様子のおかしいハリー・ポッターさん(10代)   作:夜風ミシェル

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6.贈り物

 

 フレッドとジョージがくれたのは、『忍びの地図』という素晴らしい道具だった。なんと、ホグワーツ内にいる人の名前と場所が分かるというのだ。

 

「それがあればハリーも安全! ブラックの居場所だって分かるのさ」

「俺たちはもう使わないから。次世代にバトンを繋いでいくよ」

 

 そう言って、ジョージがハリーの頭をわしゃわしゃと掻き回す。ハリーは「ちょっとジョージ!僕の完璧なヘアスタイルが!」と文句を言いながら、どこからともなく鏡を取り出した。相変わらずのナルシストっぷりだが、難なく双子を見分けたその目には驚きだ。

 馬鹿真面目なハーマイオニーは、「だったらそれは先生に渡しましょうよ! その方がずっといいわ」と眉を吊り上げた。それに対し、大袈裟に嘆くフレッド。

 

「おお⋯⋯。そんなことしたら退学になってしまうよ」

 

 なんでもこの地図、フィルチの部屋から盗んだものらしい。普通に犯罪で笑えない。ハーマイオニーはますます険しい顔になった。

 

「何やってるのよ!」

「ハーマイオニー様、そう怒らないで。これがなかったらロニー坊やを助けられなかったよ」

「え?」

 

 聞けば、ロックハートの部屋で倒れた僕を見つけられたのはこの地図のお陰らしい。そうか、僕の名前がそこに載っていたんだろう。

 僕は至極真面目な顔を作って言った。

 

「地図を先生に差し出すということは、僕の命の恩人を売るってことでもある。ハーマイオニー、それはあまりにも非情じゃないか?」

「うっ⋯⋯」

「それに、先生任せにするのもどうなのさ。思い出してよ! 一昨年は後頭部闇の帝王、去年は詐欺師。どれもダンブルドアが連れてきた奴だろ」

「⋯⋯」

「自分の身の安全が、教師任せでいいの? 合理的に考えて!」

 

 合理的──。

 ハーマイオニーは、その言葉に弱かった!

 

「⋯⋯一理あるわ」

 

 不承不承ハーマイオニーは飲み込んでくれた。よし、これで素晴らしいアイテムを自分たちの物にできる(ゲス顔)。

 フレッドとジョージに地図の使い方を教えられ、その通りにやってみる。

 

「我、ここに誓う。我、良からぬことを企む者なり」

 

 唱えながら杖先を羊皮紙に向ける。するとどうだろう、細いインクの線がクモの巣のように広がり始めたのだ。

 息を呑む僕の前で、それが文字列となる。

 

『ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズが自信を持ってお届けする逸品。「魔法悪戯仕掛人」ご用達、「忍びの地図」』

 

 蠢く点は、現在ホグワーツにいる人たちの動きを示しているのだろう。僕たちの名前もちゃんと載っていて、談話室で固まっているのがリアルタイムで反映されていた。

 

「おお〜っ!!」

「すっげぇぇぇ!」

 

 少年心を擽る仕掛けに、僕とハリーは大はしゃぎした。

 

 

*****

 

 忍びの地図は、ハリーが持つことになった。まぁ、今一番必要なのはハリーだもんな。

 

「ハニーデュークスに繋がる秘密の抜け道もあるんだって!」

 

 ホグズミードに向かって道なりに進みながら、ハリーは地図を広げる。彼の人差し指が指し示すのは隻眼の魔女の像だ。ここが入り口らしい。オラ、ワクワクすっぞ!

