ギルドの受付嬢ですが、残業が嫌なので定時に帰ろうと思います 作:can'tPayPay
その日のギルドは、朝から物々しい空気に包まれていた。
「――全職員に通達。本日、王都の魔導省より監査官が派遣され、職員の『魔力適性および不審魔力検査』を実施する。窓口業務の合間に順次受けるように」
掲示板の前で、アリナの笑顔がわずかにピキリと凍りついた。
(――死ね。今すぐその監査官ごと、魔導省の建物を消し炭にしてやりたいわ。魔力検査? 〈処刑人〉として神器を振り回している私の魔力なんて、まともに測ったらその測定器が爆発するか、私がその場で国家反逆罪で指名手配されるかの二択じゃない!!)
「……アリナさん、次はあなたの番のようですわ。頑張ってくださいね(微笑)」
同僚の声に、アリナは鉄の仮面を被り直す。
「ええ、ありがとうございます。何事もなければ良いのですが(微笑)」
(訳:終わったわ。私の人生、ここで終了よ。ゼノス……助けて、ゼノス! 今すぐこのギルドに隕石を落として、検査そのものを物理的に消滅させて!!)
【検査室・冷たい沈黙の中で】
測定器の前に座るアリナ。監査官が冷徹な手つきで魔法の触媒を彼女の腕にかざそうとした、その時。
「失礼します。監査官殿、その測定器、少しノイズが混じっていませんか?」
扉を開けて入ってきたのは、数枚の報告書を抱えたゼノスだった。
「ゼノスさん。……今は検査中だ、邪魔をしないでくれ」
「申し訳ありません。ですが、先ほど備品庫でこの測定器と同じ型の予備を点検したところ、魔力伝導率に致命的な不備が見つかりましてね。……アリナさん、すみませんが、少しの間その書類でセンサーを遮ってください」
ゼノスは事務的な動作で、アリナと測定器の間に分厚い「遮魔処理済み」のファイルを差し込んだ。
「あ……。はい、わかりました(微笑)」
(――ナイスよ、ゼノス! 遮魔ファイル!? そんなもの、いつの間に用意してたのよ! さすが私の完璧な裏方、惚れ直すわ!!)
「……ふむ。確かに数値が不安定だ。……よし、アリナ・クローバー。君は『平均以下の微弱魔力』。問題なしだ。次!」
ゼノスが裏で仕組んだ「不備」と「隠蔽」のおかげで、アリナは正体を暴かれることなく、無事に検査室を脱出した。
【定時後・夕暮れの公園】
人影のない公園のベンチ。アリナはゼノスの肩に力一杯寄りかかり、震える手で彼のシャツの裾を握っていた。
「……怖かった。マジで怖かったわよ、ゼノス! あと一秒遅かったら、私の高密度魔力があの機械をぶち壊して、私の隠居計画が全部パーになるところだったわ!!」
「はは、ギリギリだったね。あらかじめ測定器の回路に細工をしておいて正解だったよ」
ゼノスはアリナの腰を抱き寄せ、冷え切った彼女の手を自分のポケットの中で温める。
「……ゼノス。あなたがいなかったら、私、今頃地下牢で鎖に繋がれてるわ。……ねえ、怖い。あんな思い、もう二度とさせないで。今夜は私を離さないで。……いい?」
アリナは潤んだ瞳でゼノスを見上げ、普段の毒舌が嘘のように、消え入りそうな声で甘えた。
「当たり前だろ。君をあんな無機質な機械なんかに触れさせた僕のミスだ。……帰ったら、君の好きなバニラアイスに、特製のベリーソースをかけてあげる。……もちろん、僕が一口ずつ食べさせてあげるからね」
「……。……ん。……ゼノス、大好き。……世界中の測定器が壊れても、ゼノスだけは私の本当の強さも、弱さも、全部測っていてね」
「ああ、約束だよ」
ゼノスはアリナの額に優しく唇を落とし、彼女を安心させるように強く抱きしめた。
窓口で見せる「微弱魔力の受付嬢」の裏側で、アリナは自分を唯一理解し、守ってくれるゼノスの腕の中で、深い安堵の吐息を漏らすのだった。
基本的に話の流れが一緒なんだけどみんな飽きてない?
自分の書きたいことばっかりだから、完全に自己満なんやけど
みんな、書いて欲しい展開とかあったら言ってね