ファーストを1ミリも知らない俺が介入したせいで、宇宙世紀の歴史がおかしくなったかも   作:フェルトファン

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本作についてですが、アニメ版+劇場版+オリジンが混じり合った世界線って感じです。またジークアクスについてですが、今のところ正史ルートを進めているます。例えば太ももが大きいザクではなく、皆大好きな普通のザク君です。







第1話 隠し事はいつかバレるかも知れない

 

<イオリ・サカイside>

 

図書館に辿り着いた俺は、早速この世界の歴史について手当たり次第に調べ始めた。まぁ正確には、俺がいるサイド3の歴史についてだ。

 

・サイド3独立宣言により、ジオン共和国を建国


・“建国の父”であるジオン・ズム・ダイクンによる突然の死


・国家の中枢を完全に掌握したザビ家

U.C.(宇宙世紀)0077年、暁の蜂起事件

・地球連邦との関係悪化

 

 画面に表示される様々な情報を一通り読みはしたもの……うん、正直に言おう。ぶっちゃけ何書いてんのか全然分からん。おそらくガンダムファンにしか分からないかもしれないが、専門用語が多すぎて頭が痛くなってきた。もう途中から考えるのをやめた俺は、目当ての情報を検察するが.....

 

「戦うロボット、モビルスーツっと……ダメだ、何度調べてもやっぱ出てこないや〜」

 

 この世界の歴史についてあれこれ調べ終えた俺は、次に気になっていたMSについて検索してみた。しかし、どのサイトを覗いても出てくるのはモビルワーカーの情報ばかり。ちなみに今はU.C.0078年で、一年戦争と呼ばれる大きな戦争が始まるのは確かその一年後のはずだ。知識としては曖昧だが、その頃にはすでにザクが活躍していた━━と、前世の時にネット情報から見たんだが……もしかして時間的にまだ開発している途中かな?

 

  まあ、原作をちゃんと観ていない俺がいくら考えたところで答えが出るはずもない。そんな調子で調べ続けているうちに、気がつけば時計の針はすでに夕方を回っていた。時間的に図書館もそろそろ閉まる頃だろう。結局お目当ての情報は得られなかったが、この世界の大まかな歴史だけはなんとなく頭の中に入れておいた。今日はもうマンションに帰って休もう━━って、ここ日本じゃなくてジオンだったわ。

 

 ちなみに帰り道だが、今世の記憶があるから大体どこに行けば分かる━━

 

 

 

 

 

 

 

 ……と思ったら、目的地に着くまで結構時間がかかってしまった。

 

 

「や、やっと着いた〜〜〜」

 

 帰り道は大体分かっているはずはずなのに、何度も道を間違えり途中で道に迷ったりしていたし。やっぱり前世の記憶を思い出した影響で、頭の中がごちゃついているのかもしれない。

 

 それはともなく、ようやく辿り着いた場所はズムシティに分けられる区画のうちの一つである第十三区画なんだが、俺の感覚からすればここはかなりヤバい所だった。

 

 表通りから細い路地を抜ければ売春宿や薬物を取り扱う怪しい店が見えたり、まさに“絶対に近づいちゃいけない場所”のテンプレみたいな光景が広がっている。今世の記憶頼りに変える道を探していたが、“本当にこの道で合っているのか?”と何度も疑っていた。ちなみに俺が住んでいるのは裏通りにある酒場『エデン』で、サイド3内ではそれなりに有名と呼ばれる酒場らしい。もっとも前世ではほとんど酒場に行かなかった俺からすれば、酒に関してはさっぱりだが━━━とりあえず中に入ろう。

 

「あらお帰りなさいイオリ、今日は随分と遅かったわね。」

 

 店に入った瞬間、目に飛び込んできたのは頭頂で束ねた金髪にやや釣り目の碧眼を持つ女性だった。化粧は控えめだが、それでも匂い立つような美しさがある。確かこの酒場『エデン』を切り盛りしている店主である一人の女性、クラウレ・ハモンだ。男を簡単に惹きつけそうな雰囲気を持っていて、もしも今世のの記憶が無かったら俺も間違いなく見惚れていたと思う。

 

「…あ、いや、その……た、ただいま戻りました……です。」

 

「どうしたの急に?夕食はもうできたから、早く手を洗いなさい。」

 

「う、ウッス」

 

 チクショウ……前世ではなかなかお目にかかれないレベルの美人が近くにいるせいなのか、どうしても緊張してしまう。頭の中に記憶があるから知っているはずなのに、初対面みたいな感覚が抜けない。言われた通り手を洗いながらどうでもいいことを考えてしまう━━━それはそうと、ハモンさんって銀◯鉄道のあの人に似てない?

