NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第4話 熱気と沈黙の奉仕

男の荒々しい足音と、玄関の閉まる音が静まり返った夜の隠れ家に響きました。

しばらくすると、湯殿から「連ー、入るわよー」という、事の後の少し掠れた、それでいて艶っぽい出雲の声が響きます。

連は慣れた手つきで、脱衣所に置かれた出雲の乱れた下着を籠にまとめ、湯気の立ち込める風呂場へと入りました。

 

 

 

 

湯船には、すでにゆったりと身を沈めた出雲がいました。

湯気の中で赤く火照った顔、そして湯面から惜しげもなく露わになっている、男の指跡がうっすら残る豊かなLカップの胸。彼女は目を閉じ、首を縁に預けてだらしなく笑いました。

 

 

出雲「あー……。今日の男、見かけ倒し。あんまり気持ちよくなかったわ……。ほら、連。ぼさっと突っ立ってないで、洗いなさい」

 

 

連は無言で出雲の背後に座りました。

まだ小さな手ですが、出雲との厳しい修行で鍛えられたその指先は、すでに忍としての力強さを持っています。

 

 

連「……失礼します」

 

 

連が石鹸を泡立て、出雲の白くなめらかな背中に手を置きます。

指先から伝わるのは、任務と情事で火照った師匠の体温。出雲は連の丁寧な手つきに「ん……そこそこ……」と、猫のように目を細めて声を漏らしました。

 

 

バアル(『……連よ、この女の肌、男の脂の匂いがして鼻が曲がるわ。妾の清浄なチャクラをこのような場所に使うなと言っておろうに』)

 

 

脳内でバアルが不機嫌そうに舌打ちをしますが、連はそれを無視して、出雲の凝り固まった肩甲骨の周りを重点的に解していきます。

 

 

出雲「あんた、マッサージだけは本当に上手くなったわね……。あ、腰。そこ、さっきの男に無理な体勢させられたから、重点的にね」

 

 

出雲は無防備に体を預け、連にされるがままになっています。連の視界には、彼女の首筋に残った紅い痕や、しなやかな腰の曲線が嫌でも入りますが、その瞳は鏡のように冷たく、一切の動揺を見せません。

 

 

連「……出雲先生。さっきの男、雲隠れの暗殺者(スパイ)でしたね。マッサージしながら、経絡系を少し突いておきました。明日には動けなくなっているはずです」

 

 

連が淡々と告げると、出雲は「あら、気づいてた?」と、くすくすと肩を揺らして笑いました。

 

 

出雲「さすが私の弟子。私もね、イかせながら情報を抜いといたわ。明日の任務のターゲット、あいつの雇い主よ。……ふふ、あんた、本当に可愛げがないけど……頼りになるわ」

 

 

出雲は湯船から上がり、濡れたままの体で連を振り返りました。

至近距離で対峙する、熟れきった大人の女性の肉体。しかし連は、ただ静かに出雲にタオルを差し出しました。

 

 

連「……早く寝てください。明日は四時起きです」

 

 

出雲「はいはい。冷たい弟子ね……。たまには師匠を抱くくらいの気概を見せなさいよ」

 

 

出雲は連の頬を濡れた指でピンと弾き、高笑いしながら湯殿を去っていきました。

一人残された連は、自分を囲う湯気を見つめ、少しだけ深く息を吐きました。

 

 

連「……バアル。さっきの男の毒、抜けたか」

 

 

バアル(『ふん。妾の紫電をもってすれば、あのような小細工、造作もない。……だが、あの女の毒にだけは、妾も抗えぬようだな、連』)

 

 

連は自らの掌を見つめました。

そこには、師匠の熱気と、紫の雷の残り香が、静かに混ざり合っていました。

 

 

 

 

 

 

 

午前四時。木ノ葉の正門を、二筋の「紫」と「白」の雷光が突き抜けました。

数時間後、火の国国境付近の深い森。そこには、昨夜の情事の気配など微塵も感じさせない、冷酷な「処刑人」としての二人の姿がありました。

 