 だが、ハーマイオニーはいつだって冷静だ。

 

「だからって、平日にこっそり遊びに行こうなんて考えないでね。生徒が一人でいたら、すぐに補導よ」

 

 おっしゃる通り。

 ハリーはポケットに地図を仕舞うと、両手に息を吐いた。

 

「今日も寒いね。バタービールであったまろうか」

「「賛成!」」

 

 『三本の箒』は人でごった返していた。皆、考えることは同じなのだ。

 僕たちは奥のテーブル席に座り、バタービールを注文した。

 

「ぷはー、染み渡るぜ。⋯⋯それで? ほかの抜け道はないの?」

「ああ、あとはね⋯⋯」

 

 三人でこそこそ話していると、『三本の箒』に入店を告げるベルの音が鳴った。何気なく目をやると、マクゴナガルとフリットウィックが、肩に乗った雪を払いながらパブの中に入ってきていた。後ろにはハグリッドもいたが、隣の男性との会話に夢中で、僕たちには目もくれなかった。

 あの男の人は誰なんだろう。目を凝らした僕はびっくり仰天。

 まさかのファッジだった。魔法大臣なので、新聞で目にすることも多い。

 

「おっと」

 

 光の速さで忍びの地図を片付けるハリー。そして、クリスマス仕様に装飾された植木鉢を魔法で移動させた。ちょうど、ハリーが隠れるように。

 

「え、何? どうしたのさ」

「しっ」

 

 ハリーは唇に人差し指を当てた。どうやら、大人たちの話を盗み聞きしたいらしい。僕も口を閉ざして、耳を傾けてみた。

 彼らの会話は世間話から、ブラックの話に移った。

 

「でもねぇ、私はまだ信じられないですわ」

 

 パブの女主人、マダム・ロスメルタも会話に混ざる。彼女は魅惑的な顔を歪ませていた。

 

「どんな人が闇陣営に加担しようと、シリウス・ブラックだけはそうならないと、私は思ってましたの。あの人が、まだホグワーツの学生だったときのことを覚えてますわ」

 

 その口ぶりが、妙に引っかかった。あれ、この人いくつなんだろうか。

 ハリーがさらっと答える。

 

××(ピー)歳らしいよ」

「マジかよ」

 

 これが本当の美魔女。僕は、ロスメルタの艶めかしい曲線美を眺めた。

 瞬間、テーブルの下でハーマイオニーにつま先を踏まれた。

 

「いっ⋯⋯!」

「いやらしい目を向けないで」

 

 ハーマイオニーの冷え冷えとした視線が、痛い。

 僕が呻いている間にも、大人たちの話は進んでいた。

 曰く、ブラックとジェームズ・ポッター──つまり、ハリーの父親──は、まるで兄弟のように息が合っていて、信頼し合っていたというのだ。その最たる例が、ジェームズがハリーの後見人をブラックに頼んでいたこと、らしい。

 そして話は『忠誠の術』に移った。これは既にマルフォイから聞いていた話である。だが、ハリーは真剣な表情を崩さない。

 

「ダンブルドアは少し前から、味方の誰かが裏切って例のあの人に情報を流していると疑っていらっしゃいました」

 

 マクゴナガルが悲痛な面持ちで言う。

 裏切り者⋯⋯それが、ブラックだったわけだ。だけどジェームズは彼を信じて、秘密の守人に任命してしまった。

 だから、ハリーの両親は殺されてしまった。

 

「⋯⋯」

 

 つま先の痛みも忘れて、僕はジョッキを傾けた。呑まなきゃやってられないよ。こんな、こんな惨いこと⋯⋯。

 ファッジが悔しそうにカウンターを叩いた。

 

「例のあの人が滅び、ブラックは逃亡。⋯⋯彼を見つけたのが闇祓いであったならば良かったのに、よりにもよってピーター・ペティグリューだった!」

 

 『ピーター・ペティグリュー』⋯⋯? うーん⋯⋯?

 不思議と聞き覚えがあった。『トム・リドル』の時と同じ感覚が、脳を満たす。ああ、これも頑張れば思い出せる気がする⋯⋯んだけど、今は無理だ。

 僕は、既視感を取っ払って会話に集中した。

 今はちょうど、マクゴナガルが声を詰まらせながらペティグリューの話をしているところだった。

 曰く、ペティグリューはブラックとジェームズを崇めていたとか。能力から言えば、二人の仲間にはなり得なかった子だったとか。⋯⋯その言い方は、なんかちょっと酷くないですかね?かつての教え子ですよね?

