NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第11話 もふもふの戦場

激しい演習が終わり、夕暮れ時の演習場には静かな、しかし騒がしい時間が流れていました。

 

演習場の端では、カカシと出雲が並んで腰を下ろし、教え子たちの様子を眺めています。

 

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ティアラ「グルルゥ(……連、そこはもう少し右。もっと力を込めてブラッシングして)」

 

巨虎の**ティアラ**が、連の膝の上に巨大な頭を乗せて喉を鳴らしています。連は無表情ながらも、ティアラの剛毛を専用のブラシで一生懸命に梳いていました。

しかし、その肩には**アロー**が「私の方が先よ」と言わんばかりに嘴で連の耳を甘噛みし、頭の上では**九重**がふさふさの尾を連の顔に巻き付けています。

 

モモカ「ちょっとあんたたち! 連は今、私の肩を揉む約束なんだから! 九重、そこをどきなさい!」

 

モモカが頬を膨らませて九重の尻尾を引っ張りますが、九重は「コン!」と鳴いて連の首筋にさらに深く顔を埋めます。

 

連「……お前ら、順番だ。モモカ、九重をそんなに強く引っ張るな。……アロー、耳を噛むなと言っているだろう」

 

連は、もはや「忍」ではなく「巨大な託児所の飼育員」のような状態になっていました。12歳の少年にしてはあまりにキャパシティを超えた女難(猛獣難)の光景に、精神世界のバアルも

 

バアル『ククク……連よ、これもまた一つの修行よな』と上機嫌です。

 

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そんな賑やかな光景を横目に、カカシはトレードマークのマスクの下で、少しだけ表情を引き締めました。

 

カカシ「……出雲。今の演習でよく分かったよ。連くんのあの反射速度と、猛獣たちの指揮能力。……正直、下忍の枠をとうに超えてるね」

 

出雲「あら、ようやく気づいた? 私が手塩にかけて(酒の肴にして)育てた最高傑作よ」

出雲が酒瓶を傾けながら笑うと、カカシは真剣な眼差しで彼女を見つめました。

 

カカシ「実は、第七班に『Cランク』の護衛任務が入ったんだ。……波の国まで建築家を送り届けるだけの、はずだったんだけどね」

 

カカシはそこまで言うと、少し声を低くしました。

 

カカシ「……どうも、背後に『霧の隠れ里』の不穏な影がある。万が一、再不斬(ザブザ)級の抜け忍が出てきた場合、第七班だけでは荷が重いかもしれない。出雲、君の班を『バックアップ』として正式に同行させたいんだ。火影様からの内諾も得ている」

 

出雲は酒を飲む手を止め、チラリと連の方を見ました。

連は今、ティアラにお腹を向けられ、巨大な肉球に押し潰されそうになりながらも必死にブラッシングを続けています。

 

出雲「……いいわよ。あの子たちにとっても、外の空気、それも『血の匂い』が混じった空気は良い薬になるわ」

 

カカシ「助かるよ。……彼らの連携があれば、何が起きても対応できそうだ」

 

カカシの言葉を聞いたかのように、連が猛獣たちの群れからひょいと顔を上げました。その瞳には、すでに平和な日常を切り捨てる「忍」の鋭い光が宿っています。

 

連「先生、カカシ先生。……いつ、出発ですか?」

 

出雲「明日よ、連。今夜はしっかり準備しなさい。……あ、モモカちゃん、九重をそんなに怒鳴らないの」

 

モモカ「だって先生! 九重が連の首筋にキスマークみたいな跡をつけてるんですよ!?」

 

連「……それは、ただの静電気だ」

 

連の冷静な突っ込みが響く中、木ノ葉の門を出た先に待つ「死線」へのカウントダウンが始まりました。

 

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波の国へと続く深い霧の中。第七班(ナルトたち)とタズナを乗せた小舟に続き、出雲班が乗り込んだ二艘目の舟は、出発直後から沈没の危機に瀕していました。

 

 

 

おじさん「ちょ、ちょっとあんたたち! 勘弁してくれよ! この舟は定員五人なんだ! なんだその巨大な虎は! 船底がミシミシ言ってるじゃねえか!」

 

船頭が泣きそうな声で絶叫します。それもそのはず、狭い小舟の上には、出雲、連、モモカの三人に加え、巨躯を誇る**巨虎のティアラ**が、連の膝の上に無理やり巨体をねじ込んで丸まっていたからです。

 

ティアラ「ガ、グルル……(連、狭い。もっと寄れ)」

 

連「ティアラ、動くな。バランスが崩れる……。アロー、お前もだ。その翼を広げるな、風で煽られる」

 

連の肩には**大鷹のアロー**が、狭い舟上で羽を休めようと器用に止まっていますが、その翼が広がるたびに舟が大きく揺れます。さらに、連の首筋には**狐の九重**がマフラーのように巻き付き、モモカを挑発するように「コン!」と鳴いていました。

 

モモカ「九重、そこをどきなさいってば! 舟が傾くのはあんたが連にベタベタしてるせいよ!」

 

モモカが身を乗り出して九重を引っ掴もうとすると、舟はさらに激しく左右に揺れ、浸水が始まります。

 

おじさん「沈む! 沈むってばよ!! このままだと波の国に着く前に全員水葬だ!」

 

船頭のパニックは最高潮に達し、隣の舟のナルトからも「おい連! お前のところ、沈みかけてるぞ!」と笑い声が聞こえてきます。

 

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連は、ティアラの重圧と九重の毛並みに埋もれながら、観念したように深い溜息をつきました。このままでは任務どころか、霧の忍に襲われる前に海に消えてしまいます。

 

連「……わかった。お前たち、一旦戻れ」

 

連が優しく、しかし毅然とした声で命じると、ティアラが不満げに「グルゥ……」と鼻を鳴らしました。アローも金色の瞳を寂しげに細めます。

 

連「大丈夫だ。上陸して、広い場所に出たらすぐにまた呼んでやる。……今は、このじいさんの舟を守るのが優先だ。いいな?」

 

連がティアラの額を優しく撫で、アローの羽に触れると、猛獣(メス)たちはようやく納得したように、連の頬を一舐めしてから、主人の言葉に従いました。

 

モモカ「九重、あんたもよ。……ほら、私からもお願い。後で美味しいもの食べさせてあげるから」

モモカが促すと、九重も名残惜しそうに連の首元を離れました。

 

連とモモカが同時に印を解くと、ドォォン! と大きな煙が上がり、猛獣たちはそれぞれの精神世界へと帰還していきました。

 

おじさん「はぁ……助かった……。命を拾ったぜ……」

急に軽くなった舟の上で、船頭がへなへなと座り込みます。

 

出雲「あはは! 残念だったわね連。モテすぎるのも楽じゃないわねぇ」

出雲がようやく広くなった座席で足を伸ばし、酒を煽ります。

 

連「……先生、他人事だと思って。モモカ、九重を呼ぶときは俺に一言断ってくれ。首筋がくすぐったくて集中できない」

 

 

モモカ「……善処するわ。でも、あの狐が勝手に出てくるのは私のせいじゃないんだからね?」

 

静まり返った霧の中、舟は再び静かに進み始めました。

しかし、連の肌にはまだティアラの熱気とアローの鋭い気配が残っています。

 

バアル(『ククク……連よ。静かになったな。だが、この霧の先……主の「牙」を求めている奴が、もうすぐそこまで来ておるぞ』)

 

バアルの警告。

連は霧の先を鋭い眼光で見据え、静かに刀の柄に手をかけました。

 

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