出雲「連、準備はいい? 遊びは終わりよ」

 

出雲が愛刀「紫電丸」を抜き放つと、大気が震え、周囲の空間が紫色の電磁場に支配されます。

 

連「了解です。……一分で終わらせます」

 

連が腰の刀を抜き放つと、腹の中のバアルが歓喜の咆哮を上げました。

 

バアル(『ククク……よくぞこれほど獲物を用意した! さあ連よ、妾の雷でこの森ごと焼き尽くしてやろうぞ!』)

 

連「**紫電流・参ノ型——『雷龍咆(らいりゅうほう)』!**」

 

連が地を蹴った瞬間、その姿は消失。次の瞬間、敵陣の真ん中で巨大な龍の形をした紫電が爆ぜました。敵の悲鳴すら置き去りにする速度。出雲のしなやかな剣技と、連の圧倒的な破壊力が交差し、Sランク任務の標的であった武装集団は、反撃の暇もなく一瞬で沈黙しました。

 

返り血を浴びた出雲が、満足げに刀を収めます。

 

 

出雲「ふぅ……いい汗かいたわ。さ、連。あんたはそのままアカデミーに行きなさい。私は……ちょっと昨夜の男の残党を片付けてから、一杯引っ掛けて帰るわ」

 

連「……了解しました」

 

 

連は冷静に顔の血を拭うと、再び雷光となって木ノ葉へと引き返しました。

 

---

 

 

 

それから数時間後。アカデミーの教室では、ナルト、サクラ、そしてシカマルが神妙な顔で机を囲んでいました。

 

ナルト「なぁ……やっぱりアイツ、おかしくねーか?」

 

 

ナルトが声を潜めて言いました。

 

 

ナルト「今朝、じいちゃん(火影)の家の方から、すっげー勢いで紫の雷が飛んでいくのを見たんだってばよ! それにさ、アイツ、たまに女の人の香水の匂いがするだろ?」

 

サクラが大きく頷きます。

 

 

サクラ「そうよ! それに、さっき見たんだけど……連くんの首筋、少し赤くなってなかった? まさか、あんなにクールなのに、もう彼女がいるとか……」

 

シカマル「……いや、それだけじゃねーぞ」

 

シカマルが面倒そうに頬杖をつきながら、鋭い目付きで窓の外を見ました。

 

シカマル「アイツの指先、少し煤けてるだろ。あれは訓練の跡じゃねぇ。実戦を潜り抜けてきた奴の汚れだ。それに、あの独特の酒とタバコの入り混じった匂い……ありゃあ、相当『ヤベェ場所』から帰ってきた直後の匂いだぜ」

 

サクラ「そんなの、アカデミー生が普通行く場所じゃないわよ……!」

 

その時、教室の扉が静かに開きました。

廊下からの光を背負って入ってきた連の姿に、三人は息を呑みました。

 

連はいつものように無表情ですが、その肌からは微かにオゾン(雷)の香りと、出雲が今朝がけに「いってらっしゃい」と抱きついてきた時に移った、濃厚な化粧の香りが漂っています。

 

連「……何か用か」

 

連が氷のような視線をナルトたちに向けると、ナルトは思わず後ずさりしました。

 

 

ナルト「い、いや! なんでもねーってばよ! なぁ、サクラちゃん!」

 

サクラ「そ、そうよ! おはよう、連くん!」

 

連は彼らの動揺を無視し、一番後ろの席へ。

 

バアル(『ククク……連よ、小猿どもが主の背後に漂う「女の影」に怯えておるぞ。主も隅に置けぬよのう』)

 

連「……バアル、黙っていろ。眠いんだ」

 

連は机に突っ伏し、目を閉じました。

数時間前まで死線を潜り抜けていた少年にとって、平和すぎる教室のざわめきは、あまりに心地よい子守唄でしかありませんでした。

 

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