NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第40話 闇の聖域と「渇望」、移植そして深淵へ

 

 

鉄の国の外縁、雪が赤く染まった橋の上。

ダンゾウを仕留め、憎悪の果てに視力をほぼ失ったサスケは、荒い息を吐きながら膝をついていた。その前には、里から駆けつけたナルト、サクラ、そしてカカシが、悲痛な面影を湛えて立っている。

 

ナルト「サスケ……! もうやめろ、こんなこと!」

 

ナルトの声が響く中、連は漆黒の雷鳴と共に、彼らの間の空間を切り裂いて降り立った。

 

連「……随分と賑やかだな。木ノ葉の連中が揃いも揃って、何を傷舐め合っている」

 

カカシ「連……!」 

 

カカシが写輪眼を見開き、警戒を露わにする。サクラは、一年前とは比較にならないほど冷徹で、そして「血の腐臭」が消え、代わりに圧倒的なチャクラの圧力を纏った連の姿に言葉を失った。

 

ナルト「連、お前までサスケと一緒に……!」

 

ナルトが叫ぶが、連は万華鏡の瞳をナルトへ向け、冷たく言い放った。

 

連「ナルト。お前にはペインを倒したことで、少しは期待していた。だが、やはりまだ『絆』などという呪縛に縋っているのか。……サスケは俺が連れて行く」

 

連の背後に、虚空が渦を巻き、仮面の男・トビが現れた。

 

トビ「おっと、そこまでだ。……サスケも連も、これからの計画には欠かせない重要な駒でね。……お遊びはここまでにしようか」

 

ナルト「待て! 行かせるか!!」

 

ナルトが飛び出すが、連の左眼が微かに回転した。

 

連「**【比良坂】**」

 

空間が物理的に隔絶され、ナルトの拳は虚空を突く。連は視界の端で、絶望に顔を歪めるサクラと、かつての教え子を二人同時に失うカカシの苦悶の表情を視た。だが、その心は一滴の涙も流さない。

 

連「……あばよ、過去の亡霊ども」

 

トビの時空間忍術と連の比良坂が共鳴し、連、躯、そして限界を迎えたサスケの姿は、渦巻く闇の中へと消えていった。

 

---

 

 

 

「暁」の秘密アジト。石造りの冷たい空間に、サスケは荒い呼吸と共に横たわっていた。

彼の瞳は、酷使された万華鏡の代償として既に光を失いかけ、世界は厚い霧の向こう側へと沈んでいた。

 

トビ「……クク、酷い有様だね、サスケ。五影を相手にあれだけ暴れれば、当然の報いか」

 

トビが闇の中から囁く。連は壁に背を預け、無言でその光景を見つめていた。躯はサスケの虚ろな瞳に指を伸ばそうとして、連に無言で制止され、不満げに自らの腕を切り刻んで悦んでいる。

 

サスケ「……連」

 

サスケが掠れた声で呼んだ。

 

サスケ「……お前の、その『視界』は……どうなっている。……俺に見えるのは、暗闇だけだ……」

 

連は、サスケの傍らに歩み寄った。

連の「永遠の万華鏡」は、暗闇の中でもサスケの乱れたチャクラの糸を鮮明に捉えている。

 

連「……俺の視界には、絶望のその先が視えている。……光を失う恐怖も、代償による苦痛もない。……あるのは、モモカが命を賭して遺した、曇りのない『真実』だけだ」

 

サスケは血の混じった笑みを漏らし、拳を握りしめた。

ナルトとの再会。カカシの説教。サクラの涙。それらすべてが、今のサスケにとっては、自分の覚悟を鈍らせる「弱さ」にしか感じられなかった。ナルトの眩しすぎる光を完全に叩き潰すには、今のままの自分では足りない。

 

サスケ「……トビ。……あれを、しろ」

 

トビ「ほう、イタチの眼を移植する気になったか。……イタチの想いを、無下にするつもりかと思っていたがね」

 

サスケ「……想いなどどうでもいい。……俺は、全力でお前を……ナルトを、俺を否定したすべてを叩き潰す力が欲しい……! 連と同じ……『永遠』の眼を……!」

 

---

 

 

 

アジトの奥、不気味な培養液の匂いが漂う手術室。

サスケが手術台に横たわり、トビが保存されていたイタチの両眼を取り出した。

 

連は、その一部始終を「監視者」として見守っていた。

かつて大蛇丸のアジトで、自分自身がモモカの眼を受け取った時の記憶が蘇る。あの時の、脳が焼け付くような熱。自分の一部が「死者」と融合していく、おぞましくも甘美な感覚。

 

トビ「……始めるよ。サスケ、君は新しい闇を手に入れる。……そして連。君には、彼の眼が馴染むまでの間、世界の『後片付け』を頼みたい」

 

連「……言われなくても、そうするつもりだ」

 

執刀が始まった。

麻酔すら拒絶したサスケの口から、押し殺したような呻き声が漏れる。イタチの眼が、サスケの眼窩へと収められていく。

 

連は、その瞬間のチャクラの変動を万華鏡で凝視していた。

うちは一族の血、兄弟の絆、そして絶望。それらが混ざり合い、新しい瞳術の紋様が形成されていく過程は、連にとって最高の「芸術」に映った。

 

バアル「(『主よ……。あの少年もまた、主と同じ地獄の住人となるか。……楽しみなことだ。忍界を二つの『永遠』が焼き尽くす日が、すぐそこに来ている』)」

 

バアルの不気味な笑い声が、連の頭の中に響く。

連は首筋の呪印をさすりながら、静かに手術室を後にした。

 

廊下では、躯が待ち構えていた。

 

躯「ねぇ、連! サスケくんが新しくなったら、私たち三人で木ノ葉を壊しに行く? 私、今から楽しみで術式が疼いちゃう!」

 

連「……サスケが目覚めるまで、俺たちが舞台を整えておく。……五影たちが連合軍を結成しようとしている。……第四次忍界大戦だ」

 

連の言葉に、躯が歓喜の悲鳴を上げた。

サスケが眠りについている間、連は「暁」の主力として、世界を戦火の渦へと叩き込むための準備を始める。

 

連の瞳には、既に忍界大戦の結末が視えていた。

数万の忍が、一人の少年の瞳術と、一人の少女の狂気、そして復活を待つ「鷹」の翼によって蹂躙される未来。

 

連「……モモカ。……もうすぐだ。……お前の遺したこの眼で、すべてを終わらせてやる」

 

連の放つ漆黒の雷光が、地下アジトの闇を切り裂いた。

サスケの眼が馴染み、真の「永遠」が二つ揃った時、世界は真の意味での「痛み」を知ることになる。

第四次忍界大戦。それは、かつての少年たちが「修羅」として完成するための、巨大な祭壇に過ぎなかった。

 

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