NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第36話 新たなる神命、五尾と七尾

 

 

雨隠れの里の最上層。鉄の塔を叩く雨音は、どこか弔鐘(ちょうしょう)の響きに似ていた。

連は預かっていた二尾のチャクラの封印を完了し、ペインへの報告を終えたところだった。そこへ、虚空から現れた「ゼツ」の半身が、粘つくような声で告げた。

 

ゼツ「……連。面白いニュースだよ。あの大蛇丸が殺された。……君のよく知る、うちはサスケの手によってね」

 

連の眉が、僅かに動いた。

 

連「……サスケが、大蛇丸をか」

 

一年前、自分にモモカの眼を移植し、永遠の万華鏡を与えた狂気の科学者。いつか自分の「器」を奪いに来ると公言していた男の死。連は無意識に、首筋に刻まれた三つ巴の「呪印」に指を触れた。

 

連(……大蛇丸が死んだのなら、この呪いは消えるはずだ)

 

しかし、指先に伝わってくるのは、以前と変わらぬ禍々しい熱量と、脈打つような不快なチャクラの波動だった。呪印は消えるどころか、主の死を嘲笑うかのように、より深く連の細胞へと根を張っていた。

 

連「……消えていない。……いや、むしろ俺の中に同化し始めているのか」

 

躯「あはっ! 大蛇丸様、死んじゃったの? つまんないのー。あの人の実験、痛くて最高だったのに!」

 

隣で躯(ムクロ)が、自分の腕に刻まれた術式を爪で引っ掻きながら笑う。

 

連「……サスケは、もうかつての弱者ではないということだ。……連よ、お前もいつまでも過去に囚われるな」

 

ペインの無機質な声が、広間に響き渡った。

 

---

 

 

 

ペイン「大蛇丸の死など、我々の計画の些末な事象に過ぎん。……連、躯。休む間もなく次の命を下す」

 

ペインが印を結ぶと、背後の闇から二つの巨大な人柱力の幻影が浮かび上がった。

一つは、蒸気を操る巨躯の持ち主、土の国の**五尾・穆王(コクオウ)**。

もう一つは、巨大なカブトムシのような翼を持つ、滝の国の**七尾・重明(チョウメイ)**。

 

ペイン「五尾の人柱力・ハンは、岩隠れの里の外縁にて修行中だ。七尾の人柱力・フウは、滝の隠れ里にて厳重に保護されている。……この二体を、お前たち二人で同時に、あるいは迅速に順次捕獲せよ」

 

躯「二人で二体……? あはっ、連! 忙しくなるね! 蒸気で焼かれるのと、虫に刺されるの、どっちが痛いかなぁ!」

 

躯が歓喜に身体をくねらせるが、連は冷徹な瞳を崩さなかった。

 

連「……五尾と七尾。……了解した。……だが、滝の里は『英雄の水』で知られる難攻不落の地。……根こそぎ焼き払うことになるが、構わないな」

 

ペイン「目的は人柱力の回収のみだ。……それ以外のすべては、お前の『裁量』に任せる。……神の痛みを、世に知らしめてこい」

 

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数日後。土の国、常に霧と蒸気が立ち込める「煙突山」。

連と躯は、巨大な鎧を纏った五尾の人柱力・ハンと対峙していた。

 

ハン「……暁か。……この蒸気の檻から、生きて出られると思うなよ」

 

ハンが背中の煙突から超高圧の蒸気を噴射し、音速に近い速度で突進してくる。

ドォォォォン!!

