木ノ葉隠れの里がクレーターと化した、その直後の静寂。ペインがナルトに敗れ、長門がその命を賭して「輪廻天生」を発動させたという報せは、白ゼツの口から連へと伝えられた。
ゼツ「……長門は死んだよ。木ノ葉の連中も生き返っちゃった。面白くない結末だねえ、連」
連は、眼下に広がる再生の光景を冷たく見下ろした。命が戻ったところで、一度砕かれた魂と街が元に戻るわけではない。
連「……神を気取った男の、最期が人道主義か。反吐が出る」
ゼツ「そこで提案なんだけどさあ。君と同じように『永遠の眼』を欲しがっているサスケくんと合流してみたら? 彼もちょうど五影会談を襲撃しようと考えているみたいだし、君の目的とも利害は一致すると思うんだよね」
連の隣で、躯(ムクロ)が自らの首筋を鎌の先で突き、快楽に声を漏らしながら身を乗り出した。
躯「あはっ! サスケ? あの大蛇丸様を殺した子だよね! 良いねえ連、そいつと一緒に世界中の偉い人たちをバラバラにしに行こうよ!」
連は視線を遠く、鉄の国の方角へと向けた。
サスケ。かつて同じ班で背中を預け、そして互いに別の闇へと墜ちた男。彼がイタチの真実を知り、里への復讐を誓ったのであれば、今の連にとってこれ以上の「駒」はない。
連「……いいだろう。サスケを迎えに行く」
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鉄の国、雪の降りしきる廃墟の一角。「鷹」のメンバーと共に身を潜めていたうちはサスケの前に、漆黒の雷鳴と共に連と躯が姿を現した。
サスケ「……誰だ」
サスケが草薙の剣に手をかけ、鋭い眼光を向ける。その瞳は既に、イタチの眼を移植する前の、憎悪に燃える万華鏡写輪眼となっていた。水月、香燐、重吾が即座に戦闘態勢をとるが、連はただ静かにサスケを見据えた。
連「……サスケ。随分と惨めな顔をしているな」
サスケ「連……か」
サスケは剣から手を離さず、鼻で笑った。
サスケ「『暁』の狗(いぬ)が、何の用だ。俺は今さら、お前と馴れ合いに来たわけじゃない」
連「馴れ合いだと? 笑わせるな。俺がここに来たのは、お前の目的が『五影会談の襲撃』だと聞いたからだ。……そして、俺もまた、五影の首を求めている」
連の一言に、その場の空気が凍りついた。連の「永遠の万華鏡写輪眼」が不気味に回転し、サスケのまだ「永遠」ではない眼と火花を散らす。
連「俺は木ノ葉を、そして忍の世界そのものを否定する。そのための露払いとして、五影という旧時代の象徴を消す必要がある。サスケ、お前には力があるが、今のままでは五影全員を相手にするには足りない。……俺の『永遠の眼』を貸してやると言っているんだ」
サスケ「……永遠、だと?」
サスケの眼に、一瞬だけ動揺と渇望の色が混ざった。連が既に到達し、自分がまだ手にしていない高み。
躯「あはは! そうだよサスケくん。連の眼はね、どんなに血を流しても光を失わない、祝福された呪いなんだから!」
躯がサスケの背後に音もなく回り込み、香燐が悲鳴を上げる。
サスケ「近寄るな、小娘。……連、貴様の条件は何だ」
連「条件などない。ただ、目の前の敵をどちらが先に殺すか。それだけの勝負だ。……お前がダンゾウを殺したいのなら、俺はそれ以外の四影を引き受けてもいい」
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二人は雪の吹き込む廃屋の奥で、地図を広げた。
鉄の国で開催される五影会談。侍たちの鉄壁の防御に加え、火影(ダンゾウ)、雷影、風影、水影、土影という、忍界最強の五人が集う場所。
連「……侍の哨戒ルートはゼツが把握している。侵入経路は俺が『比良坂』で作る」
連は指先で地図の一点を指した。
連「俺と躯が正面から入り、侍と影の側近たちを引きつける。サスケ、お前たちはその隙に会談場へ突入し、ダンゾウを狙え。……九尾の人柱力(ナルト)が現れる可能性も高いが、その時は俺が相手をする」
サスケ「……フン、随分と自分に都合のいい役割分担だな」
サスケは冷たく言い放ちながらも、連の提案の合理性を認めていた。
サスケ「いいだろう。五影を混乱に陥れ、俺がダンゾウを仕留めるまで、貴様が場を保たせてみせろ」
躯「あはっ、面白そう! 雷影様の腕、何本に斬れるかな? 土影のおじいちゃんは、中身まで乾燥してるのかなぁ!」
躯が自らの鎖骨に刻まれた術式を掻きむしり、恍惚として笑う。
連は立ち上がり、外套の襟を立てた。
連「決まりだな。……サスケ。一つだけ忠告しておく。……『情』は捨てろ。ナルトや、かつての仲間の顔を見て揺らぐようなら、その時、俺はお前ごと五影を焼き払う」
サスケ「……忠告は不要だ。俺にはもう、闇しか見えていない」
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雪がさらに激しくなり、視界を白く染め上げる。
「暁」と「鷹」。二つの凶星が重なり、忍界の頂点へと牙を剥く。
連は心の中で、モモカの眼に語りかけた。
連(……見ていろ、モモカ。これから始まるのは、俺たちが受けた『痛み』の精算だ。里が、国が、歴史が、どれほどの重みで崩れ去るか……その特等席を見せてやる)
連の首筋の呪印が、黒く、鋭く脈動する。
サスケとの共闘。それは、木ノ葉に残った最後の一片の未練さえも、暴力によって完全に断ち切るための儀式だった。
連「行くぞ、躯。……神の不在を、奴らに教えてやる」
躯「了解、ボス! 最高の地獄を作ろうね!」
漆黒の雷光が雪原に走り、二人の影は鉄の国へと消えていった。
五影会談——それは、忍界の秩序が崩壊し、連とサスケという「二人の復讐者」が世界を震撼させる、血塗られた新時代の幕開けとなるはずだった。
連の「永遠の万華鏡写輪眼」には、もはや雪の白さは映っていない。
映っているのは、これから流されるであろう、おびただしい数の鮮血の紅さだけだった。
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