 

 それからカウンター席に用意されていた夕食を見ると、今日はハンバーガーらしい。珍しいな、普通は米とおかずのはずがた……って、ここは日本じゃなかった。いざ食べると普通に美味しいし、俺は二口目を口に運ぼうとしたその時━━

 

「帰ったぞハモン……って、まだ飯を食っていたのかイオリ?」

 

 髭を生やし、恰幅のいい体格をした三十代くらいの男が店に入ってきた。今世の記憶を辿ると……そうだ思い出した、このオッサンがランバ・ラルだ。

 

 こうして見ると、ビルドファイターズに出てくる“ラルさん”に似ている気もする。そもそもファーストガンダムに登場する人物なのかどうかすら俺には全く分からないが、今世の俺もこのオッサンを“ラルさん”と呼んでいるらしい。ちなみにハモンさんとは恋人関係で、まだ結婚はしていないとか……いやマジか、それは意外すぎる。

 

「おい、どうした?さっきから俺をジロジロ見て……何か言いたいことでもあるのか?」

 

「へっ!? あ、いやその……きょ、今日はいい天気っすね〜」

 

「今日は曇りだが。」

 

 ダメだ……今世の俺がこのオッサンと普段どんな関係で、どんな会話をしていたのかいまいちピンとこない。とりあえずしばらくは黙ろうと思ったその時、ふと、ある言葉が頭をよぎる。それが気になり過ぎて頭から離れられないのか、酒の入ったグラスを手に取るラルさんに思わず声をかけてしまう。

 

「あの、ラルさん……一つ聞きたいことがあるんだけど〜」

 

「急だな……まあ、別に構わんが」

 

「モビルスーツって、知ってるか?」

 

 その瞬間、()()()()()()()()()()()()。いやめっちゃ怖いんですけど、つーかハモンさんも明らかに驚いた表情でこっちを見ているし。

 

「お前........どこで聞いた?」

 

 あ、これもしかしたら言っちゃダメなやつだったかもしれない。だってラルさんの顔が明らかに()()()()()()()()()()()()……とにかく!な、何とか誤魔化さないと〜

 

「ぜ、前世……じゃなくてっ!こ、公園で本を読んでたら、たまたま近くにいた人の話が聞こえてきて……」

 

「────それはモビルワーカーの聞き間違いだろう。別に大して重要ではないが、さっき言った言葉を忘れろ……いいな。

 

「お、おう…」

 

 絶対なんか知ってるだろこのオッサン。とはいえこれ以上しつこく聞けば、さすがに怪しまれる。今日のところはさっさと飯を食って寝て、明日から捜索開始だ……つーかどうでもいいけど、俺の部屋ってどこなの?

 

 

 

 

 

 それから一週間が経った。

 相変わらず俺はMSに関する情報を調べ続けており、最近ではほぼ日課のように図書館へ通い端末を占拠しては怪しい単語を片っ端から検索していた。そしてあちこちの情報を繋ぎ合わせた結果、ZEONIC(ジオニック)という名の軍需企業*1が極秘裏に新型兵器の開発を進めているらしいという噂に辿り着いた。噂っていうか、ほぼ確信な情報だ。

 

 なんで俺がジオニックでMSが開発されているのを知っているのかと言えば、ハッキングしちゃった。

 

 もう少し何か掴めないかと思ってあれこれ試していたらうっかりジオニック社のセキュリティを突破してしまい、中のデータを最も簡単に覗けることができてしまった。どうやら今世の俺はパソコン技術を使えるどころか、それなりに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……いや知らん何それ怖

 

 いつどこでそんな技術を身につけたんだよ今世の俺*2。記憶を辿ってもまったく心当たりがないし、知らない間に危険でブラックな人生を歩んでいたかもしれない。まぁそれはそれとして、こうして念願のMSに関連する情報を手に入れることができたのは良いことだ*3。内部データの中にはそれらしい設計図も見つけた。流石にデータを丸ごと抜き取ったら即バレだろうと思った俺は、スケッチブックに手書きで写すことにした。こう見えて前世では、暇さえあれば絵を描いていた人間だ。複雑な構造図でも割と結構いける。

 

 改めて眺めてみるとその設計図はどれも極秘開発の名にふさわしい代物ばかりだ。無駄を削ぎ落としたシルエットに、人型である意味を強調する関節構造。間違いなく、MSはもうこの時代に存在している。今すぐにでもジオニック社に入ってメカニックに関する仕事をやってみたい気持ちもあるけど、そもそも俺の年齢で働けるか分からないし。けど情報を見る限り、確か()()()()()()()()()1()0()()()()()()()()()()()()()

 

