ギルドの受付嬢ですが、残業が嫌なので定時に帰ろうと思います   作:can'tPayPay

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特別編:甘美なる処刑と、黒い滴の再定義(後編)

 

「……何よ、これ。あんた、正気?」

アリナの声は、驚きと嫌悪、そして抑えきれない高揚感で震えていた。

リビングのテーブルに置かれたボウルには、今日ゼノスがギルドで受け取った、数多の女たちの「想い」がドロドロに溶け合い、不気味なほど甘い香りを放っている。

(――死ね。死ね死ね死ね! 気持ち悪いわよ、ゼノス。そんな、どこの誰とも知らない女たちの愛が混ざったゴミ(チョコ)を、私に見せてどうするつもり? ……まさか、これを私に……?)

アリナはソファーに深く沈み込み、軽蔑の眼差しをゼノスに向けた。しかし、ゼノスの琥珀色の瞳は、かつてないほど冷酷で、執着に満ちていた。

「……。……。……ああ、確かにこれはゴミだ。君以外の女が僕に向けた感情など、事務的に言えば『不要なノイズ』でしかない。……だが、アリナ。……ゴミも、使い道次第では最高の『処刑具』に変わる」

ゼノスは、冷めたことで適度な粘り気を持ったチョコレートを指ですくい上げた。

そして、抗うアリナの細い手首を「影の糸」でソファーに固定すると、その黒い滴を、彼女の鎖骨の窪みへとゆっくりと、だが容赦なく垂らした。

「……っ!? ひゃ……! つめたっ……何、すんのよ……っ、やめなさいよ……!」

アリナは全身を震わせ、声にならない悲鳴を上げた。

しかし、ゼノスは彼女の抗議を無視し、鎖骨の窪みに溜まったチョコレートを、熱い舌で、まるで皿を舐め尽くすかのように、ゴッ、と音を立てて吸い上げた。

「……んんっ……!? あ……っ……はぁ……っ!?」

不意打ちの快感と、全身を駆け巡る背徳感。アリナの頬は、羞恥と熱で真っ赤に染まった。

チョコレートの甘ったるい味と、ゼノスの舌が這い回る生々しい感触が、脳髄を直撃する。

「……。……。……くすぐったい、かな? それとも、感じているのかい? ……。……君の肌は、チョコレートよりもずっと甘い。……そして、君のこの震えこそが、僕が欲しかったものだ」

ゼノスはそう囁くと、アリナの服の隙間に指を滑り込ませ、胸元へと、そしてお腹へと、次々にチョコレートを塗り広げていく。

彼女の柔らかい肌に冷たいチョコが広がり、そこにゼノスの舌が触れるたびに、アリナの体は大きく跳ね上がった。

「……っ、ん、ふ……あぁ……っ、ダメ……っ! やめ……っ、ああぁっ!?」

ゼノスが、アリナの脇腹や太腿の内側に、筆で描くようにチョコレートを垂らし、そこを丹念に、そして執拗に舐めとる。彼の舌が皮膚を這うたびに、アリナは身悶え、普段の彼女からは想像もできない、無防備で、艶めかしい喘ぎ声が漏れた。

「……っ、は、ひぃ……っ! く、くすぐったい……っ、やだ……っ、もう……っ、ゼノス……っ!」

アリナの瞳は潤み、頬は熱を持ち、全身が快感と屈辱で痙攣していた。

ゼノスの唇と舌が、彼女の肌のあらゆる場所を蹂躙し、チョコレートの甘い香りと、アリナ自身の煽情的な香りを混ぜ合わせていく。

「……。……。……ほら、もっと声を出しなさい、アリナ。……君以外の女たちの想いが、僕の舌の上で、君の甘い体液と混じり合って、僕の血肉に変わっていく……最高の気分だよ」

ゼノスは、アリナの太腿の付け根にまでチョコレートを垂らすと、そこを深く、そして長く舐め上げ、彼女の理性を完全に破壊した。

「……っ、ひぅ……っ、んんっ……あぁぁっ……!? ぜ、ゼノス……っ、や、やめてぇ……っ、はぁ……っ!」

アリナは羞恥と快感で頭が真っ白になり、ゼノスの肩に顔を埋めて、そのシャツを必死に噛んだ。

「……。……。……分かったかい? アリナ。……君が僕に何も渡さなくても、僕は君の全てを僕のモノにする。……他人の想いさえも、君を凌辱するための道具にする。……これが、僕の愛だ」

ゼノスはそう言って、チョコレートまみれになった指で、アリナの唇を優しく拭った。

アリナは涙目で、震える手でポシェットから「自分が作った不格好なチョコ」を取り出した。

「……。……。……もう、いい……っ。……これ……私の……」

「……。……。……これを待っていたんだよ、アリナ」

ゼノスは、アリナの作ったチョコを一口で噛み砕くと、そのまま彼女に口づけをした。

他人のチョコを媒介に、最後は二人の純粋な愛だけで塗りつぶされる夜。

アリナの抵抗は、もはや快感と羞恥の入り混じった甘い喘ぎへと変わっていた。

「……っ、ん、ふ……っ、愛し……てる……っ、ゼノス……っ! ああぁっ……!」

「……。……。……愛してるよ、アリナ。……。……さあ、まだチョコはたっぷり残っている。……朝が来るまで、君の隅々まで『精算』させてもらうよ」

甘く、背徳的で、そして世界で一番重いバレンタインの夜は、二人の吐息と甘い香りに包まれ、どこまでも深く沈んでいくのだった。

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