 

「マグルの目撃証言によると、彼は泣いていたそうだよ。『リリーとジェームズを! シリウス、よくもこんなことを!』⋯⋯とね。けれどもブラックによって木っ端微塵にされ、残ったのは指の欠片だけ」

 

 ファッジは目を閉じ、息を吐いた。やりきれない思いを、なんとか消化するように。

 

「⋯⋯勇敢ね、ペティグリューさん」

 

 ハーマイオニーが囁く。そうだね、と同意したかったが、喉の奥で何かが引っかかり声が出なかった。

 かつての友と無関係なマグルを殺害したブラックはその後、アズカバン送りにされた。しかし、彼は正気を失わなかった。吸魂鬼の狂気に耐え得る精神に、僕は舌を巻いた。

 先生たちはグラスを空にすると、席を立って店を出ていった。

 

「⋯⋯ハリー」

 

 ハーマイオニーは気遣わしげにハリーを見つめた。

 ハリーは僕たちの視線に気付くと、けろっとした顔で言う。

 

「どうしたの? 初めて聞く話じゃないだろ?」

「そりゃ、マルフォイから聞いた話もあるけど⋯⋯」

 

 ハリーかあまりにも平然としているから、こっちが戸惑った。前から思ってたけど、なんでこいつはいつも冷静なんだ?むしろ僕たちの方が怖がっている気が⋯⋯。

 バタービールは飲み終わったものの、遊べるような気分じゃない。

 「⋯⋯私、帰るわ」とハーマイオニーが言うので、僕たちもそれに従うことにした。

 バタービールの料金を払おうとして、ふと金貨の存在に気付いた。そういえば、マルフォイから十ガリオン貰っていたんだった⋯⋯。

 

「⋯⋯ごめん、買うもの思い出した。僕はまだホグズミードにいるよ」

「ああそう?僕も付き添うよ」

「え、あ⋯⋯」

 

 まずい、と思った。ハリーがいたら、絶対にこの金貨について訊かれる。ウィーズリー家の貧困具合は、ハリーもよく知っているからだ。かといって馬鹿正直に「マルフォイから貰った」なんて言えない!

 なんて誤魔化そうか考え倦ねる。視線を彷徨わせると、数メートル先、こちらを凝視する犬の存在に気が付いた。

 バウバウと吠える犬。隣に佇む飼い主らしき男性はその口元にビーフジャーキーを運んだ。

 

「すごく美味しそうに食べるね。可愛い」

 

 ハリーも犬に気付いて微笑みを浮かべた。徐に近付くと、「撫でていいですかー?」と男性に話しかけた。

 男性は、突然話しかけられたことに動揺しているようだった。わたわたと眼鏡に触れる。

 

「えっ、あ、えっと⋯⋯私が飼っている訳ではないので⋯⋯。野良の犬です⋯⋯」

 

 紫色のマフラーが口元を覆っているから聞き取りにくかったが、どうやら飼い主ではなかった模様。ただ餌をやっただけのようだ。

 犬は撫でてほしそうに、ハリーを見つめる。なんて愛嬌たっぷりなんだ。

 ⋯⋯って、この隙を逃してはいけない!

 

「ハリーは犬派か。じゃあ遊んでなよ!僕はさくっと買い物してくる!」

 

 「え、ちょっと!?」と呼び止める声は聞こえなかったふりをして、僕は脱兎の如く駆け出した。

 

 

 

*****

 

 十ガリオンはきっちりお菓子に使った。「今更ながら、クィッディッチ初戦お疲れさま!」と言ってグリフィンドールチームにチョコレートやらグミやらを渡すと、それはもう大層大喜びされた。

 

「ありがたいが⋯⋯このお金、どこから出た?」

 

