木ノ葉を後にし、血の腐臭を漂わせながら闇を彷徨う連の前に、その「組織」は姿を現しました。
場所は年中雨が降り続く、鉄の塔が立ち並ぶ異形の里・雨隠れ。
連の前に立つのは、神の如き威圧感を放つ六道の瞳を持つ男、**ペイン**。そして、かつて一族を屠り、連と同じ「万華鏡」を持つ男、**うちはイタチ**。
ペイン「……来たか。里を捨て、自らの手で愛を葬り、闇に落ちた者よ」
ペインの冷徹な声が雨音を切り裂きます。連はその汚れきった姿のまま、永遠の万華鏡写輪眼を見開きました。その瞳の輝きは、雨の暗闇の中でも不気味に、そして誇り高く燃えています。
連「……俺に、世界を壊す力をくれ。……そのためなら、何でも差し出す」
小南「ふん……。不衛生な化け物ね」
隣で青い髪をなびかせる小南が、連の凄まじい体臭と血の匂いに眉を潜めました。しかし、イタチだけは静かに、連の瞳の奥にある「深淵」を見つめていました。
ペイン「連よ。お前が手に入れたその眼……『永遠』の重みを知っているか。それは多くの犠牲の上に成り立つ、呪いの極致だ。……お前にその資格があるか、試させてもらう」
ペインが静かに手を上げました。
ペイン「暁に入りたければ、相応の価値を示せ。……入団試験だ。北方の山岳地帯に、岩隠れと通じる武装教団の砦がある。そこには、かつて大蛇丸が捨てた『失敗作』たちの軍勢、三千人が立て籠もっている。……夜明けまでに、その全てを絶滅させてこい。一人でも生かして帰れば、貴様の死をもって不合格とする」
連「……三千人、か」
連は乾いた唇を吊り上げ、歪な笑みを浮かべました。
連「少ないな。……モモカの喉を潤すには、もっと多くの血が必要だ」
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岩隠れに近い峻険な山脈。そこに築かれた要塞は、大蛇丸の実験によって理性を失い、獣のような筋力と再生能力を得た「失敗作」たちの巣窟でした。彼らはただ飢え、周囲の村を襲い、肉を喰らうだけの害獣。
連は、夜の帳が降りる頃、たった一人で要塞の正門に立ちました。
血に固まった装束が風に吹かれ、バリバリと硬い音を立てます。
連「……バアル。腹は減っているか」
バアル「(『ククク……主よ。今夜はご馳走だな。……全霊で行け。妾の雷ですべてを焼き尽くし、その眼で地獄を描け!』)」
連の足元から、どす黒い漆黒の雷が地を這うように広がりました。
モブ「何だ、ありゃ……? 餓鬼が一人……?」
見張りの男が声を上げた瞬間、連の右眼が微かに回転しました。
連「【紅蓮雷鳴】」
音も無く、深紅の雷光が見張りの頭部を蒸発させました。爆発音すら遅れてやってくる、絶対的な破壊。それが、虐殺の幕開けを告げる鐘の音となりました。
連は要塞の中へと歩を進めました。四方八方から、異形の筋肉を隆起させた「失敗作」たちが、咆哮を上げながら襲いかかってきます。
連「**紫電流・形状変化——『龍髭(りゅうし)』**」
連の手のひらから、数十本の黒い雷の鞭が伸び、空中を縦横無尽に駆け巡りました。それは生き物のように敵の首に巻き付き、瞬時に超高電圧を流し込んで内側から破裂させていきます。一歩歩くごとに、十、二十の肉体が、肉の破片となって飛び散りました。
モブ「化け物だ! 化け物が出たぞぉぉ!!」
逃げ惑う者たちの叫び。しかし、連の左眼がそれを許しません。
連「【比良坂】」
空間が捻じ曲がり、逃げ場を失った敵が、連の目の前へと「引き戻され」ます。連は無表情のまま、モモカから受け継いだ『紫電・断』を振るい、機械的に急所を縫い、命を刈り取っていきました。
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要塞の最深部。巨大な広場に、残った数千の軍勢が集結しました。彼らは死の恐怖を克服するため、大蛇丸から与えられた強化薬を一斉に服用し、山のような肉の塊となって連に圧し掛かろうとします。
連「……面倒だな。……一気に終わらせる」
連のチャクラが爆発しました。
永遠の万華鏡が、真の力を解放します。
連「**須佐能乎(スサノオ)!!**」
紅緋色の巨大な骸骨が、天を衝くほどの大きさで具現化しました。筋肉が編み上げられ、女性的な輪郭を持つ甲冑が全身を覆う。そして左手には、空間を喰らう**「比良坂の大弓」**。右手には、深紅の稲妻を放つ**「雷槍」**。
モブ「な……なんだ、あの巨人は……!」
連「**『紅蓮・神産巣日(ぐれん・かみむすび)』**」
連の声は、もはや人のものではなく、神の宣告のように響きました。
スサノオが雷槍を弓につがえ、極限まで引き絞ります。右眼の「紅蓮雷鳴」が槍に過剰なまでの熱量を注ぎ込み、左眼の「比良坂」が要塞の全域を「必中」の範囲として固定しました。
放たれた。
それは、攻撃というよりは「事象の消去」でした。
放たれた瞬間に槍は空間を飛び越え、要塞の中央で炸裂。紅い衝撃波が、円状に広がりながら、三千人の肉体を、鋼鉄の壁を、そして山そのものを「蒸発」させていきました。
轟音が止んだ時、そこには月明かりに照らされた、広大な更地だけが残っていました。
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夜明け前。
連は返り血でさらに汚れ、もはや元の服の色すら判別できない姿で、雨隠れの塔へと戻りました。
背負った殺気と血の匂いは、出発前の数倍に膨れ上がっています。
待っていたペインとイタチの前に、連は一人の生存者もいないことを証明する「要塞の旗」を無造作に放り投げました。
連「……終わったぞ。……次は、誰を殺せばいい」
ペインの輪廻眼が、連の瞳を凝視しました。
ペイン「……三千の命を、一晩で。……痛みを知らぬ冷徹さ、そしてその圧倒的な武力。……認めよう。貴様は今日から、暁の一員だ」
小南が一歩前に出ました。彼女の手には、黒い生地に赤い雲が美しく、しかし禍々しく刺繍された長装束が握られていました。
小南「……その汚れた服は捨てなさい。……これからは、この組織が貴様の居場所よ」
連は、差し出された「暁」の衣を手に取りました。
一年間、一度も洗うことのなかった血塗れの服を脱ぎ捨て、彼は新たな闇の装束を身に纏います。
それは、彼が「木ノ葉の忍」として生きた過去を、完全に、物理的にも精神的にも決別させた瞬間でした。
連「……モモカ。……これが、俺たちの新しい服だ」
連は万華鏡の奥で微笑む少女に語りかけました。
イタチは、連の隣に歩み寄り、静かに告げました。
イタチ「連。……お前の道は、孤独だ。だが、その眼がある限り、お前は最強の『盾』であり、最凶の『矛』となるだろう。……ようこそ、闇の奥へ」
雨隠れの里に、新しい太陽は昇りませんでした。
ただ、紅い雲を纏った一人の少年が、静かにその場を去っていきました。
彼が行く先々には、もはや慈悲はなく、ただ紅蓮の雷鳴と、永遠の絶望だけが吹き荒れることになります。
こうして、「暁」の新しいナンバー、**「紫電の連」**が誕生しました。
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