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宮部さん、状況報告ありがとうございます。
見事お会いすることができたようでなによりです。推理した僕としても鼻が高い。
にしても、本来の美少女が一ノ瀬みう先生だったというのは二重の驚きです。原作されてるマンガは僕もキンドルで全巻買って持ってます。先の読めないストーリーと上品なエロにわくわくしながら読んでます、とお伝えください。
次のテーマは、お二人をいかにして元に戻すか、ですね。
原因がわかれば最高ですが、それよりも優先すべきは現実的な再現性でしょう。
僕ももう少し考えてみますので、お気付きのことがあったら是非ともその詳細を教えてください。
あ、それと、みなさん文フリお疲れさまでした。
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桃山は宮部のスマートフォンを、一ノ瀬はいんかむげいんのをそれぞれ覗き込んでいる。
「私、読んだことあります、この人の小説。去年だか
「『SF研はファンタジーを語らない』ですね。ひとかげ氏はラブコメを論理で読み解く稀有な方ですから。今回も、被害者の女性は文フリ会場にいると予言されたのはひとかげ氏です」
口のまわりを油でてからせた桃山が漏らしたつぶやきを、宮部が丁寧に拾った。なぜか自慢げな千百閒も後を続ける。
「ひとかげとかげさん、俺たちの
いんかむげいんがさらにスクロールして、隣の一ノ瀬に画面を傾ける。見せたのは、昼間に送られてきたひとかげとかげの推理。一ノ瀬は驚嘆した。
「『陰キャ』『運動不足』『インドア』『表情に乏しい』……。あ、会ったことない……どころか、私が誰かさえわかってない。……なのにどうして、こ、こんなにも正確な……」
「それは主にこっちのくじらさんが。みう先生の身体をお借りしてる間にいろんな気付きを得たそうで。表情筋が固いとか、運動してなさ過ぎとか」
ちょっ、いんかむさん。その話はもうちょいオブラートで包んでくれないと変態扱いされちゃうよ、俺。
案の定、くじらの顔をした一ノ瀬が眉をしかめてくじらに視線を移してきた。
「そんなに私、……か、顔が固かった……?」
観念したくじらは、一ノ瀬みうの声で追及に応じる。
「一ノ瀬さんも気づいたかもしれないけど、身体との連携でたまに引っ掛かるときがあるじゃない。なにげない行動をするときに、自分の指示と身体の動きにズレが生じる瞬間とか。想定より足が上がってなかったり、思ってる笑顔になってなかったりっていう感じの」
少し思案してから一ノ瀬もうなずく。
「そういうの、あった。身体を急に、は、反転させようとした。そのとき……思ってるより先に、あ、足の方が前に出てた……」
「そう、そういうの。普段なら具体的な指示をイメージしなくてもまったく齟齬なく動いてくれた『反応』みたいなのが、実はけっこう身体ごとにカスタマイズされてたんだなって」
鏡の中で同意を示すような自分の貌を見て、くじらは話を続けた。
「で、一ノ瀬さんの身体でする自分のアクションをそういう視点で気をつけてみたら、いくつかの特徴が見つかったんだ。その中でとくに顕著だったのが運動能力と表情筋」
思い当たる節があるのか、一ノ瀬は口をつぐむ。
「画像検索でなら特定できるかもって思って自撮りを何パターンか撮ったんだ」
目を伏せた一ノ瀬が消え入りそうな声で「私、インスタとか……やってない」とこぼした。うなずくくじら。
「そうみたいだね。まったくヒットしなかったよ。ただね、そんとき感じたんだ。バリエーションが少ないんじゃないかって。表情の。頭ではニュアンスでイメージしてるつもりなのに、出てくる笑顔はどれも似通っててて。無理に近づけようとすると、めちゃくちゃぎこちないしかめっ面になっちゃう。これまでの生活では鍛える場面があんまりなかったんじゃないかな、って想像できちゃうくらい」
一ノ瀬はうつむく。と、間に座るいんかむげいんがしたり顔で言葉を足してきた。
「くじらさん、体力のことも言ってたよね。彼女運動しなさすぎだから顔合わせたらしっかりお説教しないと、って」
あ、馬鹿、いんかむさん。そういう非難めいたのはこの場ではまだ早いって。
だが、くじらの懸念も虚しく、右隣の席からさらなる二の矢が放たれた。
「俺と歩いてたときもくじらさん、俺が笑顔をいっぱいつくってやって、サボってた女の子にその経験値をお返しするんだ、って言ってましたもんね」
千百閒くんも要らんことを! そもそもそんな言い方してねえよ!
止める間も無く放り込まれた二つの台詞は、龍の
「そ、そんなの、お、大きなお世話よっ! わ、私がどんな、じ、人生送ってきたかなんて……あ、あ、あなたたちには関係ないっ!! そういうの、お、お節介って言うの……、昭和のが、学校では……お、教わんなかったんですか!!」
勢いよく立ち上がった一ノ瀬は、くじらを睨みつけて言い放った。
「わ、私、か、帰ります!」