 ウッドが困惑している。僕は意味深な笑みを作った。

 

「さる筋の方がね⋯⋯。大雨と吸魂鬼っていうハードモードな試合をこなした君たちを労って資金提供してくれたんだよ」

 

 誰とは言わないし、わりと嘘も言ってる。が、下手に正直に答えるわけにもいかない。その後もいろんな人から詮索されたけど、「ふふふふ⋯⋯」という怪しい笑顔で誤魔化しておいた。

 そんなことがありつつ迎えたクリスマス休暇。大抵の人は帰省するから、お菓子のことなんてすっかり忘れてくれるだろう。

 

「今年はハーマイオニーも残るんだね」

 

 談話室でハリーが嬉しそうに言った。ハーマイオニーは「休暇中にここの本を読めないなんて人生を無駄にしてるもの」と澄まし顔だ。

 実際は、ハリーを心配して残っているのだが。

 確定で残留するハリーを、ブラックが狙わないわけがない。僕も同様の理由で帰省はしないことにした。ま、当の本人はブラックをあんまり怖がっていないんだけどね。

 クリスマス当日、僕はウキウキしながらプレゼントの開封作業に入った。いつもの如く、母の手編みセーターが届いている。

 ハリーもやってきて、プレゼントを捌き始めた。

 

「今年もセーターを貰っちゃった。後でお礼の手紙を書こう」

「別にいいよ! ママはセーターを贈ることが生き甲斐なだけだから」

 

 笑いながらセーターを広げたハリーの目線が、細長い包みに向けられた。

 

「コレハナンダロウ」

「突然どうした」

 

 いきなりカクカクした喋りになったハリーは、丁寧にラッピングを解く。

 現れた物を見て、僕は絶叫した。

 

 

 何故なら、それは最高級の箒──ファイアボルトだったからだ。

 

 

 

 

 

「呪いがかけられていないか調べます」

「ふぁっ!?」

「マダム・フーチやフリットウィック先生が、これを分解して──」

「ちょ待てよ! マクゴナガル先生、今、え?分解って──」

 

 数時間後、ファイアボルトは取り上げられた。ハーマイオニーがマクゴナガルに告げ口したのである。

 ハーマイオニーは顔を真っ赤にしてこう叫んだ。

 

「その箒は、多分、シリウス・ブラックからハリーに贈られたものだわ!」

 

 ⋯⋯は?

 呆気に取られて、すぐに言葉が出てこなかった。

 

「なっ──ハーマイオニー、冷静に考えろよ! わざわざハリーを殺すためにこんなたっかい箒を買う馬鹿がいるのか!?」

「相手は普通じゃないのよ!」

「そもそも逃亡犯がどうやって買ったんだよ? その金はどこから?」

「あなた、新聞も碌に読まないの?ブラックの脱獄と同時期に、グリンゴッツに強盗が入ったそうよ」

「⋯⋯あ」

 

 言われて思い出した。そんな文言を見た記憶がある。

 夏休み、ハリーと合流して漏れ鍋に行ったときのことだ。カウンター上に放置されていた日刊預言者新聞に、そう書いてあった気がする。

 その犯人は、ブラック──?

 

「いやでも、別にファイアボルトじゃなくても良くない? ほら、ニンバス2001の方が、まだ安いだろ」

「ハリーが『ファイアボルトが欲しい』なんて言うからでしょう。買い与えれば、すぐに乗ってくれると踏んだ」

 

 舌を出すハリー。

 

「いやぁ、願い事って言ってみるもんだね。叶っちゃったよ」

「今取り上げられたけどな」

「大丈夫だよ。箒は絶対に返ってくる。なんせ、マクゴナガル先生だよ?」

 

 クィッディッチ狂の彼女が、ファイアボルトの品質を損なうようなことを許すはずがない。ハリーはそう言うけど、それってあくまで予想でしかないわけで。

 僕はハーマイオニーを睨んだ。

 