 一応言っておくが、ラルさんやハモンさんには話していない。流石に怒られるどころじゃ済まないだろうし、下手をすれば色々と面倒なことになる。まぁどこぞの小さな名探偵のように目立たないようにしなければ、そう簡単にバレることもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「イオリ。お前が最近ジオニック内部のデータにハッキングしている事は分かっているぞ。」

 

 ━━前言撤回、普通にバレていしまいました。

 

 ちなみに何が起きたのかと言うと、部屋の机に突っ伏したまま寝落ちしていた俺が目を覚ました直後ハモンさんに“話がある”と呼び出された。何事かと思いながら酒場の客席に案内され、そこには既にラルさんも席に腰を下ろした。その瞬間―面と向かうラルさんの口から、いきなりそんな爆弾発言が投下された。

 

「……い、いや〜何のことっすか〜」

 

「惚けても無駄だ。それとこんなことを言うのもあれなんだがな、お前はもう少し“隠し事”というのを学んだ方がいいぞ。」

 

 そう言いながらラルさんは机の上に一冊のスケッチブックを置いた━━ってかそれ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?なんで、どうして!?まさか俺の部屋のどこかに監視カメラでも仕込まれて━━

 

「“何故”と顔になっているな。実はつい最近までお前が寝ている間に、ハモンがこっそり取っていたのだぞ。」

 

 俺がついさっき寝落ちしていた時かよチクショウ!!!いくらハッキング技術を持っていようが、流石の俺にはヒイロ・ユイみたいに完璧な隠密行動なんて無いのかぁ!つーかハモンさんも、いつからそんな自然に俺の部屋に入るようになったんだ!?

 

「そんな事よりだ、イオリ。」

 

 ラルさんの声色が、少し低くなる。

 

「お前は、モビルスーツの秘密を知ってどうするつもりだ?」

 

 やばいやばいやばいやばい!!!ラルさんの表情は一段と厳しくなり、ハモンさんも無言のまま俺を見据えている。なんか尋問っぽい空気になっているし、誤魔化すか?いや下手な嘘は後で絶対に面倒なことになる……ここは一か八かだ!

 

「は、働いてみたいんだ……MSを造れる会社に……」

 

「なるほど……まっ、何となく予想はつくな。」

 

 一瞬、納得したような素振りを見せたラルさんだったが、すぐに首を横に振る。

 

「だがそれではまだ納得できない。もう一度聞くぞ、お前はMSの秘密を知ってどうするつもりだ?

 

 デスヨネ〜〜〜!!あぁもう、どう説明すりゃいいんだ!“ガンダムを操縦したい”なんて言ったら、「何それ?」で終わる未来しか見えないし、かといって他に上手い言葉も思いつかない。

 

……わ、分かんねぇ……

 

「お前、自分が何をしていたのかまだ理解していないのか?」

 

「いやそうじゃなくて……わ、分かんねぇけど!でも何となく……きょ、興味を持ったんだ!それにどうやって動くのか、どんな技術なのか知りたいし!」

 

 勢いで、言葉が止まらなくなる。

 

「つーかラルさんも隠してじゃねーか!なんで教えてくれねーんだよ!そっちだってMSの開発を手伝ってるの、俺に黙っていやg……「イオリ」━━ッ」

 

 短く、だが重い一言を吐くハモンさんの声で我に返る……やっちまった、完全に余計なことを言ってしまった。別に逆恨みがあるわけじゃないが、困惑と焦りが混ざっててじっとしていられなかった。MS開発に関するデータを調べるうちに、ラルさんも深く関わっていると知った。それがどうしようもなく()()()()()()

 

「……分かったもういい……お前の言いたい事はよく分かった」

 

 あーこれダメな感じだわ。下手すりゃ自宅謹慎、最悪MSに関する事も二度と関わるなと言われるパターンも…

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()M()S()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 ━━へぇ?

 

「まぁ正社員としてではなく、あくまでもアルバイト的な立場だ。俺から話をつけてやるが、その後は面倒ごとを起こすなよ。」

 

 あれ、なんか認めてくれそうな感じで話をどんどん進めているけど……てことはつまり!

 

「じゃあ……俺もジオニックで働いてm━━━」

 

「残念ながらお前が行くのは、()()()()()()だ。」

 

 

 ちょっと待て、今なんて言った?

 

*1
※ザクやグフ、ゲルググを開発した会社

*2
?「私にもわからん」

*3
※普通に良くない




次回はランバ・ラル視点です。ちなみにラルさんとハモンさんの見た目は、オリジン版であります。

また、本作の主人公であるイオリ・サカイの見た目は日系人で、漆黒の髪色を持つ15歳未満の少年である。


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