NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第2話 三色の閃光と紫の性質

 

 

出雲「いい、連。チャクラってのは『身体エネルギー』と『精神エネルギー』の練り合わせ……なんて教科書通りの話は、アカデミーの連中に任せときなさい」

 

出雲は切り株に腰掛け、昼間から酒の入った瓢箪を揺らしながら、面倒そうに指を立てました。

 

出雲「あんたが抱えてるバアルのチャクラは、普通のそれとは密度が違うわ。無理に抑え込もうとすれば、あんたの回路が焼き切れる。大事なのは『流す』こと。あんた自身が巨大な『導線』になりなさい」

 

連は無言で頷き、出雲から渡された数枚の**「チャクラ感応紙」**を手に取りました。

 

出雲「さあ、あんたがどんな『色』を秘めてるか見てあげるわ。集中しなさい」

 

連が目を閉じ、腹の底で静かに拍動するバアルの奔流を指先に集中させます。精神世界では、バアルが「妾の力、存分に見せてやるが良い」と愉しげに尾を振りました。

 

次の瞬間、連が目を開くと同時に感応紙に変化が起きました。

 

1. まず、紙が**一瞬でクシャクシャに縮れ**ました。強烈な**「雷」**。

2. 続いて、その紙の端から**ボッと青白い炎が上がり**、燃え尽き始めました。これは**「火」**。

3. さらに、燃えカスの灰が鋭い真空に切り裂かれ、**真っ二つに分かれて**散りました。**「風」**。

 

一枚の紙が辿った数秒の劇的な変化を見て、出雲は「へぇ……」と、珍しく感心したように目を細めました。

 

出雲「雷・火・風の三性質……。しかもどれもが鋭い。特にその風、火の勢いを増し、雷の鋭さを研ぎ澄ませるには最高の組み合わせじゃない。……あんた、やっぱり私の弟子になるために生まれてきたようなものね」

 

出雲は立ち上がり、連の背後に回ると、その小さな肩を抱き寄せました。172cmの彼女と並ぶと、五歳の連はすっぽりと隠れてしまいます。

 

出雲「いい、連。あんたの雷は、火の熱量と風の鋭さを孕んでいる。これらを混ぜ合わせ、練り上げ、一筋の『紫』へと昇華させる……それが私の教える**『紫電流』**よ」

 

出雲は自分の愛刀「紫電丸」を抜き、指先で弾きました。キン、と高らかに響く音が、連の耳の奥に眠るバアルの咆哮と共鳴します。

 

出雲「……火を混ぜれば爆ぜ、風を混ぜれば断つ。でも、あんたの核にあるのは常に『雷』。バアルの誇り高き紫の雷よ。理解した?」

 

連は、自分の掌を見つめました。まだ小さなその手の中で、三つの性質が混ざり合おうと火花を散らしています。

 

連「……うん。やってみる、出雲先生」

 

出雲「ふふ、いい返事。じゃあ、まずはその辺の岩を『風』で切り裂きながら、『火』で焼き、最後に『雷』で粉々にしなさい。できるまで今日の晩御飯は抜きよ。私は先に行って、一献やってるからね」

 

そう言って、出雲は連の頭をぐしゃぐしゃと撫で回し、ひらひらと手を振って森の奥へと消えていきました。

 

バアル(『連よ、あの女は口は悪いが理には適っておる。まずは風を練れ……妾の雷にさらなる鋭気を与えるのだ』)

 

連「……わかってるよ、バアル」

 

連の瞳に、バアルと同じ紫の火花が宿りました。

木ノ葉の影で、最強の「紫電流」が産声を上げた瞬間でした。

 

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静寂が支配する未明の演習場。

連の手の中には、出雲の課題通り、風の鋭さで切り裂き、火の熱量で融解させ、最後に雷の衝撃で粉々に砕かれた巨岩の残骸が転がっていました。

 

全身のチャクラを使い果たし、煤と泥にまみれた五歳の連は、ふらつく足取りで出雲と暮らす隠れ家へと戻りました。

 

---

 

家の中からは、聞き慣れない男の低い唸り声と、シーツが擦れる音が漏れ聞こえていました。

連が泥のついた手で静かに障子を開けると、そこには任務の疲れを癒やす「紫狼」の、もう一つの顔がありました。

 

月明かりが差し込む部屋の真ん中。

出雲は男を組み敷くようにして、乱れたポニーテールの先を揺らしていました。大きくはだけた胸元は汗ばみ、自慢のLカップが男の胸に押し付けられています。

 

出雲「あ、あら……。連、お帰り。思ったより早かったじゃない」

 

出雲は男の腕の中にいながら、全く動じることなく、首だけをドアの方へ向けてニヤリと笑いました。その瞳は、酒と情愛で少し潤んでいます。

 

連「……できた」

 

連は、部屋の中の凄まじい「大人の情事」の匂いと光景に、眉一つ動かさずに答えました。五歳児にしてはあまりに完成された無機質な反応です。

 

出雲「ふふ、さすが私の弟子。ねえ、この人、隣の町から来た腕の良い忍なのよ。あんたもどう? 一緒に……なんてのは、まだ十年早かったかしらね」

 

出雲はわざとらしく男の肩に腕を回し、連を挑発するように艶めかしい声を漏らしました。

 

バアル(『ふん……。この女、相変わらず節操がないな。連よ、あのような卑俗な戯れに目を奪われるな。妾のチャクラが濁るわ』)

 

精神世界でバアルが心底不快そうに吐き捨てましたが、連はただ無言で出雲を見つめたまま、泥だらけの拳を握りしめました。

 

連「……お腹、空いた」

 

出雲「あはは! そうよね、課題は合格。台所に煮付けと酒の残り……じゃなくて、おにぎりがあるわよ。食べて寝なさい。私は、もう一仕事(ひとしごと)してから行くから」

 

出雲は楽しそうに笑い、再び男の首筋に顔を寄せました。

 

連は、背後で再開された湿った音と男の荒い吐息を、まるで雨音か何かのように聞き流しながら、暗い台所へと歩いていきました。

 

冷めたおにぎりを口に運びながら、連は窓の外の紫がかった夜明けを見つめました。

師匠は奔放で、破天荒で、そして誰よりも強い。

このカオスな日常こそが、暁連という冷徹な忍を形作る「紫電流」の原風景でした。

 

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