビリーはいつも殲滅戦の時に使っている弾ではなく火力重視の弾をリロードし、先ほど大ダメージを与えた損傷箇所に向けて発砲する!
ダァン!
回復させていた損傷箇所に追撃が入り、デュラハンは仕切り直しするため後ろに下がろうとする。
「隙だらけよ!」
それをアンビーが逃すはずがなく、少し距離が出来ていたため電磁ナタを損傷箇所目掛けて投擲しダメ押しのもう一撃を入れる。
電磁ナタは見事にデュラハンを貫き、デュラハンは腹崩れになる。
「GaaAAaaaaaaaaa......」
最後の雄叫びをあげ、デュラハンの体は損傷に耐えきれずエーテル粒子になって空中を彷徨う。
次回「六分街の日常満喫系司祭」