大地が陥没し、衝撃波が山を震わせる。

 

連「……遅いな。……【比良坂】」

 

連は左眼で空間を僅かにずらし、ハンの突進を空振らせる。直後、右眼の紋様が激しく回転した。

 

連「【紅蓮雷鳴】!!」

 

漆黒の雷が、ハンの鎧の隙間を縫って内部へと侵入する。

 

ハン「ぬ、ぉぉぉぉっ!? 蒸気が……雷で分解される……!?」

 

連「躯、やれ。」

 

躯「はーい! **口寄せ忍法・遍身武装——『血釘』!!**」

 

躯が指先の術式から、数千本の極細の千本を弾丸のように射出する。それは連の雷によって帯電し、ハンの神経系をピンポイントで麻痺させていった。

 

躯「あはは! 凄い、鎧の中がアツアツだよ! もっと鳴いて、もっと蒸気を出して!」

 

数分後。五尾の巨躯は、連の漆黒の雷に完全に沈黙し、白煙を上げながら地面に伏した。連はハンの首を掴み、無造作に地面を引きずりながら、次の目的地——滝の国へと歩き出した。

 

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滝の国。巨大な滝の裏側に隠された、歴史上一度も他国の侵入を許さなかった難攻不落の里。

だが、連の「永遠の万華鏡」の前では、どんな秘匿された結界も無意味だった。

 

連「……九重。……少し派手に行くぞ」

 

九重「(『……心得ました、主よ。……この鬱陶しい滝の音、火の海で掻き消してやりましょう』)」

 

連が口寄せした九重は、三つの尾を扇状に広げ、連の漆黒の雷を吸収して巨大な火の鳥へと変貌した。

 

連「**紅蓮・九重流——『焦熱の滝落とし』!!**」

 

巨大な炎の塊が滝を蒸発させ、里の入り口を文字通り「消滅」させた。

里の忍たちがパニックに陥る中、七尾の人柱力・フウが空へと舞い上がる。

 

フウ「何をするのさ! 私の里を、みんなを傷つけないで!」

 

連「……死人に口なしだ。」

 

連はスサノオを顕現させた。

紅緋色の巨人が、背中から六枚の翼を広げ、空中のフウを追い詰める。

左手の「比良坂の大弓」が引かれ、右手の「雷槍」が矢としてつがえられる。

 

連「**『紅蓮・神産巣日』。……逃げ場はない**」

 

放たれた雷の矢は、空を切り裂き、フウの翼を根元から焼き切った。

墜落する少女。躯が空中で彼女をキャッチし、腹部から引き出した「大鎌」の峰で彼女の経絡を叩き潰した。

 

躯「あはっ! 捕まえた! 綺麗な羽だね、これも剥いじゃっていい?」

 

連「……連れて行くぞ。儀式が待っている」

 

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二体の人柱力を引きずり、連と躯は再び雨隠れの里へと戻った。

二尾、五尾、そして七尾。

連が関わった尾獣の回収は、すべてにおいて完璧な成功を収めていた。

 

ペインの前に、二体の生け贄が並べられる。

 

ペイン「……見事だ、連。……大蛇丸という『過去』を捨て、お前は真に神の使徒へと近づいた」

 

連は自分の手を見つめた。

身体は疲れを知らず、視界は永遠に明瞭だ。大蛇丸の死によって呪印が消えなかったのは、もはやこの呪いさえも「自分の力」として完全に取り込んだ証拠なのだと、連は悟った。

 

連「……次は何だ。……九尾か?」

 

ペイン「……九尾は最後だ。……次は、蛇(サスケ)が動き出す。……連よ、お前の兄弟子とも言えるサスケが、イタチを追っている。……それをどう見る?」

 

連の脳裏に、かつて競い合ったサスケの横顔が浮かんだ。

だが、今の連に宿るのは、懐かしさではなく、ただ一人の「万華鏡保持者」としての冷徹な闘争心だけだった。

 

連「……どちらが勝とうと、俺には関係ない。……残った方を、俺が喰らうだけだ」

 

連の眼の中で、モモカの八重桜が不気味に脈動した。

大蛇丸の死。尾獣の回収。そして、うちは一族の宿命の決戦。

すべての歯車が、連という「絶望の象徴」を中心に、狂ったように回転し始めていた。

 

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