結界が解け、三代目火影・ヒルゼンがその生涯を閉じた瞬間、里には重苦しい沈黙が流れました。
連は、屋根の上で拳を血が滲むほど握りしめていました。
連(……何もできなかった。あれほど強さを求めたのに、結局俺は、特等席で師の死を眺めていただけの観客じゃないか……!)
胸の奥からせり上がる、焼けるような憤怒と、己の不甲斐なさへの嘆き。その負の感情が、モモカから分け与えられた「うちはの血」と、連の精神世界に住まうバアルの「破壊の衝動」に火をつけました。
連「——っ、ぐあ、あああああ!!」
突如、連の両目に、脳を直接焼かれるような激痛が走りました。
モモカ「連!? どうしたの!?」
駆け寄るモモカが見たのは、連の目から涙のように溢れ、頬を伝い落ちる鮮血でした。
連が顔を上げ、その目を見開いた瞬間。
そこには、モモカと同じ、しかしより禍々しく紫電の火花を散らす**「写輪眼」**が赤く輝いていました。
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大蛇丸「……ほう。これは、驚いたわね」
退却しようとしていた大蛇丸が、足を止めました。その冷酷な瞳が、歓喜に歪みます。
大蛇丸「うちはの血を引かぬ者に、これほど純度の高い写輪眼が開眼するとは……。赤髪のうちはの娘の血か、あるいは私の呪印との化学反応か……。連君、君はやはり、サスケ君以上の『器』かもしれないわね」
大蛇丸が、獲物を定める蛇のように連へと歩み寄ります。
しかし、その行く手を、紅いチャクラを纏った出雲が遮りました。
出雲「それ以上、その子に近づくんじゃないわよ……大蛇丸!」
大蛇丸「出雲……。相変わらず、ヒルゼンに似て鬱陶しい女だね」
出雲の背後から溢れる殺気は、先ほどまでの彼女とは別人のようでした。愛した師を奪われた怒りが、彼女を真の「鬼神」へと変えていました。
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多勢に無勢、そして両腕を封じられた大蛇丸は、わずかに舌なめずりをして連を見つめました。
大蛇丸「今は退くとしましょう。だが連君……君のその眼は、いずれ里の光の中では制御できなくなるでしょう。力を欲し、その眼の真実を知りたくなった時は……いつでも私の元に来なさい」
その言葉を残し、大蛇丸は煙のように姿を消しました。
連「……ハァッ、ハァッ……。……眼が、熱い……」
連は膝をつき、自分の手のひらを見つめました。写輪眼を通して見る世界は、あまりにも鮮明で、そして残酷でした。
モモカが震える手で連の顔を包み込みます。
モモカ「連……どうして……私の血が、貴方をこんな……」
連「……モモカ、泣くな。……これは、俺が望んだ力だ。……里を守り、あいつを殺すための……」
連の瞳に宿る一巴の写輪眼。それは、連が「人」としての道を外れ、さらなる修羅の道へと踏み出した証でした。バアルの雷と、うちはの魔眼。二つの禁忌を宿した少年の、本当の戦いがここから始まろうとしていました。
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三代目火影の葬儀が終わり、里に深い悲しみと再建への決意が混在する中、連の体は驚異的な回復を遂げていました。モモカの血が馴染んだのか、あるいは新たに目覚めた「眼」が細胞を活性化させているのか。
里外れの演習場。連は静かに目を閉じ、集中を高めます。
モモカ「……行くわよ、連。しっかり見てて」
正面に立つモモカが、一巴の写輪眼を起動させました。連もまた、深く息を吐き、目を見開きます。
連「——写輪眼」
連の瞳に、鮮血のような紅が宿りました。
かつてはカカシやモモカの眼を「見る側」だった彼が、今は「見せる側」として世界を捉えています。
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バアル「(『ククク……小僧、その眼はどうだ? 妾の雷が、いつもより鮮明に見えるのではないか?』)」
バアルの言う通りでした。
モモカがクナイを投げると、その軌道がスローモーションのように脳裏に焼き付きます。しかし、連にとっての真の驚きは、自らのチャクラを練った瞬間に訪れました。
連「**紫電流・壱ノ型——『迅雷(じんらい)』!**」
これまでは、バアルの強力すぎる雷の流動を、連の神経系が処理しきれず、わずかな「ブレ」が生じていました。しかし、写輪眼による超感覚の視覚は、体内のチャクラの奔流さえも精密に捉え、無駄な放電を完全に抑制します。
モモカ「……凄い。連の動きから、無駄な火花が消えたわ」
モモカが驚嘆の声を上げました。
連はそのまま右手にチャクラを集中させます。
**キィィィィィィン!!**
かつてカカシに教わった「千鳥(紫電)」。以前は直進しかできなかったその技が、今は写輪眼の動体視力によって、敵の反撃を「見切り」ながら、鋭いカーブを描いて空気を切り裂きました。
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連「……モモカ、九重。次は連携のテストだ。俺の眼が、お前たちのチャクラをどこまで追えるか試したい」
モモカ「わかったわ。九重、行くわよ!」
九重「(コン!)」
モモカの合図で、九重が幻術を織り交ぜた高速移動を開始します。通常なら残像に惑わされる場面ですが、連の写輪眼は、九重が放つ微弱な「幻術の糸」を、色のついたチャクラの揺らぎとして見抜きました。
連「——そこだ!」
連は最小限の動きで九重の進路を塞ぎ、指先から放った極小の紫電で、九重が作り出した幻覚の核を正確に撃ち抜きました。
モモカ「……驚いたわ。私の写輪眼よりも、連の眼の方が『エネルギーの解像度』が高い気がする。……バアルのチャクラと混ざっているせいかしら」
連「……ああ。だが、消耗も激しいな。眼の奥が焼けるようだ」
連は膝をつき、肩を上下させました。
うちはの血を引かぬ体での写輪眼行使は、カカシと同様、激しいチャクラ消費を強います。しかし、連の手には確かな手応えが残っていました。
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モモカ「連、無理はしないで。その眼は……私があげたものだけど、同時に貴方を苦しめる呪いにもなる」
モモカが心配そうに歩み寄り、連の目元の汗を拭いました。
連は自分の右手を握り締め、紅く光る瞳をモモカに向けました。
連「……呪いでもいい。この眼があれば、次は誰も死なせずに済むかもしれない。バアルの雷を、俺はこの眼で完璧に御してみせる」
その瞳には、かつての「道具」としての冷徹さではなく、愛する仲間を守り抜くという、一人の「忍」としての強い光が宿っていました。
連「……さあ、続きをやるぞ。本戦で負けた分、取り返さなきゃならないからな」
夕暮れの演習場に、再び紫の雷鳴と、それを見守る紅き瞳の光が交錯し始めました。
里の悲劇を乗り越え、少年と少女は、かつてない高みへと歩みを進めていました。
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