ギルドの受付嬢ですが、残業が嫌なので定時に帰ろうと思います   作:can'tPayPay

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今後も頑張りますねー
どういう話が見たいとかあったらコメントで教えてねー


第16話:密室の特設事務室と、公認された執着

 

ギルド長の判断は、ある意味で「究極の妥協」でした。

「君たち二人が離れると王都の治安(アリナの情緒)が死ぬ。かといって、ゼノス君を平事務員のままにしておくのも損失だ。……分かった、二人のための『特設特別事務室』を用意する。そこで二人、思う存分……いや、効率的に働いてくれ」

かくして、ギルドの最上階、かつて物置だった一室が、防音完備・関係者以外立ち入り禁止の**「ゼノス&アリナ専用執務室」**へと改造されたのです。

(――死ね。死ね死ね死ね! ……なんて言うと思った? 逆よ、最高よ! 誰の視線もない、誰の邪魔も入らない。ここは私とゼノスの聖域(サンクチュアリ)なのよ!!)

午前10時:業務開始(という名の独占)

新しい部屋は、二人のデスクが向かい合わせではなく「隣同士」に配置されていました。

アリナは、窓口での「聖女の仮面」を脱ぎ捨て、大きく背伸びをします。

「ねえ、ゼノス。ここなら、私がどれだけあんたに毒を吐いても、どれだけあんたの肩を噛んでも、誰にも文句言われないわよね?」

「……。……理論上はそうだね。防音魔法も僕が二重に掛け直した。……アリナ、あまり寄らないでくれ。ペンが、その……君の熱のせいで、うまく動かせない」

ゼノスはいつも通り淡々と書類をめくっていますが、その耳元は微かに赤く染まっています。

「あら、有能なゼノスさんが、隣に私がいだけでミスをするのかしら? ……じゃあ、もっとミスさせてあげる」

アリナは椅子を滑らせ、ゼノスの腕に自分の腕を絡めました。

「見て、この書類。誤字があるわよ。……『愛してる』って書きそうになってるじゃない」

「……。……それは、君が僕の耳元でそう囁いたからだろう」

午後2時:閉ざされた扉の向こう側

午後の休憩時間。

部屋の外では、他の職員たちが「あの扉の向こうでは、一体どんな高度な戦略会議が行われているんだ……」と戦々恐々としていました。

しかし、その内側では――。

ゼノスがアリナをデスクの上に座らせ、彼女の細い足首を優しく、だが逃がさないように掴んでいました。

「……アリナ。さっき、一階のロビーを通った時。……君、若い冒険者と目が合っていただろう」

「……っ、そんなの、ただの事故よ! 向こうが勝手に見つめてきただけじゃない!!」

「……事故でも、不愉快だ。……君の網膜に映るものは、僕と、僕が整理した書類だけでいいんだ」

ゼノスの瞳が、窓口では決して見せない琥珀色の「獣」の光を宿します。

彼はアリナの膝に顔を埋め、深く、渇いた呼吸を繰り返しました。

「……ゼノス……。あんた、ここが職場だって忘れてない?」

「……忘れていないよ。だから、防音を完璧にしたんだ。……アリナ。……午後からの業務は、少し遅れるとギルド長に伝えておいてくれ。……『緊急の案件』が発生した、とな」

午後5時:定時の「精算」

夕暮れ時。

特設事務室から出てきた二人は、どこか晴れやかな、それでいて毒気が抜けたような顔をしていました。

アリナの首元には、新しく、そして深い「独占の痕」が、制服の襟で隠しきれない場所に刻まれています。

「――お疲れ様でした、ゼノスさん。今日の『特別業務』も、大変有意義でしたわ(微笑)」

「ええ、アリナさん。……明日はもう少し、効率的に……いえ、濃厚に、予定を組みましょう」

二人は並んで、オレンジ色に染まる王都の街へと消えていきました。

公認された密室。それは、二人の愛という名の「猛毒」を煮詰めるための、最高のるつぼ。

明日もまた、閉ざされた扉の向こうで、事務的ではない「熱い処理」が繰り返されることになるのです。

 

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