里の表門。そこには、自来也と共に大きなリュックを背負ったナルトの姿がありました。
ナルト「連、モモカちゃん! 必ず強くなって、サスケを連れ戻してくるからよ! 待ってろよな!」
連「ああ。……お前も死ぬなよ、ナルト」
連はナルトと拳を合わせ、その背中を見送りました。ナルトが「自来也」という伝説を選んだように、連とモモカもまた、自分たちの限界を超える道を選んでいました。
モモカ「……行ったわね、あの子」
モモカが呟き、隣の連を見ました。彼女の視界は、万華鏡開眼の影響で、端の方が僅かに霞み始めています。それを隠すように、彼女は強く扇子を握りしめました。
出雲「——さて。感傷に浸る時間は終わりよ。死ぬ準備はできてるかしら?」
背後から、冷徹な殺気を孕んだ出雲の声が響きました。
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連たちが連れてこられたのは、里の北方に位置する「絶望の崖」と呼ばれる、常に暴風が吹き荒れる断崖絶壁でした。
出雲「これから三年間、あんたたちに課すのは『五感の遮断』と『限界の更新』よ」
出雲が印を結ぶと、特殊な結界が二人を包み込みました。視界が真っ暗になり、音すら聞こえなくなる。ただ、肌を刺す風の冷たさと、心臓の鼓動だけが響く空間。
出雲「モモカ、あんたは万華鏡に頼りすぎている。眼を使わず、チャクラの『熱源』だけで世界を視なさい。連、あんたはバアルのチャクラを制御しようとするな。『同化』して、自分の血の一部として回し続けなさい」
ドォォォォン!!
出雲の容赦ない無属性のチャクラ弾が、闇の中から二人を襲います。
連「が、はっ……!」
見えない攻撃。連は地面を転がりますが、すぐさま立ち上がります。
連(……クソッ、見えない。だが、バアルの雷を全身の神経に流せば……!)
バアル「(『……連よ、ようやく面白くなってきたな。妾の全てを注ぎ込んでやる。壊れるか、神に成るか、選べ!』)」
バアルの紫電が、連の血管を、細胞を、一つ一つ焼きながら書き換えていきます。
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一方、モモカもまた、自らの内に流れる「うちはの血」と向き合っていました。
モモカ(眼を閉じて。……連の雷の波形を感じる。九重の幻術の残り香を探す。……視力なんて、最後の一撃までいらない!)
彼女の肩では、九重が三つの尾を激しく揺らし、主人の精神を現実へと繋ぎ止めています。
出雲「いい顔になってきたじゃない」
出雲は、二人が吐血しながらも、互いのチャクラの気配だけを頼りに、闇の中で見事な連携攻撃(コンビネーション)を繰り出し始めたのを見て、口角を上げました。
出雲「連……モモカ。三年の後、あんたたちが大蛇丸を、そして『?』を震え上がらせる存在になっていなきゃ、私が直接引導を渡してあげるわ」
吹き荒れる嵐の中、連の紫電はより鋭く、モモカの紅蓮はより静かに、その牙を研ぎ澄ませていきました。
ナルトが里を離れ、サスケが闇に染まる中、木ノ葉の影で、最強の「双星」が生まれようとしていました。
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ナルトが旅に出て一年。出雲の地獄のような修行を経て、連はバアルのチャクラを半分までその制御下に置いていました。そんな出雲班に下された五代目火影・綱手からの勅命。それは、木ノ葉の抜け忍であり、これまでに500人以上の忍を毒牙にかけた大犯罪者・**真保(まほ)**の抹殺。
一行が辿り着いた国境付近の村は、異様な静寂に包まれていました。
出雲「……気をつけなさい。この女、ただのビッチじゃないわ。幻術の強度が異常よ」
出雲が警告した瞬間、甘ったるい香りが風に乗って漂いました。
真保「あらぁ……素敵な坊や。ねぇ、お姉さんと楽しいことしましょうよ?」
闇から現れた真保の瞳が怪しく光ります。連が「写輪眼」を起動させようとした刹那、脳内に強烈な痺れが走りました。修行の疲れ、そしてバアルのチャクラの負荷。その僅かな隙を、真保の「淫らな殺意」が突き抜けたのです。
