NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第23話 左目の先師

 

 

特訓中の演習場に、場違いなほど軽やかな足音が響きました。

 

カカシ「……おっと、取り込み中かな?」

 

木の上から逆さまに現れたのは、カカシでした。しかし、その気だるげな視線が連の「紅い瞳」を捉えた瞬間、カカシの額当てに隠された左目がピクリと動きました。

 

カカシ「連……その眼、冗談じゃないみたいだね。うちはの血を引かない君が、自力で開眼まで漕ぎ着けるとは」

 

カカシは地面に降り立ち、自身の額当てを跳ね上げました。そこには、連と同じ、しかしより熟練の深みを湛えた三巴の写輪眼が鎮座していました。

 

連「……カカシ先生。俺は、この眼を呪いではなく武器にしたい」

 

連が真っ直ぐに見返すと、カカシは少しだけ困ったように笑い、それから鋭い師の顔になりました。

 

カカシ「いいかい連。写輪眼は『見る眼』じゃない。対象のチャクラ、筋肉の弛緩、呼吸……あらゆる情報を脳で『演算する眼』だ。君のような非うちは族にとって、最大の敵は敵忍じゃない。**『情報の過負荷』**だ」

 

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カカシの指導は、これまでの出雲のスパルタとは異なる、精密な理論に基づくものでした。

 

カカシ「全神経を眼に集めるな。情報の8割は捨てろ。必要なのは、敵の『次の一手』に繋がる予兆だけだ。……さあ、来るよ!」

 

カカシが超高速で結印します。

 

カカシ「**水遁・水龍弾の術!**」

 

連は必死に眼を凝らしますが、あまりに速い印の動きに脳が焼けつくような感覚に陥ります。

 

連「……っ、ぐ……見えな……」

 

カカシ「捨てろと言ったはずだ! 指の動きを追うな、肩の筋肉の『浮き』だけを見ろ!」

 

カカシの叱咤に、連は意識を切り替えました。眼に入る全ての情報を処理するのをやめ、カカシのチャクラが「右肩」から「腕」へ流れる瞬間だけに絞り込んで視覚を固定します。

 

すると、混沌としていた世界が、一筋の明快な線へと変わりました。

 

連「……見えた!」

 

連はカカシの印が終わる直前に、その動きを模倣し、相殺する紫電を放ちました。

 

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### 第107章:コピー忍者の系譜

 

カカシ「……ふぅ。合格だ。さすがは僕の弟子候補といったところかな」

 

カカシは額当てを戻し、連の肩を叩きました。

 

カカシ「君の写輪眼は、バアルの雷と共鳴して『神経伝達速度』を異常なまでに高めている。いわば、僕よりも『速い』。……だが忘れるな、連。その眼は、君が独りで戦うためのものじゃない」

 

カカシの視線の先には、心配そうにこちらを見守るモモカと、寄り添う九重、空を舞うアロー、そして伏せているティアラがいました。

 

連「……この眼をくれたのは、モモカだ。……わかっています」

 

連は自らの写輪眼を閉じました。まぶたの裏に、モモカの血の温もりと、カカシに教わった「世界の切り取り方」が残っています。

 

連「カカシ先生……感謝します。この眼で、俺は俺のやり方で『コピー忍者』を超えてみせる」

 

カカシ「はは……頼もしいね。……さて、次は『千鳥』のさらなる応用……写輪眼による『完全な雷術の形状変化』を教えようか」

 

カカシの提案に、連の瞳が再び紅く、そして力強く輝きました。

「写輪眼」という同じ運命を背負った師弟。その絆が、連をさらなる異能の高みへと押し上げようとしていました。

 

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演習場の空気は、極限まで練り上げられたチャクラによって、ピリピリと肌を刺すような静電気を帯びていました。カカシは右手に『千鳥』を宿しながら、連の写輪眼を真っ直ぐに見つめます。

 

カカシ「連、君の『紫電』は強力だが、まだ『塊』をぶつけているに過ぎない。写輪眼の真骨頂は、その圧倒的な観察眼でチャクラの流動をミリ単位で制御し、**物理的な形状を固定(ホールド)**することにある」

 

カカシが印を結ぶと、手の内の雷が細長く伸び、一本の鋭い槍へと姿を変えました。

 

カカシ「**千鳥鋭槍(ちどりえいそう)**。……そして、これだ」

 

次の瞬間、雷の槍は千の細い千本(せんぼん)へと分裂し、周囲の的に寸分違わぬ精度で突き刺さりました。

 

連「……雷を、針に変えた……」

 

連は息を呑み、自らもうちはの眼を全開にします。写輪眼越しに見るカカシの雷は、無数の極細の糸が複雑に絡み合い、意志を持って編み上げられているかのような、緻密な構造体として映し出されました。

 

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バアル「(『連よ……その眼で視(み)ろ。妾の力をただ垂れ流すな。編み上げろ、龍の鱗を、牙を、髭を!』)」

 

バアルの咆哮に応じるように、連は右手に紫電を集中させました。写輪眼が、溢れ出そうとするバアルの奔放なチャクラを、一つ一つ「繋ぎ目」として認識していきます。

 

連(……逃がさない。ここを絞り、ここで固める……!)

 

連が指先を鋭く突き出すと、手の甲から数本の紫の雷が、鞭のようにしなやかに伸びました。それはまるで生き物のように空中でうねり、標的の木を「斬る」のではなく、複雑に「絡め取って」から内部へ放電しました。

 

連「……できた。**紫電流・形状変化——『龍髭(りゅうし)』**」

 

カカシ「いいセンスだ。……だが、それだけじゃないだろう?」

 

カカシの挑発的な微笑みに、連はさらに眼を凝らしました。視界の隅々まで走るチャクラの経路を最適化し、今度はその『髭』を一点に集束させ、極限まで圧縮します。

 

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キィィィィィィン!!

 

連の右手に、これまでの千鳥よりも遥かに静かで、しかし密度において比較にならない「小さな雷の刃」が形成されました。それは連の指先に沿って、透明感すらある紫の短剣となって定着しています。

 

モモカ「……すごい、連! チャクラのロスがほとんど無いわ!」

 

見守っていたモモカが歓喜の声を上げました。写輪眼の補正により、連は自分を焼き切る恐れのない、完璧に制御された「雷の武装」を手に入れたのです。

 

連「……カカシ先生。これで、盾を抜くだけじゃなく、敵の急所を『縫う』ことができます」

 

カカシ「ああ。写輪眼による形状変化は、術者の想像力次第だ。……君のその雷は、もはや千鳥とは別の次元……**『紫電・断(だん)』**とでも呼ぶべきかな」

 

連は自らの右手に宿る、美しくも恐ろしい紫の刃を見つめました。写輪眼という精密な「筆」を得たことで、バアルの粗削りな力は、洗練された「芸術」へと昇華されたのです。

 

連「……これなら、いける」

 

連の瞳に宿る紅い巴が、さらなる強敵を求めて静かに回転しました。

 

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