NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第20話 壊れた絶対防御

 

 

凄まじい雷鳴と共に演習場を覆った土煙が晴れると、そこには誰もが予想だにしなかった光景が広がっていました。

 

鉄壁を誇る我愛羅の「砂の盾」が、連の放った**雷光螺旋突**によってガラス状に融解し、粉々に砕け散っていたのです。その中心で、我愛羅の頬からは一筋の鮮血が滴り落ちていました。

 

我愛羅「血だ……。僕の、血……」

 

我愛羅はその血を指でなぞり、狂気に満ちた瞳で連を見据えました。次の瞬間、演習場の空気が一変します。

 

我愛羅「ア……アガガ……アアァァァッ!!」

 

我愛羅が頭を抱えて絶叫すると、背後の瓢箪から溢れ出した砂が、禍々しい紫色の紋様を帯びて膨れ上がり、彼の右腕と顔半分を覆い始めました。それは、内に眠る化け物——**一尾の守鶴**のチャクラが、傷を負わされた怒りで覚醒し始めた証でした。

 

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バアル「(『来たぞ連よ! 狸の化け物が目を覚ましおったわ!』)」

 

バアルの咆哮が連の脳内に響きます。それに応呼するように、連の背後から伸びる二本の雷の尾がさらに激しく明滅し、バチバチと周囲の空間を焼き切ります。

 

連「ハァッ……ハァッ……!」

 

連は呪印の疼きと、二本の尾を維持するために急激に削られるチャクラの倦怠感に耐えていました。しかし、止まるわけにはいきません。

 

連「行くぞ、ティアラ、アロー!」

 

連の声に呼応し、**巨虎のティアラ**が弾丸のような速さで守鶴の腕を化した我愛羅へ突進します。我愛羅が放つ巨大な砂の爪を、上空から**大鷹のアロー**が風の刃で逸らし、そこへティアラが雷を纏った爪を叩き込みました。

 

我愛羅「壊れろ! 全部壊れてしまえ!!」

 

我愛羅が吠えると、演習場そのものが砂の海へと変貌し、連の足場を奪おうと襲いかかります。

 

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観客席では、モモカが手すりを白くなるほど強く握りしめていました。

個人戦というルール上、彼女は演習場に降りることは許されません。

 

モモカ「連……! 無理しないで……!」

 

モモカの瞳には、三巴の写輪眼が赤く燃え上がっていました。その肩では、契約獣の**九重**が主人と同じように身を乗り出し、喉を鳴らしています。モモカは写輪眼で連のチャクラの流れを見守り、彼の経絡系が限界に近いことを察知していました。

 

モモカ「(九重……もし本当に危なくなったら、ルールなんて関係ない。……私たちが助けに行くわよ)」

 

九重「(……コン!)」

 

九重は短く、しかし決意に満ちた声で応えました。

 

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砂の波に飲まれそうになりながら、連は二本の雷の尾を地面に突き立て、無理やり跳躍しました。

 

連「これ以上……長引かせるわけにはいかない……!」

 

連の右手には、紫電と守鶴の砂が混じり合った不気味な火花が散っています。チャクラ残量は一割を切ろうとしていました。

 

連「一撃だ……。一撃で、その化け物ごと黙らせる!」

 

連は空中で姿勢を制御し、右手に残る全チャクラと、二本の尾の全エネルギーを集中させます。それは、出雲との修行で磨き上げた、文字通り「命を削る」最後の一撃。

 

砂の巨腕を振り上げる我愛羅と、紫の流星となって落下する連。

二つの「化け物」を宿した少年たちの激突が、演習場を白い閃光で埋め尽くしました。

 

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凄まじい爆発音が演習場を揺らし、白い光が収まった後。

そこには、地面に深く突き刺さった連の姿がありました。背後の二本の尾はすでに霧散し、全身から立ち上る紫の煙が、無理なチャクラ解放の代償を物語っています。

 

連「カハッ……!」

 

連は吐血し、指一本動かすことができません。副作用の激痛が全身の細胞を焼き、視界は真っ赤に染まっていました。

対する我愛羅も、砂の鎧を粉々に砕かれ、顔の半分を露わにして膝をついています。しかし、彼の中に眠る守鶴の狂気は、まだ死んでいませんでした。

 

我愛羅「殺す……。僕を傷つけたお前を……母様に捧げる……!」

 

我愛羅の怨嗟の声とともに、周囲の砂が巨大な「砂の腕」へと形を変え、動けぬ連を握りつぶさんと頭上へ振り上げられました。

 

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モモカ「連!!」

 

観客席の最前列、モモカが手すりを乗り越え、戦場へと飛び降りようとしました。その肩では、九重が逆立った毛を震わせ、今にも幻術を放とうと三巴の瞳を輝かせています。

 

出雲「やめなさい、モモカちゃん!」

 

モモカ「離して先生! 連が殺されちゃう!」

 

モモカの腕を掴んだのは、いつになく険しい表情をした出雲でした。

しかし、モモカの写輪眼は止まりません。

 

モモカ「九重、行きなさい!」

 

九重「(コォォォン!!)」

 

九重がモモカの肩から弾丸のように飛び出し、空中を蹴って連のもとへ向かおうとしたその瞬間。

 

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シュッ、と風を切る音とともに、演習場の中心に「赤い閃光」が落ちました。

 

出雲「——そこまでにしなさい、砂の小僧」

 

砂の腕が連を飲み込む直前、出雲がその間に割り込んでいました。

彼女は印を結ぶことすらなく、我愛羅の眉間にそっと人差し指を添えました。その指先から放たれたのは、連の紫電とは異なる、冷徹で高密度な「鎮静」のチャクラ。

 

我愛羅「……ッ、ガ……?」

 

守鶴の狂気に支配されかけていた我愛羅の瞳から光が消え、彼は力なくその場に崩れ落ち、気絶しました。

 

出雲「審判! 暁連は戦闘不能よ。この試合、棄権(ギブアップ)させるわ!」

 

出雲が声を張り上げると、呆然としていた試験官のハヤテが我に返り、咳き込みながら合図を出しました。

 

ハヤテ「勝者、我愛羅! ……だが、両者とも直ちに医療班へ!」

 

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モモカ「連……! 連!」

 

モモカがようやく駆け寄り、連のボロボロの体を抱きかかえました。九重も連の胸の上で心配そうに鳴き、その尾を連の頬に寄せます。

 

連「……ハァ、ハァ……。悪い……モモカ……」

 

モモカ「いいの、もういいのよ……。頑張ったわね、連」

 

連は意識が遠のく中、自分を守るように立っている出雲の背中を見上げました。

 

連「……先生。俺の……負けだ……」

 

出雲「ええ、完敗ね。でも、死んだら次がないわよ。……よく耐えたわ、私のバカ弟子」

 

出雲の声は優しく、しかしどこか誇らしげでした。

連はティアラとアローが口寄せを解かれて消えていくのを感じながら、モモカの腕の中で深い眠りへと落ちていきました。

 

中忍試験本戦。最強の雷龍を宿した少年の初陣は、残酷な敗北と、それ以上に深い「絆」の確認を持って幕を閉じました。

 

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