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連の意識は混濁し、現実と夢の境目が消失しました。
彼が見ていたのは、真保との悦楽の夜。しかし、その背後で真保の術は連の認識を完全に書き換えていました。
連「……っ、殺してやる……この化け物め!!」
連の視界では、目の前にいるのは自分を食い尽くそうとする「真保」の姿をした怪物たち。連は叫びながら、完成させたばかりの『紫電・断』を振り回しました。
ドスッ、という生々しい肉体の感跡。
モモカ「……れ……ん……くん……」
耳元で聞こえたはずの消え入るような声。しかし幻術に狂わされた連には、それが怪物の断末魔にしか聞こえません。さらに襲いかかってくる「もう一体の怪物(出雲)」の腹部を、連は容赦なくバアルのチャクラを込めた一撃で貫きました。
出雲「……あがっ……連……あんた……」
出雲が血を吐きながら崩れ落ちた瞬間。連の脳内で、バアルがかつてないほどの激しい咆哮を上げました。
バアル(『目醒めよ小僧!! 主が斬ったのは何だと思っている!!』)
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霧が晴れるように幻術が解けた時、連の視界を埋め尽くしたのは、絶望という名の地獄でした。
足元に横たわっているのは、胸を深く貫かれ、動かなくなった**モモカ**。
そして、その傍らで自分の手によって重傷を負い、血の海に沈んでいる師・**出雲**。
連「あ……あぁ……モモカ……? 先生……?」
連の指先から、モモカのまだ温かい血が滴り落ちます。真保は少し離れた場所で、腹を抱えて笑い転げていました。
真保「アッハハハ! 最高! 自分で愛する女を殺す気分はどう? ねぇ、どんな気持ち!?」
連「………………ッ!!」
連の脳内で、何かが決定的に砕け散りました。
深い嘆き、自分への激しい憎悪、そして真保への底知れぬ殺意。
連の両目から、鮮血が溢れ出しました。
連「殺す……殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!」
カッ、と見開かれた連の両目。
その瞳孔に向かって三つ巴が鋭く尖り、背景にはモモカの眼と同じ、八重桜の花弁が重なる絶望の紋様が刻まれました。
**『万華鏡写輪眼』。**
連の背後から、噴き出したチャクラが紅緋色の骸骨を形成し、怒りの咆哮を上げました。
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真保「な……何よその眼……!?」
真保の顔から余裕が消えました。
連「【紅蓮雷鳴(ぐれんらいめい)】。**」
連が真保を凝視した瞬間、右目の能力で虚空から深紅の電光が爆発的に収束しました。
真保「あぎゃああああ! 熱い、熱いぃぃ!!」
真保の右腕が、一瞬で融解し、炭化して吹き飛びます。
連「逃がさない……【比良坂】!!」
連は左眼で空間を固定し、形成されたスサノオの腕で巨大な**「雷槍」**を具現化させました。
連「**『熾盛・神鳴矢(しじょう・かみなりのや)』!!**」
空間に空いた穴に、紅い雷を纏った槍を突き入れる。次の瞬間、逃げようとした真保の胸のド真ん中から、唐突に深紅の刃が突き出しました。
真保「が……はっ……」
連「塵一つ……残さない。」
連が念じた瞬間、槍から放たれた超高電圧の雷鳴が真保の肉体を内側から爆発させ、細胞の一つに至るまで焼き尽くしました。
静まり返った戦場。連はスサノオを解き、血まみれの手でモモカの亡骸を抱きしめました。
連「モモカ……嘘だろ?な、なぁ……目を開けてくれ!……モモカ!!」
連の悲痛な叫びが、無情にも夜の森に消えていきました。
最愛の者を自らの手で殺めた代償として得た、神の如き双眸。
連の「復讐者」としての真の物語が、この凄惨な夜から始まろうとしていました。
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