「もしファイアボルトが使えなくなったら、君のせいだから! あーあ、これでクィッディッチに負けちゃったら、どうしてくれるのさ」

「⋯⋯っ」

 

 たじろぐハーマイオニー。飼い主を守るように、クルックシャンクスが前に出た。

 そして、僕のポケットに爪を立てた。

 

「うわぁぁぁぁ!? こいつ⋯⋯!」

 

 ポケットの中には、スキャバーズがいる。僕はなんとか猫を引き剥がしたものの、あいつも諦めずに再び飛びかかってきた。

 荒ぶるスキャバーズがポケットから飛び出すのと同時に、クルックシャンクスはポケット部分の布地を切り裂いた。

 はらりと舞い落ちる布切れを見て、僕は悲鳴を上げた。

 

「はぁぁぁぁ!? 何してくれてんだ!!」

 

 ローブ一枚だって馬鹿にできない値段するんだぞ!

 僕はクルックシャンクスを両手で掴んだ。そのままギリギリと拘束するものの、クルックシャンクスはどこ吹く風な様子でニャア、と鳴いた。反省の色が見えない。「安いもんだ⋯⋯ローブの一枚くらい」とか言ってきそうな顔をしている。これが法で裁けない悪か。

 僕はハーマイオニーに、「そいつをちゃんと管理しとけよ!」とだけ言い残して、足音荒く自室に帰った。

 

 

 

*****

 

 ハーマイオニーに怒りを向けたまま、休暇は終わった。ハリーは「僕を心配してくれてるんだから、そう怒らないの」と言うけれど、だからって納得はできない。

 

「じゃあローブを傷付けたことは?」

「レパロで直してくれたでしょ?」

「謝罪はないけどな」

「それは、うん。僕からも言ってるけど」

 

 ハリーは困った顔で俯く。彼は無関係なのに、なんだか申し訳なくなってきた。

 そうだよな⋯⋯両親を殺されたことと比べたら、僕たちの諍いって本当、ゴミみたいなもんだしな⋯⋯。ここは大人にならねばなるまい。

 そう分かってはいるけれど、ハーマイオニーと顔を合わせるとつい怒りが先行してしまう。

 軋轢を抱えたまま、今日から授業も再開だ。

 ハグリッドの授業では、サラマンダーの観察を行った。まるで僕の憤怒を表現しているかのように、サラマンダーは炎の中を駆け回っている。

 トレローニーは、今度は手相をすると言った。ハリーの手の平を見ては「生命線が短い」云々嘆いたが、当然の如くハリーはそんなこと気にもせず、ルーピンとの個人レッスンに勤しんでいた。曰く、吸魂鬼への対処法を学ぶのだとか。「ロンも一緒にやる?」と訊かれたが、丁重にお断りさせてもらった。ルーピンは好きだけど、自主的に魔法の練習をしたいとは思えない。

 ハリーはルーピンとの個人授業に加え、クィディッチの練習もある。レイブンクローとの試合を控え、流石のハリーも疲れた様子を見せていた。

 そしてハーマイオニーも、あらゆる授業の課題に追われて大変そうだった。提出日が重なっているのだろう。焦りを周囲の人にぶつけるせいで、彼女は一年生の頃のように孤立していた。

 もちろん僕は、ハーマイオニーがなぜそんなに忙しいのか知っている。逆転時計を使って全ての授業を取っているからだ。とはいえ、取捨選択も自分のペットの管理もできない人間に優しくする義理はない、はず。

 

 そんなふうに意地を張っていたが、ファイアボルトが無事に返ってきたことで僕はついに決心した。

 ハーマイオニーと仲直りしよう。

 

 

 

 

 

 一旦自室に戻った僕は、呆然と立ち尽くした。

 

「えっ⋯⋯」

 

 いつもならぐーすか寝ているはずのスキャバーズがいない。

 代わりのように残されていたのは、血痕と黄褐色の猫の毛。

 推理するまでもない。

 クルックシャンクスがスキャバーズを食べたのだ。

 

 




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